事の発端は、一匹の猫。

 ◆uBcST3eoLk氏の作品。

事の発端は、一匹の猫。

「キョンキョーン」
「ん? どうしたいず……み? なんだ、その猫は」

キョンは、こなたの背におぶさる大きな猫を見て唖然としてそう呟く。
そんなキョンの質問に答えるように
こなたの背におぶさっている大きな猫は「ぶなー」と、少々低めの声で鳴く。

「猫拾ったのさ!」
「いや、拾ったって言わないだろ……」

猫の重さで足元がふらふらのこなたにそう告げつつキョンは、その猫をヒョイッと抱き抱える。
抱き抱えられた猫は、やはり「ぶなー」と鳴き欠伸を一つ。

「それにしても、大きい猫だな。こうやってみると……泉より大きいかもしれんな」
「そう言えばそうかもネ。尻尾の長さ入れたら私よりおおきーかも」

抱き抱えられた状態ならば、その猫は人の子どもほどの大きさにもなり……
尻尾の長さも加えれば、確かにこなたよりも身長が大きいかもしれないのだ。

「シャミセンよりでかいな」

キョンは、自分の家で飼っている猫を思い出しながら猫を優しく降ろす。
降ろされた猫は、何処かへ去る訳でもなくチョコンと座ってキョンの顔をじっと見ている。
そよ風に、猫の長い髭がふよふよと動く。

「大人しい猫だよネ~私が、背負う時も進んでのっかかってきたもん」

ね~と、こなたはしゃがんで猫の頭を撫でる。
そんなこなたの言葉に、ふーん。飼い猫だろうかね? 赤いポンチョなんて着てるし。
と、キョンもこなたに習いしゃがんで猫の顎の下あたりを撫でる。

「猫ってチョココロ」
「あげるなよ」
「ちぇっ……それにしてもこの猫どっかで見た事あるんだよネ」
「まぁ猫ってのは自由気ままってのが基本だからな。見た事あるかもしれないな」

家のシャミセンは大体寝てるけどな。と、内心そう思いながらキョンは猫の耳をこねくる。

「お前、そのポンチョは大切な物か?」

猫と顔をあわせてなんとなくそう尋ねるキョン。
そのキョンに答えるように、猫は「な」と短く鳴きコクンと頷いた。
まぁ、宇宙人に超能力者、未来人が居るんだから人の言葉が分る猫居てもおかしくないか……
それに、人に長い事飼われてるんなら大体人の言葉わかるだろうしな。
と、結論付けるキョン。
その間、こなたは猫の背に覆いかぶさったりと結構自由気ままに遊んでたりする。

「………お前もしかしてシャミセンの知り合いか?」

猫って結構人よりも付き合い広いって聞いた事あるからなぁ~などと思いつつ聞く。
やっぱり猫は、短く鳴いて頷いた。
かなり賢い猫だなぁ……と、思いつついまだ猫に一方的にじゃれているこなたを抱き上げる。

「おぉお? キョンキョンいきなりなんだネ?」

何処か嬉しそうにキョンの方を顔だけ動かし見るが……それと同時に降ろされるこなた。
そして、次にいまだキョンの顔をジッと見ている大きな猫を抱き上げる。
丁度、赤ん坊を片手で抱き上げる様に

「えーキョンキョンそれはないZE! 私よりその女を選ぶのね!」
「……この猫オスだぞ?」

こなたの言葉に、キョンははぁとため息一つついた後冷静に突っ込みを入れる。

「…………」
「…………」
「あ、思い出したヨ」
「何をだ?」
「その猫さ」
「コイツか?」

うん。と、頷くこなた。
そして、そのままキョンの抱き抱える猫をビシッと指差すと

「GPM(ジーピーエヌ)のブータニアス!」
「いや、知らん」
「…………小説にもなったんだよ?」
「いや、本当に知らん」
「漫画にもなったしアニメにも!」
「知らん。なにやら家のシャミセンの知り合いらしいからな。このままつれて帰る」

頬を膨らせるこなたに、そう告げるキョン。
そしてそのまま帰路に着こうかとしたのだが……

「そういえば、泉なにか用事とかあるのか?」
「へ? べ、別にないけど?」
「じゃぁ、家に来るか? どうせ妹と遊ぶ事になるけど」

どうする? と、こなたに尋ねるとこなたは、ふくれっつらをやめ……
勿論行くさ! と、元気良く答えた。

「あ、そだながもんも一緒にいい?」
「長門? まぁ別にいいけど」
「あいあい~」

じゃ、ちょっとまっててヨ! と、キョンにつげ爽快に校舎の中へと走りかけてゆくこなた。
そんなこなたを見送りキョンは、賑やかになるんだろうな。と、小さな笑みを浮かべる。

「GPMって何の略だろうな?」
「なー」
「わかんねぇよなー」
「な!」
「だよな」

物語は、その猫を中心にして進んでゆくのだった。 


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最終更新:2007年08月15日 19:13
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