昼休みの暴走

七誌◆7SHIicilOU氏の作品です



 タブーとは、つまり禁忌、法度事だ。
つまるところ行ってはいけない事柄、事象、事項、
この世には何時如何なる場合にも確実に堅実に存在するタブーがある。
人を殺すな、人の物を奪うな、などが根源的な人間としてのタブーだ。
そして少しずつ社会的になり最終的には法に至るわけだが、
それ以外にも暗黙の了解、誰にとがめられるでもないタブーがある。
ローカルルールのようにその場に着根し、広がるタブー、
人は、そういった物を時に無視し、特に力に訴えてでも自らから遠ざけるのだが。
俺の知り合いには無謀にもそういった事象に敢えて手を出す愚か者が居る。
嬉々として、嬉々として、揚々として、朗々として、
誰もが遠ざけ忌避し疎む物事に積極的に関わろうとする。

 この悪夢の如き日も、また、そうだった。

 昼休み、高校という場所の都合上成長期の人間が集合してる為、
この時間は食欲と開放感からくる娯楽を目一杯楽しむべく
非常に騒がしい時間帯となる。
俺はふと思い立ち中庭で昼食をとることにしたのだが、
まぁタイミングが悪いというか、見事に合致した感じである。
よくない、よくない。
弁当を食しながら青空を見上げ、いい天気だなあとか思いながら
そよ風に身を任せていたのも束の間の事、
俺は渡り廊下からちびちびとこちらに向かって歩いてくる物体にぎょっとした。

 でかいダンボール、それが上部分をぴこぴこさせて近づいてくるのだ。
まぁ一見すれば誰かが運んでいて、姿が隠れているのは即刻理解できるのだが、
俺はちぃとも手伝おうとか言う気にはならなかったね。
理由は二点、下から見える足と髪が小柄に似合わぬ腕力の持ち主である
泉先輩の物だと把握していたのと、その後ろに同じくダンボールを持つ涼宮を捕らえたからだ。
不思議な荷物を持つ泉先輩プラス不可解な荷物を持つ涼宮、
いますぐ逃げ出したい気分で一杯だった。
だが、俺は現在弁当を摂取してる途中で、逃亡の為には食いかけの弁当を
包みなおさなくてはならない。でなければヘンゼルとグレーテルの如く
逃亡者の道筋を涼宮、泉先輩の両名にバラすことになるからだ。
その結果としては俺は死ぬ。

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最終更新:2009年06月09日 04:42
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