part38-514氏
パイン飴を舐めているとこなたがやってきて「キョンキョン、私にもパイン飴ちょうだいー」とか言ってきた。
そこで俺は冗談のつもりで舌にパイン飴をのせて舌を突き出して言ってやった。「ほらよ」ってな。
するとこなたは唇を重ねてきて舌を絡ませてきた。
長い時間舌を絡ませ続けていると、パイン飴は溶けてなくなってしまった。
こなたは真っ赤な顔をして「美味しかったヨ」と言って逃げ出すように教室から出て行った。
その様子を見て俺は思ったね。
あいつは本当にパイン飴が好きなんだな。
part38-706氏
いつものようにパイン飴を舐めていると今度はかがみが寄ってきた。
かがみは顔を赤らめながら「わ、私もパイン飴ちょうだい…」と俯き加減に言っている。
なるほど、こなたが先ほどパイン飴を舐めているのを見ていて欲しくなったのか。
いつもかがみには世話になってるからな。
こなたみたいに適当にあしらうのも申し訳ない。
そこで俺は袋からパイン飴を一粒出してかがみに渡した。
かがみは何故か肩を落として自分の席に戻っていった。何でだ?
part38-735氏
パイン飴を舐め終え至福の一時に浸っているとつかさが寄ってきた。
俺は「つかさもパイン飴が欲しいのか?」とつかさに聞くと、つかさは何やらもじもじしている。
つかさは「え、えっとそうなんだけど…渡し方というか…その…こなちゃんみたいに…」と赤面しながら小声で言っている。
今日はパイン飴が随分と売れる日だな、などと考えてみる。
しかしこなたみたいに渡せ、というのがどういうことなのか解せない。
こなたのアイデンティティーと言えば…ロリ体系、ハードヲタクといったところか。
ふむ…となれば。
高校に入ってハルヒの無茶に付き合わされるようになり俺の理解力には磨きがかかったと言えるだろう。
この二つの観点から思い浮かぶことは一つしかないはずだ。
「愛と正義と権力の味方!魔法少女マジ狩るキョンキョン、パイン飴でオシオキよ!」
呆然とするつかさを傍目にクラスメイトの目が冷たかった。
part39-76氏
昼飯を食おうと思ったら弁当が無いことに気付いた。
なんてこった、家に忘れてきたらしい。
谷口と国木田は都合の悪いことに学食に行ってしまっている。
思案に暮れていたところ、みゆきさんが声をかけてきた。
「よければお昼、ご一緒しませんか?」と。
弁当が無いことを説明すると、みゆきさんは自分の弁当を分けてくれると言うので俺はHOIHOIその誘いに乗っていった。
しかしみゆきさんの弁当の豪勢なことよ。
本人は「昨日の残り物でお恥ずかしいのですが…」と言っていたが、それなら俺はみゆきさんの家の残飯でも食えることだろうよ。
二人で一つの弁当を分け合ったので腹を満たすとまではいかなかったがそれでも昼飯抜きよりはマシだ。
何かお礼がしたいと申し出たところ「では、その…あ、あーん、でパイン飴を頂きたいな…と」とみゆきさんは言った。
みゆきさんにもこういうお茶目な所があると分かって俺はつい微笑ましくなってしまった。
しかし残念ながらパイン飴はつかさに渡した分で切れてしまっている。
どうしたものかと思案する暇もなく、俺は思いついた言葉を口にした。
「だが断る」
みゆきさんの表情が何故か凍りついていたが、俺はパイン飴を買うべく購買に向かった。
part39- 344氏
パイン飴を買ってご満悦になりながら教室に戻ると、こなたたち四人が俺に詰め寄ってきた。
「キョンキョンってば大胆だネ。キャラに似合わず照れちゃったヨ」とこなた。
「こなただけあんな渡し方して私は普通に手渡しってどういうことよ!」とかがみ。
「確かにこなちゃんみたいに、って言ったけど意味取り違えてるよぉ…」とつかさ。
「皆さんはまだいいです。私なんてパイン飴すら頂けないなんて…」とみゆきさん。
これは困った。それぞれ言葉の意味しているところがよく分からない。
事情を説明するにも言質が分からなければ説明のしようも無い。
どうやって切り抜けるか思案していると、俺の頭の中である方法が閃いた。
つい先日買ったゲームの特典にこういう場合の回避の仕方が書いてあったじゃないか。
俺は声高に「シャッフルタイム・スタート!」と叫んだ。
こなたたちが何をシャッフルするのか悩んでいるうちにその場を切り抜けるという、目から鱗の仰天策だ。
世の中何が役に立つか分からないもんだ。
さて、4人がシャッフルタイムに惑っている間にさっさと切り抜け…
「逃げようったってそうは行かないわよ」とかがみに肩を掴まれた。
棗恭介を超えるとはこの4人、侮れない。
part40-128氏
こなたたち四人に拘束され、逃げ場を失った俺は諦観の念とともに椅子に座りうなだれていた。
四人は満足げな表情だ。一体俺はこれから何をされるんだ。
まさか裸にひんむかられて穴と言う穴にパイン飴を…
悔しいっ…!でも感じちゃうっ…!
しかし四人の要求は予想していたものとは逆の色合いのものだった。
まずこなた。
椅子に座っている俺の太ももの間に座り込み、腹の辺りに手を回させられた。
フンフフーン♪なんて鼻歌を歌ってやがる。/(=ω=.)\ナンテコナタイ
次にかがみはまず俺に自分と対面するよう指示した。
そしてかがみは俺の指に指を絡ませ(俗に言う恋人つなぎだ)その指を胸の前まで持っていき、そのまましばらくの間見つめ合っていた。
かがみは何故か潤んだ瞳をしていたが、対照的に俺は至極気だるげにかがみを見ていた。温度差がひどく激しい。
つかさの要求は所謂お姫様抱っこだった。
制服のスカートが短いので中が見えないようにスカートを抑えたら「そ、そんなとこ触っちゃダメぇ!」なんて言われた。どうしろと。
最後はみゆきさんだ。
この四人の中で最大の良識派。きっとこれまでの三人よりはまともなことを…と考えていたがやはり神に祈りは通じなかった。
俺は要求どおりみゆきさんを抱きしめて耳元で「みゆき…」と囁いた。一体俺が何をしてこんな目に。
クラスの雰囲気は氷河期突入、男子の視線は絶対零度。
俺のヒットポイントはもう毒の沼を一歩進んだだけで0になる。
さようなら、父さん母さん。妹よ、お前がもうちょっと落ち着いていられるようになるまで兄は見守りたかったぞ。
そうして灰になりながらふとあることに気付いた。
四人の要求、パイン飴と全然関係なくね?
part40-537氏
本当に散々な目に合った。段ボール箱を隠れ蓑にクラスから逃げ出してきたので俺がいなくなったことには誰も気付いていないだろう。
まったく、クラス全員に凝視されてる中であんなこと、恥ずかしさで死ぬかと思ったぜ。
かがみは「あんた、こなたにそれ以上のことしてたでしょ!」だのなんだの噛み付いてきたが、何のことやらさっぱり分からん。
言いがかりも大概にして欲しいもんだよ。
谷口なんかは羨ましがってたが、公然の羞恥プレイをしたがるなんてあいつは真性のドMなんだな。俺の中での谷口評価がまた下がったよ。
クラスにいても周囲の視線が冷たいので中庭に出てきたんだが、それはそれで暇だ。
何か暇つぶしになることでもないかねぇ…なんて思ってると後ろから声をかけられた。
「あれ?キョン先輩?」
ゆたかか。この子は何かと反応が面白いので時々撫でくり回して可愛がったりする。
おっと、勘違いするなよ。俺にロリータの趣味は無い。
しかしナボコフも可哀想だな。文学が変質的趣味嗜好の言葉として使われてしまって。
そんな益体も無いことを考えていると、珍しく一人のゆたかがベンチの隣に座ってきた。
何が面白いのか「えへへ」と顔を赤らめながら笑っている。訳もなく可愛い。
俺のやさぐれた気分を癒してくれたお礼にパイン飴をあげよう。
そう思ってポケットからパイン飴を出すと、暑さのせいか若干溶けてベタベタになってしまっている。
これを渡すのもなぁ…なんて考えながら袋から取り出したが、しまったことに指に溶けたパイン飴がついてしまった。
仕方ない、後で手を洗うしかないだろう。今はこのパイン飴をゆたか姫に差し上げるのみ。
そうしてあーんを促したら、驚いたことにゆたかは俺の指に舌を絡ませて溶けてしまったパイン飴をも舐め取ってしまった。
行為を終えた後にゆたかは「私も、もう高校一年生なんですよ…」と意味ありげな表情で去っていった。やはり訳もなく可愛い。
しかしゆたか、お前が高一なのは周知の事実だ。見た目はそうでもないがわざわざ言う意味が分からんぞ。
けどな、ゆたか。人の指を舐めてベタベタにしちまうのはお兄さんどうかと思うぞ。
part42-202氏
放課後、俺はハルヒに先に部室に行くよう促した。
今回の俺のミッションはあいつがいては成り立たない。
ハルヒが教室から出て行くのを確認すると俺は教室の隅に移動し、体育座りで頭を抑えてうずくまった。
こうすることで心配した誰かが俺に近づき、俺はパイン飴を勧めることでパイン飴の普及を促進させるという訳だ。
クラスメイトの誰もが俺を可哀想な目で見ている。
誰かが話しかけてくるのも時間の問題だ。
チラリチラリとドアのほうを見ているとゆたかとみなみが教室に入ってくるのが見えた。
ゆたかが何かこなたに用事があるのだろう。
みなみはこちらを一瞥すると何か言いた気な目で俺を見てきた。
ゆたかがこなたと喋っている間にみなみが俺に近づいてくる。
さぁ来い。そしてパイン飴を食べるがいい。全ては俺の完璧な作戦の下にある!
やがてみなみは俺の前に立ち止まる。
みなみは一瞬戸惑い、本当に心配そうな目線でこう言った。
「先輩…頭どうかしたんですか…?」
俺は声をあげて泣いた。
part42-318氏
俺は今日ある重大な決意を胸に朝のSHRに臨んだ。
担任が連絡事項を伝え終える。
さぁ一限目の準備だ、とみんなが机の中を漁っている中、俺は一人教壇に向かった。
既に数人が何を始めるのかと注視し始めている。
教卓の上に立ち、俺は「みんな、聞いてくれ」と今から始まる出来事を伝えるべくクラス中の視線を集めた。
俺は声も高らかにこう宣言した。
「今から、謝パイン飴祭(カーニバル)を始める!」と。
俺はありったけのパイン飴をクラス中にばら撒く。
最初は唖然としていたクラスメイト達も、谷口が「パイン飴様、お鎮まりなされぇぇぇ!」と叫ぶと何が始まったのか理解したようだ。
一瞬でクラス中は熱狂の渦に巻き込まれる。
授業開始のチャイムが鳴ろうが今の俺達にはもう関係無い。
「みんな、今日は俺のパイン飴で大いに盛り上がってくれ!」「ヒャッホー!パイン飴サイコー!」
「エブリバディセイ!」「パイン飴サイコー!」
「ラブアンドピース!」「パイン飴サイコー!」
いつの間にか一年のゆたかやみなみも混じっている。
みんなパイン飴を愛しているんだ。俺は目頭が熱くなるのを感じた。
授業妨害で三日間の停学処分を下された。