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朝霜の夢『一日目』キョン

劇の練習を終え、少し汗ばみながらその場に座り込んだ。
適度な疲労感と火照りが冷えた床を気持ちよく感じさせる。
「オツカレーsummer!夏!!」
「はいはい。お疲れ」
そんな、疲れを感じさせないような口調のまま俺の隣に座ったのは泉。
どういう体してるんだ?コイツ。
座ったままの俺達に担任がその場でHRを始めた。
「文化祭まであと三日や。泉、キョン!!お前らの双肩にウチのか……イヤ、なんでもあらへん。
文化祭らウチがウマいシュークリームとお茶奢ったるで!!皆キバりや!!」
イエー!!と歓声を挙げる皆を横目に俺はぐったりと肩を落とした。

HRを終えると先生はそのまま解散にした。
どうやら掃除は免除してくれたらしい。
俺は少し、泉がかがみを待つと言うので話相手になってやった。
しばらくして(掃除も何も無かったお陰で俺達のクラスは終わるのが早かったせいだ)かがみが来たので泉は俺に手を振り、帰ってしまった。
谷口も国木田も帰った。
SOS団も文化祭で「何か」をする準備で忙しいらしく入れない。
何故かって?
それは俺がクラスの劇の主役を張る事が決定してしまった事をハルヒに伝えたら激怒して
「いいわ!!ならキョンは私たちの敵よ!!文化祭終わるまでSOS団に入らないで頂戴!!!」
と言って閉め出されたのさ。
何をしでかすか分からないのでハルヒのとばっちりをわざわざ受けには行きたくないね。
だから俺は真っ直ぐ帰宅した。






「……マズいな」
「……マズいよ」
「ニャー」
泉の腕の中のシャミセンも同意するかのように鳴いた。
ここは俺の自室だ。
俺は上下スウェットという自宅丸出しの格好に対して泉はセーラー。
要するに、泉は学校から俺の家まで直行した、と言うわけだ。
ここまで説明すれば何がマズいなんて分かるだろ?

「…かがみんに付き合ってるのバレるよ?」

そう。
俺たちは既に付き合っていたのだ。
何故かがみに話してないかと言えば泉が拒否したからだ。

「かがみはね、多分無自覚だけどキョンが好きなんだと思うんだ…
私は欲張りだからキョンも欲しいし、かがみやつかさとの関係も壊したくないんだよ…」

最初に、付き合うときにそう泉は言っていた。
俺はそれは無いだろ?なんて思ってそのときは軽く流していたが、今となっては後の祭りだ。
むしろ俺達の取っていた行動はかがみから見れば重大な裏切りにしか見えないだろう。
なにせ付き合っていた事を言わずに、かがみが泉に告白すると宣言してからバラすのでは…
「あー…マズい」
「うーん…どうしよう」
「ニャーン」
泉も俺もずっと何の意見も出ないでいた。
だが泉。
「ニャー………」
猫の尻尾で遊ぶな。
シャミセンが困っているだろ。バタバタバタバタバタッ!!!!!!!!!
あー……更に騒がしいのが来たな。
ドバンッ!!と俺の自室を壊しかねない勢いで妹が入ってきた。
「こなちゃん遊ぼ!!!」
……頭痛がする。
これ以上俺の心労を増やすな。

泉と妹はどうやら波長が合うらしく、初めて家に呼んで、帰るときには 既に仲良しになっていた程だ。
シャミセンと妹と泉が俺のベッドの上で仲睦まじく暴れているのを見てベッドの安否を心配しながらその光景を俺は見ていた。







夜になり、泉を帰して飯を食い、風呂に入って再び自室へ戻った。
練習稽古と妹と泉の遊び相手をして疲れた俺はベッドに倒れ込んだ。
……泉の香りがする。
変態じみた考えだが、残り香がどこか俺の心を落ち着けるのは事実だったので否定しようがない。
残り香を嗅いでいると途端に眠気が襲いかかり、俺は眠りに落ちた。


頭を悩ませる問題も、寝てしまえばなんの関係も無かった。





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最終更新:2007年11月23日 23:43
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