席は俺の下家が長門、対面つかさ、上家がかがみになった。
しかしハルヒはいきなりこんなことを言い出した。
ハルヒ「あ、ちなみにイカサマなんでもありだから!そっちのほうが盛り上がるでしょ!でもばれたら勿論罰符よ!」
おいおい…俺はイカサマ技なんか練習してないぞ。まぁこの面子でイカサマ使えるのは長門くらいだろう。
そんなに心配することないさ。
2位までは決勝に行けるからな。
楽に考えて打とうか。
そう考えたのがすべての間違いだった……。
東一局 0本場 親かがみ
配牌をとってみると…まぁなんだ、最悪だった。ヤオ九牌が7種7牌。国士無双をねらうのも微妙だ。字牌も東と北の一枚だし、厳しいだろう。
かがみが中を捨て、つかさが「あ、それポン」と鳴いた
。つかさが發を捨てかがみも「ポンね…」と鳴いた。
序盤で役牌一鳴きするってことはそれなりに配牌が整っていたんだろう。しかしここからは驚愕としか言えなかった。
かがみが白を捨てつかさが鳴き、また發を捨てた。
ん?配牌で白、發、中が2枚ずつあったってことになる。
なぜつかさは發を捨てたんだ?
これはまさかコンビ打ちか?
しかし確定小三元なのに良く分からない打ち方をするな…。
そしてやっと俺にツモ巡が回ってきた。
つかさがなにやら匂う手をやっていて、気にはなったが北を捨てた。
つかさ「ロン。中、白、混老頭、混一色、対々和。キョン君、倍満だよ」
なんですと!なんといきなり倍満に振りこんじまった!
これはコンビ打ちか?
つかさが發を捨てたのは三元牌すべてを鳴くのは不自然だったからだろう。
そんなことしたらかがみの責任払いだしな。
しかし双子だからか、どうも意志の疎通が出来てるみたいだ。
長門は一度も牌を自摸れなかったんだな…。
まぁまだ序盤だ。
しかしこの振り込みは痛いな…。
点数状況かがみ25000点、俺9000点、長門25000点、つかさ41000点。
東2局 0本場 親俺
配牌はまずまずだった。
タンピン、あわよくば3色まで伸びる手だ。
しかしここでもかがみとつかさはお互い鳴きまくってる。
つかさは索子の2、3、9を鳴いてるし、かがみは白、筒子の1、3を鳴いている。
やはりコンビと見て間違いないだろう。
だがな、鳴きすぎると防御が悪くなるんだよ。
俺は23②③④二三四五五六七八こんな形で聴牌していた。
キョン「リーチだ!」
長門はベタオリの様子。
柊姉妹は突っ張ってきている。
しかしここは俺が一発で高目4をツモった。贅沢言うとつかさから直撃がよかったがな。
キョン「ツモ!リーチ、一発、ツモ、タンヤオ、ピンフ、三色、6000オール」
長門「……」
かがみ「うわっ!キツい手だな~」
つかさ「キョン君良い手入ったんだね」裏ドラは乗らなかったが親っパネだ。
点数状況かがみ19000点、俺27000点、長門19000点、つかさ35000点
東2局 一本場 親俺
俺にツキがきたようだ。
かなり長くなりそうなので省略して書くが5800の6100をかがみから和了った。
東2局 二本場 親俺
ここで静かだった長門がかがみから対々和、三暗刻、ドラ3の跳ね満、12000の12600点をあがる。
やはり鳴き麻雀の二人には防御が弱いんだろう。つかさが振り込まないのが不思議だ。
かがみ「う~ん。調子悪いわね…」
ハルヒ「ちょっとかがみ!あんたキョンなんかにやられるの?」
かがみ「う、うるさいな!勝負はこれからよ!」
こなた「わ~ツンデレだ~」
などとはやし立てられるかがみが少しかわいそうだ。
しかし情けは禁物だ。
柊姉妹が組んでる以上なにが起こるかわからない。
そして次局、長門の超絶パワーを目撃する事となる。
点数状況かがみ300点、俺33100点、長門31600点、つかさ35000点
東3局 0本場 親長門
この局は今まで鳴きまくっていた柊姉妹が全く鳴かなかった。
やはり運が落ちてきたのか。
俺は七対子、タンヤオをダマテンしていた。
つも牌は白。そのままツモ切りした。
つかさ「ロン!面前の大三元だよ!」
なにぃ!!!
ありえん。つかさは強すぎる…。
ツモれば四暗刻のW役満じゃないか…。もしかして鳴かなかったのはかがみとつかさでエレベーターでもやってたのかもな。
万事休すかと思ったときに、長門が言った。
長門「……それは違う。あなたは白と8索のシャンポン待ち。あなたの捨牌には8索がある……」
つかさ「え?さっきまでフリテンなんかじゃなかったはずだけど…あれ?なんでだろう…」
かがみ「つかさ、あきらめなさい。あきらかなフリテンじゃない」
しかし俺は見ていた。
長門がつかさの捨牌から5萬と、自分の手牌の8索をすり替えたんだ。
しかしみんなはつかさの手ばかり見ていて気づかないらしい。
長門、恩に着るぜ。
本当にありがとな。
あの二人がイカサマしてたから長門もやっちまったんだろうな。
こうしてつかさはチョンボ代2000、4000を払った。
点数状況かがみ2300点、俺35100点、長門35600点、つかさ27000点
東3局 一本場 親長門
この時点で長門がトップ、俺が二着だ。
流れは完全に俺たち二人のものかと思ったが……いやはや、実に柊姉妹は息が合っている。
お互いの牌を鳴きまくりで俺と長門になかなかツモ巡が回ってこない。
つかさは筒子の対々和、かがみは良く分からん鳴きをしているのでつかさのおひきに徹する事にしたらしい。
やっと回ってきたツモ巡だが時すでに遅し。
筒子を3つも鳴いていたつかさがツモ和了りした。
つかさ「あ、ツモったよ!清一色、対々和、倍満で逆転だね」
クソ!この二人の呼吸は合いすぎている。
流石に彼女らが組んでる以上俺と長門もなんとかしたいところだが、事前にサインもなにも決めていない。
かがみが箱割れしたが、箱下なしなので続行だ。
しかし次局でやっと東四局。
麻雀ってのはほんと時間がかかるね……。
まぁ明日は土曜日で学校もない。
安心して打つとするか。
点数状況 かがみ-1800点、俺31000点、長門27500点、つかさ43300点
相変わらずどうやってるかわからないが柊姉妹の呼吸の良さ、そして早和了りは異常だ。
しかし長門も黙ってはいなかった。
俺をアシストしてくれてるらしく有効牌をかなり鳴かせてくれた。
東四局に俺がノミ手でなんとかつかさの親を蹴り、南一局のかがみの親の時に、俺は勝負にでた。
つかさは筒子四種を鳴き裸単騎、かがみも索子と白を鳴いておりこちらも裸単騎。
裸単騎は防御が弱すぎる。
俺は役なしの1、4萬待ちだった。
ここで俺は「オープンリーチだ!」と言い、牌を晒した。
つかさとかがみの表情が変わる。
このオープンリーチは、自分の待ちを晒すことになるが、リーチをかけていないものが振り込むと役満ばらいだ。
つかさは大丈夫だったみたいだが、かがみは案の定1萬か4萬をツモったのか、北を捨ててきた。
かがみが次の牌をツモったところで、悔しそうな顔で1萬を切ってきた。
かがみは1萬と4萬をツモってしまったらしい。
キョン「ロン!オープンリーチに振り込みで役満だ!」
これで一気に俺がトップに躍り出た!
かがみ-33800点、俺64000点、長門27500点、つかさ42300点
こなた「おーキョンキョンやるネ!トップは確定的だネ!」まぁこの日までかなり麻雀を勉強したからな。
ここからは早和了りで親を流して行くか!
俺が親の南2局では長門がノミ手を俺から和了り、長門の親は俺が長門からノミ手であがった。
長門は完全に俺を助けてくれているらしい。
そして迎えたオーラス。親つかさ
長門は跳ね満ツモで2着浮上だが、それをかがみが許さなかった。
かがみはダンラスなので、最悪でもつかさを決勝に行けるような打ち方をしていたが、勝負手が入ったのか、かなり強気に出てる。
かがみが初めてリーチをした。
捨牌はかなり迷彩されており、現物でおりるしかなさそうだ。
それから二巡目にかがみがツモアガリ。
かがみ「リーチ、ツモ、ピンフ、純全帯、三色、ドラ3」
3倍満ですと!
最後にすごい和了りを見せてくれたが順位に変動はなかった。
順位は
一着俺 58000点
二着つかさ 30300点
三着長門 21500点
四着かがみ -9800点
となった。
意外な事に長門は3着…まぁ俺に尽くしてくれたからだろう。
かがみもつかさも良くやった。
つかさ、決勝でも頑張ろうな。
つかさ「うん!」
ハルヒ「よ~し終わったわね!キョンがトップは意外だけど…じゃあ第2回戦始まるわよ!」
俺は観戦したかったが、あまりにも熱い勝負を打ったせいか、外の風に当たりたくなった。
俺が部室を出て屋上へ行くと、なんと長門がついてきた。
キョン「おう。長門。本当にありがとう。お前がいなきゃ負けてた。」
長門「……いい。柊かがみ、柊つかさはとても強い。双子の天性。私たちも組まなければ二人とも負けていた……決勝はあなたに任せる」
キョン「そうだな。お前の分まで頑張るよ。俺一人じゃ不安だがな」
長門「……あなたも強いから大丈夫。あのオープンリーチは素晴らしかった」
そうか、と俺は言うと長門は静かに俺のそばによってきて…
長門「……ちゅ…」
キョン「な、長門?」
長門「……これは楽しく打たせてくれたあなたへのお礼…」
そう言うと長門は部室へと戻っていった。
なんだかね、まさか長門からキスされるとは。
嬉しい反面かなり驚いた。
ハルヒのおかげで思わぬ収穫があったな。
さぁ、俺も戻ろう。
ハルヒやこなた…古泉と朝比奈さんは微妙だが…勝負を見届けたいからな。
しかしこの勝負は俺たちの打った麻雀よりも、かなりありえない事態になっていた…。