かがみん~廻り始めた世界~

ID:EbdLQhKjO氏の作品


貴方の瞳に私は映っていますか?

貴方の耳に私の声は届いていますか?

貴方の言葉は私に向けられていますか?

 

 

ー貴方の心に私の想いは伝わっていますか?ー

 

 

最初はとても些細で、それでいて私にとって大事な出来事。

きっかけが無ければ、貴方にとって私は単なる女子生徒A。

貴方と対話出来た事に感謝したい。

貴方と出会えた事に幸福を感じてる。

 

貴方と会えてなければ、私の世界はちっぽけな物だったろう。

貴方に会えて私の世界が広がった。

 

 

ーありがとう、大好きな人ー

春、まだ高校に入って間もない頃…

私は同じクラスの女子達や、妹が仲良くなった子達と友達と呼べる関係になった。

この時、私に男子の友人は出来ていない。

でも、彼と出会う事は必然だったのだろう…なんてね。

 

うん、まずは、彼との出会いを振り返ってみる事にする。

 

ーー

ーーー

 

ー階段ー

 

私は、先生に授業に使用した教材を運んでくるように言われ、一路職員室を目指し階段を降りていた。

 

かがみ「ほんっと重いわね…やっぱり、誰かに手伝ってもらうんだったな…」

 

そんな独り言を呟いたところで、自分で選んだ事なのだから仕方ない。

本日の全授業が終わり、既に下校時間だった為、私は手伝うと言う友達に感謝しつつ先に帰る様に促したのだ。

妹が校門で待っているだろうから、私は少し早足になった。

 

だが残り数段というところで、私は足を踏み外しーー

かがみ「きゃっ…」

 

短い悲鳴を上げた私は、今まさに体勢を崩して転げ落ちようとしていた…が、

 

「あぶねぇ!」

 

誰かの叫びが聞こえると同時に階段の下に人影が現れ、私を見事にキャッチしていた。

 

「大丈夫か?どこも痛くないか?」

かがみ「う、うん…って、あれ?キョン…くん?」

 

私を支え、現在進行形で私を心配してくれているのは、『キョン』という変わった名前の同じクラスの男子だ。

あ、名前じゃなくあだ名だったね!

それより…

 

かがみ「ご、ごめんなさい!思い切り足踏んじゃった!」

キョン「いや、気にするな。大事にならないで良かった」

 

この時、私は素直に「優しい人だな」と思った。

 

キョン「運ぶの手伝うよ。とっとと運んで帰ろうぜ」

ー教室ー

 

次の日、改めて助けてくれたお礼を言おうと思い、キョンくん達が談笑しているところに割って入った。

 

かがみ「キョンくん、昨日はありがとね」

 

私が感謝の意を述べると、彼は微笑み「気にするな」とだけ言ってくれた。

その笑顔を見た瞬間、何故か顔が熱くなり、胸がキュンとして落ち着かなくなる…何だろう、この感覚…

 

それじゃね、とだけ言い残し自分の席に戻った私に、騒がしい奴が話しかけてきた。

 

みさお「よう、柊ぃ~。アイツと何話してたんだ?」

 

こいつは中学から同じクラスになり続けていて、腐れ縁とも言える間柄の日下部みさおだ。

そして、日下部の隣に立っている、のんびりした印象を受けるこの子は峰岸あやの…この子も中学からの友人。

 

あやの「いつの間に仲良くなったの~?」

かがみ「いや、別に仲良くなったと言うか、ただ助けて貰っただけよ」

でも、確かに仲良くなれたら良いな…これから二年に上がるまで一緒のクラスなんだしね。

 

みさお「そいやさ、アイツって変わった部活に入ってるんだろ?涼宮が作った」

 

そういえば、確かに変な活動をしてたわね…なんだっけ?SOS団だったかな?

 

あやの「関わって大丈夫な人なのかしら?」

かがみ「良い奴よ?自分より相手の事を考える思考の持ち主だもの」

 

少なくても、私はキョンくんは普通の人だと思う…けど、涼宮さんと普通に接せれてるのは凄いよね…

ある意味、尊敬出来る事かもしれない。

 

みさお「へぇ、ずいぶんとアイツの事気に入ったみたいだなっ」

あやの「柊ちゃん、もっと積極的に話し掛けてみたら?」

 

こいつら…私はそんなんじゃないっての!

それから数日、特に変わった事もない日常を過ごしていたある日、妹の紹介で知り合った泉こなたがおかしな提案をした。

はた迷惑な…

 

こなた「ねぇねぇ、かがみん!私達もSOS団に入ってみない?」

かがみ「いきなり何なのよ?どうしてまた急に…」

こなた「いやー、単純に面白そうジャン!かがみんだって気にならないかネ?クラスメイトがどんな活動をしてるのか」

 

そりゃ気にはなるけどね…キョンくんだって何だかんだ言ってる割に、しっかり涼宮さんに付き合ってる位だし…

惹きつける何かはありそうよね。

 

かがみ「見に行くだけなら…キョンくんに聞いてみようかな」

こなた「ヤター」

キョン「断固たる意志で拒否を発動させる」

 

うん、あっさり断られた。

もちろん、こなたは納得出来る筈もなく、キョンくんに喰って掛かる。

 

こなた「な、なんでディスカーッ!?」

キョン「お前達は普通に生きていけ…俺はもう手遅れなのさ」

 

本気でキョンくんから哀愁が漂ってる…ほんと、何をしてるんだろ?

 

こなた「むむぅ、断られたら余計に入りたくなるのが人間の性ってもんですたいっ!!」

 

そう言い放つと、こなたは教室を飛び出していった…まさか……

 

キョン「柊、お前の友達は引き返せない場所に旅立ったようだな」

かがみ「どんだけ冷静なのよ!というか、どんだけ危険な場所なのよ!?」

キョン「まさにどんだけぇ~って感じの場所だ」

 

 

どんだけー……って、意味不明な問答をしてる場合じゃない!私も行かなきゃ!

 

キョン「やれやれ…」

ー廊下ー

 

こなたが未知の世界に突入する前に止めるべく、私は廊下を全速力で走る。

確か、SOS団って文芸部の部屋を使ってたわね…

もう、こなたの馬鹿!

 

キョン「柊ー!そんな急がないでも良いぞー!」

かがみ「何言ってるのよっ!危ない場所なんでしょ!?」

キョン「冗談を鵜呑みにするなー!」

 

…冗談?

 

キョン「おお、やっと止まっ…」

 

私はキョンくんの方に向き直り、逆走を開始した。

 

かがみ「いっけぇーーッ!!スー〇ーイナズマキィーックッ!!」

 

自画自賛するほどの見事な飛び蹴り。

それが完全にキョンくんを捉え、お腹目掛けて一直線!!

 

ドグボォッ!

キョン「ブルルァァァァアッー!!」

 

全く、あんな諦めきった表情で語るから、すっかり本気にしちゃったじゃない!

 

キョン「い、いくら何でもやりすぎではないでしょーか、柊さ…ゴフッ」

ー渡り廊下ー

 

キョン「つつ…ずいぶんと焦ってたな」

かがみ「当たり前よ。日は浅くても、大事な友達なんだから…馬鹿だけど」

 

…ん?キョンくんが私をジッと見てる…何か変な事いったかな?

 

キョン「柊は友達想いだな。感心するよ」

 

そ、そんなまじまじ言う事かな…?

 

キョン「しかし、意外だな。柊妹ならともかく…」

かがみ「何よ、私が友達想いなのが意外なの?」

キョン「いや、柊ならもう少し大人っぽい物を履いてると思ったんだが…」

 

何の話よ?

 

 

 

キョン「その年でアニマルバックプリントのパンツは無いんじゃないか?」

かがみ「……?」

 

私は、今日履いてきた自分の下着を思い出す…思い出す…

 

かがみ「……っ!見た…?」

キョン「ああ、スカートで飛び蹴りなんてするもんじゃないな」

 

……

………

 

かがみ「ヤローテメー…ぶっ殺す」

キョン「お、俺のせいじゃないだろ!?」

かがみ「本人の前で言うなーッ!!」

 

渾身の力をこの拳に込めて…今、放つ!!

 

ヒュゴッ…!

キョン「アッー!!」

 

全く!女心を微塵も分かってないんだからっ!

 

…そう言えば、いつの間にか普通に接せれてる。キョンくんって話易いな…

SOS団部室ー

 

キョン「ハルヒー、小さいのが来てないか?」

 

小さいのて…確かにこなたは小さいけど…

 

ハルヒ「遅いじゃないキョン!あら、その顔どうしたの?ま、良いわ!喜びなさい!新しいメンバーが入ったわよ!!」

こなた「やふー♪不束者ですが、どうぞよろしくネ!」

 

よろしくネ!じゃねぇよっ!何溶け込んでるのよ!?

 

キョン「あー…手遅れだったネ!」

かがみ「………」

キョン「睨むな睨むな。正直、怖いです」

ハルヒ「あら、あなた同じクラスの…柊さんだったかしら?」

 

そう言えば、涼宮さんと話すの初めてね…

 

かがみ「ええ、柊かがみよ」

キョン「ハルヒ、何で泉を入れたんだ?変わったに奴しか興味ないん…ああ、なるほど」

 

 

え、何がなるほどなの?変わった奴に……ああ、なるほど。

ハルヒ「同い年なのにこの幼さ!ロリで貧乳好きにはかなりの需要があるわ!!」

こなた「いや~、ハルにゃんは分かってるネ~」

 

こなた、マイナス要素しか指摘されてないのよ?何で満足気なんだ。

 

ハルヒ「それに、入る者を拒む理由は無いわ!」

キョン「さいですか。なら、柊も入ってみるか?」

かがみ「え?私も?」

 

何をするのか分からない以上、安易に入るのは気が引けるわね……

あ、こなたが涼宮さんに何か耳打ちしてる。

ちょ、2人してこっち見ながらニヤニヤするな!

 

ハルヒ「そうね、あなたも入りなさい!ツンデレも欲しいところだわ!」

 

こなた…月夜の晩ばかりだと思うなよ?

 

 

キョン「ツンデレなら既に…いや、何でもない。ただの妄言だ」

こうして私はSOS団に入団した。

本音を言うと、私の方も拒む理由は無かったのかもしれない。

 

キョンくんと話す機会が増えると思ったから……

 

 

SOS団の活動は存外曖昧なものの様だ。

土日に集まっては町を散策したり、部室でのんびり過ごしたり、ほとんど楽しむ為にあるような団ね。

 

でも、それは私にとって都合が良かった。

キョンくんと過ごす時間が増えるから……

 

私の思考は、キョンくんと居られる喜びが大部分を占めている。

これが好きって感情なのかな?

 

 

ー私の学園生活は楽しくなりそうだー

 

ー完ー

かがみん~summer days:episode1~へつづく

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最終更新:2007年08月30日 13:25
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