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古泉の考察~Itsuki Side~

「すいませんちょっといいですか~」
また逆ナンのようです、僕は逆ナンをするような女性には興味が無いんですがね。後ろからは彼が恨めしげに僕を睨んでいます。いやはや参りましたね、僕は望んでこうなっているわけではないのですが
現在僕は彼と共に街中を人ごみを掻き分けつつ徘徊しています。何故彼と2人でこんなことをしているのかというのは少し時間の波を遡って説明しましょう。


今日は既に恒例となっている土曜日のSOS団不思議探索であり今日もいつも通り彼が1番最後に来て食事を奢らされることに事になりました。
そしてそろそろくじ引きを行おうかという頃、涼宮さんがある提案をしました。それは―――
「キョン! 今日からは班分けの仕方を変えるわよ!」
ということです。
ちなみにSOS団は現在泉さん、柊姉妹、高良さんの4人を加え団員は9人となっています。
なので今までは3人ずつ3組に別れていたのですがそれを4人、3人、2人の組み合わせに変えるようです。
どうやら涼宮さんは痺れを切らしたようですね。今のままでは彼と一緒の組になったとしても確実にもう1人誰かが含まれるわけです。
それならば例え確率は低くとも2人きりになれる可能性を作ろうということなんでしょう。いじらしい乙女心というやつですかね
それにしても朝比奈さんはやはりよく意味が分かっていないのかおろおろしていますが長門さんは特に変化はないようです。
興味がないのか、はたまた理解した上で平常を装っているのか……。残念ながら僕には判断が付きませんね
SOS団中途採用メンバーである泉さん、柊かがみさん、柊つかささん、高良さんの4人はどうやら涼宮さんの意を計りかねているようで涼宮さんに質問を浴びせ掛けています。
涼宮さんもやはり内容が内容だけに答えづらいようですね。ここはやはり僕の出番でしょう。
「皆さん少しよろしいですか?」
詰問している泉さんや柊姉妹、口にはしていませんがやはり気になっている様子の高良さんの4人に話し掛けます。
「ん~なんだい古泉君?」
「この件については僕が代わりにご説明させて頂こうかと思いまして。涼宮さんよろしいですか?」
涼宮さんにも問い掛ける、了解は得るべきでしょうからね
「え、ええ! 構わないわ。さすがは副団長ね古泉くん!」
団長の許可もとれたのでご説明しましょうか
「さて皆さんお分かりになりませんか?」
「何がですか?」
高良さんが返答してきました。やはり興味津々のようですね
「この組分けの構成変更の意味です」
「意味? どういうことよ」
対するは柊かがみさん。
こういった反応があると説明する側としてはうれしいかぎりですね
「組分けを4:3:2にするというのはつまり2人だけになるグループが出来るという事です」
「ああそっか、なるほどネ」
泉さんは気付いたようですね、流石に察しがいい。
「え? なになに? こなちゃんどういうこと?」
柊つかささんが泉さんに聞いています。和みますね
「つまり2人っきりになれるチャンスがあるってことだヨ」
これで柊かがみさんと高良さんは解ったようですね。それぞれ「あ、そっかそういうことか。でも、そんな……」と頬を赤らめたり、
「え~とぉそれはつまりそのえ~と……」と必死に頭の中を整理したりと大忙しです。ただ1人柊つかささんだけはまだ解っていないようで
「え~2人ともずるいよ~、何がわかったの? 私にも教えてよぉ」
と何やら小動物を連想させるような仕種で聞いています。
「だからねつかさ、つまりはキョンキョンと……」
それに対し泉さんが耳打ちし、ようやく理解したのか朱を塗ったような色に顔を変え
「そ、そそそれってキョンくんとデートできるの!?」とうろたえています。
皆さんまだ混乱されていますが少なくとも理解と納得はしていただけたようですね。
おや? 朝比奈さんの顔が真っ赤になっていますね、どうやら僕たちの話を聞いていたようです。
「しかし古泉よ、お前はあいつらに一体何を言ったんだ?」
そんな朝比奈さんに一時見とれていた様子の彼が話しかけてきました。
「恐らくあなたに言っても分からない事ですよ」
失礼な物言いですが恐らく事実でしょう。
「癪に障る言い方だな、俺は人並みの理解力は持っているつもりだが」
「今現時点で分かっていない以上どちらにしても分かりませんよ、これは僕から言うよりもあなた自身が気づかなければいけない事ですからね」
これも事実です。こういったことは彼自身が気づかなければ意味が無いでしょうし、それに僕はまだ馬に蹴られて死にたくはありませんしね。
これで彼は諦めたのか涼宮さんの説得に向かったようです。
どのみち押し切られるのは必定だというのにわざわざそんなことをするということはやはり彼もあのやり取りを楽しんでいるんでしょうね。
その事を彼自身は決して認めないでしょうが。彼がすんなりそれを認めてくれれば僕たちも楽になれるのですがね
しかし今回は彼に分があるでしょうか……、涼宮さんも理由が理由だけに彼には言えないでしょうし。
僕が加勢すべきかもしれませ……、おや? 泉さんと柊つかささんが援護に向かったようですね、ここはありがたくお二方に頼むとしましょうか。



そして結局彼は押し切られ、くじを引いた結果僕との2人ペアと相成ったわけです。
「古泉、言っておくが俺にはそんな趣味は無いぞ」
「奇遇ですね、僕もです。どうせならどなたか女性と共に過ごしたいところですが時にはこんなことも一興でしょう」
これは少々複雑な気持ちですね。勿論どうせなら女性と、というのは本音です。
ただあなたと共にというのは確かに一興ではあるのですがあなたと一緒になると他の方々からの嫉妬が少しばかり恐ろしいのでなりたくなかったのもまた本音と言えますね。
「それにしてもなんだか女性陣が妙に静かだな、しょげているようにも見える。それにさっきからちらちらと古泉を見ている気もするな。
 そんなに古泉と一緒になりたかったのかね、そりゃ古泉は顔がいいし性格もいいんだろうがここまで俺に興味を持たれていないとなると流石にへこむね。
 古泉、お前が羨ましいぜ」
「彼女たちが僕を見ているのは違う理由だと思いますが……まぁいいでしょう。では行きましょうか」
……どの口がそんなことを言うのでしょうか。いくらなんでも彼女たちが不憫に思えてきますね、フォローできなかった僕に言う権利は無いかもしれませんが。



――――――という事です、お分かりいただけたでしょうか。
そして先ほどから僕ばかりが逆ナンされ、その度に彼に無言のプレッシャーを与えられているわけです。
「古泉、俺はお前をうっかり逆恨みしてしまいそうなほどに怒りのボルテージが上がってきたぜ」
「あなたにそんなことを言われるとは思いませんでしたよ、むしろ僕はあなたの方が羨ましいのですが」
これは僕の正直な心情です。彼は周りの女性の多くから好意を持たれ、しかもその女性たちは皆一般的な観点から見て麗しい方々ばかりなのですから
「はぁ? 何でお前が俺を羨ましがるんだ。俺はさっきからお前ばっかりが逆ナンされて肩身の狭い思いをしてるんだぞ?」
「あなたには本当に困ったものですね……。時にあなたは泉さんのことをどう思っていますか?」
話をそらすついでに彼が他の女性をどう思っているかでも聞いて見ましょうか。こんな機会はあまりありませんしね
「こなたか? そうだな、あいつはいうなればちっさいハルヒだな、ハルヒほどに無茶はいわんがあいつも俺をとことん振り回すしな」
ほう、思った以上に高評価ですね。比較対象が涼宮さんということは恐らく涼宮さんに及ばないまでもかなり高いランクにあるといって良いでしょう。
ぜひ彼には涼宮さんと一緒になってもらいたいと思っている僕としては少し危機感を持つべきかも知れませんね。
「そうですか、では柊姉妹についてはどうでしょう」
「まずつかさは……妹みたいなもんかな、朝比奈さんと同じでなんだか危なっかしくて放っておけない感じだな。
 次にかがみは同い年の姉か妹ってとこだな、あいつと一緒にいるのは妙に自然な印象を受ける」
ふむ。柊つかささんに関しては妹のようなものと捉えている限りは彼の場合は問題ないでしょうが柊かがみさんについては少々憂慮すべきかもしれません。
同い年の、という事はつまり柊つかささんや朝比奈さんに対する庇護欲や長門さんに対する父性心とも違って全くの対等と考えているととれますからね。
「成程。では高良さんに関しては?」
とにかく全員のものを聞いてみることにしますか
「高良か……高良はなんだかお嬢様っぽい雰囲気がして微妙に近づきがたい感があって少しばかりやりにくいところがあるな」
うーんどうしたものでしょうか、安心できる内容ではあるのですがこれでは余りにも高良さんが可哀想ですね……
かといって何かフォローが出来るわけでもありませんが
「では朝比奈さんと長門さんは」
この2人に関してはある程度把握していますが一応聞いてみましょうか。
「朝比奈さんはさっきつかさの時に言ったように危なっかしくて放っておけない妹のような感情だな
 長門は朝比奈さんとは違う意味で放っておけないってとこか、あいつは人間の一般常識は余り知らんようだしな。やっぱり放っておけん存在ってとこだ」
これはほぼ予想通りの回答でしたね、今までのことを鑑みるにそう気にする必要は無いでしょう。
ではこれで締めですね
「ふむ、では最後に涼宮さんに対してはどう思っておられますか」
「ハルヒはわがままで俺を振り回し続ける困った奴だな。
大体あいつは俺の話を聞きやしないし授業中にはしょっちゅう後ろからシャーペンでつついてくるし
たまに芯を出したままでやってきやがる事もある。痛いからやめろってのに
それに何か思いついたら授業中でも叫びやがるし恥ずかしいっての
俺の手を引っ張っていくときもあの馬鹿力だから後で手が赤くなってたりするしそれにだな……」
「すいませんよくわかりました。あなたがどう思っているかが大体は把握できました」
危なかった、このままでは延々と喋り続けていたでしょう。それにしても見事なまでのバカップルぶりですね。
こちらの脳まで蕩けてしまいそうでしたよ
「あなたにはずいぶん大切に思っている女性が多いようで。おっとそろそろ時間のようですね」
僕はここまで一気にまくし立てました。時間という言葉に反応して彼は時計を見、時間を把握したようで
「遅刻するとまたあいつがうるさいからな、急ぐか」
といい歩き始めました。気になる部分があったので僕は「『あいつ』とはやはり涼宮さんのことですか?」と言及してみたところ
彼は返事をせず、そして歩く速さを飛躍的にあげて去っていきます。どうやら図星のようです、本当に彼は素直じゃありませんね。
まったくやれやれです。






集合場所に戻ると既に他の組の方々は揃っておられました。それにしても皆さんなんだか浮ついた感じがしますね……高良さんを除いてですが。
恐らく先ほどの彼との会話をどこかで聞いていたというところでしょうか。それなら高良さんだけが落ち込んでいるのにも説明が付きます。
他の方の評価は大体上々だったのに対し彼女にだけは『近づきがたくてやりにくい』なんですから落ち込みもするでしょう。
彼が高良さんに近付いていきます。
恐らく皆さんの機嫌がいいのに気付き、逆に高良さんだけが沈んでいるのが目に入ったんでしょう。
……その理由については露ほども分からないのでしょうが。
しかしこれは少しばかりまずいですね。彼が高良さんとだけ話し、高良さんにだけ気を遣っているのは他の方々にとっては面白くないでしょう。
……案の定皆さんお怒りですね。僕から見て変化が無いのは朝比奈さんと……長門さんくらいのものでしょうか。
といっても朝比奈さんは元々一歩引いたところにいますし長門さんは常に無表情なだけですが……。もっとも彼からすれば違いがあるのかも知れませんがね
さて一方彼と話している高良さんの表情に笑顔が宿りつつあります、彼のフォローがきいたようですね。
「こらキョン! いつまでみゆきと話してんじゃないわよ! もうお昼ご飯食べに行くんだから」
涼宮さんの堪忍袋の緒が切れたようですね……。物凄い剣幕です、彼にも抑えられるかどうか
「はいはい、じゃあさっさと行くか。で今日はどこで食うんだ?」
「ふっふーん、ちゃんと考えてあるのよ」
…………へ?
「ほらキョン行くわよ! あんたたちもちゃんとついてきなさいよ!」
涼宮さんが嬉しそうに告げ、歩き出しました。
これは……なんといいましょうか。いくらなんでもそんな一言話しただけでなんて……
と、とにかくついて行くことにしましょう。呆けていて置いていかれた、というわけにはいきません
僕はまだこの人たちとともに居たいですからね。



――――――さて、僕らは涼宮さんの先導で目的の店に到着しました。しかしここは……
「なんだ、考えてあるとか言うからいい店でも見つけたのかとか思ったのにここはいつもの所じゃないか」
彼の言葉通りここは僕たちSOS団が不思議探索の時には必ずといっていいほど利用している喫茶店です。
涼宮さんは何故わざわざもったいぶった言い方をしたのか、恐らく今回は勢いのみで言ってしまったというところでしょうか。
聡明な彼女が場に流される可能性は低いですが先ほどの態度の豹変振りから考えるとさもありなんといえるでしょう。
「何よ、なんか文句でもあんの? バカキョンのくせにあたしにいちゃもんつける気?」
涼宮さんが不機嫌そうに彼に詰め寄ります。なんだかんだいって楽しそうに見えるのは僕の気のせいですかね
それにしてもこの2人の会話を見ていると中々面白いですね。
「別に文句なんか無いさ、なんだかんだいって俺もこの店が案外気に入ってるんでな」
彼がそうぶっきらぼうに告げると
「ならブツブツ言うんじゃないわよ、あんたはちゃんとあたしについてくればいいのよ」
と涼宮さんが返し、「へいへい、全くわがままな団長様だ」と彼が締める。非常にテンポの良い会話です。
羨ましい事ですね、こういったやり取りが出来る相手というのは意外と少ないですから。
いつかは僕もこのようなお相手が欲しいものです。


その後は特に不測の事態も無く、本日2度目のくじ引きを行う頃合となりました。
僕としては彼には涼宮さんと2人、またはせめて同じ組になって頂きたいところですが……
彼の手が爪楊枝を握る涼宮さんの手へ向かっていき――――――



「ほら行くわよ! 有希! みくるちゃん!」
「ふぇ!? ま、待ってくださ~い」
涼宮さんが朝比奈さんと長門さんを連れ足早に去っていきます。
……やはりこうなりましたか。
組み分けの結果、彼は泉さんとの2人ペア、涼宮さんは朝比奈さん、長門さんの2人との3人組。最後に僕、柊かがみさん、柊つかささん、高良さんの4人組となりました。
そういえば彼と涼宮さんは一緒になった事がありませんね。涼宮さんは望めば彼女自身の常識の範疇のことは実現できるはずですが……。
これは僕の想像ですが恐らくは涼宮さんには相反する意識があるのでしょう。
『彼とともにありたい』という思いと同時に『まだ見ぬ不思議を発見したい』という気持ちが。
そして今はまだ不思議を追い求める気持ちの方が微少ながら大きいのでしょう。そして涼宮さんの最も近くにある不思議は僕や朝比奈さん、そして長門さんのような存在です。
よって朝比奈さんたちとは同じ組になれても、彼とは同じ組になれない。といったところでしょうか
彼は泉さんを連れて早々に行ってしまいました。ここで涼宮さんへのフォローなどをしてもらえると非常にありがたいのですが……
「さて、僕たちもそろそろ参りましょうか。どこかリクエストはありますか?」
まぁ過ぎた事を気にしてもしょうがないでしょう。とにかくまずは行くところを決めましょうか
「私はどこでもいいわよ。とくに行きたい所もないし」
「わ、私もどこでもいいよ?」
お2人は特に無しですか。
「では高良さんはどうですか?」
「私も特に行きたいところというのはありません。古泉さんはないんですか?」
不覚にも今回は僕も考えてませんでしたね。ではこうしましょうか
「ではあなた方が午前中にしていたことをもう一度、というのはどうでしょう」
「え……?」
今のは3人全員の声です。やはり気づかれていたことに驚きを隠せないようですね。
……あれほど分かりやすいものもそうないと思うのですが
「な、いつから気づいてたのよ!?」
「僕たちが戻ってきた時です、皆さん不自然に浮かれておられましたからね」
「それで、何でそれだけでわかったんですか?」
高良さんが問いかけます。僕の言った言葉を聞いただけでは当然の反応でしょう
「ただそれだけなら分からなかったかもしれませんがその中で高良さんだけが沈んでおられたので」
「えっと……な、なんで? ゆきちゃんが落ち込んでたからってわかるものなの?」
今度は柊つかささんです。的確な相槌があるのはいいですね、SOS団の元々のメンバーは彼以外はあまり合いの手や突っ込みを入れませんからね。
「今までの情報に直前の彼との会話での彼から見ての皆さんの評価を思い出せばそれで分かりますよ」
更に僕は続けます。
「他の方々に対し高良さんの評価は散々でしたからね。それを慮ればあなた方が何をしておられたかは容易に想像が付くというものです」
皆さん驚きと感心が入り混じったような顔をしておられます。こういう素直な反応はいいですね、彼は少々淡白すぎますから。
「ではそろそろ行きましょうか。あまりのんびりしていると追いつかなくなりますからね」
僕はそう彼女らを促し、泉さんと彼が向かった方向へ歩き始めます。出来ればこの後何事も無く平和裏にことが進むといいのですが、そうは行かないのでしょうね



――――――その後僕たちは2人を発見しここまで気づかれないように付いてきたのですがあの店は一体……?
「げっ!? あいつキョン君をあんなところに連れこむなんて」
柊かがみさんが驚き半分呆れ半分といった具合の声を上げています。彼女はあの店を知ってるんでしょうか
「あそこはどういった趣旨の店なんですか?」
「あそこは……そうね、簡単に言えばオタク向けの店ね。一応普通のも置いてあるけどそっち系の人たち向けの品物が主ね」
成程そうでしたか。しかしそれにしても……
「よく分かりました、ありがとうございます。それにしても結構お詳しいんですね」
「ち、違うわよ! 私はこなたによく連れて行かれるだけで私が買うのはラノベだけよ!」
別に僕はそういうつもりで言ったわけではなかったのですが……しかし利用する事はするんですね。
焦って自爆しているというのも中々可愛らしいものです。
「あれ? あんたたちこんな所で何してんのよ」
そんなことを考えていたところに突然後ろから誰かが話しかけてきました。聞き覚えのある顔だなと思いつつ振り返ってみると
「なんだ、ハルヒに長門さんに朝比奈さんじゃないの。あんたたちこそどうしたのよ」
「なんだじゃないわよ! ていうか先に聞いたのはこっちなんだからいいから答えなさいよ」
先に言われてしまいましたね。しかし柊かがみさんもそんなけんか腰にいわなくてもいいのではないでしょうか。
「僕たちはちょっとした野暮用ですよ。涼宮さんたちはどうしたここに?」
まぁ大体の予想はついていますがね
「そういえば涼宮さんたちが歩いていかれたのは私たちとは反対方向でしたね」
高良さんが付け足します。それに対し涼宮さんは一旦「うっ!」と言葉につまり
「あ、あたしはなんとなくこっちの方に不思議がありそうな予感がしたから来ただけよ!」
涼宮さんらしい反応です。僕としてはもう少し自分の気持ちに正直になっていただきたいところですがね。
「そうでしたか。それで涼宮さんのお眼鏡に適うものは見つかりましたか?」
「ダメね、さっぱりだわ。あたしの勘が外れるなんて信じがたい事だけどたまにはこんな日もあるわよね」
「ではどうでしょう、僕たちは今彼を見物しているところなんですがご一緒しませんか?」
僕がそう告げると涼宮さんは顔を仄かに赤らめ
「ま、まぁ古泉くんがいうんなら良いわよ。あたしはキョンなんかに別に興味ないけどね」
と仰いました。僕は『彼』が誰の事であるかは言及していないのにどうして誰の事かわかったんでしょうね。
まぁ僕からそれを指摘するような野暮な事はしませんが



そして涼宮さんたちが加わり現在僕たちは例の店の前で待機しているのですが……
「遅いわね」
涼宮さんが痺れを切らし始めてしまいました。参りましたね、こんなにも時間がかかるとは思いませんでした。もう既に集合時間である4時の20分前となっています。
2人が店に入り十数分も経った頃には泉さんの買い物は終わったようなのですがその後何故か泉さんが彼に説教を始め現在に至ります。
そろそろまずいかも知れませんね……
「ねぇハルヒ、ここにいても埒があかないしそろそろ戻らない?」
丁度言いタイミングで柊かがみさんが提案してくれました。僕からは涼宮さんにこのようなことは機嫌を損ねる可能性があるので言い出せませんしね
「何言ってんのよ! キョンが出てくるまで粘るわよ」
「でもそれまでここにいてもしキョン君たちが走って集合地点まで行こうとした場合どうすんのよ。私たちの方が遅く行って、しかもキョン君たちと同じ方向からなんて不自然すぎるでしょうが」
いい調子です。もう一踏ん張りでしょう
「う~ん。じゃあ古泉くんはどう思う?」
おっと、僕に回ってきましたか。しかしこれは好機と考えるべきでしょうね
「僕も戻った方がいいと思います、こんなことをしていた事を彼に感づかれるのはまずいでしょう。彼は存外察しのいいところがありますから一応用心した方が良いでしょう」
「そうね、そこまでいうなら仕方ないわね。戻りましょう」
そういうと涼宮さんはもう行ってしまわれました。他の皆さんもそれぞれ追いかけて行かれます。
「ほら! 古泉くんも早く!」
涼宮さんが呼んでおられることですし僕も行くとしましょう。あんまりのんびりしていると彼が戻ってくるかもしれませんしね

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最終更新:2007年10月01日 18:53
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