「……を観……」
「ん?どうかしたのか、長門」
ハルヒが今日は用事があるからSOS団の活動はなしと宣言して帰った日の放課後。
ハルヒが帰るときに浮かべていた何か企んでいそうな表情に少しだけ不安を覚えはしたが
特に用事もないのでとても暇だった俺は、部室で、古泉が
「これなら、あなたに勝てそうな気がします」と持ってきたゲームに興じていた。
今日は俺と古泉、長門以外の皆も用事があるそうなので部室には来ていない。
俺が古泉から十本連取して、そろそろこのゲームにも飽きかけていた頃
長門が本を閉じたのでそろそろ帰ろうかと片づけをしている途中であった。
長門が何かを呟いた気がしたので俺は長門の方を向いてそう尋ねた。
「何でもない」
「それなら別に良いが」
長門の返答も何時もと変わらず素っ気のないものだったので俺は
そのことを大して気にも留めなかった。
部室の戸締りを終えて、長門、古泉と別れてから、俺はハルヒが今度は
どんな厄介事を持ち込もうとしているのか考えながら、家路に着いた。
そんなどうでも良いことを考えていたその時の俺には
去り際に長門が小声で呟いた一言は耳に入るわけがなかった。
「……今は未だ」
A song of the cat which has nine lives: fragment 1 is over.