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俺とハルヒとおでんと

七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。

 

 

夜、もう既に上着を着ないで外を出歩くのは自殺行為に近くなった季節
夏ならば平気で子供達が遊んでいたこの時間もすっかり闇に包まれている
俺はなんとなく散歩のつもりで近くの公園にむかい


そして、彼女に出会った

 

「どうもお久しぶりです、キョン君」
そういって彼女、朝比奈さん(大)は俺の前に現れた
それにしても本当に久しぶりだ、一年以上あってなかったからな
朝比奈さん(大)の方の時間でどれ位経ったのかは知らないがな
ってかあなたが現れたって事はまた時間移動を俺がする羽目になるんですか?
しばらくしてなかったから、いまの俺があの感覚に吐かずに耐える自信は無いですよ
そういうと朝比奈さん(大)は俺の心臓を激しく動かしすぎて止めるかのような
そんな天使の微笑を俺に向けて言った
「いえ、今回は時間移動はありません、ただこれを見つけて欲しいんです」
そういって彼女は俺に小さな薄い水色の封筒を渡してくれた
「この中に資料が入ってます、この中に書いてあるものを順番通りに見つけて欲しいの」
朝比奈さん(大)はその後に、いつもごめんなさいと俺に頭を下げて
すぐに行ってしまった、残された俺はああそういえばこの公園はあのときの公園で
ちょうどよくあのベンチの前だったのか、とこれから巻き込まれる事から逃げるように
変な思考を続けて、家に戻った

 


家に戻って早々に妹は封筒を目ざとく発見し
「お母さん!キョン君がラブレターを貰ってきた!」
などとまた余計な事を言ってくれた
そのため、なにやらしたり顔でやってき、誰に貰ったのかをしつこく聞いてくる母に
俺はその後数分間の詰問を受ける羽目になった
しかし母よ、何であなたはそこまで俺の周囲の女生徒に詳しいのかね
まぁどうせソースは妹だろうがな、妹にはしばらく何も買ってやらんことにする


なんとか封筒を死守して俺は自分の部屋にたどり着いた
ベットに寄りかかり、やっと封筒の中身を見ると
中には三枚の絵?が入っており、それぞれに1,2,3という風に数字が振ってあった
ってか朝比奈さん(大)、これは一体何の絵なのでしょうか?
一枚目を見ると、三角、四角、丸が縦に並んで下から棒が出ている
……おでん?そんなわけ無いだろう、しかも他の二枚は数字以外何も書かれていない
どうやって探せと言うのだ、と封筒を見ると内側に何か書いてあった
『ごめんなさい、写真などは制限がかかってるからこれが私の精一杯なの
 後、最初のを見つけると二つ目の絵が出てくるようになってるからね、 みくる』
なるほど、白紙の理由はわかったがどちらにしろ
この絵では捜索はかなり困難になるであろうな、俺は知らず知らずにまたも変なことに
巻き込まれてる自分のこの体質にため息をつき
お決まりの台詞をはいた

「やれやれ」

 

次の日、今週最後の学校でありつまりは金曜日と言う事になる
今回の朝比奈さん(大)からの依頼は特に時間制限に関しては言われてないので
明日から土日に一つ目を探す事にでもするかね
うまくいけば一日に一つで三つ目まで行きたいところだけど
一枚目の絵を見る限りそれは多分不可能だろうと思うね
まぁ今のところ長門や古泉から何か言われてるわけじゃないし
のんびりやるとするかね、自分の席に座って考えていると
「うぃーすキョン!どうしたんだ、考え事かぁ?」
朝っぱらから騒がしい奴に話しかけられた
日下部よ、お前の元気の一割でもいいから俺に分けてくれ…
と、ここでいい事を思いついた
「日下部よ、こんな絵を見て何を想像する?」
そういって俺は机からノートを取り出して、胸ポケットに入れてるシャーボで
昨日の朝比奈さん(大)に貰った絵を精密にトレースして描く
まぁ、三角と四角と丸をならべて描くだけだがな
「ん~、おでん?」
…やっぱそうなるよな、ってかこの単純でおばかな肉球ラブの日下部に聞いた俺が間違いだな
とりあえず俺は内心の失礼な思考を表には出さずに適当に礼を言って日下部を帰した
次はもっと良識ある人間に聞く事にしようと、心のそこにメモをして

 

一時間目終了
教科書を仕舞おうとする際にノートが落下し、さきほどのページが開いた
それを拾おうとした俺に後ろの席から馬鹿にした声が飛んできた
「呆れた、あんたさっきの授業珍しくまじめに受けてたと思ったら落書きしてたわけ?
 しかもずいぶん幼稚な絵を描いて、なにそれ?おでん?」
やかましい、お前に呆れられる筋合いはないし
さっきの授業もキチンと受けてたぞ、ってかなんだ珍しくってのは
俺から言わせればお前の方が不真面目だ万年寝太郎め
「ふん、そんなに言うなら今度のテストで勝負する?結果は目に見えてるけど」
それを言われると俺は弱い、実際こいつは俺の倍以上の点数を毎回とっているのは
紛れも無く事実なのだからな、傍目から見たら寝てるようにしか見えなくてもな
しかし、ハルヒも先ほどの絵をみておでんと言ったな
誰がみてもやはりこれはおでんなのだろうか、いやまて俺は先ほど自分に言ったはずだ
次はもっと良識ある人間に聞く事にしようってな、俺に言わせればハルヒはそれに
当てはまるとは到底思えないのでノーカウントだな
俺はそう言い聞かせるようにつぶやいて、ノートを仕舞おうとした
「ちょっと待ちなさいよ、結局さっきの絵はなんなのよ?」
ハルヒめ、まだそれを引っ張るか
まぁ確かにさっきのが授業中の暇つぶしに描いた落書きで無いなら
一体なんなのかと聞きたくなるのも無理からぬ事なのかも知れん
「いや、謎解きみたいなもんでな、これで何を連想するかって奴だよ」
ここは当たり障り無く言っとくのが吉だろうと思い
適当にでたらめを述べ、話を切り上げようとした
こういうネタにはハルヒは食いつきが悪いのももちろん考慮済みだ
「へぇ」
思ったとおり、ハルヒは急に黙って窓の外を眺め始めた
なんとなく誇らしい気分でノートを仕舞って、次の授業の支度を始めると
「標識とかじゃないの?」
ハルヒがまた話しかけてきた、どうやら黙ったのは興味をなくしたからでは無く
さっきの絵で他の物を連想していた所為のようだった
しかし標識か、って事はどこかの道路だろうか
だがこの順番で並んでる標識なんてざらにあるぞ
「駅前とかいつもの喫茶店の辺りにはそういうのよくあるわよね」
そういってハルヒは自分の意見は言い終えたとばかりに窓の外に顔を向けた
「…サンキューな」
俺がそういうのと授業開始の鐘はほぼ同時で
ハルヒに聞こえたかどうかは俺にはわからなかったが
多分、聞こえたのだろうと思うただの勘だがな

ついでにハルヒの机の上は一時間目終了の時も今もなにも乗ってはいなかった


次の日、つまりは土曜日だな
特に目覚ましをかけたわけではなく
そもそも早く起きようなんていう気持ちすら皆無だったにもかかわらず
なぜか知らんが学校に行く日よりも多少遅い程度の時間に目が覚めた
自力での目覚めと言うのはずいぶん気分がよく
特に夢の内容を鮮明に覚えてる事も多い
しかし、夢の中でまで俺はSOS団の連中に振り回されてるから
まったく頭の痛くなる話だ、もうすこし俺をいたわってくれる奴がいても言いと思うがね
確かに一年の時に比べればみゆきさんや峰岸といった常識人が増えたが
それ以上におかしな人種が増えてるからな、結局俺の苦労はへりゃしないのさ

俺はとりあえず一階に下りて、顔を洗ってリビングにでる
妹が素で俺にどうしたの!?と聞いてくるのには流石にへこんだ
本気で心配してくれてるのが嬉しいやら、悲しいやらだ
妹の声で俺に気がついた母親がコーヒーをだしてくれたが
早く起きたのは昨日の手紙の子とデートするのかなどと聞いてくるため
ゆっくりと飲めずに舌を火傷する勢いで飲み干した、ってか実際火傷した
自分の部屋に戻り、服を着替えて出かける用意をする
携帯と財布を持っていけばいいだろうと、適当に上に一枚羽織って家を出た
また、靴を履く際に母が俺に五千円札を渡してきた
曰く、男の子だからだそうだ
誤解である事を考えると多少良心が痛むものの
最近本当に危なかった財布の中身を考え、素直に頂戴した
これは昨日言ったことを撤回してで妹に何かこの金買ってきてやろうかね
俺は自転車を裏から引っ張り出して、駅前に向かった

 

さて、ついたはいいがこの自転車をどこに置くかが問題だった
前のように不法駐輪をして勝手に撤去されては困る
一応去年バイクの免許をとりはしたものの、バイクが無いし
学校に行くにも困るからな、今のところ俺の唯一の脚なのだから
多少面倒ではあるが少し離れた有料駐輪所に置く事にしようと思い
既に見えてきたいつもの公園を尻目に信号を曲がり
駐輪所に向かってペダルを漕いだ、そういえばこの方向だったな
佐々木と通ってた塾は、最近はとんとこっちの方に来てなかったからか
やけに懐かしく感じるな、そんなことを考えていると駐輪所が見えてきた
俺は空いている場所に自転車を置いて、鍵を閉める
一時間100円良心的な値段は3年前から変わらない
そして、駐輪所から出ようとして俺はあいつの姿を見つけた
うわさをすれば影って奴だろうか

なぁ? 佐々木

――――――
「やぁ、キョン久方ぶりだね、前回の集会の時が先月だったから、一ヶ月ぶりかな」
確かそんなもんだったな、お前はまた図書館かなんかにでも用があるのか
「まぁそんなところだよ、受験勉強ってやつさ、しかしキョンはこの駐輪所に
 なんのようなのかな?いつものSOS団の集まりかい?」
残念ながら今回は違うな、SOS団の集まりでわざわざこんな所に自転車を置いてたら
即、俺の財布から札の一枚や二枚がなくなってしまうからな
「ふふっ、キョンは楽しそうでいいね、だけどキョンはそんな風に遊べるほど
 僕の知らないうちに成績が上がったのかな?涼宮さんから聞く限りそうはとてもおもえないけど」
お前ら俺の知らないところで連絡取ってると思ったら、そんな内容なのか
まったくハルヒの言う事だ話半分どころか、四半分でちょうどいいぐらいだぞ
「ふふ、わかったよ、でキョンはどういった用でここに来たんだい?
 それとも親友の僕にすら打ち明けられない事なのかな?」
ふむ、どうしたものか佐々木は自分の立場やSOS団の素性を知る数少ない常識人だが
そのまま言うわけには行かないだろうな、そう考え俺は
「ちょっと未来人からの手紙が来てな」
と言うにとどめた
聡明な佐々木のことだ、それを聞いてすぐに納得したように頷いて
「そうか、それはすまない事をしたねキョン、つい久しぶりに会った所為で
 君を引き止めてしまっていたみたいだが、君はどうやら急ぎの用だったのか」
いやまぁ別にいいんだがな、時間制限があるわけじゃないからな
俺もお前と話す時間は決して悪いもんではないからな
「ありがとうキョン、では次の集会の時にでも」
そういって佐々木は図書館の方に向かった
俺はその後姿を眺めつつ、今自転車で来た道を戻って
いつもの広場に歩き始めた


さて、広場に到着して
とりあえずはハルヒがいっていたSOS団御用達の喫茶店に向かう
去年から人数がさらに増え、10人を超える集団になったSOS団
当然店員さんにも覚えられて、あの店にはSOS団専用のテーブル席が置くに設けられている
部室に続き第二位で集まる場所としての定番と化している
ついでに広場は三番目だ、佐々木団の場合は広場にいかずに直接喫茶店に向かうからだ
まぁそんな脳内ランキングなど置いといて俺は徒歩にて、喫茶店に向かった
道中の標識にも一応目を光らせとくが、目的の形をしてるのは意外となかった
まぁあちこちにあったら探せとも言われないだろうがな

約10分後、喫茶店に到着
いつもの倍近く時間がかかっている、自分じゃ対してわからないが
心境による歩行速度というのはずいぶんと違いがあるらしいな
俺は喫茶店の前に突っ立って周りを見渡していると
後ろから声をかけられた
「あんた、本当に標識探してんの?」
ハルヒは俺が今背を向けていた喫茶店のドアから半身乗り出すようにして
俺に話しかけていた、俺はというと後方から予想外の人物から声をかけられて
変な体制で硬直していた、知り合いにこの姿を見られていないことを祈るばかりだ
しかしなんでハルヒがこんな所にいるんだ、SOS団の集まりは無いはずなんだがな
「…とりあえず中に入りなさいよ」
ハルヒは俺の疑問には答えずにそういって中に入っていった
従うしか選択肢が無いのを誰よりもよく知ってる俺はすぐに後を追って喫茶店に入った


「そんであんたは何であんなよくわからない絵を探してるの?」
ハルヒの座ってる二人用の席、正方形の机の向かいに俺が座るや否や
ハルヒは肘を机に置きながら質問してきた、俺はなんと答えたもんか悩んでいると
入店した俺をみて喜緑さん扮するウエイトレスが注文を聞きに来てくれた
俺はコーヒーを頼むと、喜緑さんが持ってきてくれたお冷を飲んで時間を稼いだ
のどを潤し、時間を稼いだ俺はコップを机において
「なんとなくだ」
そう答えた、これはどっかの小説かなんかで書いてあった方法で
答えられない質問を切り抜ける伝家の宝刀だった
怪しさ大爆発ではあるが、突っ込むための材料がない
そんな言葉なのだと書いてあった気がする
ハルヒは眉毛をへの字にして俺を見ていたが、ウエイトレスが先にハルヒが頼んだのであろう
ケーキと紅茶を持ってきたため、俺はその視線から逃れることができた
なぜかその後、ハルヒはしばらく机どころか床にまで穴を開ける勢いでケーキを見つめていた
俺はその後に運ばれたコーヒーにミルクと砂糖を入れていた
ハルヒは俺に向かって不適な笑みを浮かべると、白い三角のケーキをフォークで切り崩し始めた
こうしてみてると普通にケーキを食べてる女の子なんだがな、もったいない
ってかここの代金俺持ちになったりしないよな?
さっきの笑みが俺に奢らせることを思いついた顔でないことを俺は切に願うよ


しばらく談笑しながら喫茶店で俺たちは時間をすごしていた
俺は喜緑さんにコーヒーのお代わりを頼んで、今日の本来の目的を思い出していた
ハルヒは既にケーキを食べ終わりフォークで丸いおしゃれな皿を突付いていた
まったく行儀が悪いことだ、ってか机に肘をつくのも俺としては注意したい事の一つだ
ハルヒといるときに起きるもはやお馴染みとなった頭痛を感じつつ
なんとなく俺はミルクも砂糖も入れないでコーヒーを啜った
「あつっ!」
ミルクを入れてないため温度が下がってないのを失念していた俺は
予想以上の熱さに驚いた、カップを一端置き氷の解けた水を飲む
今朝に続いて二度目の攻撃に俺の舌は半壊状態に陥っている
俺はコップの底に残っているちびた氷を口に放り込んで
コーヒーにミルクを多めに入れて、飲み干した
ハルヒは俺のその一連の動作をあきれた様に見つめていた
ちくしょう、何処と無く悔しいのは何故だろうか
俺はハルヒから目を逸らして腕時計を見ると、すでに一時間近くたっていた
プラスチックの円筒から俺は伝票を取ってレジに向かった
ハルヒは横においてた上着を腕にかけて、当然のように出入り口に向かって
仁王立ちで俺を待っていた、二人分だし野口一枚で済むこともあり
今回俺は特に何も言わずに清算をすました

「レシート貸して」
外に出た俺にハルヒは右手を差し出してそういった
俺は財布にしまったレシートをハルヒの右手に置くと
ハルヒは財布から450円出して俺に渡してきた
「今回は割り勘でいいわ、あんた別に遅刻したわけじゃないし」
コーヒーしか飲んでない俺は結局損してることに代わりが無いのだが
ハルヒが割り勘といってきたことに痛く感動した俺はもう戻れないところにいるのだろうか
俺は自嘲しつつ受け取った金を財布に入れる
「さんきゅ」
礼を言いつつ、俺が会計してる間に変わっていたハルヒの髪型を見つめた
後頭部に小さくできたちょんまげもどきを見つめて
「…やっぱりそれ似合ってるな、ハルヒ」
聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの声量で呟くように俺はそういった

 


夕方、時間はまだ早いもののあっという間に沈んでいく太陽のおかげで
あたりは真っ暗になっていた、結局あれから図形探しはまったく手につかず
ハルヒとぶらぶらしてるだけで貴重な連休の一日目を潰してしまった
俺はため息をつきつつ、ベットに転がりポケットから朝比奈さん(大)からもらった手紙を取り出す
多少しわがついているものの、家に置いていたら妹に確実に強奪されるので
常に俺が持ち歩かざるを得ない、俺は中身を透かすように手紙を持ち上げて
部屋の電気に向けてみた、すると中身に変化があることに気がついた
俺は勢いよく起き上がって中身を取り出してみる
すると、一枚目のおでんの絵にはピンクのペンで大きく花丸が描かれていて
二枚目に新しい絵が追加されていた
俺はいつ一枚目のおでん形の記号を見つけたのだろうか
その日一晩中悩むことになったのだった

 

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最終更新:2008年01月25日 14:11
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