高良みゆきの交際

part14-687◆Ftc6.YoghEさんの作品です。


男性とご縁の無かった私ですが、いつの間にか知り合い、お話をしている内にだんだんと彼に惹かれていき、
泉さん、かがみさん、つかささんにこのことを相談したら……
つかさ「わぁ~ゆきちゃん凄ぉい。私応援するよ~」
こなた「おぉ~、キョンキョンはみゆきさんフラグを立ててたのか」
かがみ「ふざけないの。みゆき、早い者勝ちとは言わないけど、本当に好きなら告白したら? キョンくん狙ってる人ほかにもいるみたいだし」
こなた「誰のことかな~?」
かがみ「なぐるわよ。不安なら一緒に行ってあげるし」
とてもありがたい言葉でした。
実際、その後泉さんがキョンさんを呼び出してくれて、物陰に隠れて見守ってくれました。
キョン「ん? 高良さん。あれ? 泉に呼び出されたんだが」
みゆき「ぁ、ぁの……」
キョン「高良さん、泉のやつ知りませんか? 人のこと呼び出しておいてあいつ……」
かがみ「(何でみゆきが呼んでるって言わなかったのよ)」
こなた「(いやぁ~、早い方がいいと思ったんだよね~。それにハルにゃんもいたしね~)」
つかさ「(ゆきちゃんするのかな、するのかな?)」
かがみ「(しっ、何か話すみたいよ)」
みゆき「キョ、キョンさん」
キョン「はい?」
みゆき「ゎ、わゎわ私と、おぉお、お、お、お、おつ、お付き合いしてくださいっ!!」
キョン「はいぃっ!?」
かがみ「(おお~言ったよ)」
つかさ「(ゆきちゃんかっこいい~)」
こなた「(いやぁ青春だねぇ)」



みゆき「ぁ……ぅぅ……」
キョン「え、あ、あのそれは買い物に、とかっていう意味じゃないんですよね?」
みゆき「……はぃ」
キョン「気を悪くしないでくれると嬉しいんだが、それは泉やハルヒ辺りに無理矢理とか、罰ゲームってことじゃないんだな?」
みゆき「……(コク)」
キョン「正直、そんな風に思われてると思ってなかったから驚いてる。俺のことを想ってくれてるのは嬉しい」
こなた「(う~んこれは残念フラグが立っちゃったかなぁ)」
つかさ「(ゆきちゃん可哀想~)」
かがみ「(ま、まだ分からないでしょ)」
こなた「(おやおや応援するんですが)」
かがみ「(本当にぶつわよ)」
こなた「(おおこわ)」
キョン「その……何だ、俺なんかで良ければ。かなり至らない男だと思うからがっかりするなよ」
みゆき「ふぇえぇ~……」
キョン「おっ、おい何で泣くんだよっ」
こなた「あ~、キョンキョンみゆさん泣かせた~」
キョン「なっ、こなた!」
かがみ「良かったじゃないみゆき」
キョン「かがみまでっ!?」
つかさ「ゆきちゃんおめでと~」
キョン「つ、つかさまで……」
みゆき「う、嬉しいぃですぅ~」
こなた「お~、キョンキョン愛されてるね~」
みなさんありがとうございます。みなさんがいるって思っただけで告白する勇気が出てきたんです。私一人じゃ絶対無理でした。
この後みなさんと、か、彼氏のキョンさんと一緒に教室に戻りました。途中で泉さんが今日は一緒に下校するようにとキョンさんに言って、私は今からそれを考えてしまって恥ずかしくなり真っ赤な顔をより真っ赤にしてしまいました。
これからキョンくんと一緒だと思うととても心が弾みます。授業中、不謹慎ですが早く放課後になってくれないかなとずっと思っていました。



キョンさんとお付き合いを始めて半年。楽しいことが多くてあっという間に過ぎたように思います。
彼と図書館に行って一緒に勉強したり、お買い物に行ったり、お互いの家に行き来したりしました。
ですが……未だに手を繋いで歩いたことがないんです。半年という期間で手を繋ぐことが早いのか遅いのか私には分かりません。
勉強が出来ても、人より少し物を知っていても分からないです。
本の中では一年経ってと書いているのもあれば、お付き合いを始めたその日にというのもあります。やっぱり分かりません。
今日は彼とお買い物の予定です。いつもの駅前で待ち合わせです。何度一緒にお出かけしても気が早ってしまって十分前には着きます。
そしてキョンさんはいつも少し遅れて来ます。お寝坊さんなんですねきっと。
キョン「悪い、待たせたな」
みゆき「いえ、私も今来た所なんですよ」
キョン「本当か? 遠慮せず本当のこと言っていいんだぞ?」
みゆき「はい」
キョン「ならいいんだが」
遅れて来ることは別にいいのです。待ってるのも楽しいですから。本当のことを言っていいのなら手を繋いで欲しいです。
でも……そんなわがままを言って嫌われてしまったら、と思うとやっぱり何も言えません。
キョン「じゃあ行くか。今日は服を買うんだろ?」
みゆき「は、はい。それと欲しい文房具があるのですが」
キョン「じゃあ途中で店があったら寄るか」
みゆき「すみません」
キョン「別に謝ることじゃないさ。行くかみゆき」
みゆき「はいっ」
お付き合いをしてから彼が私のことを下の名前で呼んでくれるようになったのがとても嬉しいです。
私を見てくれている気がするから。でもこれもかがみさんや泉さんがキョンさんにそうするように言ったから。
私はとても良い友人を持っていると思いました。でも友人がいなければ何も変えられない自分がとても恨めしいです。



キョン「そういえば妹がみゆきに会いたがってたな」
みゆき「そうなんですか? じゃあ今度お邪魔してもいいですか?」
キョン「ああいいぞ。なんなら俺の代わりにずっと相手しててくれ」
みゆき「ふえっ」
そ、それはそのつまり……ず、ずっと家にいて欲しいということですかっ?
キョン「どうした、すっとんきょうな声出して」
みゆき「い、いえ」
私は早まる心臓の鼓動を必死に抑えて彼についていきました。



前を歩くキョンさんの背中を見ながら私は少しずつ近寄って手を握ろうと頑張ります。
でもあと少しの所でどうしても勇気が出せず躊躇してしまいます。
そしてそうしていると彼が振り返って私に声をかけてくれます。きっと何か話さないといけないと思ってのことだと思います。
彼の優しさに嬉しく思う反面、せっかくここまで近づいたのにと残念に思います。彼に気付かれるのが恥ずかしくて慌てて体を離してしまいます。
キョン「でな、泉のやつが俺もオタクになれってうるさいんだよ」
みゆき「共通の趣味を持ちたいのではないでしょうか?」
キョン「そうかもな。何だかんだで周りにいないからあいつも思うところがあるのかもしれん」
みゆき「かもしれませんね。でもかがみさんやつかささん、最近では長門さんとも仲がいいんですよ?」
キョン「らしいな。何か対極にいる二人が仲良くしてると不思議な気分だ」
みゆき「人は自分に無いものを求めると言いますから、それが関係しているのかもしれませんね」
キョン「なるほど。それは面白いな。常に人間は飢えているわけか」
みゆき「そうとも考えられますね」
こうして他愛も無い会話をしながら買い物をしていきます。キョンさんは全部荷物を持ってくれます。
私が持つと言ってもいいからと言って持ってくれます。やっぱり優しいです。
そして喫茶店に入って休憩をすることにしました。



キョン「ふぅ~」
みゆき「大丈夫ですか? お店を出たら私も荷物持ちますよ。もともと私の物ですし」
キョン「あ~いやいや。喫茶店に良い思い出があまりなくてな、自然に出ちまうんだ。悪い、気をつけるよ」
その思い出に私と一緒の時もあるのでしょうか。そう思うと心が苦しくなってしまいます。
私はオレンジペコーをキョンさんはアイスコーヒーを頼みました。
キョン「みゆきは紅茶が好きなのか?」
みゆき「はい、家でも良く飲んでますよ」
キョン「家に邪魔した時に飲ませてもらってるがありゃうまいな。俺ん家で飲む時はティーバッグしかないから本格的なのを見た時は驚いたもんだ」
みゆき「ありがとうございます。今度葉を分けましょうか?」
キョン「いやいい。俺は飲む専門でね。飲みたくなったらみゆきが淹れてくれ。お前さえ良ければだがな」
みゆき「はい。飲みたくなったらいつでも言ってくださいね」
キョン「遠慮はしないから覚悟してろよ」
みゆき「ええ」
そしてお店を出ようとした時です。私が自分の足に足をひっかけて転んでしまいそうになりました。
その時キョンさんは私の手を取って抱きとめてくれたんです。
びっくりしました。驚きすぎて動けません。
キョン「おい大丈夫か? そそっかしいんだな。泉とかがそんなこと言ってたが」
みゆき「す、すすすみませんっ!」
慌てて彼から離れます。でもその時また足をひっかけてしまって、今度は後ろに倒れそうになりました。
ですがまだ手を握っていましたし、彼は荷物を持っている手を咄嗟に伸ばして私の腰に手を回して支えてくれたのです。
キョン「泉の言ってたことが本当なんだって理解できたよ。ほら、立てるか」
みゆき「すみません。重ね重ねすみませんっ」
キョン「今までこんな姿を見たことないから新鮮だな。ほら、転ばないように」
みゆき「え、あの……ぇぇ」
キョンさんはそう言って私に手を差し出してきました。こ、これはつまり手を繋ぐっていうことですかっ? そうなんですかっ?
みゆき「ふ、不束者ですが」
キョン「いや、それは間違ってるが」
こうしてキョンさんと手を繋ぐことが出来ました。それからというもの、彼は私が転ばないようにと手を繋いでくれるようになりました。
とても嬉しくてでも恥ずかしいのですが、私、今とても幸せです。





キョンさんが手をつないでくれるようになって一ヶ月。とても嬉しいのですが私はまた悩んでいます。
それはキョンさんが私のことをまだ一度も「好き」と口に出したことがないことです。
でも私もまだ言ったことがないのでお互い様と言えばお互い様です。けれど私は自分が彼にそう言ったらきっと恥ずかしくて倒れてしまうと思います。
告白をするだけでも心臓がバクバクと音を立てていたのに、それを口に出したら大変です。
いつか彼は言ってくれるのでしょうか? やはり私から言わなければ言ってくれないのでしょうか?
はぁ……。
かがみ「みゆき、また悩み事?」
みゆき「あ、かがみさん。実は……」
私はかがみさんに相談していました。何か良い知恵をお借りできればいいんですが。
こなた「なるほどねぇ。キョンキョン鈍感だからそれじゃあフラグ立てらんないと思うよ」
みゆき「い、泉さん。聞いてらしたんですか?」
つかさ「ゆきちゃん可哀想~。そうだよね好きな人には好きって言いたいし言ってもらいたいよね」
かがみ「つかさアンタまで」
こなた「それにしても、いやぁ初々しいですなぁ。ゲームじゃ会った三分後には手をつないでますよ」
かがみ「何でもかんでもゲームに例えるな。でもキョンくん、本当に気づいてくれないから、何もしなかったら言ってもらえないかもよ?」
みゆき「そうですかぁ……」
つかさ「ゆ、ゆきちゃん落ち込まないでっ」
こなた「みゆきさんさえよければちょいと妥協してどう思ってるかだけ聞いてみるってのは?」
かがみ「おー、それいいわね。どうみゆき? 急に聞いてもキョンくん驚くだろうし」
みゆき「で、でもそれで……」
こなた「じょぶじょぶ、嫌われないよ。でもまぁ不安ならこの前の反対で行こうか」
かがみ「どういうこと?」



キョン「で、なぜ俺は三人に囲まれてるのか聞きたいんだが」
こなた「両手どころから見渡す限り花だね」
かがみ「何だそれは」
キョン「何だ? カツアゲか? リンチか? いっとくが俺は弱いぞ」
こなた「それは自慢になりませんなぁ」
つかさ「ち、違うよキョンくん」
かがみ「まぁこなたならカツアゲくらいしそうだけどね、本買うお金なーいって」
こなた「むぅ失礼だなぁ」
キョン「で、本当に用件は何だ?」
こなた「それはだね~」
みゆき「(ありがとうございます、みなさん。でも、その、あの……あまり近寄られると……)」
こなた「ずばり! みゆきさんのことどう思ってる?」
キョン「は?」
かがみ「だから、こう……みゆきとデ、デートしてるんでしょ?」
キョン「ま、まぁ」
つかさ「だからどう思ってるのかなって」
キョン「ど、どうって、良い子だし優しいし勉強教えてくれるし料理上手いし妹の世話してくれるし」
こなた「めがねっ娘だしドジっ娘だし巨乳だしね」
キョン「それはお前の感想だろ」
かがみ「そ、そういうのじゃなくて」
キョン「?」
つかさ「う、うん。ほら、ね~?」
キョン「ね~? と言われても」
みゆき「(や、やっぱりキョンさんは私のこと嫌いだったのでしょうか……。私に同情して付き合ってくれてるんでしょうか……)」
こなた「だみだこりゃ。鈍感とかっていうレベルじゃねーぞ!」
キョン「何急にわけ分からんことを叫んでるんだ」
かがみ「仕方ない、とりあえず戻りましょ」
つかさ「あ、お姉ちゃん」
キョン「い、いったい何だったんだ?」



午後の授業に身が入りませんでした。ペンを動かす気力もなく私はずっと俯いていました。
休み時間にみなさんが励ましてくれるのですが、私は無理に作った笑顔で大丈夫ですというしかありません。
せっかく私のためにがんばってくれたのですから、それに応えるしかないのです。
放課後になり私はすぐにでも帰りたい気持ちでいました。するとキョンさんからメールを頂き、来て欲しいと書いていました。
お昼のことで何か言われるのかもしれないと思い、とても喜んで行く気持ちにはなれませんでしたが、
こうして書いていますし、見てしまった以上行かないわけにもいきません。
重い足取りで私は呼ばれた所へ行きました。
キョン「みゆき……」
みゆき「……はい……」
私は俯いて返事を返しました。もしかしたらこのまま別れ話を切り出されるかもしれないと思うと目に涙が溜まっていきます。
キョン「昼間な、泉とかがきたんだ」
みゆき「……はい……」
キョン「でな、みゆきのことどう思ってるか聞かれたんだ」
みゆき「……はい……」
キョン「みゆきがみんなに相談したんだろ?」
みゆき「っ!」
私は手をぎゅっと握って目を閉じました。涙がこぼれた気がします。
キョンさんにバレた。絶対に悪い印象を持たれてしまいました。絶対に別れ話です。
キョン「悪かったな、俺が不甲斐ないせいで」
みゆき「ぇ……?」
キョン「鈍感だ鈍感だと周りに言われて自分じゃそう思ってなかったんだが今日のことで自覚したよ」
わ、私のことを嫌いになったんじゃないんですか?



キョン「あのなみゆき。俺も自分のこと全部知ってるわけじゃないが、このことで分かることが一つある」
キョンさんは続けます。
キョン「俺は好きでもない奴とは多少は会話するかもしれんが、告白されたからといって付き合ったりはしない」
え、じゃあ……。
キョン「つまりこのことから分かることはつまり、何だ……その俺がみゆきと付き合ってるのは、あー、す、好きだからだ」
その言葉を聞いた途端に泣いていました。頭の中で何度も繰り返されています。
私は顔を上げてキョンさんの顔を見ました。
キョン「な、泣いてる」
みゆき「わ、私も、っく、キョ、キョンさんのことが、うぅ、す、す、好きですぅ」
泣きながら私は言って、キョンさんに抱きついていました。涙が止まりません。嬉しくて嬉しくて仕方ありません。
キョン「そ、そうか。そいつは嬉しいな。泣き止んでくれるともっと嬉しいんだが」
ご迷惑をかけているとは分かりますが今この時だけはわがままでいさせてください。
こなた「あ~キョンキョンまた泣かせてる~」
キョン「いっ、泉! またお前ら隠れて見てたのか」
こなた「いや~、今回は勝手についてきたんだよ」
かがみ「みゆきを泣かせたら殴ってやろうかと思ってたけど……これじゃあ殴れないわね」
キョン「そ、そうかそれは良かった」
つかさ「ゆきちゃんおめでと~。これでそーしそーあいだねっ」
キョン「つかさ、お前はまた恥ずかしいことを……」
こなた「じゃ、邪魔者は帰りますよ」
かがみ「ちゃんと家まで送るのよ」
つかさ「ばいば~い」
そして帰り道。私はさきほどの出来事が恥ずかしくて恥ずかしくて顔が赤くなっていると思い見られないように俯いて歩いていました。
でもきっと全身が赤くなってるかもしれないので無駄かもしれません。夕日で気づかないで欲しいです。
キョンさんと並んで歩いて、手はしっかりと繋がれています。キョンさん、とっても大好きですよ。


いつものように皆さんとお食事をしていた時でした。泉さんが思い出したように話しかけてきました。
こなた「そういえばみゆきさん~」
みゆき「はい何でしょうか?」
こなた「キョンキョンとさ~」
みゆき「はい」
こなた「チューした?」
みゆき「へっ、えっ、あのっ、そのっ、えっとっ……」
かがみ「ちょっとこなた、何聞いてんのよ」
こなた「だって気になるじゃん」
つかさ「私もちょっと~」
かがみ「実は……私も」
こなた「なんだかがみ人のこと怒れないじゃん」
かがみ「う、うるさいわね。それで……みゆき?」
みゆき「え、ええと、それはその……ま、だです」
こなた「なぁんだ~」
つかさ「でも何かゆきちゃん一人だけ先に行っちゃったねぇ」
かがみ「そうね」
こなた「おっかしいなぁ。普通だったらもうエンディングでチューの一つもしてるしものによっちゃ……ねぇかがみん」
かがみ「わ、私に振るなっ」
こなた「キョンキョンは自分からフラグ立てようとしない割にはいつの間にか立ててるし、かと思いきや折るからねぇ」
かがみ「せめて分かる言語で話してくれ」
こなた「前もさぁ話したかと思うんだけどキョンキョンは鈍感だから、したかったら自分からじゃないとねえ」
みゆき「じ、自分から……ですか……」


で、ですが現状でも満足しているのは確かです。でも……ちょっとしたいと思うのはいけないことなのでしょうか。
こ、こんなこと思っていたらキョンさんに嫌われてしまいますっ。はぅ~、頭から消えてくれません~。
キョン「お~いみゆき~」
みゆき「キョ、キョンさん!」
キョン「ど、どうしたんだ急に」
みゆき「な、なな何でもありませんっ」
キョン「そうなのか?」
みゆき「はい、そうなのです」
キョン「? それで今日は真っ直ぐ帰るのか?」
みゆき「あのっ、今日は買いたい本が発売されたので本屋さんに寄りたいのですが」
キョン「分かった。じゃあ行くか」
キョンさんが差し伸べてくれる手を取り、本屋さんへ向かって歩き出します。
そして本屋さんに寄った後私はあることを思い出しました。キ、キスのことじゃありませんっ。
みゆき「この辺りに新しいアイス屋さんが出来たそうですよ」
キョン「へぇ~。行ってみるか?」
みゆき「い、いいんですか?」
キョン「ああ。もっともみゆきがダイエットか何かで断固拒否っていうならいいんだが」
みゆき「そっそそんなことないです。行きたいです、言ってみたいです!」
キョン「力説するくらい行きたかったのか」
みゆき「ち、違うんですぅ~」


私たちは新しく出来たというアイス屋さんに着きました。アイス屋さんだけあってターゲットは女性らしく、内装外装共に可愛らしいです。
キョン「は、入りずらっ」
みゆき「あの、でしたら無理していただかなくても」
キョン「いや問題無い。よく考えれば妹もこんな感じの店に入りたがるからな」
みゆき「あ、それなら妹さんも呼べば良かったですね」
キョン「まぁ家には居るとは思うが、さすがに来んだろう」
みゆき「あ、それもそうですね、お恥ずかしいです」
キョン「それより何食べる?」
みゆき「え、えっと……ストロベリーマンゴーにします」
キョン「うん実に女の子らしいチョイスだ」
みゆき「あ、ありがとうございます~」
キョン「顔赤いな、熱出たか?」
みゆき「ちっ、違います大丈夫ですっ」
キョン「そうか? じゃあ俺は……豆乳抹茶にするかな」
みゆき「体に良さそうなアイスですね」
キョン「ああ。それにアイスの抹茶は美味いからな」
アイスを受け取り席に着きます。とても冷たくて美味しいです。
キョン「美味いか?」
みゆき「はい。そちらはどうですか?」
キョン「ああ。やはり抹茶だな」
みゆき「本当に美味しそうですね」
笑顔のキョンさんを見ていると幸せな気持ちになります。本当に美味しそうに食べる姿は少し可愛いと思ってしまいます。
キョン「ん? 食べたいのか? ほれ」
みゆき「ふえっ!? あのあのあのっ」
キョン「あれ、違ったか」
みゆき「いえ、それもそうでもなくてですねっ」


キョン「いやどっちなんだよ。ほれあーん」
あ、あーん……凄く凄く恥ずかしいです。他のお客さんが全員こちらを見ている気がしてなりません。うぅ、こっちを見ないでくださ~い。
みゆき「あ、あ~ん……」
キョン「どうだ?」
みゆき「ぉ、ぉぃしいでした……」
キョン「言葉がおかしいぞ、おい。じゃあ代わりにそっちのも食わせてくれ」
みゆき「えええぇぇぇぇぇえええ!」
キョン「そ、そんなに嫌か。そうか……」
みゆき「い、いぃぃぃいいいぃぃ嫌じゃないですっ!」
キョン「力いっぱい言わなくても良いから。じゃあ貰うぞ」
みゆき「あ待ってくださいっ、あのあ、あ~ん」
キョン「……やられると恥ずかしいな。あん。……うん、甘酸っぱくて美味いな」
あうぅ~、恥ずかしいですぅ~。ほ、本当に恋人同士なんですね私たち。じゃ、じゃないとできませんよね。
……あ、こ、これってか、かかか間接キ、キキキ、キスってやつですよねっ、ですよねっ。
みゆき「ぁぅぅぅ~」
キョン「おいアイス溶けてるぞ」
もうキョンさんの顔が見られません~。キョ、キョンさんこっち見ないでください~。気にしてしまいます~。
そうしてようやくアイスを食べ終えた私は、手を繋いだだけで先ほどの光景が何度も思い浮かべられて、今日も俯いていました。


そして次の日。私は昨日の出来事をみなさんにご報告しました。
こなた「えぇ~、それってカウントする~?」
かがみ「こなたっ! みゆきにとっては大きな一歩なんだからねっ」
つかさ「ゆきちゃん大人~。いいなぁ、私もしてみたいなぁ」
こなた「っていうかさぁ……こういう話したらみゆきさんがドジってキョンキョンの体を押し倒してうっかりってパターンなんじゃないの?」
かがみ「みゆきだっていつもそんなことしてるわけじゃないでしょ」
こなた「だってさぁ、誰だってそう思う、私だってそう思う」
みゆき「あの、恥ずかしいのであまり大きな声で」
こなた「こんなにスローペースじゃ怒られちゃうよ」
かがみ「誰によ」
こなた「誰かに」
みゆき「うぅ~、今日もキョンさんに会う度に思い出してしまいました」
かがみ「ま、まぁみゆきにはこのくらいがちょうどいいのよ。次がんばって」
みゆき「は、はぃ……」
次、ですか……。想像しただけで顔が赤くなってしまいます。か、間接キスですけど……初めての味は抹茶の味でした。
ま、また一緒に行きましょうねキョンさん。

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最終更新:2007年09月10日 22:23
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