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第六章 大人と乙女と青年のデイタイム・ランデブー 其の壱

「はは、ご苦労さんなキョン・・・気持ちよかったで」
ゆいさんに脇の下から肩で支えられて歩く俺を、黒井先生が覗き込むようにしながら声をかけてきた。
「こちらこそ・・・」
我ながら妙な受け答えの気がするが、頭がボーッとしてしまい、気の利いた言葉が出てこない。ま、
俺程度のヤツが言う「気の利いた言葉」なんてたかが知れているが。
「キョン、明日も夜中、付き合ってもらうで・・・」
「付き合ってくれないと、あの子たちに言いつけちゃうにょろ~」
明日もですか・・・ま、今日だってこんなことしておいて、いまさら聖人君子を気取る気はないですけど、
持つかな俺の身体。勃つかな俺の息子。出るかな俺の・・・
「若いってのはええもんや。大丈夫やろ。明日になればまたチンポビンビンやで!」
だから黒井先生、その、そういう言葉は・・・いや、もう突っ込みません。
「明日はねー、あの4人の中から1人、サプライズゲストを呼ぶから楽しみにしててね」
な・・・なんだってー! いったい誰を呼ぶつもりなんです。
こなた? かがみ? つかさ? 高良? だいたい連れて来られるんですか?
「ま~、それは当日のお楽しみ、や。段取りはウチとゆいさんに任せて、おまえはハーレムの王様に
なった気分で悠々と待っときい、ふふっ。ゲストに失礼のないよう、しっかり溜めとくんやで」
「今日も夜、宴会するけど、キョン君は夜中の1時40分くらいを目処に、座を外して大浴場の前で待ってて。
明日は女風呂の方が混浴になるから」
      • なんか明日も、大変なことになりそうだ。だが、いったんこの流れに乗っちまった以上、いまさら
引き返すことは出来ないし・・・正直、したくない。なんだかんだ言っても、俺も男の子です。スケベです。
谷口のヤツをバカに出来ないな・・・そんなことを考えているうち、いつの間にか部屋の前まで来てた。
「さ、それじゃ少しでも睡眠をとるかいね」
部屋に入ると、こなたたちは布団を跳ね除けるでもなく、ぐっすりと眠っている。規則正しい寝息が4つ、部屋の中に
響く。
「・・・おやすみな、キョン」
「おやすみ、キョン君」
      • おやすみなさい。



「・・・お~い、起きろよつかさ、もうすぐ朝ごはんだぞー」
ふぁ・・・あ・・・おはようお姉ちゃん。あ、こなちゃんにゆきちゃんにキョン君に先生たちも・・・
そか、私たち今、旅行に来ているんだっけ。
「おいつかさー、ボケるのはまだ早いヨ! しっかりしてよおばあちゃん」
そうかい、すまないねえ・・・じゃないよ、なんだよー、私まだおばあちゃんじゃないもん。
「おいおい、つかさ、こなた、朝っぱらから喧嘩すんなよ」
そういって眠そうに目をこするキョン君。ふあ、キョン君は昨日、あまりよく寝られなかったの?
「まあ・・・な・・・」
「キョンは女だらけの部屋で、興奮しすぎてあまりよく眠れんかったんやろー。ウブやなー」
「キョン、まさか寝てる間に、私にイタズラしなかっただろうなー」
「キョン君がそんなことするはずないでしょ、アホこなた! だいたいアンタのどこを触るのよ」
「このヤロー! 私よりちょっと胸と腹があるからっていい気になってヨー」
「胸はともかく腹ってのはなんだこなたっ! あんたあたしにケンカ売ってんのかゴルァ」
「あの・・・その・・・かがみさん、こなたさん・・・キョン君もいますから・・・その・・・」
ねえねえ、ゆきちゃんも言ってるでしょ。朝からケンカするのやめようよー、仲良くしようよー!
「気にすんなや柊、高良。これがこいつらのコミュニケーションや」
「コミュニケーションにしては、いささか殺伐としている気がしますけどねー。ま、年頃の女の子だから」
「つかさ、黒井先生たちの言うとおりだ。気にすんな。ケンカするほど仲が良いってな」
そうかな、それならいいんだけどね。2人ともキョン君が絡むと人が変わっちゃうからな・・・



これぞまさに、日本旅館の朝食ね。
真っ白いご飯、ワカメとネギのお味噌汁、厚焼き玉子、焼き海苔、切干大根、お漬物、アジの干物は
見事な肉厚で、しかも簡易コンロでわざわざ炙れるようになっている。
めいめい席について、箸を取る。少し眠そうなキョン君の顔が新鮮。一緒に旅行にでも来なければ
こんな表情見られないからね。じっくり観察させてもらおう。
そういえば、私ら、昨日何時ごろ寝たのかな。全然覚えてないや。つかさとみゆきが12時前にダウンしたのは
覚えているんだけどね。こなた、アンタ覚えてる?
「それが私も、いつ布団に入ったのか全然記憶ないんだよネ」
宵っ張りのアンタが珍しいわね。
「おまえら2人とも、2時ちょい前までウチらと話ししとったけど、途中でくてっと寝てもうたんだよな」
「俺はゆいさんと話していて気づかなかったけど」
      • ということは、最後まで起きてたのって、キョン君とゆいさんと黒井先生の3人?
「そうや。おまえらが揃ってくたばってもうたんで、ウチらキョンを肴に遊んでたわ」
「楽しかったですねー」
ちょちょっと! 黒井先生、ゆいさんっ、キョン君に何か変なことしてませんよねー、2人ともっ!
「ふふーん・・・変な事ってなんや柊。具体的に言うてみ、ホレ」
だから・・・その・・・あの・・・だってほら・・・男の子だし・・・旅行だし・・・
「ななこさーん、あんまりウブなかがみちゃんを苛めちゃダメですよ」
キョン君、本当に大丈夫だった? この2人タチが悪いから。
「2人に良いようにからかわれてただけだ、なんてこたない」
      • そう、それならいいんだけどネ。ああ、昨日は寝ちゃって損しちゃったな。今日は頑張るぞ。
「私、夜弱いからなぁ。ショボーン」
「私も夜はダメですね。昨日も頑張った方です」
まあ、昨日のことはもういいでしょ。それより今日は丸1日あるんだから、めいっぱい楽しみましょ!



はは、若いなこいつらは。いろんな意味でな。
自分らがまんまと出し抜かれたことに気づかんやろ。ウチへの悪口のお仕置きや、悪う思わんといてや。
      • で、おまえら、今日1日どう過ごすんや?
「いちおう、この周辺のスポットは一通り調べてあるので、一通り回ってみるつもりです」
さすがに用意がいいな高良。伊達にみwikiなんて言われてへんだけのことはある。
「先生たちはどうします? 一緒に来ますかー」
ま、せっかく旅行に来たんやし、おまえらも終始、お目付けつきじゃ詰まらんやろ。ウチとゆいさんは
日中はちいっと別んとこに行っとるから、日の高いうちは、若いモン同士楽しくやりや。
「さすがななこ先生、話が分かるネ」
なんや泉。ウチはいつだって、話の分かる女のつもりやで。じゃあなきゃ、この旅行の引率役買わへんわ。
そんな話をしながら、朝飯を食い終わった。泉たち女4人は、出かける前に一風呂と、連れ立って大浴場へと
行きよった。キョンはというと、メシを食って少し眠気が蘇ってきたのか、ゴロンと横になっている。
そんなキョンのところへ行って、上体をちょいと持ち上げると、頭の下に膝を入れてやる。サービスやで。
「あ・・・すみません先生」
いやいや、ちょいとしたサービスや。あと、顔をこっちに向けや。そうすればちょうど鼻の先が・・・
「あああの、先生、それだと太腿がモロに・・・」
ふふ、見せてんのよ、や。いまさら恥ずかしがることあらへんやろ。ヤツらが戻ってくるまで、しばしのお楽しみや。
「あー、ズルいですよななこさん・・・それじゃ私は抱き枕になってあげるねー」
「あの、ゆいさん。それだと俺が抱き枕です。あと、背中に胸・・・」
「・・・当ててんのよー、キョン君」
今日は日中、おまえはあいつらのモンやからな。今のうちにすこし、充電させてもらうわ。イヤか?
「・・・イヤじゃないです」
そうか、キョン、お前も素直になったみたいでなによりや。少しはハーレムの王らしくなったんやないか?



さあ、今日も昨日に引き続いて、あの子たちを潰さないとね。それも今回は、つかさちゃんだけは
残さないといけないときてる。いやはや、お楽しみのためとはいえ、下工作が大変だー!
      • お、4人が戻ってきたよ。つかさちゃんはななこさんが、引き離して計画に引き込むって言ってたけど、
あのやり方でつかさちゃんが納得するかな。ま、ななこさんは、こういうことに関しては異常に勘のいい人だから、
説得できる自信があるのでしょう。私は、私の仕事をするだけです。
とりあえず、ななこさんがつかさちゃんを引き離したのを確認して、あの3人に下工作をしなきゃね。
      • これでいいのよね。
「ちょっとおトイレ・・・って、お部屋のトイレ、誰か入ってるの?」
「あ・・・みゆきが使ってるわよ」
「じゃ、私は外の使うよ」
つかさちゃんがタイミングよく外に出ていった。それを見たななこさん、「あ、そならウチも行くわ」
とつかさちゃんに付いていった。すれ違いざま、私に耳打ち。
「柊は任しとき」
はい、お任せします。ななこ先生。
つかさちゃんとななこさんが、1階に下りていったのを確認すると、私はこなたとかがみちゃんに声をかけました。
「ちょっといいかな・・・」



「柊、ちょっとええか。お前に話がある」
黒井先生と一緒に1階のおトイレに向かう廊下で、おもむろに先生が話しかけてきました。口調から
いって、いつもの軽口じゃないみたい。何かな、進路のお話か何かですか?
「いや、昨日の夜の話や。お前、昨日ウチらの中で一番最初に潰れたやろ」
そうですね、えへへ、私どうも夜が弱くて・・・こういう時くらい、もっと遅くまでみんなと騒ぎたかったですけど。
次に先生の口から発せられた言葉を聞いて、私は大大ショックを受けてしまいました!
「それでな・・・お前が寝た後、ウチら5人異様に盛り上がってもうてな・・・それで・・・夜中の2時過ぎにみんなで
大浴場に風呂入りに行ったんや。でな・・・ウチ、おまえらには教育的配慮からわざと言ってなかったんやけど、ここの
旅館、午前2時から6時まで、男湯か女湯の片方がメンテナンスで閉められて、その間は混浴になるんよ」
え・・・それで・・・みんなで入ったって事は・・・キョン君も一緒で・・・お姉ちゃんたちも裸で・・・先生たちも?
「そらそうや。ここには混浴用の水着なんてアイテムはあらへんし、自分、服着たまま風呂入らんやろ」
で、でもさっき、ゆきちゃんやこなちゃんやお姉ちゃんもみんな、知らない間に眠ってたって言ってたんじゃ・・・
「あれはカモフラージュや。お前が万が一ハブられたと悟ったらいかんと、口裏合わせただけや」
嘘・・・お姉ちゃんたちキョン君と・・・なんで起こしてくれなかったんですかっ!
「いや、お前めっちゃ良う寝とったからな。ウチやゆいさんは、おまえだけハブるんは可哀想や思って、無理にでも起こそうと
思ったんやけど、お前の姉ちゃんや泉のヤツがな、無理に起こす必要はない言うてな・・・」
お姉ちゃん・・・こなちゃん・・・酷いよ。私だってそうと知ってたら、絶対に起きたのに~!
「やっぱ無理にでも起こした方が良かったやろか・・・堪忍な、柊」
先生が謝らなくていいです。お姉ちゃんとこなちゃん・・・ひどいです・・・私だってキョン君のこと好きなの知ってるくせにっ!
「・・・腹立つ気持ちはよう分かる。けど、こんなことで仲違いしたらアカンよ、それにな、一概にあの2人を責められんで・・・」
え? 思わず怒りからキョトンとしてしまった私に、先生が語りかけます。
「おまえら4人は、友人であると共に恋のライバル同士。相手より先んじようとするのは当たり前のことや。それに今回は別にあの
3人はお前を陥れたわけやない。おまえが勝手に脱落して、起きてたあいつらがチャンスを掴んだ。それだけや」
      • そうだよね、先生の言うとおりだ。別にこなちゃんたちは、私を出し抜いたわけじゃない。頑張って起きていれば私だって、
参加できたんだ。恨むなんて筋違いだよね、でも・・・



我ながら恐るべき手腕やな。ま、柊があんまり人を疑うことを知らんというのを差っ引いても、計略と
してはよう出来すぎてる。ウチ、教師より詐欺師か、特殊工作員の方が向いているんとちゃうかな?
自画自賛はさておき、これで下準備はオッケーや、本題はここからやで。しっかり説得せいやななこ。
      • 本当はこのこと、お前には黙っとる約束やったんやけど、このままじゃあんまりやと思ってな・・・やから、くれぐれも、
あの3人やゆいさんを、このことで問い詰めたり、仲違いしたりせんといてや。頼むで柊。
「いえ・・・黒井先生、教えてくれてありがとうございました。ちょっとショックですけど・・・私・・・大丈夫です」
健気やな。ウチに怒りぶつけてもええねんで。
でな、これを教えた以上、おまえだけほっとく言うのも気が咎める。実はキョンとももう話をしたんやけれど、今日の夜・・・
いや、正確には明日の夜になるんかな。キョンとお前、2人で混浴の風呂入りい。
「え・・・あ・・・・その・・・いいいいんですかっ!」
ええよ。ただしウチとゆいさんが監視につくで。キョンのことやから大丈夫やと思うけど、あいつかて一応男やからな。
何かあったら直ぐ動けるようにしとかんと・・・ああ、脱衣場で待機しとるよ。中ではきちんと2人っきりにしたるから安心せいや。
「あの・・・嬉しいですけど、それだとお姉ちゃんたちが黙っているかどうか・・・」
大丈夫や。お前がキョンとの混浴を望むなら、今日、あの3人は混浴の時間まで持たずにバタンキューや。
「それってどういうことですか?」
どういうこともない。眠ってもらうんよ。実はな・・・ゴニョゴニョ。
「え・・・睡眠薬? ちょっと先生、それって大丈夫なんですか?」
ゆいさんがいつも使っとるヤツで、そう強くないから平気やで。
「ゆいさんって不眠症なんですか? そういう風には見えないですけど」
ウチも意外やと思ったんやけど、警察官って勤務が不規則やろ。けっこう不眠症が多いみたいなんや。眠気引きずると職務に
支障が出るやろうし、結構多いみたいなんやて(ホントかどうかは知らん、ウチの出まかせや)
さて、どうする。この条件飲むか飲まんか、おまえ次第やで。ま、二度とないチャンスやと思うけどな。
あの3人は昨日の混浴で、キョンとの距離が随分縮んだように見えたで。現段階ではあの3人が4~5歩リードやな。この差を埋める
のは楽やないで。
「・・・分かりました。お願いします。私もチャンスが欲しいです」
落ちたっ!



お、つかさと黒井先生も戻ってきた。それにしても長いトイレでしたねえ2人とも。
「いや、どうも便秘気味で・・・もがっ」
「ななこさん、男の子もいるんだから下系の話はやめましょうよ」
ゆいさんが素早く黒井先生の口を塞いだ。ホントにこの人は・・・そんなんだから彼氏が出来ないんですよ。
さて、じゃそろそろ今日の行動はじめましょ。
「あ~、ゆいさんとウチは、車借りて少し遠くに出とるから、もし何かあったら携帯に連絡せい。ウチらの番号はみんな知っとるな。
あと・・・ウチらがいないから言うて、羽目外しすぎるなよ。人気のないとこに行って外でやったり・・・むぐぐ」
「ななこさ~ん、いい加減に学習しましょうよ。教育者でしょ・・・んじゃ、キミたち、楽しい1日を過ごしたまへー。私らは
5時ごろには旅館に戻ってるから、遅くとも6時には帰ってくるよーに!」
      • ということだそうです。じゃ、着替えましょ。キョンくーん、悪いけどちょっと外出ててくれる?
「なんや、別に見られても減るもんじゃなし、少しくらいサービスしたれや。女の着替え見るのが好きな男はけっこう多いで」
イヤです。私たちは先生と違って、露出趣味はありません。
「ななこ先生、かがみんの三段腹をキョンに晒せというのはあまりに気の毒だヨ、勘弁してあげて」
だれが三段腹だ、この幼児体型のえぐれ胸!
「あ・・・どうせ俺たち以外に客はいないみたいですし、俺は外で着替えますから、どうぞごゆっくり」
私たちのやり取りに呆れたのか、キョン君はカバンの中から服を取り出すと、そのまま外へ出て行っちゃいました。 



「まあ、あいつらはええとしても、いい年の女2人が、温泉街を一日うろついても空しいだけやからな」
ハンドルを握りながら笑うななこさん。確かにその通りですよね(次回は旦那と一緒に来よう)
それにお天道様が空にある間くらいは、あの子達にキョン君を独占させてあげたいですからねぇ。
「あいつらは昼のヒロイン、うちらは夜のヒロイン、棲み分ければ平和裡に共存出来るちゅうもんや」
そうですね。あの子たちにはせいぜい、デイタイム・ランデブーを楽しんで貰いましょう。
「ランデブーなんて色っぽいもんやないやろ。あいつらのはせいぜい、中学生日記がええとこや、あはは」
まあ、確かにあの子たちは、今時の高校生にしてはかなり奥手ですからね。まあ、それが良いところでもあるんでしょうけど。
「そらそうや。じゃなきゃ、危なくてこんなところになんぞ連れてこられんわ」
ところで、つかさちゃんにはちゃんとお話しましたか、ななこさんのことだからぬかりはないと思いますけど。
「きっちり話付いたで。自分がまんまと出し抜かれたと思って、動揺しとったわ、ウブやなあ」
あの・・・大丈夫ですよね。こんなことで、こなたたちと仲違いしたりしたらまずいですから。
「それも釘刺しといたわ。おまえたちは恋のライバル、相手に先んじたいと思うのは当たり前や、あの3人を恨むのは筋違い。
早うくたばった自分を責めろってなあ」
      • ななこさん、ホントにこういうことになると、水も漏らさぬ知恵が出るんですね(この人、敵に回すと怖そうだな)
「さ、ウチらも楽しもうや。去年はどうも、あいつらのお守りでアンタとゆっくり話も出来んかったけど、これを機に友好を
深めようやないか。この年齢になると、新しい友達ちゅうのもなかなか出来へんからな」
      • そうですね、私たちも女2人でデイタイム・ランデブーと行きましょうか!
「・・・あんな、ゆいさん。ウチはそっちのケはあらへんで」



それじゃ、午前中はみんなで、調べたスポットをざっと見て回るとして、午後はどうしようか?
「はいはーい、私から1つ提案があるヨ」
何かなこなた。言っとくけど、くだらない提案だったら即却下よ。明日はもう帰るんだから、今日1日、有意義に使わなきゃね。
「まさに有意義に午後の時間を使うための提案だヨ。せっかく今回はキョンがいるんだし、温泉街でデートなどしたくないかい?」
ほほう、アンタにしちゃまともな案じゃない。
「お昼ご飯を食べ終わるのが1時くらいとして、そうだネ・・・1時から3時まで、3時から5時まで、2時間ずつ、抽選で2名様、
キョン君独り占め~ってのはどうだい、皆の衆!」
「昼食後のくじ引きってのに、なにやら恐るべきデジャブを感じるのだが・・・もしや前世の記憶が?」
「・・・キョン、キミはいったい何を言っているんダ!」
面白そうね。こんな旅行にぴったりの企画じゃない。私はいいわよ。つかさとみゆきはどう?
「私たちのうち、2人しかキョン君とデートできないのはなあ・・・私くじ運ないし・・・」
「持ち時間を1時間にして、全員と・・・というのはどうですか?」
「ダメダメ。特典ってのは当たりと外れが厳然と分かれるところに意義があるのだヨ。グッズだって・・・」
アンタ、こないだのコンプの全員プレゼント、すっごく喜んでただろ・・・ま、それは良いんだけど、私もこの件はこなたに賛成よ。
「困ったネ。2対2になっちゃったよ・・・ここは一つ、キョンにビシッと決めて貰おうかね」
こなたのその一言で、私たち4人の視線はキョン君に集まる。議論の行方を黙って聞いていたキョン君、私たちの視線で我に
返ったのか、腕を組んで思案顔。さて、キョン君の決断は如何に!



4人の目が、期待を込めて俺に注がれている。俺の決断で、午後の行動が決まるわけだ。
以前の俺なら、文句なく4人全員と1時間ずつを選んだだろう。平等にするのが波風起こさないコツだからな。
おいそこ、事なかれ主義のへタレだと笑ってくれるな。自分でも自覚してるんだからよ。あまり苛めるな。
さて、これは思案のしどころだ。4人全員とデートしたいのもやまやまだが、1時間という時間は短い気がする。行動範囲も限られるし、
タイムラグを考えると、1人との時間が長い方が何かと融通が利く。それに、ここはこなたの言うように、ゲーム感覚がある方が
盛り上がる気がする。外れた2人には、後で個人的に何かフォローすれば・・・良いか。よしっ!
「俺は・・・こなたの案を推す。つかさ、高良・・・それでいいか?」
「キョン君がそれでいいなら、私も構わないよ。よしっ・・・お昼のくじ引き、絶対に当てるぞ!」
「・・・まあ、宝くじみたいで、それも面白いかもしれませんね。いいですよ、私も頑張ります!」
      • 良かった。2人とも納得してくれたみたいだ。
正直、どっちを選んでも俺にとっては役得、利害関係などいっさい無いわけで、心配なのはこれで4人の仲が微妙にならないか、だけ
なのだが、こいつらの友情は深い。俺が心配する必要もないだろう。

さあ、それじゃ、今日1日、存分に楽しみますか!


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最終更新:2007年08月08日 23:37
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