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キョンは整体にも通じているようです

小泉の人氏の作品です


さて、昼休みである。
「あー…寒っ」
「大丈夫かい、キョン?」
何気ないぼやきにさえ割と好印象な返答をくれたのは国木田。
「いい格好しようとして冷えたんだから自業自得だろう」
何故か少しムカつかせるような返答をしたのが谷口。
客観的に見れば俺たちは男同士で一つの机で顔を突き合わせながら弁当をつついていた。
まぁ、それだけなので取り立てて描写する必要も無いだろうが少し見過ごせない質問があってな。
「大体キョンはだな、衆人環視の中だっつうのに泉を喘がせるわ高良さんの体を火照らせるわ…
更には泉に自分のコートを与えてさり気ない優しさを演出したあとにいきなり虐めるという」
以下略。
つまりあのマッサージは何事だったのかと言いたいのかね。
「ただのマッサージで、少し痛めつけた理由はだな、」
「こ、こいつ…この期に及んでまだそんな(以下略。長い。)」
別に取り立てて言うべきことでは無いがただ少し…む、なんというか…
あれだ。少し語弊があると思うが。つまりアイツがコートを借りっぱなしなのが…これじゃ逆だな。
俺が少しイジめたからコートを返さない訳だし。
………。
まぁいいか。過ぎたことを弁解するのは無駄だ。以下この話題は禁止で。

「おねーちゃーん」
と、俺が谷口の妄言を受け流しながら国木田の唐揚げとミートボールのトレードを提案しているところに聞き覚えのある声が教室に響いた。
「あー、ゆーちゃん」
その声に応えたのは午前中からずっと俺のコートを略奪中の泉こなた。
背にかなりの開きがあるので、だぶだぶで動きづらいだろうに一向に脱ごうとしない所から俺へのあてつけみたいなのが見え隠れするな。
何があったのだろうかとこなたの周りを見てみると、こなた一人だけ何も食べていなかった。
つまり弁当でも忘れたのだろうか。
柊たちがあまり弁当に箸を付けてない辺りからアイツらの一緒に食べようとしている仲の良さが見て取れた。
いい友達に恵まれてるもんだな。


そうしてこなたに巾着(たぶん弁当が入っている)を渡し終えると俺に気づいたゆたかちゃんがこちらにとてとて、と歩み寄った。
「お兄さん、こんにちは」
「ああ、こんにちは。ゆたかちゃん」
真面目な挨拶に俺も真面目に応えた。
「キョン、テメェは何人その毒牙(あまりに無意味、不可解な事しか言わないので以下削除)
「わざわざアイツのために弁当をもってきたんだ?」
「あ、ハイ。おねぇちゃん困ってると思って。…………あとオニイサン////」
む?最後はなんて言ったのだろうか?
聞き取りづらい程の小声だったがお兄さんがどうこうと聞こえたような……国木田、何故ニヤニヤと俺を見つめる?
「ゆたかちゃんは偉いなぁ」
と、特に意識せずに頭を撫でてしまった。
…しまった。妹にするようにしてしまったが気分を害さないだろうか?
「………///」
ゆたかちゃんは軽くうつむいていた。表情が見えにくいので断定はできないがそれほど不快には思ってなさそうだ。
「……あの、それじゃあこの辺で失礼しますね///」
ゆたかちゃんが別れ際の挨拶をしたが、その時に少し違和感を俺は覚えた。
「あ、ちょっと待ってくれ」
踵を返したゆたかちゃんが再びこちらを向く。
「何でしょうか?」
「ちょっとこっちに来て、後ろを向いてくれないかな?」
頭の上に疑問符を掲げながらこちらに来るゆたかちゃん。
くるり、と後ろを向いたゆたかちゃんに肩を揉んだ時のように後ろに立つ。
細く、触れば折れてしまいそうな体を失礼だとは思いながら触らせてもらう。
「ちょっとゴメンよ」
「え?……キャッ?!」
右側の鎖骨の下、肩に近いところを触らせてもらった。
そこに微かな"コリ"を感じた。
「お、おにいさん?!何でいきなり」
「ゆたかちゃん最近風邪気味?」
へ?と呆気にとられた顔をするゆたかちゃん。
まだ自覚症状は無いのだろうか?
「あ、……そういえば少し喉が痛いですけど」
ふむ、やはり。なんだか声が掠れてたように感じたのだ。
「ちょっと時間貰えるかな?簡単な風邪の予防があるんだけど」
「…薬でもあるんですか?」
「いや、ちょっとした整体なんだけど」
整体?とでも言いたそうにして眉を少し眉間によせるゆたかちゃん。
聞いたこともないであろう予防法なので少し抵抗があるのだろうか。
「うーん…じゃあ、お願いします」
よし、ではキョン先生の整体講座を始めさせてもらおう。


まず、気を信じるだろうか?いや、信じる人は少ないだろう。
気の乱れがどうこう言っても伝わらないので少し日和った説明をさせてもらう。
体がどこも異常がなければどこを触っても(変な意味では無く触診という意味でだ)異常は無いだろう。
逆に、異常があればどこかしかに異常が出る筈だ。そう整体師の知り合いに簡単な知識を教わったことがある。
今回右肩の鎖骨に表れた異常は花粉症などでも表れる"呼吸器系"の異常だ。
この最近の乾燥した空気におそらくやられたのだろう。

さて、整体で何ができるのかと思っている輩も居るだろう。
しかし、整体をバカにしてはいけない。
まず人間の健康な状態は体の基礎である骨…特に背骨が真っ直ぐなのだ。
少し抽象的な喩えをさせてもらうが、鋳型が骨(体)があり、そこに水(これが気の代わりとする)を注ぐ。
健康な状態なら水がこぼれないが、病気だと鋳型が歪み、水がこぼれる。
色々と詳しい事を省けば鋳型を直せば健康な体に戻せると言うことだ。


さて、その直す作業にはベッドくらいのスペースが欲しいのだが…ふむ。
「谷口、国木田。少し弁当どけてくれ」
事の成り行きを見守っていた二人に少しの頼み事。国木田はにこやかに弁当を持って隣の席へと移動した。
俺は片付いた机を利用して、ゆたかちゃんをそこに仰向けに寝させた。
ゆたかちゃんの体は小さかったのでこれで充分なスペースを確保できた。
「ちょっと痛むよ?」
「は、はい」
そう宣言すると俺はゆたかちゃんに頭の後ろに手を組むように指示して、背中へと手を回した。
丁度腹筋するような体制になったゆたかちゃんに体を俺は被せる。
「え…ちょっ/////」

バキパキポキッ

そのまま体重をかけ、背中に回した左手を利用して曲がっていた背骨を直す。
少し強張った表情になったゆたかちゃんに、次は前に手を組むように言う。
左手を少し上に移動させて再び体重をかける。
「あのっ顔が近っ///」
「すぐ終わるから」




「あ、なんか体が軽いです////」
「そうか、ならよかったな」
一通り俺が知っていて、且つ出きることを終えてゆたかちゃんを机から降ろした。
なでなでと再び妹にするようにしてしまったが今度はうつむかず、俺の手をくすぐったそうに顔を綻ばせながら甘受した。
「あの、失礼しましたっ////」
「喉に気をつけてくるようにな」
何故か顔を赤くして立ち去ったゆたかちゃん。
基本的にはいい子なんだが時たま不可解な行動もするのが気にかかる。…ま、さすがにそこまでは俺の専門ではないが。
さて昼飯の続きでも…………、とそこで気づいた。
教室の視線を何故か俺が 独り占めしていた事に。
「…………?」
なんだろう。何故か嫌な予感がする。…そして何故こなたを筆頭とした四人は俺を冷えた目つきで見るのだろうか?
阪中、お前は何故顔を赤らめて俺を見る?
谷口、お前……はいつも通りの目つきだな。

謎の静寂に襲われたクラスの中、俺の座る椅子の音だけがクラスに響いた。



またまた余談ではあるが、少し謎を解く鍵になりそうな会話をここに記す。
「いきなりゆーちゃんの胸を触るとは何事かな?かな?」
「胸なんて触ってねぇよ」
「ゆーちゃんを押し倒した件」
「矯正だ」
「強制したの!?」
「ああ。なので俺にはやましいことは無い件」
「猥褻だヨ!」
「?…話が噛み合わんな。それよりコート返せ」
「………………………」
「おい、聞こえてるんだろ?コラ寝た振りするな」
「ぐー…むにゃむにゃ。キョンキョンの女たらしぃ………フラグ放置魔ぁ……むにゃ」
「殴るぞコラ」
以上。………それにしても何故あのとき教室が凍りついたのか?謎は深まるばかりである。
まる。





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最終更新:2008年01月02日 22:35
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