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柊かがみの述懐

キョン君がこなたに告白した、という話を聞いたときは、さすがに私もショックだった。
私ら4人の中で、まさかこなたが最初の彼氏持ちになるなんてね。
こんなにショックを受けるくらいなら、はやく告白しとけば良かった。今更遅いけどね。
みんなキョン君に好意を持っていたのに、変に遠慮があったというのか、抜け駆けは良くないって意識があったのか・・・誰もキョン君にアタックしなかった。けど、キョン君の方から私ら4人のうちの誰かにアタックしてくる、ということまでには、思いが至らなかった。
「あのね・・・私ね・・・キョン君に告白されたんだ。付き合うことにしたよ」
こなたの恥ずかしそうな顔が忘れられない。この子、こんな顔もするんだなって。普段はあんなんでも、やっぱりこなたも女の子なのね。
「ごめんネ・・・」
こなたの気持ちか痛いほど伝わってきたから、私もつかさもみゆきも、何も言えなかった。
こなたが私たちに謝ることなんてないんだよ。キョン君がこなたを彼女に選んだんだから。
謝られちゃうとかえって、私らの立場がないよ。良かったね、こなた。キョン君と仲良くするんだぞ。
その晩、ベッドの中でちょっと泣いた。

つかさもみゆきさんも、やっぱりショックみたいだった。そりゃそうだよね。
つかさは申し合わせたように翌朝、目を赤くしていたし、みゆきも表向きはいつもどおりだったけど、心なしか、声に元気がなかった。
だけど、この件で一番ショックを受けたのは、おそらく涼宮さんだろう。
私は正直、涼宮さんのことがあんまり好きじゃなかった。
キョン君が優しいのをいいことに、いつもキョン君にわがまま言って引っ張りまわして、労わりの言葉1つかけない。私ら4人も、涼宮さん率いるSOS団の準団員という名目で、たまにSOS団のイベントに参加したりしたけど、そこでもキョン君は、容赦なく涼宮さんにこき使われ、時には酷いことを言われたりもしていた。
そんな時でもキョン君は、「やれやれ」と苦笑いを浮かべながら、たまには文句を言いながらも涼宮さんの意に従っていた。何度か涼宮さんに意見したくなったこともあったけど「ハルヒは他人の言うこと聞くようなヤツじゃないし、俺のことはいいから」
とキョン君が言うので、何も言わなかったけど。
だからキョン君がこなたに告白したとき、ショックと同時に、涼宮さんも振られていい気味だと思ってしまった。
我ながらイヤな女だよね。自分だって振られたクセに。

キョン君がこなたに告白したと知ったとき、涼宮さんは泣きながら叫んだらしい。
「あたし・・・あたしだってキョンの事好きだったのに! なんでこなたなの! なんで・・・あたしじゃダメなの!いっぱい我が儘言ってキョンを困らせたから? キョンの事、大事にしなかったから? ・・・あたしが悪かった。ねぇ、悪いところは直すから・・・素直になるから・・・だから・・・」
私と涼宮さんは、どこか似ているのかもしれない。この話を聞いたときにそう思った。
だけど涼宮さんは、こんな形でもキョン君に、自分の気持ちをきちんと伝えることは出来た。
何も言えなかった私とは大違い。

有難いのは、キョン君もこなたも、付き合うようになったからって、私たちへの態度が変わらなかったこと。
こなたは多分気を使っているんだろうけど、キョン君の方は意識していないと思う。
こなたは私たちといるときにはキョン君の話はしないし、私たちも聞かないようにしている。
いつか話せるようになるといいな。でも、もうちょっと時間が必要かも。

4月が来て、私たちは高校3年生になった。
私たちの周囲の環境も変わった。
一番の変化は、涼宮さん、長門さん、古泉君、朝比奈さんの4人が相次いでいなくなったこと。
私たちより1つ上の朝比奈さんは、3月に卒業していなくなったんだけど、他の3人が相次いで転校して行ったのには正直びっくりした。
涼宮さんはお父さんのお仕事の都合で神戸に、古泉君も理由は分からないけど4月から関西の高校に転校、長門さんはエルサルバドル在住のご両親の元へ・・・長門さんのご両親が、海外在住だとは知らなかった。
3月に、朝比奈さんの卒業祝いと一緒に行われたSOS団のお別れ会は、準団員の私たちは遠慮させてもらった。
団員同士、話したいこともあるだろうしね。それに・・・きちんと最後のお別れ、させてあげたかったしね。

あ~あ、私もはやく、彼氏が欲しいなあ。

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最終更新:2007年09月10日 21:20
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