part14-888氏の作品です。
気がつくと私は真っ白な部屋にいた
天井らしき物が見えるという事は寝ているんだろう
周りを見渡すと白いカーテンがみえる
なにもかも白い
ここは一体……
私は…情報連結解除をされたはず。
なのに何で…?
「……………。」
情報統合思念体を感知できない……?
一体ここはどこ…?
それからも私はランダムなのか作為的なのかわからない模様の天井板を見ながら同じ様な考え事をしていた
しかしなんだろう。
妙にここは落ち着く。
このままずっとここで眠っていたい様な気分になるとほぼ同時に意識が遠のいた……
……かなぁ…
……心配…
………コ酢…
……んた達…
「お、起きたかい」
誰…?
「入学式がやっと終わると思ったらいきなり倒れるんだもん、びっくりしたよ!」
「え、?」
「あ、私はこなた、泉こなた。朝倉さん…だったよね?」
「なんで私の名前を…?」
「いやぁ、隣だったから名札がさ。ほら、名前順に並んでたじゃん?」
入学式?この泉こなたとかいう人は何の話しをしているの??
話しをまとめると、
今日は高校の入学式で、いきなり倒れた私を教師が保健室まで運び、心配して様子をうかがいにきたのが私と同じクラスになった 泉こなた、高良みゆき、柊つかさ、その双子の姉の柊かがみ の4人であるという
それがきっかけで4人とは仲良くなった。
お弁当も一緒に食べるし。
「やっぱチョココロネはやめられませんな~」
この人達の会話は聞いてて面白い
「涼ちゃんはどっちが頭だと思う?」
どっちでもいいじゃない
なんてそっけない言葉を口にする事もない。
「あんた料理上手いわね~」
まあそれ程でも。
「朝倉さんのご両親はどんな方なんですか?」
私に家族はいないから適当に答える
ごめんね。
一年がたとうとしていた
春に出会った私達
夏は海に行ったり縁日に行ったりした
秋は一緒に焼き芋を食べながら歩いた
冬はクリスマスパーティーもした
いつも5人一緒だったね。
正直、みんなの事が好き。
最初は私がこんな気持ちになるなんて思ってもみなかった
ただの操り人形だった私は、今人生を歩んでいる
「こういうのも良い物ね」
「いきなりなんだよ!?」
「なんか良い事でもあったの~?」
「なんでもな~い、ふふっ」
「何だかとても嬉しそうですね」
帰りの廊下を4人と歩きながらなんとなしに一年を振り返っているその時
背中に何かの気配を感じた…
振り返ると誰かが廊下の突き当たりを曲がり階段をかけ上がっていった
間違いない、彼女だ。
「ん?どうしたの涼子ちん?」
「ごめん、ちょっと用事思い出したから先帰ってて!」
私はすぐにその後ろ姿を追いかける
「待って!」
でも彼女は待ってはくれない
どこに行くの?
屋上へ出るつもり?
屋上へと続く階段を登ろうとし、階段の先を見上げた途端、足を止めた
あれ…?
屋上へと続く踊場があるはずの空間には廊下が続いていた
しかもやけに古びれている
階段をゆっくりと上がりきると見覚えがある場所に出た
ここは昔一度だけ来た事がある。
注意深く上を見上げながら廊下を歩く
“SOS団”
あった。
中に入るとやっぱり彼女はそこにいた
「お久しぶり」
彼女は頷く
「話したい事は沢山あるけど・・・まず、聞かせて。なぜ私はこんな所にいるの?」
「………あなたを守るため」
……意味が理解できなかった。
だって本当に解らないんだからしょうがないじゃない
「…どういう…意味?」
ふと目を横に向ける
気付かなかった…
私そんなに緊張してたのかな。
「よっ。」
……彼だ
なぜ彼がここにいる?
私はあなたを殺そうとしたはず。二度も。
「私が同行を求めた」
なぜ?
「彼の同意を得られなければ、なし得なかった願いだったから」
彼は冗談まじりに言う
「そりゃそうだ」
「願いって…?」
「私達の世界に朝倉涼子、あなたという存在の回帰」
「なんですって…?」
「お前に戻って来て欲しいんだとよ」
「…でもそんな事したらまたあなたの敵になるわよ?というか情報統合思念体がそんな事を許可するとは思えないわ。」
「こいつが説得したんだ」
一体どうやって…
「あなたは元々私のバックアップだった。そこに目を付けた派閥があなたの意識を乗っ取り…」
あの日ね…
「…利用した。だが失敗。私に情報連結を解除された。…次に私が世界を再構築した際に情報操作能力の消滅した私の身に危険が及ばないようにあなたを再構築した。」
あんまり思い出したくないわね。
「そしてあなたにエラーを起こさせた。あれは私のミス。情報結合思念体は無関係」
その時彼女はふと彼を一瞬見た。
無表情以外の顔を持っていないはずの彼女の顔がその瞬間辛そうな顔をしていたように思えた。
その後も彼女は淡々と説明を続ける
「…あなたが他の情報統合思念体とアクセス出来ないプログラムを構築した。これで私達の敵になる事はない。それで情報統合思念体の許可を得た」
「そんな…そんな物を作るなんて不可能だわ!」
「これは全てのインターフェースに対して有効なのではない。あなたにしか適応されない。このプログラムを構築するのは不可能な事ではなかった」
そうか…私は……でも、
「そんな事をして何になるの?別に私がいてもいなくても変わらないじゃない」
「……………だってあなたは…」
私は?あなたのバックアップでしょ?
「おい」
なに…
「お前はこの一年間何をしてきた」
何って、何って、学校行ってみんなでお弁当食べたり、放課後みんなで本屋さんいったり、喫茶店いってお喋りしたり、休みの日にも集まってケーキバイキング行ったり、色んな所に行ったなぁ
あぁ、楽しいなぁ、私にもこんな感情があるんだなぁって思……
「こいつだってな、一緒なんだよ」
彼女を見ると何だか優しい顔になっていた
まるで時折見せる、かがみがつかさを見る目みたいな優しい目…
「それにお前等元々は同じ様なもんなんだろ?似てないけどさ」
あぁ、そうゆう事かぁ
彼女は私の事を………
私にも家族がいたんだぁ。そう思うとなんだか視界がぼやけてきた。
一度言ってみたかったのよね。それにちょっと今の彼女の反応も見てみたい気がした。
「ありがとう。お姉ちゃん。」
「…!」
彼女の表情は見えなかった。
なぜかと言うと後ろを向いてしまったから
「・・・おい!お前顔が赤・・・!!!」
とっさに彼女は彼の口を塞いだ
それでも私に背を向けたままだったのでちょっと残念かな、と思っていたけどそれで十分だった
「それとも私が姉のがいいかしら」
「ダメ」
そこは譲れないみたい
でもね、私帰れない。
だってこの世界に大好きな人達がいるから。
「・・・あなたがこの部屋に入った時から空間回帰は始まっている・・・」
なんですって・・・?
「そんな、嫌よ!なんで・・・お別れも言ってないのに・・・」
「心配ない、この世界の住人からあなたがいたという記憶、痕跡はすべて消える・・・」
気がつくと私は泣いていた。こんなに涙がでたのは生まれて初めて。まともに息もできないじゃない。
彼女を見ると、本当に申し訳なさそうな顔をしている様に見えた
・・・・・・しょうがないかぁ、じゃあね、みんな。お幸せに。。。
意識が遠のく。最後まで彼女は私を辛そうな顔をして見ていた
チュンチュン チュンチュン
・・・・・・そこには懐かしい景色があった
「帰ってきたのね・・・」 とりあえず学校にいくしかないか。
きっとこっちでもうまくやっていけるわよね。みんな、私がんばるから。
通学途中、まだ暗い気分が抜けきらない。
やっぱりそんなすぐには無理か・・・
この坂道も懐かしいわね・・・
ふと坂の上を見上げる。
「え?」
そこには良く知っている後ろ姿が4つ・・・
気付いたら走りだしていた。その後ろ姿に近づくたびに鼓動が早くなる。
走っているせいもあるのか心臓が破裂しそう。
どうして?そんな事はどうでもいい。
「はあ、はあ、はあ・・・」
「おはよーってどうした!?」
「おはよぅ~」
「おはようございます、走ってきたんですか?」
「み゛んな゛ぁ・・・おはよ゛ぅ゛」
「おはぁ~!ってなんで泣いてるんだい!?」
【泣き虫涼子の友達】
fin.
これは後日談になるが、 なぜ朝倉がいた世界の人間がこっちの世界にいるのかというと、長門が、自分の妹的存在の朝倉があまりにも悲しそうだったのでスーパーミラクル宇宙人的ジェバンニが一晩でやってくれましたパワーで世界をくっつけちまったらしい。第三世界の誕生だ。笑うしかない。
おいハルヒ、とうとう異世界人まで現れちまったぞ。それも1人や2人じゃない。
人口問題とかが気になる所だがそんなの考えたくもない。何とかなってるんだから何とかなったんだろう。
それになんだか変な遊びを覚えた朝倉に、放課後たまに呼び出される事になって悩みの種がまた一つ増えるなんてこの時の俺は知るよしもなかった・・・
朝倉「う~ん(凶器凶器凶器・・・)」
to be continued
最終更新:2007年09月10日 23:07