part18-294さんの作品です。
生きて帰れる…
そんな風に考えていました
しかしそれはチョコラテのように甘い考えだと痛感することになる
扉を抜けた先は現実世界ではなく広い部屋だった
奥に大きなモニターがあり、すぐ側に両開きの黒い扉
真ん中に大きな円形のテーブル
その上に何枚か重ねられたカジノで使っているようなコイン、簡素な5つの携帯電話、一枚の投票用紙とボールペン
そしてそれを囲むように5個の椅子があり既に4人腰掛けている
奥の方に背の高い二人、俺から見て右側に古泉、左側に黒井先生、そして手前の左真横にこなた、右に朝倉
黒井「お、来た来た」
こなた「おっすキョンキョン」
古泉「こんにちわ、キョン君」
朝倉「うふふ、よろしくねキョン君」
キョン「みんな…」
また見覚えのある顔ぶれだ
しかし、長門の話だとこの中に嘘つきがいる
最悪全員が嘘つきかもしれない
あれこれ考えていたらモニターが突然光を放ちはじめた
白石「おは☆らっきー!」
空気嫁
白石「第一ステージ突破おめでとうございます!
この調子で頑張ってくださいね!
おっと…自己紹介がまだでしたね
自分は白石みのる この第二ステージのディーラーを務めさせていただきます!」
正直脇役の自己紹介なんぞどうでもいい
キョン「…第二ステージの説明をしてくれ」
白石「はい 第二ステージは…名付けて『埋伏の毒』です
あなた達5人は優秀な警察官です!しかし!!この中に一人、詐欺師がいます!
詐欺師をみなさんで協力して探し出してください!
細かいゲームのルールはこちらになります!ボンッ!!」
・コイン10枚が与えられる
・ディーラーが、参加する人の中でキョン以外の誰か一人を【詐欺師】に決める。
・1ターン(15分)で投票し、【詐欺師】である人物を当てる。
・当たった場合は4枚のコインが与えられる
・再びディーラーが【詐欺師】を選び直し、再度繰り返す。
・参加者間での会話は自由
・1枚渡せばYES/NOで答えられる質問を一回でき、白石がわかる範囲で答える。
・15枚になれば勝利
・0枚になれば敗北
・3ターン経過でも敗北
なるほど詐欺師を見破ればいいワケか
白石「携帯電話を見てください!メールを送りました!空メールなら警察、×印が打ってあれば詐欺師です!
それでは早速始めましょう!!」
こなた「さーて、この中の誰が詐欺師かなー…」
古泉「僕じゃないですよ」
朝倉「とりあえずキョン君は詐欺師になることはないから…4分の1ね」
黒井「誰や~今のうちに名乗りでたら痛い目見んでええで~」
この中に詐欺師が一人
キョン「お前らのうち誰が詐欺師だ?」
黒井「えらいストレートやな うちはちゃうで」
古泉「僕は詐欺師じゃないですよ」
こなた「あたしも違う~」
朝倉「私も違うよ」
……やっぱ全員がそういうよな
どうする…マイナス思考じゃダメだ
逆に考えるんだこれは「神が俺に与えてくれた試練」だと
逆に…逆…そうか!これならどうだ!
キョン「じゃあ詐欺師じゃないのは誰だ?」
こなた「あたしだよ」
古泉「僕ですね」
朝倉「私よ」
黒井「うちやで」
何してんだ俺…こんなことしても意味ないだろ…常識的に…
どうする…どうするよ俺…
webには続かないぞ…
白石「残り一分です」
ああくそ、わからねえ
…とりあえず適当に投票してみるか
古泉一樹っと…
白石「…それでは票が入りましたので結果を発表します!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…」
きょーびそんなジョジョ擬音は流行んねーんだよボケが
白石「今回の詐欺師は……朝倉涼子さんでした!!…残念ながら不正解です!」
…そりゃそうだろうな
適当に入れたからな…
…くそっ!
どうすりゃいい!
白石「ハイ!みなさんにメールを送りました!!では、2回戦開始です!」
…詐欺師が変わった
詐欺師は自分が詐欺師とバレないようにする
そして詐欺師の正体を知っているのは白石のみ
だが白石から情報を得るにはコインを一枚…
詐欺師が誰かわからないからこの四人に対する質問は意味はあまりない
……たった一枚?
待てよ、たった一枚なら2回の質問で…
キョン「白石!質問だ!」
白石「はい、そこのスロットにコインを一枚入れてください」
一枚コインを入れた
白石「どんな質問でしょうか?YES/NOで答えられる質問にしてくださいね」
キョン「詐欺師は……青い髪の人間である!」
白石「YESYESYESYESYES」
これで絞られた
こなたか朝倉か1/2だ
さて…この二人をどう見分けるかな
朝倉とこなたは両方女だし…
ディーラーが白石だってのもネックだ
…白石がこいつらのことをどれだけ知っているか
コイツが確実に知っている見分け方
それもYES/NOで答えられるもの
一瞬戸惑ったが簡単だ
白石が確実に知っていることがある
キョン「もう一回質問だ!」
勢いよくコインを入れる
キョン「詐欺師はさっきと同じ人物であるか」
白石「NONONONONO」
詐欺師はわかった
俺は投票用紙に泉こなたと書き、ぶち込んだ
白石「さあ票が入りました… 今回の詐欺師は…!!お見事大正解!泉こなたさんです!!」
スロットから四枚のコインが出てくる
質問に二枚のコインを使ったから二枚のプラス収益
これを繰り返していけば…と思ったが敗北条件は二つある
・0枚になる
・三ターン経過する
つまり次が最終ターン
二枚プラス収益だとあと二ターンかかる
ああ…なんで最初に気づかなかったんだろうか
……運にでも頼るしかないか
幸いコインは一枚使える
白石「さあ、ラストゲームです!メールを送りました!!」
とりあえず半分に絞るとするか…
ちょっと待てよ
コレは『嘘を見抜くゲーム』
なら嘘つきを見抜くことで確実に突破できるのではないか?
…よし!ダメで元々!
キョン「なぁ、お前らは詐欺師は誰か知ってるか?」
こなた「知らない」
朝倉「知らないわ」
古泉「知りませんね」
黒井「知らへんで」
キョン「そうか」
ここまでのことを落ち着いて考えてみよう
コイツらへの三回の質問である程度のことは推察できる
全員が嘘つきだったらお手上げだが、最初のゲームの二回の会話でそれはないと踏んだ
なぜなら、全員がグルで嘘つきならば
全員が嘘をついてうまく俺を間違いに誘導するハズだからな
だが、前回はまるで関心がないかのように皆同じ答えをした
つまり、嘘をつき=詐欺師であるということだ
そして今回の質問で確証は持てた
―問題はここからだ
この中で誰が詐欺師なのか
……やれやれ
それがわからなきゃさっきの冴え渡った推理もなんの意味も持たなくなる
さて、どうしたものか……
イタズラに時間だけが経過していきやがる…
残り10分ぐらいか…?
承太郎じゃないが今の心境はや~れやれだぜ…って奴か
……承太郎か
…ちょっと前からやってみたいことがあったんだよな
キョン「よし、みんな!携帯を見てくれ!」
こなた「え!?どうしたの!?」
キョン「俺のところに白石からメールが届いてさ、みんなにもう一度さっきの携帯のメールを確認して欲しいと伝えてくれと言われたんだ」
古泉「…はい、わかりました」
キョン「実は……白石からの指示って言ったの俺の嘘なんですよ」
こなた「えっ!」
キョン「簡単に言えば、誰が詐欺師かを当てるためにね」
黒井「どうやって当てるんや!?」
キョン「眼球に携帯のディスプレイが写るのでそれを見て考察しました」
全員「何ッ!?」
そういった瞬間朝倉と古泉がほぼ同時に携帯を閉じた
こなたと黒井先生はずっと携帯の画面を見ている
黒井「嘘やろ?こんな携帯見させるだけでわかるなんて…」
キョン「ええ、嘘ですよ」
だが絞り込めた
くそっ、承太郎は一発で行けたんだけどな…
どうやら俺の嘘に反応したのは二人
現実だとこんなもんか
やっぱ最後は運になるのか
そう思ったが…
俺は手元にまだ使えるものがあるとわかった
そう、一枚のコインだ
キョン「白石、質問だ」
白石「はい、どうぞ キョン君」
キョン「詐欺師は……古泉一樹であるか」
白石「……YES!」
俺はすぐさま投票用紙に古泉一樹と書き入れぶち込んだ
白石「さあ入りました… 今回の詐欺師は……古泉一樹君!大正解!!」
スロットから四枚のコインが出てくる
俺の手元には15枚のコイン
白石「お見事!!キョン君!!第二ステージ突破です!!」
ふうー……
我ながら後半なんかが俺に取り憑いてたな……
絶対普段の俺じゃありえないな…
なぜかここにいると頭が冴え渡るというかなんというか…
とりあえず、 つ か れ た
もう流石に帰れるだろ…
第二話完
最終更新:2007年08月19日 22:01