part14-292
車の免許を取り、車は親戚が練習してみた方がいいと貸してくれたので早速運転してみることにした。
結構は休日。晴れやかな日。練習がてら駅前まで行こうかと準備しているとハルヒが突然やってきて乗り込みやがった。
キョン「おい」
ハルヒ「あによ」
キョン「なぜお前が助手席に乗る」
朝比奈さんにだったら是が非でも乗ってほしいがな。
ハルヒ「二人しかいないんだから当然じゃない」
キョン「そんな常識はないがな。二人でも後部座席に乗る人だっている」
ハルヒ「うるさいわね、ちゃんと前見て運転しなさいよっ!」
やれやれである。ハルヒは窓の外をぶすっと眺めたままずっと口を閉ざしている。こいつは何をしにきたんだ。
ハルヒ「そうだわっ!」
キョン「何余計なことを思いついた」
ハルヒ「余計なことじゃないわっ! このまま恐山に行くわよっ!!」
キョン「断固拒否する」
ハルヒ「何でよっ。これは立派なSOS団の活動なのよ」
キョン「いつからそうなった。今日はただの練習の予定だ。そもそもそこまで行く金もない。行きたいんだったらお前が免許を取ってから一人で行け」
ハルヒ「何よつまんないわね」
キョン「勝手なこと言うな」
まったく、こいつの突拍子も無い発言には毎度毎度驚かされる。理不尽にも程があるってもんだ。
ハルヒ「……じゃあいつもの喫茶店でお茶しましょ」
キョン「まあそれくらいなら」
ハルヒ「もちろんアンタのおごりでね」
キョン「運転してるのは俺なんだからお前がおごったらどうだ」
ハルヒ「何言ってるのよ。前に私のケーキわけてあげたんだから当然でしょ」
キョン「いったいいつの話だ。わけたって一口だけだしその時支払ったのも俺だ」
ハルヒ「昔のことを根に持つ男は嫌われるのよ」
キョン「じゃあお前はどうなんだよ」
ため息を吐く。もう車中は俺のため息で充満したんじゃなかろうかというくらいため息を吐いた。
空気を入れかれるために窓を開け、信号で停止した。
ハルヒ「ところで一ついい?」
キョン「一つどころか何十も言ってるが、何だ?」
ハルヒ「あんた寝癖ついてるわよ」
キョン「何っ!? 何でもっと早く教えてくれないんだよ」
ハルヒ「いつ気づくのかなぁって思ってね。さすがに私も寝癖の人とお茶したくないし」
キョン「だったら喫茶店行かなきゃいいだけだろうが。……くっそー見えねえな」
ハルヒ「ったく。私が直してあげるわよ」
子供「おかん、あのカップルキスしてんでキス」
おかん「ホンマやな」
子供「車ん中でするなんてよっぽど我慢してたんやろなぁ」
おかん「かもしれんなぁ。我慢は体に悪いねんで」
キョン「…………」
ハルヒ「…………」
キョン「…………」
ハルヒ「……こ、これ口紅じゃなくてリップだから食べ物味そんな変わんないわよっ!」
そんな一日。
最終更新:2007年07月31日 11:57