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朝霜の夢『一日目』かがみ

『恋愛運ナンバー1の蟹座のあなた。今日決めた事が今後の事を大きく左右します。気になるあの人には慎重に!』
ふと、思い出した。
授業中だというのに机の下で携帯をいじるあやの。
なにやら、にまにまとにやけている所から察するに彼氏とノロケててもいるのだろうか。
そんな幸せそうな顔は私の前ではあまりしないのだけど…
やっぱり恋人は特別なのかしらね。
「…」
そう言えばつかさもつき合い始めてからは笑顔が殊更多く見ている気がする。
彼氏ねぇ……。

「コラッ!!!!」

突然の怒声にビックリした。
もしかしてあやのの携帯がバレた?!などと思い見るがあやのもヒヤヒヤした様子で声の方向を見ていた。
あれ?じゃあ誰が

「お前なぁ…女が早弁なんてみっともないと思わんのか?」
「それは男女差別って奴で」
「反省してないな?残りの授業時間ずっと立ってろ」
「ヴァ!?」

…みさおだった。

言いつけ通りみさおは残り時間ずっと立たされた。


「恥ずかしさと疲れで死ぬかと思ったよぉ…」
ぐったりと机に伏して愚痴る親友。
自分の非は素直に認めなさいよ?
「そう言えばあやの、携帯危なかったわよ。明らかに何か見てるって分かったもの」
「え、本当に?うーん…」
困ったような顔をしたものの、にへら、とすぐに崩れた。
「実は文化祭に彼が…」
「あーはいはい。惚気話はもうお腹いっぱい…私みたいな独り者には耳の毒よ」
「あら…つれないわねぇ」
あー本当に幸せそうに笑うわね…私も彼氏欲しいな。冬になると人肌の暖かさが更に恋しくなるし。
「なら柊ちゃんもつくればいいじゃない」
「えっ?!ええっ!?」
凄く焦った。もしかして私今口に出してた?
「み、みさおはどうなの?」
「あ、逃げた」
うるさいわねっ!私は別に恋人なんて……
と、みさおの方向を向くとふてくされた顔があった。
「別にあたし無視してていいよー…どうせ入れないし」
仕返しですか?



そして昼休みになった。
私はいつも通りに隣のクラスに弁当を持って行った。
ドアを開けて入り、こなたとみゆきが机を挟んで向かい合わせに座って居るのを見つけ、そこへ近寄る。
「ねぇ、かがみん。つかさはどうしたんだい?」
「恋人のところに愛妻弁当をもって行ったのよ」
私は隣の席を借りてそこに座る。
何ともなしに教室を見回すとキョン君が谷口達と一緒に昼食を取っているのを見た。
「…はぁ」
「む、かがみは何か悩み事があると見たね」
「かがみさん、どうかされました?」
口からいつの間にか溜め息が出てた。
しかもそれが変な誤解を与えたらしい。
「あ、いや、何でもないわよ?」
「かがみん…」
意外にもシリアスな目つきでこちらをみつめるこなた。
…まさか私がキョン君を見てたのがバレた?
「あの、そんなんじゃ無いわよっ?私は別に」
顔が火照って赤くなっているのがわかった。
否定していてもこれでは逆効果だ。
そんな私を手で制するこなた。「いや、隠さなくていいヨ…私はわかってるから」
えっ…それはつまり私前から無意識にキョン君に気があるような素振りしてたってこと!?
「ちょ……こなた!」
私がこなたの口を塞ごうとした努力は無駄に終わった。

「また太ったね?」



核心からは外れていたものの、真実を射ていた発言をしたこなたをチョップ(結構本気)で叩いた。
「痛いヨ……」
「乙女の秘密をバラすからよ」
「まぁまぁ…」
そして私達はいつも通りの昼食を済ました。
ただし、つかさ抜きの。



(結局あの子古泉君と食べたのかしら)
昼食後の、まどろみを感じる授業を受けながらそんな事を思った。
(彼氏……ねぇ)
『恋愛運ナンバー1の蟹座のあなた』
『つくればいいじゃない』
(別に信じてる訳じゃないけど)
授業のノートを取りながら私は自分の心を探る。
(けど、何もないならあの時なんで焦ったの?)
もしかしたら既に気づいてたのに知らんぷりしてただけかもしれないけど。
(悪い所も無いし…基本優しい人だし……)
なら、こうなるのは必然だったかもしれない。
(よし、決めた!)
うじうじ悩むのは性に合わない。
私はどこかにあった勇気を振り絞り、決心した。



帰り道。
校門でつかさは古泉君を待つと言って残り、みゆきと別れ、こなたと二人きりになった。
こなただけには言っておこう。
「ねぇ、こなた」
「ナンだい?」
「ちょっと真面目な話しなんだけどさ、」
「愛の告白?ゴメン、…私はかがみんを友達としか」

「私、キョン君に告白する」

軽口を無視した。
私の宣言にとまどうこなた。
「え…と?」
こなたには言っておこうと思ったのは、こなたもキョン君が好きではないのか?という懸念があったから。
みゆきはキョン君へ好意を持っていても質が違うような気もするし、まずはこなたに釘を刺そうと思ったのだ。
正直汚い手だとは思うけど私は負けたくなかった。
だから念のため。
「だから、こなたに、協力して欲しいの」
一つ一つ区切って念を押す。
こなたはどこかキョトン、としたような感じで頷いた。
「それだけ言いたかったの。じゃあね」



私は自宅へ帰るとまず布団に潜った。
「あー………心臓がまだドキドキいってる」
さっきこなたに真っ向から宣言してからずっと。
寒さを感じるどころかむしろ全身が暑かった。
「言っちゃった………言っちゃったよ」
落ち着け私。
まだ本人に告白した訳でも無いのに。
「あー……」
顔が熱い。
恥ずかしさが微妙にブレンドされたこの感情は抑えるのに少し苦労しそうだった。




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最終更新:2007年11月23日 23:39
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