part29-522ふもっふ◆uwH5dlGqj6さんの作品です。
私の名前は小早川ゆたかです。
あこがれの志望校になんとか入学でき、そこへ登校してます。
でも、自宅からは遠いので親戚の泉さんの所に居候しており、こなたお姉ちゃんやそうじろう叔父さんによくしてもらってます。
私小さい頃から病弱で身長も小柄・・・で、でも大きくなったら伸びるもん!
「ゆたか・・・」
「あっ、みなみちゃん」
私を呼んでる人は岩崎みなみちゃん。受験日の試験後に気分が悪くなってトイレに行ったときに、
「・・・大丈夫?保健室まで一緒に行こうか?」
なんて言ってくれてハンカチまで貸してくれた優しい人だよ。
まぁあの時は私を同学年の受験生と思ってなかったらしいけどね・・・。
「ゆたか・・・少し顔色悪そうだけど・・・大丈夫?」
「えっ・・・そうかな?自分じゃよくわからないけど。今は何ともないよ」
「そう・・・それならいいけど」
ホントにみなみちゃんは優しいなぁ。みなみちゃんの彼氏になった人は絶対幸せになれるよ。うん。
次の日、私はいつものように朝目覚める。・・・ん?ちょっと頭が痛いような?まあそんなことで学校休むわけにはいかないし、頑張っていこっと。
「おはよう、お姉ちゃん。叔父さん」
「ゆーちゃん。おはーっ。・・・なんか顔色悪そうだね?大丈夫?」
デジャブ?昨日もみなみちゃんに聞いたような・・・?続いて叔父さんも口を開いた。
「ホントだ。ゆーちゃん風邪引いたのかい?一応熱測ったほうが」
「少し頭が痛いですけど・・・大丈夫です」
「無理しちゃ駄目だよ。ゆーちゃん」
「叔父さん・・・ありがとうございます」
お姉ちゃんや叔父さんの優しい気遣いを受けつつ、それでも私は学校へ行くことに。
ただ、この時、今までになかった事が私に降りかかろうとはこのとき思いもしなかった。
そして、私は学校に到着した。なんだろ・・・朝起きたときと比べて身体がだるく、朝よりも頭痛が強くなり、足取りが重い・・・。
あれ、本当に風邪引いちゃったのかなぁ。自分ではよくわからないんだけど・・・。
とりあえず保健室に行こう。私はそう思った。
学校に入り、真っ先に保健室へ向かう。確か1階だったよね・・・。
歩くたびにしんどくなってきちゃった。
あっ。保健室が見えてきた。・・・・・・あれ、景色が霞む・・・。
バタッ。
「だ、大丈夫ですか!?」
最後に聞こえた声・・・誰だろう。男の人だったような・・・。
私は目が覚めた。・・・ここはどこ・・・?ベットの上で寝てるという事は・・・保健室?
「お気づきになりましたか」
突然話しかけてきた。その彼はベットで寝ている私の横に椅子に座っている。
えっ?誰だろうこの人。初めて見るような・・・。でもこの声、聞いたことあるような。
「身体の具合はどうです?もう大丈夫ですか?」
「えっと、少し頭がボーッとするような・・・」
「先程保険の先生が風邪と仰っていました。頭がボーッとするのはその所為では?」
「風邪なんですか・・・朝からちょっと調子が悪かったのでもしかしてとは思ったんですけど・・・」
「・・・あまり無理をなさらないほうがいいですよ」
「は、はい・・・」
なんかとても優しそうな人だなぁ。みなみちゃんと一緒でいい人そう。
あれ?でも私ベットの上で寝てるということは・・・
「あの・・・私を運んでくれたのはあなたなんですか?」
「えっ、そうですが・・・。いえ、いきなり保健室の前で倒れてしまったので、放っておけずにはいられませんでした」
「そ、そうなんですか・・・あ、ありがとうございます・・・」
「いえ。お気になさらずに」
その時、彼は満面の笑みを私に見せてくれた。と同時に私の顔が赤くなってることがわかった。
「え、えと、その、ホントにありがとうございましたっ!」
「どうしたんですか?顔が赤いですよ?熱が上がったのでは・・・」
そ、そんなんじゃないです。えと、・・・なんか恥ずかしいような・・・。
そして数分経ち、彼が椅子から立った。
「それでは、そろそろ僕は失礼します」
彼が保健室から立ち去ろうとした。いけない!今度こそはちゃんと聞かないと。
「あ、あのっ」
「はい?」
「・・・あなたのお名前は・・・折角助けてくれた人の名前を知らないなんて失礼かと思いますので・・・」
「・・・礼儀正しいですね。僕は古泉。3年生の古泉一樹です。よろしければあなたのお名前を」
「え、えっと・・・1年生の小早川ゆたかです!」
「小早川さんですか。1年生と言う事は今年入学したばかりですか」
「そ、そうです」
「そうですか・・・これからも頑張ってくださいね。では、お大事に」
そう言い残し、彼・・・ううん。古泉先輩は保健室を出て行った。
「それにしても・・・」
さっきからなんかドキドキが止まらないよ・・・この感情は今まで感じたことないなぁ。
もしかして、この気持ちが・・・この感情が・・・
これが『好き』って気持ちなのかなあ。
そうだ。私は古泉先輩の事が好きなんだ・・・。
とりあえず保険の先生から今日は大事をとって家に帰りなさい。と言われちゃった。それから薬を飲んでゆっくり休みなさいと。
確かにこれ以上迷惑かけたら駄目だし、今日は帰ろうかな。
「担任の先生にはちゃんと言っておくから」
「はい。ありがとうございます」
学校を出ようとしたとき、みなみちゃんと出会った。
「ゆたか・・・大丈夫?」
「みなみちゃん。私風邪みたいだから今から家に帰るんだ」
「そう・・・ごめん、ゆたか」
「み、みなみちゃんが謝ることないよ~うん。身体の弱い私の所為だから」
「でも・・・」
「あっ、もう授業始まっちゃうよ。みなみちゃん」
「あ・・・ごめん。もう私、行くね・・・お大事に」
やっぱりみなみちゃん優しいなぁ~。優しすぎるよ。こんなに私のこと思ってくれたり。
あっ、今朝起きた事話せばよかったかな?まあ明日でいいや。
無事に家に着いた。やっぱり身体がだるくなってきちゃった・・・。途中で倒れなくてよかった~。
「叔父さん。ただいま」
「ゆ、ゆーちゃん!どうしたんだい。まだ学校終わってないんでしょ?何か忘れ物かい?」
「えと、実は学校で倒れて・・・」
「何ぃ!?倒れた!こりゃいかん!救急車呼ばないとな」
「お、叔父さん落ち着いて。た、ただの風邪だよ・・・」
「へ?な。なんだ~風邪か~。やっぱり今朝言ったときに今日は休んだほうがよかったんじゃなかったかな?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「謝る事はないさ。ささ、着替えてベットに横になってなさい。後で薬とか持ってきてあげるから」
「ありがとうございます」
それから自分の部屋に入り、ベットで寝る事に・・・。
それにしても・・・古泉先輩か~。あの人も優しい人だったなぁ・・・。
おまけにかっこいいし・・・
そう考えてるうちに深い眠りについた。
『私、あなたの事が好きです!ど、どうか私と付き合ってください!』
『・・・偶然ですね。僕も君の事が好きだったんです。初めて会ったあの日から・・・僕なんかでよければ・・・』
『あ、ありがとうございます!古泉先輩!』
『これから僕達は恋人同士ですから「一樹」と呼んでもいいですよ』
『・・・じゃあ、一樹さんで・・・』
そうして私達はキスをしようと・・・
「!」
目が覚めた。なんか凄く恥ずかしい夢を見てたような・・・。夢にまで出てきちゃうなんて・・・。
「・・・今何時だろ・・・?」
「今は夕方の5時半だよ。ゆーちゃん」
「え、こ、こなたお姉ちゃん!?」
「そ、そんなに驚かなくても!」
びっくりした。まさかお姉ちゃんがいるとは。
「ところで、具合はどう?ゆーちゃん?」
「うん。ゆっくり眠ったら楽になったよ」
「そっかそっか。それはよかったよー。じゃあ一緒に格ゲーやる?」
「ふぇ!?そ、それはちょっと・・・」
「アハハ。冗談だよ冗談。じゃあご飯が出来たら持ってきてあげるからね」
「ううん。いいよ。私も一緒に食べるよ」
「そう?じゃあ出来たら呼ぶからそれまでゆっくり休んでなよ」
楽になった。って言ったけどやっぱり身体が少しだるいかな?
そうだ。お姉ちゃんも3年生だし、古泉先輩の事知ってるかも。聞いてみようかな。
「あっ。お姉ちゃん」
「ん?どしたの?ゆーちゃん」
「えと・・・聞きたい事が」
「どーぞどーぞ。先輩がなんでも聞いてあげるよ・・・勉強以外で」
「・・・古泉先輩という人知ってる?」
「こ、古泉。小泉・・・ああ!あの人か!」
「お姉ちゃん知ってるの!?」
「確か・・・1年生の時にこの学校に転校してきて、んでSOS団ていうクラブに入ってるみたいだよ」
SOS団・・・?なんだろ・・・。
「まあ詳しくはかがみから聞いたほうがいいかもね。SOS団の一員だし」
お姉ちゃんが言うに、かがみ先輩はSOS団にいるキョンって人が好きで親しくなるためにSOS団に入ったとか。
「じゃあ明日学校で聞いてm・・・」
「ゆーちゃん。明日学校休みだよ」
「はぅ」
「そだ!」
「?」
お姉ちゃんは明日、家にかがみ先輩とつかさ先輩が遊びに来るって言った。
だからその時に聞いたらどうかな?って。うん。そうさせてもらおうかな。
何か改めて思い返すと恥ずかしくなってきたなぁ。それと同時に不安も・・・。
もし、古泉先輩に彼女がいたらどうしよう・・・。もし、古泉先輩に好きな人がいたらどうしよう・・・。
いろいろ考えてたら夜の7時になり、お姉ちゃんの声がした。
夕食を済ませ、お風呂に入る。そして薬を飲み、まだ病み上がりだから早めに寝よう。
おやすみ・・・。
そして朝になった。昨日丸一日寝てたのにぐっすり眠れるなんて・・・風邪の所為かな。
身体は・・・うん。もう大分楽になった。でも念のため体温測っておこうっと。
パジャマの上のボタンを少し開け、その中から体温を私の脇に挟む。後は待つだけ。
ピピッ。
「んー。35.9か・・・風邪ももう直ってるや」
ガチャ。ドアを開ける音がした。
「ゆーちゃんおはよー。具合はどう?」
「うん。もう直ったよ。お姉ちゃん」
「そっかそっか。それはよかったよー」
「・・・お昼に来るの?先輩達」
「うん。それくらいかな」
「そっか・・・」
だんだん緊張してきた。古泉先輩の事を聞けると思うと。心臓がドキドキしてきちゃった。
「・・・いやー恋する乙女は一段と可愛いねぇ~」
「ふぇ!?お、お姉ちゃん!?」
「まあその古泉って人からいろいろ聞けたら、今度は私が恋愛のテクニックやら必勝法やら教えてあげるよ」
「すごーい。お姉ちゃんて昔恋とかしてたの?」
「え・・・う、うんうん。恋愛経験は豊富だからいろんな事教えたげるよー」
「ありがとう!お姉ちゃん」
(うーん・・・ギャルゲーでいろいろその知識養った。なんて言えないや・・・)
お昼になり、インターホンが鳴った。来たみたいです。
「おーす」
「こんにちは。かがみ先輩」
「こんにちは。ゆたかちゃん」
「やあ。ささ、上がって・・・ん?つかさはどったの?」
「ああ。今日朝から風邪引いちゃってさ。急に来れなくなったんだ」
「そうなんだ。風邪流行ってるのかねぇ」
「ん?」
「まま、私の部屋でいろいろ言うよ」
私達3人はお姉ちゃんの部屋へ向かう。
そして、適当にテーブルを囲んで座った。
「さてと・・・今はまだ5月だし風邪が流行ってる時期じゃないと思うけど」
「いやいや。実は昨日ゆーちゃんが風邪でダウンしたんだよ」
「そうなの?」
「はい。学校で倒れてしまって・・・」
「た、倒れたって・・・」
「それでさ、今日はゆーちゃんがかがみに聞きたい事があるんだってさ」
「へ?私に?何何?」
「え、えと・・・かがみ先輩ってSOS団に入ってるんですか?」
「・・・うっ。こ~な~た~。あんた・・・」
「喋ったよ」
「わ、私のイメージがぁ・・・・・・」
「まあまあ」
あれ・・・私聞いてはいけない事聞いちゃったのかな。かがみ先輩落ち込んでる。
「で、ゆーちゃんが聞きたい事はこの事じゃないでしょ」
「あっ。そうだった。そ、それで、そのSOS団の中に古泉先輩って人いますよね・・・?」
「えっ?いるけど・・・」
「・・・・・・」
うう、この先の事緊張して話しにくいよ・・・。なんか恐いし・・・。でもかがみ先輩はこういう事に鋭いのか、
「・・・もしかして古泉君の事好きだったりして」
「はぅ!?」
「流石かがみん・・・一発で見抜くとは」
「その顔の赤さ。どうやらそうらしいね」
「えっと、その・・・あの・・・その通りです・・・」
「うんうん。その気持ち、よーくわかるわ。で、聞きたい事って古泉君に彼女がいるのか、好きな人がいるのか・・・でしょ?」
そ、そこまで見抜くなんて・・・。え、エスパーか何かですか先輩は。かがみ先輩は顔がニコニコしてる・・・。
「そ、そうです・・・」
「んー。実は私もキョン君も朝比奈さんも気になってたのよね。古泉君は付き合ってる人とかいるのかどうか」
「そうなんですか?」
「うん。でね、聞いてみたのよ。そしたらさ」
「・・・・・・」
「いないって」
「・・・い、いないんですか?」
「うん。いないみたいよ」
「よかったねー。ゆーちゃん」
よ、よかった・・・。もし誰かいたらもう絶望だもんね。
とりあえずは一安心だね。あ、でも好きな人はいるのかなぁ。
「あの・・・かがみ先輩」
「ん?なぁに?」
「因みに何ですけど・・・好きな人とかは聞いてますか?」
「うーん・・・。これは教えてくれなかったわね。流石に」
「そ、そうですか・・・」
そうだよね。いくらなんでもそこまでは喋ってくれないかぁ・・・。
でも、付き合ってる人がいない。という情報は大きい。まだ私にもチャンスがあるって事だよね。よーし!がんばろっかな。
「じゃあお姉ちゃん。朝言ってた恋愛必勝法教えて~」
「うっ!」
「は?あんた恋愛経験してないんじゃ・・・」
休日もあっという間に過ぎて、月曜日が来た。学校へ行く支度しなきゃ。
「お姉ちゃん。そろそろ行こ~」
「ゆーちゃんは早いねえ・・・。ほい準備完了!」
「気ぃつけて行けよー」
「行ってきま~す」
今日は体調もばっちりだし、学校で倒れる事は・・・ないと思う。
お姉ちゃんからは一応必勝法を教えてもらったし、今日は放課後を使って古泉先輩をガンガン攻めようかと思うんだ。
でもお姉ちゃんの言ってた『セーブはこまめにね』ってどういう意味なんだろ・・・?
教室に入ると、みなみちゃんがいた。早いなぁ。
「おはよーみなみちゃん」
「ゆたか。おはよう。風邪は治った?」
「うん。お陰様で」
「そう・・・よかった・・・」
「・・・ありがとね。心配してくれて・・・」
午前の授業が終わり、お昼休みにお姉ちゃんがやって来た。
「ゆーちゃん。ゆーちゃん」
「お姉ちゃん。どうしたの?」
「かがみがさ、放課後に教室で待っててって言ってたよ」
「放課後?なんでだろ?」
「・・・ゆーちゃん鈍いねー。例の人と会わせてくれるようにかがみが言ったんだよー」
「例のひ・・・ホントに!?」
「うん。だから放課後、ここで待ってたらいいよー」
「うん。ありがとう。お姉ちゃん」
「礼ならかがみに言ったほうがいいよ。じゃあね~」
かがみ先輩、そこまでやっててくれたんだ・・・。これは私も頑張らないといけないなぁ~。
机に戻るとみなみちゃんが話しかけてきた。
「ゆたか・・・先輩はなんて言ってたの?」
「へ!?あ・・えーとね。話すとちょっと長くなるけどいいかな?」
「うん・・・いい」
私はこれまでの事を話した。
「というわけなの・・・なんか話してたら恥ずかしくなっちゃった」
「・・・・・・古泉先輩か・・・」
「?もしかしてみなみちゃん、知ってるの?」
「・・・・・・顔をチラッと見ただけ。よくはわからない」
「そっかぁ」
「・・・ゆたか。私からも成功するように応援する・・・」
「ありがとう~みなみちゃん」
「・・・・・・」
そして放課後になり、私とみなみちゃんは別れた。私はかがみ先輩と・・・古泉先輩を待つのみ。
そして、ドアが開いたっ。
ガラッ
「うぃ~す。wawawa忘れ物・・・うぉあ!・・・って冷静に考えればここ1年の教室じゃねーか!」
「・・・・・・」
「・・・すまん・・・ごゆっくりぃ~」
なんだろう今のは・・・。
そして5分後に2人がやって来た。うう、緊張する~。
「お待たせ。ゆたかちゃん」
「あ、かがみ先輩・・・」
「おや、小早川さんじゃないですか。僕と会いたいって言ってた方は彼女ですか?」
「あ、はははい!」
「光栄です。僕もお会いしたいと思っておりました」
「・・・」
ボフッ!!!
(あちゃ~。古泉君今凄い事言ったような・・・つかなんだこの展開は!)
「こ、小早川さん!大丈夫ですか!」
「だ、大丈夫です~」
数分後、何とか落ち着いた私。そこでかがみ先輩が口を開いた。
「じゃあ。そろそろ帰ろ。これから2人で帰ったほうがいいかもね」
そんなかがみさん。私にプレッシャーを与えないで・・・。
「では、帰りましょうか。小早川さん」
「は・・・はい」
嬉しい。憧れの古泉先輩と一緒に帰れるなんて・・・。プレッシャーはかなり感じるけどなんとかなるよね!・・・多分。
私はふと思い出し、かがみ先輩の元へ寄った。
「かがみ先輩。その・・・ありがとうございました」
「ううん。いいのいいの。ゆたかちゃんは真面目で大人しいし、古泉君とはピッタリなんじゃないかな?私も応援してるよ」
「はい。ありがとうございました」
お姉ちゃんにかがみ先輩。それにみなみちゃん。みんなが私の事を応援してくれてるなんて・・・。私幸せものだなぁ。
放課後に古泉先輩と一緒に帰る。毎日がそうだった。そんな事がもう1週間たった。
そして次の日の帰り道、いつもの様に2人で帰宅し、他愛もない話でいろいろ盛り上がった。
ただ、今日の会話で気になることが・・・。
「じゃあ古泉先輩って何の委員会に入ってるんですか?」
「えっと・・・僕は保険委員ですね。もうかれこれ2年やっておりますが」
「そうなんですか」
「今年に保険委員に入った1年生ですか。随分と真面目ですね。しかも物静かなところは僕と同じ部活にに所属している方と似てるんですよね」
「・・・・・・」
「でもって話したらこれまたその人に似ていて・・・小早川さん?どうしましたか?」
「へっ!?あ、いえ・・・その人って、岩崎みなみって人ですか?」
「おや、ご存知でしたか。その通りですよ」
「よく喋ったりとかもしてるんですか?」
「そうですね。いろいろと・・・」
「そうなんですか・・・あっ、私こっちですから。さようなら」
「はい。さようなら」
家に帰宅して私は部屋に直行した。そして鞄を置き、制服のままベッドへ寝転んだ。
「なんでだろ・・・あの時みなみちゃんは・・・」
私はお昼休みの時を思い返した。
「というわけなの・・・なんか話してたら恥ずかしくなっちゃった」
「そうなの・・・・・・古泉先輩か・・・」
「?もしかしてみなみちゃん、知ってるの?」
「・・・・・・顔をチラッと見ただけ。よくはわからない」
「そっかぁ」
みなみちゃんが嘘をついたなんて考えられないし・・・でもなんでだろう。
私は1時間位考えた。考えているとある理論に辿り着いた。
「もしかして、みなみちゃん古泉先輩のこと好きなのかな。うん!きっとそうだよ」
私は身体を起こした。
「みなみちゃんの性格から考えて、私が古泉先輩を好きって言っちゃったからみなみちゃん・・・諦めたのかな・・・駄目だよ!そんなの!」
私は明日みなみちゃんに話してみようと決意した。もし私の考えがあってたらみなみちゃんが可哀想過ぎるよ・・・私なんかの所為で。
次の日になり、学校へ向かった。朝からみなみちゃんに聞こうかと思ったけれど時間がないんだよね・・・。だからお昼休みに。
「ゆたか・・・おはよう」
「ふぇ!?みみみみなみちゃん!おおおはよう!」
「?・・・大丈夫?」
「う、うん。私は全然大丈夫だよ!」
「そう。それならいいけど・・・」
ふう。びっくりしたー。あっ、授業始まっちゃう。
そして、お昼休みになりいつものようにみなみちゃんとお昼を・・・。じゃなくて!その前に!
「み、みなみちゃん!」
「!・・・ゆたか。どうしたの?」
「ご、ごめん。ちょっと話があるの。だからついてきて」
「でも・・・お昼・・・」
「あとあと~」
私は無理矢理みなみちゃんを引っ張った。
人気のない廊下まで私はみなみちゃんを連れてきた。
「・・・ゆたか?」
「あっ。ご、ごめんねみなみちゃん!」
「うん。大丈夫・・・それより話って・・・」
「そ、そうだった!えとね・・・単刀直入に言うけど・・・・・・古泉先輩の事好き・・・かな?」
「・・・・・・どうして?」
「えっと、私の勝手な考えだけど、古泉先輩と一緒に帰ってるってのは・・・もう知ってるよね?」
「・・・・・・うん」
かがみ先輩の支援で古泉先輩と一緒に帰ることになった時の次の日。私はみなみちゃんにこの事を話した。だから知っている。
「その時ね・・・古泉先輩に聞いたの。委員会はどこに入ってるかって。そしたら古泉先輩、保険委員に入ってるって」
「!」
「・・・古泉先輩はみなみちゃんの事を話してた。真面目で物静かだって・・・みなみちゃんとよく会話もしたりしてるって・・・」
「・・・・・・」
「だからね。教えて欲しいの。みなみちゃんは・・・古泉先輩の事・・・好き?」
「・・・・・・」
沈黙が続いた。
この沈黙は数分続き、沈黙を破ったのはみなみちゃんだった。
「・・・ごめん・・・ゆたか・・・・・・」
「みなみちゃん・・・?」
「・・・私、ゆたかの言うように・・・古泉先輩が好き・・・私が初めて好きになった人・・・・・・」
「みなみちゃん・・・」
「保険委員に入ってから先輩にいろいろ優しくしてもらった。失敗しても優しく援護してくれた・・・そんな彼に私は・・・好きになってしまった・・・・・・」
「でも、ゆたかが先輩を好きになったって聞いたときにはどうしようかと思った・・・もしこの事言ったらゆたかがどうにかなってしまうかと思って」
「みなみちゃん」
「だから私は先輩を諦めてゆたかの応援をしようと思った・・・これでゆたかが幸せになれるならって・・・」
「みなみちゃんはそれでいいの?」
「えっ?」
「そんなの。私は全然嬉しくない!友達・・・ううん。親友の気持ちを知ってて私だけが幸せになるなんて・・・・・・そんなの絶対にやだよっ!」
気がついたら私は涙を流していた。
「ゆたか・・・」
「でも。みなみちゃんはホントの事話してくれた・・・だから・・・・・・今日告白しよっ!」
「え!?」
「もちろん私だけじゃなくみなみちゃんも一緒に。それで私達の気持ち伝えよっ!」
「でも・・・そんなの・・・」
「もう。みなみちゃんも人なんだよ!誰がどんな恋愛してもいいの!みなみちゃんの人生なんだから好きにしてもいいんだよっ!・・・仮にこの話聞いた後に私だけ告白して成功しても全然嬉しくないよ・・・」
「ゆ・・・たか・・・」
「ねっ。だから今日の放課後に・・・古泉先輩に告白しよう。・・・どっちが付き合うことになっても恨みっこなしだよっ」
そうして私は微笑んだ・・・。涙は出てるけど悲しい顔はせずに微笑んでみせた。
「・・・・・・ごめ・・・ん・・・・・・ゆたか・・・・・・」
みなみちゃんは私に抱きついて泣いた。
この後みなみちゃんと別れ、私はお姉ちゃんの教室に。確かかがみ先輩って同じクラスにいたよね?
3年生の教室の前。凄く威圧があるように感じるけど・・・頑張ってお姉ちゃんを探した。
「あっ!このクラスだ」
そして教室に入ろうとしたらある人に呼び止められた。
「あれ?ゆたかちゃん。こんなとこで何してるの?」
かがみ先輩だ。ちょうどいいというかなんというか・・・。まあいいや。
「あのかがみ先輩・・・ちょっとよろしいですか?」
「うん?どうしたの?」
「実は・・・」
私はかがみ先輩に告白の事を耳元で話した。
「えっ!?は、早くないかな・・・」
もちろん承知です先輩。でも・・・いてもたってもいられないといいますか・・・。
「うーん。わかったわ。古泉君にそう伝えとくね」
「あ、ありがとうございます」
「・・・・・・頑張ってね」
「・・・はい!」
そして私は自分の教室へと戻っていった。
「ふー。ゆたかちゃんならいいと思うけどなぁ・・・あんなにいい子だし、可愛いし。・・・後は鈍いのか確信犯なのかよくわからない彼なのよね・・・。上手くいくといいけど」
自分の教室に入って早速みなみちゃんにこの事を話した。
「みなみちゃん!かがみ先輩が話とくって」
「そ、そう・・・」
「私達、頑張ろうね!」
「・・・・・・ありがとう・・・ゆたか」
「えへへ・・・なんかお腹すいちゃったなぁ~お昼まだだった。いただき・・・」
ガラッ。
教室のドアが開いた。
「では授業を始めます」
「・・・あぅぅぅぅ」
時間というものはホントによくわからない。あっという間に放課後になってしまった。
「ゆたか・・・どこで・・・告白するの」
「えっとね。私達が先輩に会ったところ」
そう。私達はあの場所で出会った。あの場所で古泉先輩に出会った・・・。その場所は・・・・・・。
保健室前
「ここで・・・・・・告白するの・・・?」
「うん・・・流石に部屋には鍵がかかって入れないから。駄目かな?」
「・・・・・・私達らしくていいと思う」
一瞬だけみなみちゃんが笑ったように見えた。
後は待つだけ。
数十分待った。すると、
「お待たせしてすみません」
き、来たっ!き、緊張してきた~。
「おや、岩崎さんもご一緒でしたか。2人とも僕に用があるのですか?」
「そ、そうです!今から私達の言うことを聞いてください!」
「・・・はい」
まずは・・・みなみちゃんから言う事に。
古泉先輩を待ってるときにどっちが先に言うかじゃんけんで決めたんだ。
「・・・・・・古泉先輩・・・」
「・・・・・・」
ち、沈黙が・・・みなみちゃん、頑張れ!
「初めて会ったときから好きでした。・・・こんな私でよければ・・・付き合ってください・・・・・・」
「!」
みなみちゃんはそう言い、頭を下げた。
す、ストレートだなぁ・・・みなみちゃん。でも凄いよ。
「そうだったのですか・・・岩崎さんの気持ちはよくわかりました。・・・・・・小早川さんは・・・?」
「へっ!?あ、はい」
わ、私の番だ・・・。緊張するよ・・・。
「えっと・・・古泉先輩・・・先輩に、ここで助けてもらったとき、優しくて、とてもいい人で。そんなあなたを私は・・・好きになりましたっ!」
「・・・・・・」
「こんな私でよかったらですけど・・・お付き合いしてくださいっ!」
「・・・・・・お2人のお気持ちはよくわかりました。ですが・・・」
こ、このパターンは!?お姉ちゃんが言ってたけど、言葉の最後にですが。しかし。でも。といった言葉が出てきたらアウトだって!ど、どうしよ~。
「ですが・・・今答えを出すのは・・・雰囲気的にどうかと思いまして・・・」
「・・・へっ?」
「・・・・・・」
「・・・どちらかに僕がお付き合いしますと言いましたら、もう1人の方が余計に悲しくなるのではないかと思いまして・・・」
「・・・そ、そうですよねっ。えへへへ・・・」
「・・・・・・」
「ですから・・・お2人の電話番号を教えて頂けませんか?今夜にでも結論を出したいと思いますので・・・」
「は、はい!わかりました!・・・でもどうやって私達に伝えるのですか?」
「ええ。もう1人の方には申し訳ございませんが・・・僕がお付き合いしたいと思った方に電話させていただきます。大体・・・9時位ですね・・・」
「そう・・・ですか・・・」
そして私達は連絡を交換し、古泉先輩は去っていった。笑顔で・・・。
こうして私達の告白は終わった。
「・・・ふ~。緊張したよね。みなみちゃん」
「・・・・・・うん」
「・・・あの言い方だと古泉先輩は私たちどっちかが好きみたいだよね」
「・・・そうだった。あの言い方は恐らく・・・」
「これはもう恨みっこなしだよ。例え私が振られてみなみちゃんが古泉先輩と付き合うことになっても私は恨まないよ。むしろ達成感があるからね。だから、私達は友達だよっ。ずーっと」
「・・・ゆたか。私も同じ・・・私達の関係は変わらない・・・・・・」
うん。私達は一緒だよ
家に帰宅し、私はずっと待った。電話が鳴るのを・・・。
お姉ちゃんにこの事を話したら、
「ゆーちゃん。・・・なかなか行動力あるね・・・。正直驚いたよ」
「えへへ。私も自分がやった事に凄く驚いてるよ」
「ま、後は連絡を待つだけだね」
「うん・・・」
「大丈夫だって。ゆーちゃんなら大丈夫」
「・・・ありがとう。お姉ちゃん」
今の時間は・・・8時30分。
あと・・・30分・・・。
心臓がバクバクしてきた・・・・・・でも私は待つ・・・・・・。
そう
例え振られても
私達の関係は
変わらない
ずっと・・・
数週間後・・・
「かがみん。どしたの?」
「き、キョン君に振られちゃった~」
「・・・それはそれは。今日はトコトン付き合ってあげるからね・・・」
「・・・こなたぁ~!!!」
「部活メンバー!集合!」
「セリフがちょっと違うぞ。ハルヒ」
「いいじゃない。飽きてきたんだもん」
「・・・あのなぁ」
「出番が少ないでしゅ・・・」
「・・・あなたは需要はある。心配はいらない」
「ホントですか!?長門さん」
「・・・嘘」
「・・・・・・」
「遅くなりました。申し訳ございません」
「遅いぞ・・・しかし、お前もそんな趣味だったとはな。意外だ」
「どういうことです?」
「・・・こっち来い」
「あれはどうみてもロリコン扱いだよな?な?」
「失礼ですね。彼女も立派な女性です」
「だが、あの身長じゃな・・・」
「確かにそうかもしれませんが・・・断じて違います。年齢もそうでしょう。それに僕の別の次元では確かにロリコンと疑われるような発言がありましたが、彼は彼。僕は僕です」
「・・・・・・誰か俺のポジションを代わってくれ。頭が痛い・・・」
「それは大変です。保健室に行きましょうか?」
「断る!」
「みなみちゃん」
「・・・ゆたか」
「あの・・・」
「あの時言った事忘れてない・・・私達はずっと変わらない関係・・・」
「みなみちゃん・・・うん!そうだよね!」
「そ れ は」
「ワタシタチモ操ナノデスカ~?」
「あっ。田村さんにパティ」
「・・・2人も同じ・・・ずっと友達」
「だよね~」
「うぅ~この2人・・・萌えr・・・」
「ハイ!ストップ」
「どこ行くの岩崎さん?」
「ちょっとトイレに・・・」
ガラッ
「うぃ~す。wawawa忘れ物・・・うぉあ!」
バタッ
「あっ・・・」
「また1年の教室に来てしまった・・・っと、すまんかった。大丈夫か?」
「・・・はい」
「立てるか?」
「だ、大丈夫です・・・」
「そうか・・・悪いな。俺の所為で」
「いえ・・・」
「じゃな・・・」
「あの・・・!」
「ん?」
「お名前は・・・」
「俺か・・・俺はナイスガイの谷口だぜ!お前は?」
「岩崎みなみです・・・」
「そうか。その無垢な可愛さは俺の同学年のAマイナーの奴とそっくりだぜ。じゃあな」
「・・・・・・」
「あの人・・・また来たよ」
「むむ~みなみちゃんは恋をしてますな」
「ワタシニモワカルノデス」
「・・・・・・ええぇぇぇ!!!」
「かがみ先輩」
「ゆたかちゃん。よかったわね。成功して」
「はい。ありがとうございます。かがみ先輩のおかげです」
「私あんまりなにもしてないわよ。ゆたかちゃんの実力」
「そんなことは・・・」
「とにかく、古泉君と喧嘩しないようにね。幸せになってね」
「・・・ありがとうございましたっ!」
タッタッタ・・・
「ハァ・・・羨ましい・・・」
放課後になった。
「古泉先輩」
「小早川さん」
「も~ゆたかでいいですよ~先輩」
「すみません。慣れないもので・・・ゆたか・・・さん」
「~~~」
「では帰りましょうか」
「・・・はい!」
「・・・ここの公園で先輩の返事を聞いたのですよね」
「そうですね。あの時はなかなか恥ずかしかったですね」
「私の気持ちわかって頂きました?」
「ええ。たっぷりと」
「アハハ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・先輩」
「・・・どうしましたか?ゆたかさん」
「もう一回・・・あの場所で・・・して欲しいです」
「・・・・・・行きますか?」
「はい!」
私達は公園のブランコの前に立った。そして、
「・・・・・・」
「僕が前かがみにならないといけませんね」
「あ~馬鹿にしましたね。今!」
「いえいえ。・・・その膨れた顔も可愛いですよ」
「もう~・・・ってわあっ!?」
いきなり古泉先輩にお姫様抱っこされた。
「この方がいいですね」
「・・・先輩・・・・・・大好きです」
「・・・僕もですよ・・・ゆたか」
私達は
キスをした
まだ古泉先輩の事はよくわからない所もあるし、古泉先輩も私の事をもっと知って欲しい。
でも私達はこれからお互いの事を知るようになっていく。
これからもずっと・・・・・・