「で、つかさ、お前の行きたいところってどこだ」
そんなキョン君を引っ張って連れてきたのは、山の上の湖まで続くハイキングコース。
片道30分くらいだから、湖に着いたら1時間くらいは遊べる。ボートもあるんだって。
「ハイキングコースか・・・せっかく山に来たんだから、そういうのも悪くないよな。でもつかさ、
おまえ体力持つのか?」
大丈夫だよー! キョン君、私のことひ弱な女の子だと思ってるでしょー!
それに・・・温泉街をブラブラしていると、こなちゃんたちと鉢合わせになっちゃう気がするからね。
この2時間は、キョン君は私だけのモノなのです。私が1人で独占するのです。まあ、夜は夜で・・・
「そうか、それじゃそろそろいくか・・・あっ」
お約束でしょ。手ぐらいつないでいいよね。その・・・せっかくのデート・・・なんだし・・・
「なんかつかさの手・・・小さくてすべすべでいいな」
キョン君の手もおっきくて暖かい。男の子の手っていいなあ、えへへ・・・
いやに積極的なつかさに、あっさりと手を握られてしまった俺。まあ、高・・・じゃなくてみゆきとも、
腕を組んで歩いたから、このくらいのスキンシップは許容範囲だろう。だがよく考えたら、こいつとも
3年友人付き合いしてきたが、手を握ったのって今日がはじめてじゃなかろうか。
黒井先生の言うように、つかさも俺に好意を寄せているのだとしたら、3年経ってようやくお手手繋いで
っていうのは、いかにも相手を異性だと意識していない、女だと認めていないという風に取れるようで、
何かちょっと申し訳ない気分になる。そうだな、こういうときくらい、きちんと相手を女の子として扱って
あげなくちゃな。俺はつかさを握る手に少し、力を込めてみた。
「なんかこういうのって、いいね」
ニコニコとご機嫌のつかさ。そして何か思いついたかのように、俺の方を向くと一言。
「ねぇキョン君、せっかくだからさ・・・その・・・恋人つなぎ、してみたいな」
- 恋人つなぎっていうのはあの・・・指と指をしっかり絡めるあのつなぎ方ですか。そのくらいは
朴念仁の俺でも知っている。普段なら間違いなく躊躇するところだが、今は違う。仮とはいえデートだからな。
こんなことが、今までのスルーぶりの償いになるのかは分からんが、それくらいならしてやるぜ。ただしこなたたちが
見ていない今だけだからな。
- それにしてもこそばゆいな、このつなぎ方は。恋人つなぎっていう名称の意味するところが分かる気がするぜ。
表向きは一応、平静を装っているけど、胸はドキドキです。よく思い切って言えたな私。
それにキョン君もなんだか優しい。いつもだと嫌がりそうなのに、今日は私のリクエストをみんな聞いてくれる。
なんか勇気が出せそうだ。今夜は・・・一緒に混浴のお風呂にも入るわけだし、ここで親密度を一気にアップさせて、
混浴の時には・・・えへへ、ダメだよキョン君、私たちまだ学生でしょ、もうちょっと我慢してよ・・・なんてね。
- いけないいけない。ちょっとあっちの世界にトリップしかけちゃった。夜のことはさておいて、今の時間を
存分に楽しまなくちゃね。
「それにしても、心持ち森の中ってのは涼しい気がするな」
そうだね、たまに風が吹くし、木が陽射しを遮ってくれてるからね。あのね、もうちょっといくと渓流沿いの道に出るよ。
「山ってのはいいな。なんか空気に触れているだけで疲れが抜けそうだ」
キョン君、昨日あんまり良く眠れなかったんだっけ。大丈夫だったのかな、ハイキングになんか誘って・・・
「楽しいことが多いと大して疲れは感じないよ。昨日も今日もな」
昨晩は、黒井先生やゆいさんに絡まれて大変だったんだってね。どんなことされたのかな?
「いや・・・ほら、つかさたち4人の中で彼女にするなら誰が良いのかとか、誰とどこまで・・・進んでいるのかとか
そんな類の話だよ、だいたい予想つくだろ(ホントのことなんぞ言えやしねぇ・・・)」
ふ~ん、で、キョン君は私たち4人の中では誰を彼女にしたいのかな~、かな~?
ゆきちゃんみたいに優しくて、プロポーションの良い子がいいの? それともお姉ちゃんみたいなタイプ? こなちゃんとも
すごく仲良いよね? 私みたいな子は好きじゃない?
- キョン君、私の矢継ぎ早の質問にちょっと困ってます。いいよキョン君、今答えなくても、ただ、高校を卒業するまでに
ちゃんと答え、聞かせてね。
やっぱりつかさも女の子なんだな。俺が・・・どんなタイプが好きなのかとか、4人の中でなら誰がいいのかとか、興味あるんだな。
俺が知らないだけで、こいつら4人だけの時には、このテの話題はちょくちょく出ているのだろうか。
まあ、女の子同士の秘密を暴くような野暮なことをする気はないが、これはますます、最後まで曖昧に誤魔化すということは出来んな。
そんなことを考えながら、つかさと会話を交わし、ハイキングコースを登っていくと、水の音が聞こえてきた。どうやら渓流沿いの
道というヤツに出たみたいだ。
「うわ~、きれいな水だねぇ・・・キョン君! そこ、そこにちっちゃいお魚さんがいるよ!」
つかさの指差す先を見てみると、これは・・・川魚の子供みたいだ。名前までは分からんが。
「可愛いね~、水冷たいね~」
ホントにつかさは無邪気というか、見ていて和むヤツだよな。高・・・みゆきとは似ているようで、何か違う。
俺も流れに手を入れてみる。うわっ、こりゃ思っている以上に冷たいな。雪解け水でも流れてるのかね。
しばしつかさと2人、渓流の側で和んでいたが、時間のこともある。そろそろ行こうか、つかさ。
「うん、キョン君」
そして当然のように手を差し出してくる。俺もためらわずに、そっと手のひらを合わせると指を絡めると、歩き出した。
少しはこういうのも様になってきたかな。つかさのトレードマーク、黄色のリボンが揺れるのを見ながら、思わず頬が緩む。
こいつらと付き合ってきて、こういう楽しみ方をいままで共有してこなかったのは、損だったのかもしれないな。
うわ~、ここにきて緊急事態発生だよ。その・・・おトイレに行きたくなっちゃった。
でもここのハイキングコースにはおトイレはない。山頂の湖まで我慢すれば・・・ううん、ちょっと我慢出来ないかも。
キョン君の前でお漏らしするのは論外だけど、森の中でするのもなぁ・・・仕方ないんだけど、キョン君になんて言って良いのか恥ずかしいよ。
漏れそうな波と、一時的に収まる波が交互に押し寄せてくる。女の子は男の子に比べて尿道が短いから、おしっことか我慢出来る時間は
短いんだよね。生理的欲求と心理的羞恥心の狭間で揺れる私・・・
「つかさ、その、どこか具合でも悪くなったのか?」
言葉少なになって、落ち着きがなくなってきているのがキョン君にも分かったんだね。私もうダメだよ。参った。
あのねキョン君、私、おトイレに行きたいんだけど、その、ここってそういう設備はなくて・・・
「山頂までもたないか?」
ごめん、ちょっと無理そう。もうかなりヤバいんだよ。
「俺の口から言うのもアレだけど、その辺で済ませるしかないな。緊急事態だし仕方ないだろ」
そうだね。キョン君、少し外れたところにいくから、付いてきて、人が来ないかどうか見張ってくれる。
「分かった。見張っているから安心して済ませてくれ」
もう、恥ずかしいとか何だとか考える余裕もなく、私とキョン君は途を外れると、側の草むらの方に向かいました。
キョン君、ちょっとお願いするね。あと・・・覗いちゃダメだよ。
どうせ今夜の混浴で見られるんだろうけど、流石にこんな姿をキョン君に見せる趣味は私にはない。
「おいつかさ、俺は変態じゃねえぞ」
そんなキョン君の異議申し立てを背に、下着を脱ぐのももどかしく、私は座り込むと、ようやくおし・・・じゃなくて、
生理的欲求を開放し始めました。そのときです・・・
私の直ぐ目の前を・・・しゅるっと・・・蛇が通り過ぎ・・・ました・・・蛇・・・へび?
一瞬固まった後、私はそのままの姿勢で、無意識のうちに声を限りに叫んでいました。
「キャああああ~・・・キョン君、キョンく~ん、助けて~」
何かつかさの様子が変なので聞いてみたら、トイレに行きたいとのこと。そんなら遠慮せずにそう言ってくれればいいのに・・・ってのは、
しょせん男の論理だな。そこいらで手軽に済ませられる男と違って、女の子は・・・その・・・あの、構造上いろいろと、外でってのは
葛藤があるだろうからな。
まして、男の前でそれを言うなんてのは、つかさみたいなタイプには羞恥プレイに近いだろう。こういうときは・・・本来、男の方が
気を使って注意深く観察するべきなのか? 俺みたいな童貞・・・では無くなったけど(昨日)、彼女居ない歴イコール年齢の男にそういう
気遣いやスキルを求められてもねぇ。そんな埒もないことを考えていると、突然・・・
「キャああああ~・・・キョン君、キョンく~ん、助けて~」
その声を聞いた途端、俺はつかさのいる草むらの陰へと走り出していた。そのときの俺の脳裏には、つかさには悪いが、草むらに隠れていた
男たちが、用を足しているつかさに欲情して襲い掛かり、下着半脱ぎのつかさが泣きながら抵抗しているという姿だった。
なんとしてでも、俺が守らなければ・・・そう思って草むらに足を踏み入れた俺が見たものは・・・
俺の真正面で、下着を足首まで下ろして、尻餅をついて思いっきり脚を広げて泣きべそをかいているつかさの姿だった。
「キョンく~ん、蛇が・・・蛇が・・・」
つかさ。俺の股間の蛇も暴れ出しそうです。その・・・そういや昨日聞いた気もするが、つかさって下の毛が薄いってのはどうやら
ホントだったみたいだ。だからな、そんなに足を広げると、その、秘境のクレバスがばっちりと見えてしまうのですよ。
- というか、思いっきり見てしまいました。お父さん、お母さん、息子は思いがけず、こんなところでまた1つ大人の階段を上がりましたばい。
とりあえず・・・その・・・なんだ・・・すまんっ!
とっさにそう言って、後ろを振り向くことしか出来なかった。すまんつかさ、わざとじゃないぞ。不可抗力だっ!
キョン君の顔を見た途端、安心してへたりこんじゃいました。良かった・・・近くに居てもらって。
泣きべそをかきながらキョン君の顔を見上げると、キョン君は真っ赤になって固まっています・・・どうしたんだろ?
「とりあえず・・・その・・・なんだ・・・すまんっ!」
そういって私に背を向けたキョン君を見た瞬間、私はキョン君が顔を赤くした理由を悟りました。私の格好・・・キョン君の真正面で
足を開いて尻餅ついて・・・見られちゃった・・・思いっきり・・・しかもおしっこしてる時に・・・
そう自覚した途端、ぶわあっと顔が熱くなって、心臓がドキドキし始めました。
とりあえず後の始末をすると、下着をつけて、キョン君におそるおそる声をかけます。
もう、いいよ、キョン君。いきなりおっきな声出して呼んだりしてゴメン。びっくりしたでしょ。
「いや、なんだその・・・俺も、ごめん。もうちょっと考えれば良かったかな・・・」
ものすごく気まずそうなキョン君。そりゃそうだよね。私が大きな悲鳴上げたから急いで飛んで来て見れば・・・だもんね。恥ずかしい
けれど、キョン君を責める気はないよ。別にキョン君は覗きに来たわけじゃないからね。
責める気はないんだけど・・・やっばり、一応聞いておかないとね。キョン君・・・あの・・・見たでしょ?
「・・・すまんっつかさ! いや・・・そのな・・・見たって言ってもそうマジマジとは・・・」
それでも、見たでしょ、見えたでしょ? キョン君?
「すみません、見ちゃいました、見えました」
その・・・謝らなくていいよ。私が悪いんだからさ、その・・・変なもの見せちゃって、ごめんね。
「いや、変なものも何も、つかさのはきれいだから・・・いや何でもない。とにかくスマン」
なんか今、動転していたのかキョン君、凄い事言ってたような気がするけど、どう反応していいか分からないのでノーコメント。
ても今のやり取りで、だいぶ気まずさは解消された気がする。意地悪だけどもう一押し・・・
こんなところ見られたらお嫁にいけないよ・・・キョン君、もし私がお嫁にいけなくなったら、貰ってくれますか?
なんてね。
つかさのその言葉・・・どこかでとある人から聞いたような気がするが、気のせいだろうか。
まあ、このシチュエーションでこんな言葉が、あのつかさの口から出てくるってことは、そんなに深刻な事態には至らずに
済みそうだな。せっかくのデート、こんなことで気まずい思いをするのは何だし、それはつかさも同じだろう。
ここはつかさに乗って、まるーくゆるーく収めた方が良さそうだ。こらそこ、事なかれ主義だの日和見だの言わない。俺も恥ずかしいんだ。
「分かった。もしこれが原因で嫁の貰い手がなくなったら、俺のところへ来てくれ」
- はて、俺ってこのテのことをさらっと言うようなヤツだったのか? 少し嫌悪感を感じないことも無いが、つかさの大事なものを
見ちまった代償、この程度の恥ずかしさなどモノの数ではない。
「ふーん、今の言葉確かに聞いたよ。当てにしてるよキョン君」
そういってニコッと笑ってくれた。それでいい。気まずい雰囲気を払拭できるならそれでいいんだ・・・
それじゃ行こうか・・・つかさ。そういって手を差し出す。時間が勿体無いからな。
一応この場は収まったとは言えど、ああいうハプニングの後、話の糸口をすぐに見つけられるほど、俺もつかさもスキルは高くない。
気まずくは無いが、沈黙がしばらく俺たちの間を支配する。これは仕方が無いことだろう。
「あ~、キョン君、湖、見えてきたよ。着いたみたい」
そんなことを考えながら歩いていたら、目的の地にたどり着いたようだ。そんなに長く考え込んでいた気はないのだが。
2人でソフトクリームをぱくついたり、水鳥に餌をやったり、湖でボートを漕いだりしているうちに、すっかり俺もつかさも元のペースに
戻ってはしゃいでいた。楽しく騒いでいると、あっという間に時間は過ぎるものだ。
おーいつかさよ、もうそろそろ4時半になるぞ。そろそろ戻った方が良くないか。
「えー、もうそんな時間になっちゃったんだ」
俺も同感だ。だけど楽しかったな。こうして2人だけで遊ぶのってはじめてだもんな。
さ、戻ろうぜ。そういって差し出した手を、つかさがしっかりと握ってくる。
下り道を、行きよりは少し足早に、しっかり手を繋いで体もくっつけながら並んで歩く。
途中でつかさが、繋いだ手をすっと離すと、腕を組んでくる。みゆきほどの感触はないものの、それでも僅かな膨らみの存在が、
肘の辺りに伝わってくる。いや、こういうのも悪くないかもしれん。
「おーい、つかさー、キョンー」
集合場所にはすでにこなた、かがみ、みゆきの3人が待っていた。その声を聞いた途端、つかさはぱっと組んでいた腕を放したのだが・・・
「おんやー、仲良く腕なんか組んで、すっかりラブラブだネ♪」
とこなたに茶化された。その横で、かがみもニヤニヤと笑っている。
「どちらまで行かれてたんですか?」
山の上の湖まで言ってきたぞ。ハイキングがてら、ボート漕いで来た。
「湖にボートですか、ふふ、恋人同士みたいでいいですね」
「つかさっ、巡回ルートからハイキングコースを外したのは、これを見込んでのことかっ!」
「違うよお姉ちゃん。そもそも、今回のこれって、こなちゃんの提案で即興で決めたことでしょ?」
「かがみんは、自分がおデートに漏れたからそんな邪推をするんですヨ。女ってのは怖いね」
「アンタも女だろうが!」
やれやれ、2人っきりってのもいいが、やっばりこいつらは4人全員揃った方が味があっていいな。
私たちが湖に行っている間、こなちゃんたちは何してたの?
「みゆきさんを散々問い詰めた後、3人でブラブラそこいらを散策してたヨ」
「・・・ここの温泉饅頭なかなかいけるわよ。お土産に買って帰りましょ、つかさ」
「ご帰宅後の体重計が楽しみですなぁ、かがみん?」
「・・・・・・」
それにしても今日、楽しかったな。思わぬハプニングもあったけどね。男の人に見られちゃったよ。
まあ、相手がキョン君なら・・・その・・・そんなにイヤってわけじゃないけど・・・やっぱり・・・ね・・・
でも見方を変えれば、今日の夜の混浴タイムの複線が出来たとも言えるね。一回見られちゃえば、その・・・
それでもやっばり恥ずかしいか。
そんなこんなしているうちに、宿に到着しました。時間は5時半。黒井先生たちは帰ってるかな?
お昼の戦いを終えてここに来て見ると、心はすでに、夜のイベントへと飛んでいます。
嬉しいような、逃げ出したいような、胸が締め付けられるような、なんとも言えない感情・・・私、どうなるのかな?
昼間色々あって、その時は考える余裕も無かったのたが、今日の夜も黒井先生やゆいさんにその・・・絞られるのか・・・
それにこの4人の中から1人が、ゲストで連れてこられるんだよなぁ、誰だろう・・・今日のデートの選に漏れたこなたか、かがみかな?
いや、そんなことが選考の基準になるとも限らんし・・・まあ、俺があれこれ考えても仕方ないか。
どうせそのとき風呂に入るのだが、その、一応・・・きれいに身体を洗っておくか。
「おーっすおまえら! 今日1日楽しんだかー」
玄関の前で黒井先生とゆいさんが待っていた。
「ほな、メシ前に風呂行こか。部屋帰って着替え取って来」
「私ら先に行ってるよー」
その言葉で、我先にと玄関から階段を上がるこなたとかがみとつかさ。
「慌てなくても温泉は逃げませんのに、ね?」
俺も同感だ。ホント、あいつらはムダに元気だよなぁ。
「あと・・・今日はどうもありがとうございました、キョン君」
いやいや、俺も楽しかったよ、みゆき。
みんなでお風呂に入って、美味しいお料理に舌鼓を打った後、また昨日のように宴会へとなだれ込みました。
気を抜くと昼間の疲れが出ちゃいそうだけど、我慢我慢。睡眠薬でこなちゃんとお姉ちゃんとゆきちゃんが潰れて、午前2時になるのを
待たなくてはなりません。夜中の2時なんて、いつもなら絶対に起きていられない時間だけど、今日はなぜか目がさえて、12時過ぎた今も
全然大丈夫です。なんかすごいぞ私。
こなちゃんやお姉ちゃんに割って入ったり、ゆきちゃんとまったりお話をしたり、自分なりにバリエーションをつけながら、退屈しないように
時間を過ごします。そして午前1時半になるかならないかの時でしょうか。おトイレに立って、部屋に戻ってきた私に黒井先生が近づいてきて、
「・・・柊。そろそろゆいさんがあの3人を潰すで。まあ見とき」
そういって私を座らせると、「ま、これでも飲んどき」とウーロン茶を勧めてくれます。
しばらくすると、ゆきちゃんがくてっと横倒しになると、寝息を立て始めました。すごい、なんかいきなり来るんですね。怖いな。
そして1時45分頃でしょうか。話の輪からふらりと外れたキョン君が、部屋の外に出て行きました。
それから5分くらいでしょうか。ウーロン茶を飲んだこなちゃんとお姉ちゃんも、2人揃ってことんと横になってしまいました。
すごい・・・本当に私以外の3人を眠らせちゃったよ。
「ゆいさ~ん、ちょいと効き過ぎやないか」
「大丈夫ですよ~、さ、この子らをはやく布団に入れて・・・」
「柊、イクで。覚悟はええな?」
はい、覚悟は出来てます。頑張ります。よろしくお願いします。
「ま~、あんまマズイ方向に頑張るなよ。お腹が大きくなったりしたらヤバいやろ?」
「ま、その辺りは大丈夫でしょ。キョン君あれでけっこう自制心強いしね」
「その割には昨日は・・・ムガッ」
「ななこさん、余計なお喋りは禁物ですよ。それじゃつかさちゃん、そろそろ大浴場に行きましょうか」
ゆいさんの声に引き寄せられるように、私は廊下に出ました。後に黒井先生、ゆいさんが続きます。
部屋を出る前にゆいさんが、布団で眠る3人をじっと見つめていました。
「ちょっと可哀想な気がしますけどね・・・」
「仏心は要らんでゆいさん。さ、ではいざ行かん、我らがアルカディアへ!」
ついにこの時が来ました! キョン君、私を見てどんな反応をするのでしょうか。その・・・私なんかで喜んでくれると嬉しいな。
- ところで黒井先生、アルカディアってどこの星ですか?
最終更新:2007年08月14日 13:26