最近集まってお喋りなんかしていると、結局話題はキョン君のことに行き着いてしまう。
ま、芸能人やタレントやドラマの話なんかしても、こなたはそういうのに全くと言っていいほど興味がないし、ゲームやアニメの話を始めようものなら、つかさが付いて来れないし、お料理の話なんかされたら私が・・・女として悲しくなるから、みなまで言うまい。
結局、日常ネタ以外では、美味しいものの話か、キョン君の話がメインになってしまう。
「食欲と性欲こそ、人間の根源的な欲求ですヨ」
おいこなた、食欲はともかく性欲ってのは止めなさいよ。まあ・・・あながち外れってわけでもないけど、ちょっとはオブラートに包みなさい!
「ねぇこなた、アンタ、先週末キョン君と一緒に遊んだんでしょ。どうだったのか教えなさいよ」
「ん~、お買い物に付き合って貰っただけだヨ。その後、ウチに来てもらって夜ご飯ご馳走したけどね」
こいつ、ちゃっかりとポイント稼いでるわね。まさかとは思うけどその・・・抜け駆けとか、していないわよね?
「・・・・・・えへへ」
なにっ、こなたっ! キョン君と何かやったのかっ! やってないよな? やってないって言えやゴルァ!
「お姉ちゃん・・・怖いよ~、落ち着いてよ~」
・・・ごめんねつかさ。お姉ちゃん、思わず取り乱しちゃったよ。ついでにこなたもゴメン。
「かがみんはキョンのことになると、すぐムキになるからね。からかい甲斐があるよ」
私とつかさ、こなた、そしてみゆきが4人とも、キョン君のことが好きだと分かったとき、私たちはいくつか約束をした。
告白するなら高校卒業後。
個人的にキョン君を遊びに誘うのはいいけど、絶対に色仕掛けでキョン君に迫ったりしないこと。
キョン君の方から私たち4人のうちの誰かに告白してきたら、その時は素直に諦めて祝福すること。
キョン君が私たち以外の女の子と付き合うことになったら、その子に悪いのできっちり身を引くこと。
こんなのは奇麗事、って笑う人もいるかもしれないわね。
でも、私たちは大切な友人同士だし、せっかくキョン君も含めて、良い関係を築けているんだから、キョン君争奪戦もなるべく、フェアに行きたいんだ。つかさやこなたやみゆきもそう思ってるはず。
ま、恋愛ってのはロジックじゃないから、もしかしたらこのルール、破っちゃう子が出てくるかもしれないけどね。
「またアニメ○トやゲ○マーズに引っ張りまわしたわけか。ホント、色気の欠片もないわねぇ」
内心ホッとしているんだけど、こんな調子でこなたをからかってみる。さっきの仕返しだ。
「侮るなヨかがみん。私がキョンと2人っきりの時、どんな甘い会話をしているかキミらは知るまい!」
はいはい、キョン君と2人で甘い言葉を囁きあってるって言うのね。それじゃそのやりとりってのを具体的にお教え願いましょうかね。ふん、お子様のくせに!
「どんなお話・・・あの・・エッチなお話とか」
つかさ、そんな話を期待するだけ無駄よ。こいつに限ってそんなことはないない。
「・・ふふ~ん、つかさはなかなか勘がよろしいですなぁ」
こなた、言っとくけど、私は挑発に2度も引っかからないからね。
「キョンって結構気が利かないって思われてるっぽいけど、そんなことないよ。先週出かけたときも、私、あの日でちょっと調子悪かったんだけど、キョンがなにげなくフォローしてくれてネ・・・」
キョン君は私たちには、いつも優しいでしょ。何をいまさら。
「いや、でも毎月アレの時は、何も言わなくてもあれこれ気を使ってくれるんだよ。これって男友達のレベルを超えてると思わないかい」
「こなちゃん・・・つまりキョン君って、こなちゃんの生理日を知ってるってこと?」
「知ってるともさつかさ。だってよく話するもん」
「うわ~、そういう日にきっちり気を使ってくれるって、なんか彼女相手みたいだよね~」
こいつ、侮れん。自分のキャラを最大限生かして、外堀を埋め立てていやがったのか?
こなたはギャルゲーやエロゲーもやるし、そっち関係の同人誌も読むし、趣味が男の子に近いところがあるから、そのテの話を恥ずかしがらずに、すんなり出来るタイプなんだろう。
私は女の子らしいつかさやみゆきこそが、最大の強敵だと思っていたけど、認識をちょっと改める必要があるみたいね。
「あんた・・・見かけによらずなかなか大胆ね」
「まあ・・・ね。なにせ私はつかさやかがみんやみゆきさんと比べると、スペック的には不利だからネ。まともに勝負したら話にならないわけですよ。女は度胸!」
くそっ、さすがに私にゃ、キョン君に生理日を教えるなんて芸当は、恥ずかしさが先に立って出来ないわ。
「ねぇねぇ・・・じゃあこなちゃんって・・・キョン君とエッチなお話とか、したりするの?」
そう、そんな話をされるとやっぱりそれ、聞きたいよね。
「そりゃまぁ、お年頃ですからねぇ。キョン君の部屋からお宝を発掘して、色々問いただして反応を見てみたり、女の子もオナニーするんだヨって教えてあげたり、つかさが毎晩、キョン君をオカズにして指を使ってるって教えてあげたり・・・」
「ちょっとこなちゃんっ! 私、毎晩はしてないよっ! それにキョン君に言うなんて酷いよ!」
「最後のは冗談だヨ。流石につかさを売るような真似はしたくないし。それに・・・つかさが直接キョン君に言ってあげた方が、キョン君喜ぶと思うよ」
おい、つかさ! 「毎晩は」してないってことは、1日おきくらいにはしてるんだな。まあ、私だってオナニーくらいはするし、キョン君とのエッチを想像しながら・・・ってこともあるし、別にいいんだけど、つかさの女の部分をモロに見てしまった気がして、これはこれでちょっと複雑だよ・・・
「いまさら恥ずかしがることないじゃんつかさ。私らだって健康な身体を持つ、お年頃の女子高生なわけだしね」
まあ、キョン君と遊ぶようになってから、私らの会話もその・・・世間並みの女子高生のレベルに上がった気はする。女の子同士の会話って本来はけっこうアレだしねぇ。これも思わぬ副産物ってところか?
「こなたもサ・・・あの、やっぱりキョン君のこと考えたりしながらその・・・するの?」
「そりゃしますとも」
あっさり答えやがったよ。こなた、お前には恥じらいってモンがないのかいっ!
「どんなシチュエーションで?」
つかさ・・・可愛い顔と声でこんなこと聞くなんて、アンタも変わったよね。お姉ちゃんはちょっと悲しいよ。
「週末も、買い物が終わったあと家に行ってさ。夕飯の支度するのもまだ早かったから、キョンと2人でクーラーかけた部屋でめいめい、本なんか読んでまったりしていたわけサ。暑かったんで私、ノースリーブにミニスカートなんか履いてたわけだけど、多分・・・いろいろ見えちゃったんだろうね。いきなりキョンがのしかかってきてね、びっくりしているうちに上を脱がされて、スカートの中に顔を・・・」
ちょ・・・ちょっとこなたっ! アンタそんなことあったのに平気なの! 何淡々と話してるんだよ!
「そんなシチュエーションを想像しながらやったりするよ」
してやったり、とニヤニヤするこなた。くそっ、またやられた! こいつは普段があれなだけに、真面目に話し出すと結構真に迫った話し方に聞こえる。タチ悪りぃ~!
「ねぇ、かがみんもちょっとは興奮した? はやく下着穿き替えた方がいいヨ」
「・・・この変態~っ! 誰が興奮するか~!」
「私はいくら相手がキョン君でも、無理やりっていうのはヤダなぁ」
真っ赤な顔をしながら話すつかさ。じゃアンタはその・・・どういうのが・・・いいわけなの?
「ほれほれつかさ。私も腹割って話したンだからさ。つかさも思い切って話しなよ。凄っごいのを1つ」
こなた、つかさはアンタが期待するような凄い想像なんてしてないわよ。きっと可愛い感じの・・・
「そういうのって・・・その、場所なんかも大きな要素の1つになると思うんだよね」
「教室とか体育倉庫とかネ・・・ふ~ん、つかさはそういうのがお好みか、ニヤニヤ」
「こなちゃん、学校でエッチなことするのはいけないと思うの」
「え~、お約束じゃん。私はしてみたいけどな」
「私がよく想像するのはね・・・その、お風呂とか・・・おトイレ」
ちょ・・・ちょっと待ったーっ! 今なんつった?
お風呂っていうのはまあ、分かる。すごく分かる。私だって彼氏と一緒にお風呂に入ってみたいし、洗ってあげたいし、洗って欲しいし、手や口で・・・というのはともかく、彼氏と一緒のお風呂というのはいい。トイレってのはなんですか?
「お~、つかさも見かけによらずマニアックだね。確かに超密室だし、興奮するかもね」
こなた、他人事だと思ってあっさり感心するな。身内としては心配だぞ。
「密室っていうのもあるけど・・・その・・・キョン君の目の前で、してみせてあげるんだ・・・おしっこ・・・」
そっ・・・そっちかいつかさ! 私・・・なんて反応して良いのか分からないよ。助けて神様!
「でもさつかさ・・・キョンは妹がいるんだから、小さい時、そっち方面の面倒を見せられて耐性があるかもよ?」
「こなちゃん、妹さんと彼女とは違うでしょ。それに好きな人だから、自分の一番恥ずかしい格好を見られても・・・」
こなた、つかさ、私あんたらの今の会話についていけないよ。私がウブ過ぎるのかな・・・いや、違う、違うに決まってる。
「ふ~ん。つかさの言う事も一理あるかもしれないね。だがそうならばなおのこと、つかさにはキョンは渡さんっ!」
「何で?」
「キョンがつかさに、どんな変態プレイを強要されるのかを想像すると、あまりに忍びなくてネ」
「お互いが愛し合って、ちゃんと納得していれば自由だもん!」
「つかさよ・・・まさか終わった後、舐めて拭かせたりする気はないだろうな?」
「・・・・・・」
なあお前たち。キョン君がこの会話を聞いたら、多分ドン引きして、二度と私たちと遊ばなくなると思うぞ。
「さて、私やつかさが腹を割って話したということで、残りは・・・」
「お姉ちゃ~ん・・・」
なっ・・・ないわよ私には、あんたたちみたいな変態的な嗜好はっ!
「そんじゃーね。今日は有意義な話がいっぱい出来て良かったヨ。また学校で」
「こなちゃーん、バイバイー!」
私はとっても疲れたよ。真っ白に燃え尽きて灰も残りませんよ。寝る前に多分しちゃうと思うけど。
「それにしても、かがみんも私らのこと変態って言えないよネ。まさかかがみんがあんな・・・」
「やめーい!」
これも青春群像と言って良いのだろうか。キョン君に惚れて、堕ちて行きます柊かがみ。
・・・それにしても、現段階じゃ心理戦では、こなたにかなり先を越されている。
キョン君とエッチな話が出来るというのは羨ましい。このままこなた一人勝ちってのは阻止しなきゃね。
「ねぇ、つかさ・・」
「何? お姉ちゃん」
「私たちもさ・・・キョン君に対して、もうちょっと女の子パワーを出して行こうか?」
「・・・そだね」
「つかさ、協力しよう。今度さ、キョン君をうちに誘って・・・」
「うん、私たちもこなちゃんには負けてられないしね。頑張ろう!」
柊かがみ17歳。キョン君ゲットに向けて頑張ります!
追伸
「・・・あの・・・もしかして私、忘れられているのでしょうか?」