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岩崎みなみの想い人 1

変わらなきゃいけないと今まで思っていた――けれどやっぱり私は変われなかった。いや、正確に言えば変える必要が無くなった。
今の今までこの性格を疎ましいと思っていたけど、あなたのおかげで気にならなくなった
ありがとう――私の最初で最後の人――

――岩崎みなみの想い人――
桜も一斉に花を咲かせて心機一転の思いを抱く人々が増える春、私は晴れて高校に合格した。そんな人々と同じく高校では楽しい学生生活をおくろうと決意した。中学ではこの、人を寄せ付けづらい性格のせいでお世辞にも楽しいとは言えない三年だったから
――入学式――
もはや単なる惰性でやってるとしか考えられない程退屈な式、不覚にも私はまどろんでしまった。……仕方ない、あの校長の話が長いせいだ。そう自分に言い聞かせて、約二時間に及ぶおおよそ新入生など歓迎はしていないであろう儀式を終えた。
――教室――
ゆたか「岩崎さん…?だよね?」
教室に入っていの一番に私に話しかけてきた物好きな女の子、この子は
みなみ「久しぶりだね…身体は大丈夫?」
入試試験の会場で体調を崩していた、小さな女の子。まさか同学年とは思っていなかった……
ゆたか「うん!あの時はありがとう。これ、あの時貸してもらったハンカチ!」
みなみ「返さなくても良かったんだけど」
そう言おうとして止めた。またこれで人に恐怖心を与えてしまうと思ったから
ゆたか「これから三年間よろしくね。岩崎さん」
みなみ「こちらこそよろしく……小早川さん」
入学式当日に友達が出来るなんて――今までの私としては大きな進歩だ。ふと見ると小早川さんは学校のパンフレットを広げ
ゆたか「この学校って部活色々あるんだよね。岩崎さんは何か入る予定はあるの?」
みなみ「小早川さんは?」
ゆたか「私は…すぐ身体壊しちゃうから…」
悪い事を聞いてしまったな、謝ろうと思った時
ゆたか「部活の見学に行こうよ!ちょっと行ってみたいところがあるんだ!」
私の謝罪はかき消えた。それと同時に私はこの子にある種の羨望を抱いた。この子は私には持っていない明るさを持っている――変われるのであればこの子の性格のように変わりたいと
みなみ「行きたいところって……?」
ゆたか「えっとね、このSOS団っていう部活!」
SOS団…?聞いただけでは全く何をするのか分からない部活だ
ゆたか「ここにね、私のお姉ちゃんが入ってるんだ!」



みなみ「小早川さんはお姉さんがいるの?」
ゆたか「本当のお姉ちゃんじゃないけど。私が下宿させてもらってる家のお姉ちゃん」
みなみ「つまり従姉妹と」
ゆたか「うん!」
ああ、やっぱりこの子は明るくて優しい子なんだろうな。直感とか勘とかじゃなくて、何だか自分でも分からないけどそう確証した
ゆたか「じゃあHR終わったら行こっ!今日は昼に終わるし」
みなみ「…うん」
――HR――
岡部先生「じゃあ…保健委員、岩崎頼めるか?」
みなみ「はい」
男1「おい、あの子可愛くないか?」
男2「ああ~、アイツ何考えてんのか分かんねぇし中学ん時も本ばっか読んでて暗かったぜ」
そんな事、小声で喋っていても……聞こえる。途端に、悲しくなった
――HR終了――
岡部「ではさよなら。明日から高校生活をエンジョイしてくれ。あとハンドボール部に入りたい者は残ってくれ」
しかし願い空しく誰も残らなかった。先生、来年は何とかなりますよ。……多分
ゆたか「じゃあ行こっか」
みなみ「そうだね…」
ゆたか「あ、あれっ?岩崎さん泣いてる?」
みなみ「えっ…」
さっきの陰口のせいだろうか……いつの間にか、気付かない内に涙が出てきていた


みなみ「いや、ううん。大丈夫。それより早く行こう」
ゆたか「う、うん…じゃあ行こ」
本当に大丈夫だから…そんな顔をしないで…ゆたか
――SOS団部室前――
みなみ「ここだね」
ゆたか「何してるのかな?」
みなみ「開けるよ…」
キィ……とかん高い音を立てドアが開いた
みなみ「…失礼します」
ゆたか「失礼します」
これは何て部活だろうか……一人は黙々と本を読んでおり、あと三人いる人達はいずれも女子で……思い思いにボードゲームをしたりギターをいじっている
つかさ「こんにちは。入部希望かな?」
かがみ「こんな部活にも一応来るのね」
みゆき「かがみさん、それは少し失礼かと…」
みなみ「いや、あの、その」
ゆたか「ええと、この部活に泉こなたさんが所属してるって聞いたんですけど…いますか?」
かがみ「こなた…?ああ、最近こなたが言ってた女の子ってあなたの事ね。隣は友達?」
ゆたか「はい!」
小早川さんに友達って思われてるんだ……他愛もない事なんだろうけど、私にとっては凄く――嬉しかった
ゆたか「あのぅ…こなたお姉ちゃん私の事何て言っていました?」
かがみ「うーん、私より小さくて可愛いって言ってたわね」


ハルヒ「んっ?もしかしてあなた達入部希望者?」
こなた「あれあれ、ゆーちゃんじゃないか?」
ハルヒ「何こなた知ってんの?」こなた「うん。うちに下宿している可愛い後輩さっ☆」
キョン「それで…君は何て言うんだ?」
一見頼りなさそうな、この女子だらけの部室には不釣り合いな――けどかっこいい――男の人が話しかけてきた
みなみ「岩崎みなみです…」
キョン「そうか、俺の名前は
かがみ「キョン君アイス~」
そうですか、キョン先輩ですか。変わった名前ですね
キョン「いや、違
ハルヒ「あなた達、コイツはSOS団唯一の平団員だからね!好きに使って良いわよ!」
えっ、いつの間にSOS団に入る事に
みなみ「ねぇ、小早川さん…」
気付けば小早川さんは入部届けと書いてある紙に何やら記述をしていた
ハルヒ「さっ、みなみちゃんも覚悟を決めて」
キョン「おいおい、まだ入るって完全に決めたわけじゃないんだろ?」
確かにこの人は強引だ……それと同時にキョン先輩が人格者に思えてくる。いや、実際に人格者なんだろう。この人の一言一言に安心する何かを感じる
みなみ「いえ…私も入らせてもらいます」


キョン「良いのか?一度入ると二度と出られないし休日は返上することになるぞ」
それぐらいだったら大丈夫です。これも何かしら変わるキッカケとなれば良いと思いますから
キョン「…ならばもう何も言うまい。SOS団へようこそ」
ハルヒ「ちょっとキョン!何アタシのセリフ勝手に使ってんのよ!」
キョン「使ったところでお前にロイヤリティが発生するわけでもなかろう」
ハルヒ「するわよ!」
ああこの人達は仲が良いんだ。二人のやり取りを見て自然にそう思った――なんだろうこの気持、悔しい…の?
こなた「はいみんなアイスとジュース~。つかさ、これ冷蔵庫にしまっておいて」
つかさ「ハーイ」
ゆたか「岩崎さん書き終わった?」
みなみ「う、うん…」
ゆたかの一言で我にかえる事が出来た。そうだ、嫉妬は見苦しい。キョン先輩が誰と何しようが私には関係ないだろうし、キョン先輩に悪い。だけど――やっぱり気になる
ハルヒ「どうやら書けたみたいね。はい、これで今日からSOS団正式団員よ!おめでとう!」
と団長と書かれた腕章をつけた女性が拍手し、それにつられてほかの団員の方も拍手しだした。――無論、キョン先輩も、だ――


ハルヒ「じゃあ簡単な自己紹介をするわね。私は凉宮ハルヒ!SOS団団長よ!ヨロシクっ!」
その圧倒的なパワーに押されたのか小早川さんの顔はポカンと呆けていた――ように見えた
キョン「あー…俺の名前は…うん。キョンだ。名前じゃなくてあだ名だがもうキョンで呼んでもらって構わない」
こなた「ハイハイ注目!ゆーちゃんはもう知ってるけど……私は泉こなた。ゆーちゃんとは従姉妹の関係だよ」
そうだったんだ……まさかこの人と下宿とは思っていなかったから
ハルヒ「ということで!これからよろしくね!あと団長命令は絶対だからね、守らなかったらキツ~イ罰ゲームよ!」
ゆたか「えぇっ!罰ゲームですか?!」
ハルヒ「そうね…みくるちゃんと同じくメイド服でSOS団活動をしてもらいましょうか」
それは…私も含まれるのだろうか?どうなんですか?キョン先輩…
キョン「いや、やりたくないんだったら全力で断れ。その時は俺も全力で応援する」
みなみ「あ、ありがとうございます…」
思えばこの人もこの団長こと凉宮ハルヒ先輩に強いたげられているのだろうか。だとしたらキョン先輩…可哀想だ
キョン「それにしても……」キョン「入学式から寝るのはどうかと思うぞ。あれじゃあ教師にも目付けられちまって後々大変になるからな」
みなみ「///す、すいません」
入学式でのあの失態を見られていたとは……恥ずかしい///もしかして寝顔も見られた?
キョン「まっ、あまり気負ってもダメだからな。みなみ」
いきなり下の名前で呼んでくれるなんて…この人は何も意識してないんだろうか。私の事も。けど、それでも親しみを込めて呼んでくれてるのだと思うと――嬉しくなった
ハルヒ「じゃあ新入部員の紹介をしてもらいましょうか」
ゆたか「えっと、一年生の小早川ゆたかって言います。色々迷惑をかける事もあると思いますがよろしくお願いします!」
みなみ「同じく一年の岩崎みなみと申します。よろしくお願いします」
ハルヒ「ゆたかちゃんにみなみちゃんね。今日のところはこれで部活終了よ、もう帰っても大丈夫。けど明日から活動始めるわよ!覚悟決めてね!」
ゆたか「は、はい!」
みなみ「はい」
だけど活動って…?
キョン「この前は大掛かりなライブをやったな。いや、あれは一時的なものか。普段は――特にやる事も無いからダラダラと暇つぶしをしているだけだな。あと、ハルヒの思いつきに付き合ったりな」
そういえば――中学の時に一回ここの高校の文化祭に来た事がある。その時のライブはプロみたいな人達が演奏していて……それってもしかして……
キョン「ああ、俺達だ。といってもプロは言い過ぎじゃないか?あの時は一杯一杯だったし」
けれど、あのライブは……本当にプロだと思いました。だってテクニックも凄かったし、パフォーマンスも
キョン「アリガトな。まぁ今年はやるかどうか分からんがな」
その時は是非、私もお供させてください
キョン「そうだな、もしやる時は――よろしく頼む。みなみ」
また…この人は…///
ゆたか「岩崎さん?そろそろ行こっか。お姉ちゃん達も帰るって言ってるし」
みなみ「う、うん…そうだね」
ハルヒ「ちょっと待った!今日はキョンの奢りで昼ごはんにしましょ!」
こなた「ゴチになります!」
キョン「やれやれ…まっ、可愛い後輩の前でケチな先輩の姿なんか見せたくないしな。良いぜ、おごってやるよ」
ゆたか「ゴチになります」
みなみ「ありがとうございます」
――校門前――
ハルヒ「みなみちゃんって有希に似てるわね…」
長門先輩にですか?まぁ近いところはあると思いますけど……
ハルヒ「有希とツインギターも面白いわね…」
やれやれ…キョン先輩の苦労が分かる気がする…

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最終更新:2007年09月08日 11:39
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