「キョンキョンはそんなに私とのラブシーンは嫌なんだね…」
嫌そうな顔をしているキョンキョンにうるっと嘘涙を滲ませて顔を背けた。
「あのだな、だいたいお」
ガラッ
「起立ーっ」
一時限目の先生が入ってきた。
私はそのまま前を向いてキョンキョンの言おうとしたことを無視して授業に臨んだ。
後ろからは「全く…」などと聞こえた。
キンコンカン、と授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、昼休みになった。
つかさはなにやら急いだ様子で普段よりふた周りは大きいお弁当の包みを持ってどこかへ消えてしまった。
私はまぁ、特別気にする程でもないしかがみに聞こうかな?と気楽に考えた。
みゆきさんのところへチョココロネを一つと牛乳を一つ持って向かう。
みゆきさんの前の席を借りて座る。
ペリペリ、と包装を剥がしているとかがみがやってきた。
「痛いヨ……」
かがみんがこっそりキョンキョンを見つめていたのを少し弄ろうかと思ったけど止めた私の優しさは仇で返された。
かがみんには悪いけどバレバレだったしね。
もぐもぐとチョココロネの頭をかじりながらそのことは黙っている。
「あやのがね…文化祭に」
あ、そうだ。
文化祭、というキーワードが出てきた事で言い忘れてた事を思い出した。
「かがみ、ちょっと悪いんだけど私文化祭一緒できない」
「え、そうなの?」
「実は私このクラスの劇にでることになってね」
「役は?」
「白雪姫」
ブッ、とかがみが吹き出した。
そんなに似合わないかね。
「これでも泉さんはがんばってるのですよ?」
「そうだよー」
昼休みの次の時間は眠い時間。でも今日は眠れない。
何故か?それはね、
「オラ、泉!!主役がキバらんでどないすんねん!!」
担任の授業だからサ。
「説明しよう。文化祭前に劇をするクラスは担任に劇の練習に使わせてくれと懇願するのだ。
しかし、やる気のない生徒にとっては面倒くさいだけなのだ!
しかし役のない生徒には授業がまるまる潰れて…」
「早くせいっちゅうとるやん!!なにぶつくさ言っとんねん!」
パカーン!!と丸まった台本で頭を叩かれた。
「体罰ですよ!?」
「アホは適用外や!!」
さり気なく酷い事を言われたが、私は渋々と練習に向かった。
劇が成功すると表彰されるし、先生の株あがるから先生達のモチベーションも高いんだよね…
そして、六限目のLHRも練習に充てるという担任の力技で私は悲鳴をあげた。
「あー劇って言っても疲れるね…」
「お前は普段運動しないからだろ」
「失礼な。私は運動は得意だよ?」
「まず白筋と赤筋ってのがあってだな…」
「勉強の匂いがするからヤダ」
なんて会話をしながらキョンキョンと別れた。
まぁ、単に私はかがみやみゆきさん達と帰るから何だけどね。
別れたって言っても先に教室から出ただけだし。
バイバーイと教室から出るときにキョンキョンに手を振って下校した。
「私、キョン君に告白する。
…だから、こなたに、協力して欲しい。
…それだけ言いたかったの。じゃあね」
帰り道。
つかさと、みゆきさんと分かれて、かがみと二人きりになると突然、かがみはなにか思い詰めたような顔になった。
…私はそんな空気は嫌だったので和ませようとしたけど無理だった。
去っていくかがみの後ろ姿を見送る。
角を曲がり、姿が見えなくなった所で私の足はようやく動き始めた。
「……どうしよう」
多分私の声は震えていた。
恐怖か、絶望か。
両方か。
私はフラフラとした足取りのまま歩みを進める。
頭の中が混乱始終しっぱなしだ。
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最終更新:2007年11月23日 23:41