第九章 ハーレム王キョンのえっちな大冒険 その壱 風雲浴場編

さて、かねてからの計画通り、俺は予定時刻15分前になったのを見計らって、ふらりとこなたやかがみたちの
元から離れ、大浴場へと足を向けた。幸いこなたとかがみは、黒井先生と話し込んでいて、俺が戦線離脱
するのをさして気にもかけなかった。
昨日と同様この場で、これからまた深夜の饗宴・・・というより、文字通りの狂宴が繰り広げられるわけだ。
いまさら聖人君子ぶる気などないが、正直、多少は後ろめたいと言う気はある。とりわけ今日はみゆき、つかさと
デートなんぞしたからだろうか。あいつらは、さして気の利かない、女心に疎い俺とのデートを、それなりに楽しんで
くれたと思う。俺のことを男として信頼してくれたとも・・・多少自惚れてもいいのなら、思う。
だが俺は・・・そんなあいつらの純情に応えるに足る男なのだろうかと言うと・・・いや、悲劇の主人公ぶるのは止そう。
「・・・ふふっ、ずいぶんとお悩みですねぇ、キョン君」
突然の声に驚いて顔を上げると、この旅館の若女将にして黒井先生の先輩、みなもさんが俺をいたずらっぽく、笑いながら
見つめている。
とっさのことで、何と答えてよいか分からない俺を尻目に、みなもさんは男の方の大浴場に向かいながら、
「こっちの方はお湯を抜いて電気を落とすから、もう女性用の方に入っていいわよ」と一言。
      • しかしまあ、俺たち以外に宿泊客がおらず、2時から混浴とはいえ、女性の方の大浴場に足を踏み入れるのは何となく
躊躇われたので、おとなしく外で黒井先生たちの登場を待つことにする。こんな時は純情なんだってか?
分かるだろ俺の気持ち?
それにしても、狂宴がはじまるまであと数分も無いのに、なんでこういう時って、時間が長く感じるのかね。
これからのめくるめく時間もさることながら、先生たちが連れてくるサプライズゲストってのが誰だか気になる。まあ本人も
了承済みなのだから、そんなにビビることはないのだろうが、あの4人の中で1人だけと・・・ってのは、少し、気まずい。
しかしそんな感情もひっくるめて、正直、悪い気はしないのだから俺は現金な男だ。いや、しょせんただの男ってことだな・・・
俺が萎縮してどうする。誰が来るのか分からんが、俺がオドオドしてたらそいつも気まずいだろうが、しっかりしろ、俺!


「柊、アルカディアちゅうのは、理想郷って意味や。もともとは古代ギリシアの地名に由来する言葉でな・・・」
大浴場までの廊下を歩きながら、黒井先生の説明を聞く。すごいな黒井先生、さすが世界史の先生だな。
イスカンダルとかとは違うんですね。
「阿呆。泉のヤツに変なもん植えつけられたのかいや。だいたいおまえらの世代でヤマトなんぞ・・・」
「でも確かに、言われてみるとそれっぽいですよねぇ」
「・・・ふん、この非教養人どもめ!」
そんなやり取りをしながら、階段を下りてしまいました。さあ、もうすく゛キョン君の待つ大浴場が見えてきます。
「サプライズ、やからな。柊、おまえはウチらが『ゲストさん、いらっしゃ~い』いうまでここに隠れとき。ふふ、キョンが
どないな顔するか見ものやで」
「ななこさん、いまの『いらっしゃ~い』ってとこ、三枝師匠に似ていて上手かったですよ」
「そりゃどうも・・・さ、そんじゃお前はここで待っとき」
そういうと私をおいて、黒井先生とゆいさんは大浴場へ歩き出しました。それを見て私は、改めて緊張しちゃいます。
キョン君と2人でお風呂に入るんだ・・・身体とか全部見られちゃうんだ・・・タオルとか持ってっちゃダメって言われたからね。
でも今日、キョン君に見せちゃったからなぁ、今更って言う気も・・・いや、でもやっぱり恥ずかしいよ。
それに・・・その・・・キョン君にそういうこと求められちゃったらどうしようかな・・・赤ちゃんとか出来たらまずいよね。
でも・・・中に出さなければ・・・って、何考えてんだ私。今からオーバーヒートしてどうするよ!


おお、キョン、ええ子にして待っとるみたいやな。感心感心。昨晩はめいっぱい搾り出したんやけど、大丈夫やろな。
「おーっす、キョン君。元気かい、上も下も?」
ゆいさん、それちいっとオヤジ入っとるで。まあええけどな。
「・・・ええっと、先生とゆいさんだけ・・・ですか?」
はは、そう慌てるな。もうそこまで一緒に連れてきてるわ。うちらが一声かければご登場や、時にキョン、お前、誰やと思う。
もし1発で当てよったら、うちら2人で超スペシャルサービスしたるで、ふふっ。
「・・・こなた、ですか?」
「キョン君って、こなたみたいなのがタイプなんだ、へぇ・・・・・・ロリコン(ぼそっ)」
      • ま、お前がロリコンかどうかはウチも怪しいと思うけどさておいて、お前の予想は泉か。なんでそう思うん?
「いや、いちおう主人公だから、主人公特権っていうヤツで」
阿呆、それは本編の話や。クロスSSの主人公はあいつやなくて、お前やでキョン。ここじゃ泉もヒロインの1人に過ぎんわ。
さて、お前の読みは当たっとるかの。さあ、それでは今夜のサプライズゲスト、そろそろ登場願おうか。せ~のっ・・・

『ゲストさん、いらっしゃ~い』

その声を受けて、とてとてとウチらのところまで走ってきた柊。あっけに取られているキョンを見ると、恥ずかしそうに笑って、
「あの・・・今日のゲストは私です。昼間のデートに引き続いて、よろしくお願いします。キョン君」
なんや、おまえら昼間、2人でデートなんぞしとったのかいな? なかなか隅に置けんな、キョン。
「はい、かくかくしかじかってわけで、私とゆきちゃんが、キョン君とのデート権をゲットしたのであります!」
ほうほう、やっぱり柊みたいなエエ子には、神様も味方するんやな。で、泉と柊姉は選から漏れたのかいな、ざまあみさらせ。
ウチをバカにしたバチが当たったんや。昼も夜もな。ええ気味や。


黒井先生とゆいさんの『ゲストさん、いらっしゃ~い』の声と共に、こっちに走ってきたつかさを見て、俺は少しホッとした。
昼間の事もあるし、つかさが相手なら何となく、気まずくはならないという気がするのだ。
昼間のデートのいきさつを、嬉々として黒井先生とゆいさんに話しているつかさを見ながら、そんなことを考えていた。
しかし、姉のかがみと比べると、年齢の割にはやや発育が遅れているとはいえ、この後、オールヌードを拝むわけで、そうすれば
おそらく俺の愚息も天高く・・・それを見て、つかさが何て思うだろうか。先生たち曰く、俺のって平均よりはデカいみたいだから。
いや、そのデカいものを、つかさの<禁則事項>に挿・・・なんてことは考えていない、いないぞ、口や手や太ももならともかくな。
「ほな、もう2時になったし、入ろうか。キョン、つかさ」
黒井先生に促されて、つかさとともに大欲情、もとい大浴場へ入る。そんな俺たち2人をみてゆいさんが、
「それじゃ~、さっそくお2人さんには入ってもらいましょう。ささ、服を脱いで・・・」
いまさら恥ずかしがることもないだろうと、俺はいそいそと服を脱ぎ始めた。つかさの方は、ためらっているのかなと思って目を
向けると、意外と冷静に、浴衣の帯を解いている。思っているより、度胸あるんだな。
ぱぱっと脱ぎ終えたので、ではお先にと浴場入りしようとしたら、黒井先生に肩をつかまれてしまった。
「待ちいやキョン。2人仲良うならんで、手でも繋いで素っ裸で行きや・・・ほれ、柊もはやく脱いじまいな」
「おまたせ、キョン君」
すっと俺の横に、一糸纏わぬつかさが立つ。一応エチケットして、今はみないでおこう、と手を差し出す。
ぎゅっと掴んだつかさの手を引くと、浴場のガラス戸を引き空け、中へと入った。
「えへへ、なんか緊張するねぇ」
あのさつかさ・・・この場に及んで恥ずかしいとか何だとか、そういうのは無しにしようぜ。わざわざ気まずくなっても仕方無いからさ。
「そだね。えへへ、私、同じ年頃の男の子とお風呂はいるの、始めてだよ~」
すまんつかさ、俺は昨日、お前らが寝こけているときに、年頃の女性2人と風呂場で、あんなことやこんなことをしてしまいました・・・
口には出さずに、心の中でつかさに謝っておいた。いや、何となくな。


それにしてもあの2人、混浴だって言うのに、思ったほど取り乱しませんでしたね、意外だなー
「まー、昼間は2人っきりでおデートなんぞ楽しんどったみたいやし、その余韻があるからやろ。キョンは昨日のアレで度胸ついた
やろうし、柊もああ見えて、けっこう思い切りの良いところがあるしな。ウチがこの計画持ちかけたとき、ハッパかけたとは言うても、
積極的にのってきたからな」
まあ、つかさちゃんみたいに引っ込み思案な女の子には、高校時代最後の夏休み、いいプレゼントかもしれませんね。
で、私らはいつ頃乱入します。
「ま、30~40分くらいは2人だけに時間をくれてやろうや。その後はウチら2人も混じって、真夏の性教育講座、といこか。せっかくやから、
柊に実地で基本技を仕込んだるわ」
3人がかりで責めたら、キョン君、明日こそ足腰立たなくなるんじゃないでしょうか?
「あいつは、そんなヤワやないと思うで。それにこの年頃の健康な男ちゅうのは、脳味噌や血液まで精液で出来とるようなモンや。あの
キョンかて例外やない」
確かにキョン君、昨日の感じでは精力はかなり強そうでしたよね。アレに味を占めて、ヤリチン君になったりしなきゃいいけどなー
「あはは、お姉さんとしては心配ってとこかいな。ま、アイツの性格考えたら、女で身を持ち崩すちゅうんは・・・ありえなくもないか」
大学に行ったら心配ですよー。キョン君、今は特に彼女が欲しいってわけじゃなさそうだからあれですけど、きっとモテると思いますよ。
「はは、ますますあの4人、モタモタしとる暇はないちゅうことやな。おそらく大学入ったら全員バラバラやしな。ま、ウチとしては、
少しあいつらの背中を押して、お膳立てをしてやるくらいしか、できる事はないし、する気もないワ」
だとしたら、今日のこれ、不当につかさちゃんに肩入れしたってことになりますよね。教育者としてはその辺り、どうですか?
「なんやゆいさん、また仏心かいな・・・不当な誹謗中傷に対して、きっちり落とし前つけさせる、これもウチの教育や!」
はいはい、分かりました、もう何も言いませんよ。
あ・・・済みません。ちょっとおトイレに行きたいんで、その間、見張りの方お願いしますね。
「ええよ・・・アンタも一々律儀な人やなぁ」
私はそう言って大浴場を出ると、近くのトイレに向かう・・・ふりをして、ポケットから携帯を取り出しました。
コール2回、相手は直ぐに出てくれました。


キョンく~ん、身体洗ってあげる~・・・と言ったものの、タオルを持ってきていません。なので当然、手を使って洗うわけですけど、
キョン君の背中って、手の平だけ使って洗うのはちょっと大きすぎますよね。そこでどうするか、アレです。
冷たいボディーソープをお腹や胸に塗ると、キョン君のお背中にシャワーをかけて濡らして、そこに抱きついて上下にこすります。
こういう洗い方があるってことくらい、私だって知ってるもん。あんまり胸無いから、気持ちよくはないかもしれないけど・・・
「いや、つかさ、十分に気持ちいいぞ。柔らかくて・・・それに、その、感触がよく分かる」
胸の?
「いや・・・まあ大きくは胸といって良いだろうが、その・・・乳首がな」
キョン君が気持ちいいみたいでなんか良かったよ。でもキョン君、こういうことされても意外と落ち着いているんだね。
昨日もお風呂でやってもらったんでしょ?
「え・・・なんでお前がそのことを・・・」
黒井先生に聞いたよ。昨日、盛り上がって混浴に一緒に入ったって。その・・・エッチなこととかも、したんでしょ。
「いや・・・まあ・・・その・・・な・・・」
キョン君、根が正直なのか、こういう時上手に誤魔化すことが出来ないみたい。でも、そのことはいいんだ。私にとっては今が大事。
今は私のことだけ考えてね。んしょんしょ・・・
「手だけじゃなくて、つかさって肌、すべすべなんだな。とても気持ちいい」
ありがと、じゃ、背中はあらかた終わったんで次は前ね。そういって抱きついたまま、手を伸ばして肩から腕、手の先、脇の下、胸、
お腹と洗っていく。キョン君は手が前に回ってきたのを見て一瞬ビクッとしていたけど、それ以上は何も言わず、なすがまま。そして手は、
さらに下に降りて・・・つまり、キョン君のおチン・・・その、アレに届いちゃった・・・って、なんか固くて熱くてすごいよー
男の人のアレが興奮するとそうなるってのは、知識としては知っていたけどね。そっと手のひらで包むようにして下から上へ動かし、また下へ。
「ん・・・んっ・・・」
大丈夫、痛くないのかな? こんなに硬く腫れちゃって?
「大丈夫だ。あのさ・・・つかさ・・・もっと力を入れて、握って上下に動かしてみてくれないかな」
こんな感じかな。うわ、なんかその、固い肉の感触が凄いな。だけど先っぽは柔らかいままなんだ。
男の人ってさ・・・その、オナニーするときとか、今、私がしてるみたいにするんでしょ、キョン君?
「そうだな。ま・・・人によっちゃ、握って扱くんじゃダメで、何かに擦り付けないと出せないヤツも居たりするみたいだけど・・・」
それ、女の子もちょっと似ているかも。中に指を入れて思いっきりやらないとダメな子と、擦り付けるのが好きな子がいるみたい。
私は擦り付けるのが好きなんだけど、お姉ちゃんは・・・指を使う方が好きみたい。双子でもそういう好みって違うみたい。
「・・・なあつかさ、貴重な証言は有難いのだが、かがみの事を俺に喋っていいのか?」
あ、思わず言っちゃったよ。キョン君、幻滅した?
「いや、別に。健康な身体持ってりゃ当然のことだからな。でも知ってるヤツの話聞くのは、なんか変な気分だ。なあ、お前たちって、
4人だけの時とか、やっばり、そういう方面の話するのか?」
うん・・・たまにだけどね。一応私たちも年頃の女の子だし、その・・・エッチなこととかにも興味はあるからね。ゆきちゃんだって、
水を向ければ、恥ずかしそうに話してくれるし、女の子って結構、男の子の目がないところでは大胆なんだよ。
「へえ、あのみゆきがねぇ・・・是非一度拝聴したいもんだ」
      • キョンく~ん、今ゆきちゃんでエッチなこと想像したでしょ! めっ!


つかさの持つ独特のオーラの賜物なのか。昨日みたいに、激しい快感で一気に昇天、という感じじゃなくて、なにか奇妙な安らぎを
感じながらも、徐々に性感が高まっていくような感じがする。こういうのも、悪くない。
だが、そろそろ下の方がヤバい。はっきりいうとイキそうだ。射精しそうです、ぶち撒けそうですつかささん。
「キョン君、あのね、キョン君が出すところ見たいなって・・・その、私の身体にかけて、いいよ」
そういうとつかさは、俺を立たせると、正面に回って手を動かしたままかがみこんだ。つかさの細い肩が、鎖骨が、僅かに膨らんだ胸が、
そしてあるかないか分からないくらい、薄い陰毛に覆われた<禁則事項>がばっちり見える。先生たちやみゆきのようなグラマーさは無いけど、
紛れも無くこれも、女の子の身体なんだ。自然の神秘というのは素晴らしい、男に生まれて良かったよママン。
      • キョン、イキま~す!
「キャッ!」
つかさの頬、くちびる、顎、胸からお腹にかけて、べっとりと飛ばしてしまいました。息子が粗相してしまい済みませんm(_ _)m
「うわ~、ホントにネバネバだねー、それにこの匂いって・・・何か不思議だね~」
頬に付いた精液を、親指と人差し指でこねながらつかさが言う。俺は奇妙な満足感と脱力感に襲われ、思わず腰を下ろしてしまった。
とりあえずシャワーを、と思って手を伸ばす。つかさはと言うと、人差し指に付いた精液を口に含んで、変な顔をしている。
「なんか卵の白身に、お塩混ぜたみたいな感じだねー」
恥ずかしいから、そんなあっけらかんとした顔で、俺が出したものの分析をしないでくれ。
「ね、キョン君・・・気持ちよかった?」
とても・・・良かったです・・・


シャワーでお互いの身体を洗い流した後、2人で湯船に入って一息。男の人って連続じゃ無理なんだよね。私ははやく、自分の身体も
キョン君に洗って欲しいんだけどな。
2人で並んで入って、キョン君の肩に頭を預けてみる。ふふ、本当に恋人みたいだよ。こういうまったりしたスキンシップもいいな。
「それにしてもつかさ、お前、こういうの本当に恥ずかしがらないのな。とても意外だった」
そりゃねぇ・・・だって今日キョン君の目の前でおしっこしちゃったし、今更隠しても仕方ないからね。
「おいおい、そういう言い方は誤解を招くから勘弁してくれよ」
大丈夫だよ。今ここには、私たち以外いないんだから。そんなに心配しなくても。
「なんか自分が、とてつもない変態になったような気がするよ・・・」
まあ、それはお互い様ってことで、2人だけの秘密だよ。
「言われなくとも、こんなこと、誰にも喋らないし喋れないぞ」
ね、キョン君。高校最後の夏休み、一緒に旅行に来られて良かったよね。私、この旅行のこと一生忘れないよ。
「俺もだ。図らずも、忘れられない思い出が出来ちまったからな」
あのさキョン君、今日、私がさ・・・キョン君を呼んで見せちゃったとき、変なもの見せてゴメンって謝ったとき、キョン君、
言ったよね。つかさのはきれいだから別に・・・って、あれって、そういう意味に捉えていいのかな?
「あー・・・その通りだ。確かにそういう意味で言った。あの場にそぐわしい発言かどうかは分からないが・・・」
私ね、けっこうコンプレックスだったんだ。体型だって女の子らしくないし、下の毛も生え始めてからほとんど濃くならないし、
こなちゃんなんかちっちゃくても、下の毛はけっこう濃いのに、私なんか本当にお子様みたいで・・・
でもあのとき、キョン君が私のを見て、きれいって言ってくれて、すっごく恥ずかしかったけど、とても嬉しかったよ。
「いや・・・なんていうか、どう反応したらよいのか分からないな、だけど、悪く取られなかったのは幸いだ」


あいつら、仲良うやってるみたいやんか。そーっと大浴場を覗いて、キョンと柊が仲良うやりとりしているのを耳にして、ウチは
ガラス戸をそうっと閉じた。まだあいつらの時間や。キョンのヤツが、柊の身体を洗うくらいまでは猶予くれたるわ。
それにしてもゆいさん、長いトイレやな、そろそろ戻ってきてもええんちゃうか。まさかトイレの中で倒れてないやろな。
見に行った方がええかな、そう思った矢先、廊下の方から足早な足音、どうやら戻ってきたみたいや。
ゆいさん、長いトイレやったな。便秘かいな?
「いやー、ちょっとゲストの皆さんと打ち合わせをしていたもんでねー」
打ち合わせって何や? ここに誰を呼ぶ気やねん?

「それは私たちですヨー、ななこ先生!」
「そういうことです。どうもこんばんわ、黒井先生!」
「お邪魔いたします。私も是非参加させていただきたく存じます」

泉、柊、高良・・・おっ・・・おっ・・・お前ら、なんでここにいるのんや!
      • ゆいさんっ! あんたさては、ウチを裏切りよったなっ! この人でなし! 蝙蝠女!
「いやー・・・ははははっ! 最後の最後まで、どうするか悩んだんですよねぇー。でもななこさん、やっぱり、やり過ぎは
よくありませんよ。このくらいで手を打ちましょうよ」
口調はすまなそうではあるけれど、表情からは反省の色が見られないゆいさん、この女、虫も殺さん顔しよって、まんまとウチに
一杯食わせよった。
妙に泉たちに仏心見せよる時点で、裏切りを警戒しておくべきやったろか。今となっては後の祭りやけど。
「人でなしって、ゆい姉さんに言えた義理じゃないヨ、ななこ先生。薬使って教え子を潰すなんて、どこの大学のサークルだヨ!」
「とても教育者とは思えませんね。私たちに何か恨みでもあるんですかっ? ゆいさんが翻意してくれなかったら、まんまと罠に嵌められて、
なんにも気づかないとこだったじゃないですかっ!」
「黒井先生、今回の件について、何か正当な理由があるなら聞かせていただけないでしょうか?」
ハブられ3人娘、揃ってウチを詰問にかかりよった。なんや、お前ら自分には一片も非がないのに、ウチに一方的に酷い目に遭わされたって
言いたいんか? なんでウチが、こういう手段に出たのか、身に覚えはないんか。ゆいさんから聞いてへんのか?
「いや~、その件については、自分たちの口から黒井先生に聞きなさいって言ってあるんで」
そか。そんならこの言葉に聞き覚えはないかどうか、おまえら3人、胸に手ぇ当ててよう思案しいや!

『枯れ木も山の賑わい』
どうや!


      • あちゃー、黒井先生、旅行前日の私らのあの話、どっかで聞き耳立ててたのか。地獄耳め。
こなたやみゆきも直ぐに分かったようで、しまったーというか、してやられたって顔をしている。
確かに、あれは本人の前ではとても言えないような悪口ではあったかもしれない。だけど、だからって・・・
「だからって、こんな仕返しすることないじゃんかヨー! 聞いたらその場で殴ってくれたって良かったのにー」
私も同感だよこなた。確かに、これってマズい発言だけど、こんな報復されるほどのことだとはとても思えないわ。
「確かに、私も聞いていて止めなかったですし、思わず笑ってしまった記憶があります。非はありますけれど・・・」
みゆきも納得いかない様子。
「おまえら、発言の重大さとウチが受けた心理的ダメージ、分かったふりしてちっとも分かっとらんなゴルァ!
軽口で済まされることか!」
ヤバ、また怒気が噴出してきたよ。あわや一触即発か・・・という空気になりそうなところに割って入ったのは、ゆいさん。
「まー、これはお互い、どっちもどっちだよー。ね、こなたたち・・・アンタらの言ったこと、ウチらくらいの年代の未婚女性にとっちゃ、
ちょっと冗談で済ませるには重いんだよね。ななこさんが怒るのも無理はないと思うよ。ななこさん自身がちょっとアレっていうのを、
差し引いても、陰口で、女として最大の侮辱を蒙ったわけだから、仕返しされても仕方ないよ」
のんびりとした、でも言葉の端々から毅然としたものが伝わる口調で諭されてしまい、私もこなたもみゆきも言葉を無くす。
「ななこさーん、もうこのくらいで、この子たち、許してあげませんか? ななこさんの無念を汲んで、昨日は計画に協力しましたけど、
これ以上は過剰報復になりますよー。それに、どんな理由があれ薬使ったなんて、どこかにリークされたらまずいでしょ。ホント、今の
ご時世だと首になりかねませんしねぇ」
「・・・アンタ、今日睡眠薬をこいつらに盛ったのは嘘で、3人にはあらかじめ事情を話して、潰れる演技をさせたちゅうわけか」
「その通りです」
黒井先生は腕を組んで、目をつぶったまましばらく考え込んでいたが、突如ふっと顔を上げると、一言。
「やっぱりダメやな。おまえたちの参加は許さへん! 今すぐ揃って部屋に戻りぃ!」
      • ゆいさんの説得もダメ・・・か。ななこ先生、本気で怒ってるんだ。こなたやみゆきも、俯いてしまっている。



あーっはっはっは! いやいや、揃って情けない顔しよって、いたずらして叱られた餓鬼やな餓鬼! ぐはははは!
いきなり笑い出したウチを、きょとんとした顔で見つめる女子高生3人と大人1人。
はは、今のおまえらの泣きそうな面みたら、心ん中スッとしたわ。どや、思い知ったか、三十路前の枯れ木女の怒り!
これに懲りたら、下らん陰口は今後は慎むんやで。
「それじゃ・・・ななこさん。この子たちは許してあげるってことで・・・」
そやな。まあ、アンタに出し抜かれたちゅうのはちょっとどころか、かなーりショックやけど、まあそれも、こいつらへの
同情から出たっちゅうことで、斟酌して合わせて堪忍したるわ。こんな所でいがみ合ってもしゃーないからの。
「それじゃ、この子たちも混浴タイム参加ってことでオッケーですね」
ええよ、やけどウチらも混ざるんでそのつもりで! あと1つ条件がある!
つかさが今、中におるけど、タオルは持たせてない。身体を隠すモンはいっさい持ち込み禁止や。
キョンの前で一糸纏わぬ裸体を晒せる根性あるヤツだけが、この門をくぐる事を許される。お前らにその勇気はあるか!
「つかさだって頑張っているんだから、姉の私が躊躇してたら沽券にかかわるわ! 当然っ!」
「私も頑張ります。上から下まで全部晒します!」
ウチの宣言に対し、間髪居れず即答した柊姉と高良。恋は女を変えるってのは本当やな。
「ひーん、グラマーなみゆきさんや、そこそこ見れるかがみんと並んで、この幼児体型を晒せっていうのかヨー!」
泉のヤツは凹み気味。こいつ、普段はあんなんやけど、やっぱり気にしてるんやな。可愛いヤツや。
大丈夫や泉。つかさかて、お前とええ勝負やけど、キョンとええ感じやったぜ。それにな、10代の女の裸はそれだけで
プレミアものの価値があるんやで。はは、ウチらみたいな枯れ木と違ごうてなあ。
「・・・先生。まだ根に持ってるでしょ?」
「今後は発言にも気をつけないといけませんね」
「今回は睡眠薬程度で済んだけど、これが青○カリやボ○ニウムだったら、私ら死んじゃうよね」
おいおまえら、ウチかて程度くらい弁えとるわ。報復としちゃ今回はギリギリの線や。
さてと、それでは和解の意も込めて、あいつら2人のアルカディアに進行するで。
キョン、ハーレム王の器量、うちら相手に存分に見せてみい!

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最終更新:2007年08月29日 20:42
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