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古泉の考察~Kyon Side~

古泉の奴がまた逆ナンされてやがる、忌々しい。
突然だが俺は今、古泉と二人で街を歩いている。
俺としては野郎と二人きりなんかで歩くぐらいなら家でベッドに包まれていたい気分なのであるが、
何で俺が古泉と2人でこんなところをほっつき歩いているかというとこういう事だ。



今日は土曜日。学校が休みである事を利用し、
本来学生はこの機に一週間の疲れを癒すところなのであるが
我らがSOS団には恒例の市内探索に向かう日となっており今日も意味も無く全員集合、そして喫茶店に行き(勿論俺のおごりだ)3班に分かれて探索を行おうとしているのだが、何故だかハルヒは今まで3・3・3だった班分けを今日から4・3・2にする。
などといい始め、朝比奈さんも何でそんな事をするのか分からないようでおろおろしていた。やはり朝比奈さんはどのようにしていても可愛らしいね
長門はいつもどおり何も言わずに突っ立っていた。一瞬ぴくっと動いた気もしたがまぁ流石に気のせいだろう。
長門がこの程度の事に反応するとも思えんしな
古泉もこれまたいつもと変わらず「なるほど、良い考えかと」とかいってにやけながらハルヒに賛同していた。
だがこなたたち新参のメンバーはこなたを代表に
「え? ハルにゃんどーしたの突然そんな事言い出して」
と期待通りの反応をしてくれていたのだが古泉が何か耳打ちした途端に手のひらを返したようにハルヒの意見に賛成し始め、
どうやら盗み聞きしていたらしい朝比奈さんなどは顔を真っ赤にして「え、え? そんな、え?」と支離滅裂な事を言っている。
うろたえるところもまるで善悪の知恵の実を食べて自分とアダムが裸である事を自覚して恥ずかしがるイヴのようにお美しい。
しかしわからない。SOS団は現在9名であり、いままで3人ずつでバランスが取れていたじゃないか。
ハルヒは何故そんなわけの分からんことを言い出したのか、そこは置いておこう。
どうせあの女の思考なんて俺にわかるはずもないし分かろうとも思わん。
だが他の連中まで簡単に納得してしまったのは何なんだ?
「古泉、お前はあいつらに一体何を言ったんだ?」
「恐らくあなたに言っても分からない事ですよ」
癪に障る言い方だな、俺は人並みの理解力は持っているつもりだが
「今現時点で分かっていない以上どちらにしても分かりませんよ、これは僕から言うよりもあなた自身が気づかなければいけない事ですからね」
何だってんだ一体。とにかくまずはハルヒを止めるか
「おいハルヒ、何だって突然そんな事を言うんだ?」
ハルヒは気持ちよく話しているところを中断された校長先生のような顔で俺を見る。
「何よ、キョン。まさかあんたあたしのいうことに文句でもあるの?」
大ありだ。わざわざそんなそんな変則的な班分けにする意味があるのか?
不思議を探すにしても今までどおり均等に3人ずつ分かれた方が死角も少なくなるし探しやすい。
2人のところを無理に作る必要は無いだろう。
「……う、うっさい!あんたはあたしのやる事におとなしくついてくればいいのよ!」
一蹴されてしまった。全くハルヒと俺の関係はいつまでもこんな感じなのかね、やれやれ。
「まぁまぁキョンキョン、私もこれには賛成だよ?」
「そ、そうだよキョンくん。私もそれでいいとおもうなぁ」
おいこなたにつかさ、お前たちさっきまで反対してなかったか?
「ん~何のことカナ?」
はぁ本当にこいつらは……。かがみと高良もそれでいいのか?
「私は別に構わないわよ。それにもしかしたら二人っきりになれるかもしれないし……」
すまん、最後の方が聞き取れなかった。もう一回言ってくれないか
「い、いい、聞かなくて。たいした事じゃないから」
そうか、それで高良はどうだ?
「私も構いませんよ。魅力的な提案だと思います」
魅力的? そりゃまたえらく意外な意見だな。一体ハルヒの提案のどんなところに惹かれたんだ?
「ええと、それは申し訳有りませんがキョンさんがご自分で気づかなければいけませんので」
またか、今日は古泉といい高良といいよく人から隠し事をされる日だ。
「ちょっとバカキョン! いつまで話してんの!? さっさとくじを引きなさい!」
今引くからそんなに騒ぐな、店に迷惑になるだろう。
「あんたがいつまでも喋ってるのが悪いんでしょうが」
はいはい分かった分かった。
俺が引いたくじには青い印があった。ちなみに3班に分かれるから色分けは無印、赤、青の3種類でそれぞれ順番に4人、3人、2人だ。
つまり俺は誰かもう一人とペアってわけだ。古泉と2人っきりなんぞにはならんで欲しいね。



……何でこうなるんだよ。
「まぁいいじゃありませんか、たまには男同士というのも」
班分けはかがみ、朝比奈さん、長門、つかさの4人。ハルヒ、こなた、高良の3人。最後に俺と古泉に2人組だ。
古泉、言っておくが俺にはそんな趣味は無いぞ
「奇遇ですね、僕もです。どうせならどなたか女性と共に過ごしたいところですが時にはこんなことも一興でしょう」
……しょうがない。とっとと行くぞ
「あ、キョン! 集合は12時にここだからね! おくれるんじゃないわよ」
へいへい、分かってますよ
それにしてもなんだか女性陣が妙に静かだな、しょげているようにも見える。それにさっきからちらちらと古泉を見ている気もするな。
そんなに古泉と一緒になりたかったのかね。そりゃ古泉は顔がいいし性格もいいんだろうがここまで俺に興味を持たれていないとなると流石にへこみそうだ。
古泉、お前が羨ましいぜ
「彼女たちが僕を見ているのは違う理由だと思いますが……まぁいいでしょう。では行きましょうか」
そうだな、お前と2人きりで探索なんてのはさっさと済ませたい。



――――――ということだ。
2人で歩いていると古泉ばっかりが逆ナンされる。既に4度目だ
古泉、俺はお前をうっかり逆恨みしてしまいそうなほどに怒りのボルテージが上がってきたぜ。
「あなたにそんなことを言われるとは思いませんでしたよ、むしろ僕はあなたの方が羨ましいのですが」
古泉はすこし意外そうな顔をして告げる。
はぁ? 何でお前が俺を羨ましがるんだ。俺はさっきからお前ばっかりが逆ナンされて肩身の狭い思いをしてるんだぞ?
「あなたには本当に困ったものですね……。時にあなたは泉さんのことをどう思っていますか?」
こなたか? そうだな、あいつはいうなればちっさいハルヒってところか。
ハルヒほど無茶を言ったりせんがあいつも俺をとことん振り回すしな。
「そうですか、では柊姉妹についてはどうでしょう」
まずつかさは……妹みたいなもんかな、朝比奈さんと同じでなんだか危なっかしくて放っておけない感じだな。
次にかがみは同い年の姉か妹ってとこだ、あいつと一緒にいるのは妙に自然な印象を受ける。
それにしてもこいつはこんな事を聞いてどうするんだろうか。
「成程。では高良さんに関しては?」
高良か……こんなことを言うのもなんだが、高良はなんだかお嬢様っぽい雰囲気がして微妙に近づきがたい感があって少しばかりやりにくいところがあるな。
「では朝比奈さんと長門さんは」
古泉いわく仮面である笑顔を貼り付けたままさらに問いかけてくる。
朝比奈さんはさっきつかさの時に言ったように危なっかしくて放っておけない妹のような感情だな
長門は朝比奈さんとは違う意味で放っておけないってとこか、あいつは人間の一般常識は余り知らんようだしな。やっぱり放っておけん存在ってとこだ
「ふむ、では最後に涼宮さんに対してはどう思っておられますか」
ハルヒはわがままで俺を振り回し続ける困った奴だな。
大体あいつは俺の話を聞きやしないし授業中にはしょっちゅう後ろからシャーペンでつついてくるし
たまに芯を出したままでやってきやがる事もある。痛いからやめろってのに
それに何か思いついたら授業中でも叫びやがるし恥ずかしいっての
俺の手を引っ張っていくときもあの馬鹿力だから後で手が赤くなってたりするしそれにだな……
「すいませんよくわかりました。あなたがどう思っているかが大体は把握できました、あなたにはずいぶん大切に思っている女性が多いようで。おっとそろそろ時間のようですね」
時計を見ると既に11時45分をまわっている。遅刻するとまたあいつがうるさいからな、急ぐか。
「『あいつ』とはやはり涼宮さんのことですか?」
そんなことを言っている古泉を急いでいて聞こえない振りをして無視し、午後はつかさ辺りと一緒が言いか等と考えながら俺は集合場所への道を早歩きで進んでいった。






集合場所に行くと既に他の2班は戻ってきていた。
「遅かったじゃないのキョン、なにか不思議なものは見つかった?」
いや、さっぱりだ。特に気になるものはなかった
ん……? なんだか解散したときに比べて皆妙に元気だな。
ハルヒは笑顔がさっきまでより輝いて見えるし、朝比奈さんはリンゴのように頬を染めこちらを上目遣いで見ていてもう持って帰りたいくらい可愛い。
長門は表面上いつもと変わりないようだが何故かその黒い澄んだ瞳で俺の目をじっと見つめ続けている。何か懸案事項でもあるのだろうか
こなたとつかさは2人でなにやらキャーキャー騒いでときたまこっちを見てまたキャーキャー言っている。……俺の顔に何か付いてるのか?
かがみも珍しく鼻歌なんかを歌っている。たまにこういうところを見ると可愛く思えてくるね
ただ高良だけが何やら落ち込んでいるように見えるのが気になるな。
「高良? どうしたんだそんなにうつむいて」
「え?あ……い、いえ何でもありませんよ」
俺が話しかけるまで全く気づいていなかったようでかなり動揺しつつ答える。
そんなわけはないだろう、どう見ても落ち込んでるように見えたぞ。
「そ、そうでしたか? 自分ではそんなつもりは無かったのですが」
俺でよかったらいつでも力になるから相談してくれ
「ええ、ありがとうございますキョンさん。わざわざ気を使っていただいて」
高良の顔に笑みが宿った、どうやら多少は元気が出てきたようだ。
いや構わんさ、しかしそれにしても一体何があったんだ? 他の連中は妙に浮ついてるしそれに反してお前だけが沈んでるなんて。
「い、いえ大したことではありませんよ。これに関してはキョンさんには言っても解らないとおもいます」
む、なら仕方がないな。しかし同じように俺にはわからないと言われても古泉なら腹立たしいが高良がいうと全く気にならんな、これも一種の人徳というものだろうか。
「こらキョン! いつまでみゆきと話してんじゃないわよ! もうお昼ご飯食べに行くんだから」
我が団長様がまるで風車を目にしたドン・キホーテのように猛っている、さっきまでご機嫌だったのに何をそんなに怒ることがあるのかね。
はいはい、じゃあさっさと行くか。で、今日はどこで食うんだ?
そういうとハルヒは表情を満面の笑顔に一気に昇華させ、
「ふっふーん、ちゃんと考えてあるのよ。ほらキョン行くわよ! あんたたちもちゃんとついてきなさいよ!」
といって歩き出した。
お前は歩くのが速いんだからもうちょっとゆっくり歩いてくれよ、皆が追い付けなくなるぞ。
ついていくのが俺一人だけだなんてそんなのはごめんだぜ?


なんだ、考えてあるとか言うからいい店でも見つけたのかとか思ったのにここはいつもの所じゃないか。
「何よ、なんか文句でもあんの? バカキョンのくせにあたしにいちゃもんつける気?」
ハルヒが不機嫌そうに俺を睨みつつ言う。
別に文句なんか無いさ、なんだかんだいって俺もこの店が案外気に入ってるんでな
「ならブツブツ言うんじゃないわよ、あんたはちゃんとあたしについてくればいいのよ」
へいへい、全くわがままな団長様だ。


その後は滞りなく食事が進み本日2度目のくじ引きを行う運びとなった。
どうせなら朝比奈さんとご一緒したいところだ、朝は古泉とのペアだったんだしそれぐらいの恩賞はあっても良いだろう。
つかさ、かがみの2人とぶらぶらするのも面白そうだし長門と2人っきりで図書館にってのもいいな。
俺はハルヒにバレない程度に気合を入れ期待と不安が入り混じった感情を抑えつつ握りこぶしをしているハルヒの元へ手を寄せる――――――



…………さて、行くぞ。
「キョンキョン待ってよ~」
俺はまたも青色のくじを引き誰かと2人ペアになる事が決定し誰がなるだろうかと考えていると、この池乃めだかといい勝負なんじゃないかと思えるほど小さな女子が俺と同じ色を引いたってわけだ。
他のメンバーはハルヒ、朝比奈さん、長門の3人娘。次にかがみ、つかさ、高良、古泉の4人という組み合わせになった。
おのれ古泉め、なんて羨ましいんだあの野郎。
……そういやこなたが青のくじを引いた途端ハルヒの機嫌が悪くなったようにも見えたな、まぁ大方丁度タイミングよくジュースに入ってた氷を噛みくだいて歯に沁みたりでもしたんだろうが。
「あ、そーだ。キョンキョン、ちょっと行きたい所があるんだけどいいかな」
別に構わんぞ、どうせ行くあても無いしな
「うっしゃーー!そうと決まれば早く行こ!」
というとこなたは俺の手を握り走り出した。
こらこら手を引っ張るな、ハルヒじゃあるまいし。そんなことをしなくてもちゃんと付いていくっての
「うーんやっぱりハルにゃんかぁ、まだまだ先は遠いネ」
速度を緩めたこなたがそうつぶやき嘆息する。先が遠いってお前の行きたいところってそんなに距離があるのか?
「……キョンキョンホントは分かってやってるんじゃないの?」
何のことだ? まぁなんにせよお前の行きたいところにはちゃんと付き合ってやるから安心しろ
「……もう、キョンキョンはそういうことを無意識にいうんだもんなぁ」
だから何のことだ? とにかく行くぞ
俺はこなたを促し歩き始める。やれやれこいつも変わった奴だ、……ハルヒほどではないが。


さてこなたの言う『ちょっと行きたい所』に到着したのだが。
おい、この店は何だ?
「ア○メイトだよ、今日は欲しい本があるんだよね」
といってこなたは店に入っていってしまった。しょうがない、俺も入るか
「いらっしゃいませお客さまあああああ!」
な、なんだ!? この叫び声は。
異様なほどの大きさの声が店内にこだまする。
「あ~あれはここの店長さんだよ、あの人はいつもテンション高いんだよね」
なんだこなたいたのか
「いたのかとは失礼だネ!謝ってよ!」
それにしてもあの人ずっとあのテンションなのか、よく持続するな……
そういやお前何か買うものがあるんじゃないのか?
「む。じゃあ買ってくるからそこら辺で待っといて」
そういってこなたは店の奥へと消えていった。
さて俺も何か見るかな。
俺はそこらにあるものを取敢えず一通り見ていこうとしたのだが……。
なんだこりゃ? 萌え系の作品ばっかりじゃないか、俺にはこういうのは理解できんからな
しょうがない、大人しくこなたを待つことにするか。

待つこと十数分、こなたが戻ってきた。
「ごめんごめん、待った?」
案外早かったな、もう少しかかると思ったが
「いや~ケロ口だけ買うつもりだったんだけどいろいろと目移りしちゃってネ、つい他にもいくつか買っちゃったよ」
いくつかという割りにえらく多くないか?
こなたの持った袋は妙に分厚く少なくとも7,8冊は入っているように見える。
「いやいやこれは観賞用、保存用、布教用とあるんだよ、だから実際買った種類は3種類くらいしかないヨ」
は? 何でそんなに要るんだよ、どう考えても必要ないだろうが
この台詞がどうやらこなたの琴線に触れたようで
「分かってないねキョンキョンは。そもそもネ……」
と説明し始めた。
その後こなたは何冊も買う必要性について講釈をたれ始め、30分近く経った今現在も俺はこの小さな同級生に説教されているのである。
「ちゃんと聞いてるキョンキョン?」
ああ聞いてるから早く話を進めてくれ
「いや、今のは絶対聞いてなかったでしょ。もっかいさっきのとこから言うよ? つまりネ……」
やれやれ。どうやら俺はまだまだ解放されないようだな


こなたの話が終わった頃にはかなりの時間が経過していて既に集合時間である16時まであと10分と少しというところになっていた。
ここにくるまで結構かかったから間に合うかどうかぎりぎりだろう。
「急ぐぞこなた」
そういって俺はこなたの手を掴み走り始める。
「ちょ、ちょっとキョンキョン!?」
こなたが何か言っているようだが放っておこう。なにせこのままじゃまたハルヒに俺が飯を奢らされる事になりかねん、そんなのはごめん被りたいんでな
そんなわけで俺たちはハルヒたちが待っているであろう集合場所へと息を切らせつつ走り続けた。

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最終更新:2008年06月24日 20:42
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