柊つかさの純情

一人で帰るって結構寂しいんだよね。いつもはみんながいるから楽しいけど、今日は独り。
お姉ちゃんとこなちゃんはSOS団・・・・・・? っていうのに用があるから、私だけ先に帰ってていいよって言われちゃったし
ゆきちゃんは委員会の集まりみたいのでいないし。はぁ、独りで帰るのって嫌だな・・・・・・

「ねぇ、君。ちょっといいかな?」
「へ? な、何ですか?」
「ちょっとこっち来てくれない?」
 駅前のコンビニ付近を歩いてたら、知らない人に声かけられちゃった。どうしよう? 髪は金髪だし顔もなんか怖いよ
「え、あ、いや・・・・・・」
 ダメ、何て言ったらいいのかわかんないよ。どうしよう、どうしよう。
「君ホントカワイイね。ほら、こっちおいでよ。ちょっと写真撮るだけだから」
「しゃ、写真?」
「そう、そのままの格好でいいからさ。あっちのビルに部屋あるから、そこで写真取らせてよ」
 知ってる、こういうの知ってるよ。前テレビでやってた。ついてくとあぶない写真いっぱい撮らされちゃうんだ。
「い、いや」
「そんなこといわずにさ」
 いや、誰か助けて。こなちゃん! 前に私が外国人に道聞かれて困ってる時に助けてくれたこなちゃんみたいに、誰か助けて!
「おい、離してやれよ! いやがってるじゃねえか」
 声の方を向いてみると、あれはうちの高校の制服? をきた男の子が立ってた。助けにきてくれたの?
「何だてめぇは、お前には関係ないだろうが」
 金髪の人が男の子に向かって歩いていく。一瞬の出来事でよくわかんなかったけど、金髪の人が急に倒れた。
「関係あるぜ。その子はうちの高校の生徒だからな」
 こぶしに息を吹きかけながら男の子は言った。助けてくれたんだよね? ありがとう。あの、名前は?
「どうも、谷口です!」

「谷口君? 助けてくれてありがとう。私助けてくれなかったらホントどうしようかと思ってたよ」
「礼には及ばないぜ。男として、女を守るのは当たり前だからな!」
「えへへ、カッコいいね。そういえば同じ高校の人だよね?」
「カッコいい? 俺が? そんな事言われるの初めてだぜ・・・・・・ってやっぱり俺の事知らないのね」
 少し肩を落として谷口君は答えた。え、谷口君は私の事しってるの?
「もちろん。柊つかさちゃんでしょ。うちのクラスに双子の姉の柊かがみがいるからな」
「お姉ちゃんと同じクラスなんだ。全然知らなかった。ゴメンねグッチー」
「へ? グッチー?」
 口をポカンと開けてグッチーは聞き返してきた。
「うん。私ね、人のことあだ名で呼ぶの好きなの。谷口だからグッチー」
「お、おう分かった。何だ柊て天然系か?」
 ちょっと戸惑った感じでグッチーが聞いてきた。天然? 天然って何が?
「いや、なんでもねえよ。ていうか危なかったな。お前今日はあいつらと一緒じゃねえのか?」
「あいつら?」
「泉とか柊かがみとか、いつも一緒じゃねえか」
 グッチーは何でも知ってるんだ。こなちゃんやお姉ちゃんと一緒に帰ってることも知ってる。でも何で知ってるの?
「そりゃいつも見て・・・・・・いや、よく帰る時に見かけてるからな」
「ふーん。今日は独りなの。みんな用があるからって、一緒に帰れないんだぁ」
「そうか」
 少しグッチーは考えるようなポーズをとってから、私に言ってきた。
「なら、俺と一緒に帰らねえか?」

「え? グッチーと一緒に?」
「べ、別に嫌ならいいんだが、そのほら、またさっきみたいな事があるといけねえだろ」
 グッチーって優しいんだぁ。さっき知り合ったばっかりなのに、こんなに親切にしてくれる
「うん、一緒に帰ろ」
「いいのか? 俺なんかと一緒に帰って」
「うん、何で?」
「いや、なんでもない。じゃあ帰るとするか!」

グッチーは家の方向も違うはずなのに、私の家までちゃんと送ってくれた。その途中、グッチーは色々周りの友達の
面白い話とかを聞かせてくれた。キョン君とか変な名前の人とかハルヒって子の事とか、やっぱりすごくいい人みたい。
よかったグッチーに会えて、だって独りで帰るよりも何十倍も楽しく帰れたもん。

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最終更新:2007年09月17日 01:22
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