高良みゆきの通院Ⅱ 3

最後の診察の日

流石に最後の最後まで遅刻するわけに行かず
俺はなんと待ち合わせ時刻の20分も前に到着した
みゆきさんは・・・まだ来ていない よしっ!!


今日、キョンさんに私の気持ちを伝えなければ
今のこの関係が終わってしまうかもしれない
私は一大決心をして、待ち合わせ場所に向かっています
もう診察の緊張なんて私の中にはありません
それよりも、もっと緊張することを
診察が終わって、私の部屋で実行しなければならないんですから

みゆき「キョンさん、すみません今度は私が遅れてしまいました」
キョン「いえいえ、そんなに待ってないですし、
     いつも待たせてばかりでしたから最後の最後で先にこれてよかったです」
みゆき「最後か・・・最後なんですね」
キョン「そうですよ、やっとイヤな歯医者からも解放されますね」
みゆき「でも、イヤじゃないことからも、解放されちゃうんですよね」
キョン「え?」
みゆき「なんでもありません」

流石にもう慣れたんだろう、歯科医院へ向かう道では
もう最初の頃のように、口数が減るという事にはならなかった
でも、会話をしていても、どこか
心ここにあらず・・・な感じがしないでもない

最後の診察を終え、俺達はみゆきさんの家へと向かう
それなのに、あの時のように口数が減るというのはどーいうことだ?
何に緊張する必要があるんだ?

キョン「おじゃましまーっす」
ゆかり「キョンキョーン、いらっしゃ~い」
キョン「こんにちは、ゆかりさん」
ゆかり「あら?初めて名前で呼んでくださったわね☆」
キョン「え?そうでしたっけ?」
ゆかり「そうよ、うれしいわぁ☆ゆっくりしてらしてね」

初めて名前で呼んだのか・・・考えた事も無かった、が
ゆかりさんはいつから俺のことをキョン君からキョンキョンと
呼ぶようになったんだ?・・・まぁいっか

みゆき「どうぞ、紅茶です」
キョン「あ、どうも」
ズズズー
キョン「やっぱりみゆきさんの入れてくれた紅茶はおいしいですね」
みゆき「ありがとう」
キョン「でも、もう飲めなくなるのか・・・」
みゆき「え?」
キョン「だって、治療終わっちゃったし」

みゆき「・・・どうして?」
キョン「??」
みゆき「どうして、そんなこと言うんですか?」
キョン「え・・・い、いや」
みゆき「キョンさんは、歯医者さんがあるから、私とこうして紅茶を飲んでいたんですか?
     歯医者さんが無かったら、私となんか居たくないんですか?」
キョン「そういうわけじゃ・・・」
みゆき「私といるのはイヤなんですか?」
キョン「誤解されるようなこと言ってすいません そういう意味で言ったんじゃないんです・・・」

私、つい興奮しちゃってあんなこと言っちゃったんです
きちんと気持ちを伝えないといけないのに・・・

上手くいえないかもしれないけど、
口で伝わらなくても、心が通じれば、わかってもらえるはずですよね

すぅー、はー
すぅー・・・

大きく深呼吸をし、
みゆきさんはゆっくりとした口調で話し始めた

みゆき「キョンさん」
キョン「・・・はい」

私ホントに歯医者さんへ行くのが嫌いでした
最初、キョンさんが付き添ってくれた日
あの日、本当はもう帰っちゃおうかと思ったんです
でも、キョンさんのおかげで安心していけるようになった
もちろん診察はイヤだったのですが、その後私の部屋に行って
キョンさんといろんな話をするのがとても楽しかったんです

でも、それは・・・歯医者さんに付き添ってくれたついで・・・
だから私はそんな理由は抜きでキョンさんを私の部屋へ招待できるようになりたい
診察前の緊張をほぐす為じゃなく、キョンさんに抱きしめてもらいたいんです


キョンさん、私、診察を終えたときの身体の火照りは
診察時の緊張のせいだと思っていました
でも、違うんです・・・あれはキョンさんのせいなんです
キョンさんのせいで、私の心はあんなに熱くなっていたんです

だって・・・私は・・・


キョンさんのことが、好きだから・・・

キョン「・・・みゆきさん」
みゆき「は、はい・・・」
キョン「貴方の言ったとおり、俺はとんだ鈍感さんですね」
みゆき「・・・」
キョン「みゆきさんの気持ちに、今までまったく気が付かなかった」
みゆき「でも、もうわかって頂けましたよね?」
キョン「えぇ、よーくわかりました」
みゆき「それでは、キョンさんの気持ちを・・教えてくださいますか?」



キョン「すいません!待ちました?」
みゆき「いえ、ちょうど今来たところです」
キョン「よかった・・・それじゃ行きますか」
みゆき「はい」
キョン「どこに、行きたいですか」
みゆき「どこでも構いませんよ、歯医者さん以外なら」
っというよりも・・・
どこでも構いません キョンさんと一緒なら

俺達の手は、しっかりと握られている・・・
みゆきさんが望むなら、いつでも抱きしめてあげられる・・・
いつでもみゆきさんと、彼女の部屋に行き
彼女の淹れてくれた紅茶を飲みながら
二人、いろいろな話をすることが出来る・・・

もう診察なんて・・・行かないのに

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年08月05日 17:59
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。