岩崎みなみの想い人 4

だけど――
あの人を好きな人は多い、それは……なんとなく分かる
それは涼宮先輩、かがみ先輩、泉先輩――この三人だろう、あくまでもこれは私の主観
仮に先輩達がキョン先輩を好きだろうとも私も彼を諦めはしない。絶対に――
「みなみちゃん?どしたの?」
ゆたかに言われて我にかえる
「ううん、何でもない」
鼻歌混りで先頭に立つ涼宮先輩と泉先輩を見つめる
「~♪飛ぶより遅く~話すより早く~」
「君の全てを歌おう、世界を見つける為っに♪」
イェイ、とハイタッチをして二人は笑い合う

市街地を少し進んだところにあるカラオケBOXへ向かう、といってもすぐに着くのだけれど
「おいおい遅かったじゃねえか!」
「こんにちは」
「休日に呼び出してカラオケとは珍しいな」
そこにはすでにキョン先輩、古泉先輩と谷口先輩がいた
キョン先輩は眠そうな顔をし、古泉先輩はいつもの笑顔で、谷口先輩は……締まりのない笑顔だった
みゆきさんはどうしてこんな人と付き合ってるんだろう……
「流石は我がSOS団の団員ね、今日は特別にワリカンにしてあげるからキョン!感謝しなさいよ」
「いや、なんで俺が払う前提だったんだ」
やっぱり少し言葉が詰まる。顔だってまともに見れない――ホントはあなたを見ていたいのだけれど
「そうか、みなみもか。お互い肩身が狭いな、見てみろよ」
そう言うとキョン先輩はクッ、と顔を動かした。気がつけばみんな予想以上に盛り上がっていた
涼宮先輩と泉先輩はデュエットをしているし合いの手を入れたり茶化したり
「この人お姉ちゃんと似てる……」
「ハルちゃんとこなちゃん上手いね」
「二人ともキャラが立っていますからね、つかささんご一緒にどうです?」
「お、俺達もどうだ?高良」
「ふふ、そうですね」
「アンタらキャラ被ってるってレベルじゃないわよ!」
「……ユニーク」
パッとキョン先輩の方へ顔を向ける、少し考えながら曲を探す姿も――やっぱりかっこよかった
「しかしあれだな、歌える曲が少ないというのは困りもんだな」
そうですね、私もあまり声を出すのは得意ではないので……困ります
「そうか?みなみは歌上手そうだけどな」
いえ……そんな事は……
「おいキョン!お前一曲ぐらい歌えよ!」
「わりぃみなみ、また後でな」
キョン先輩が曲を入れる。これは聞いた事がある歌手だ
「よっ、待ってましたキョンキョン!」
「せいぜい場を盛り上げなさい!」
「キョン君頑張ってね」
スピーカーから軽快な音楽が流れてくる――これは知ってる曲
はねたリズムの明るい曲だ
イントロ中キョン先輩が話しかけた
「どうだみなみ、一緒に歌わないか?」
え?わ、私ですか
「一曲も歌ってないんだろ?だったら今歌っちまおうぜ」
「お、みなみちゃんとデュエット?」
「うーん、キョンキョンはやり手だ」
「みなみちゃん頑張って!」
自信ないな……
そんな事を思いながら曲が始まる
~~~♪

「♪絡ませる風をとき放とう」
「♪ずっとあなたを待っているはずだから」どんなに辛い事があっても目を背けないで――
愛しい人よ……

~~~~~~~~~~
「上手い!キョンキョンは下手だけどみなみちゃんが上手い!」
「みなみちゃん、才能あるわよ!SOS団の歌姫って宣伝に使おうかしら」
「アンタは人をなんだと思ってるんだ」
良かった……上手く歌えて。キョン先輩の声渋かったな……
その時終了を告げる電話が鳴った
「じゃあカラオケもここで御開きね。ではワリカンで」
と言ってハルヒ先輩は笑顔で手を出した
今日は楽しかったです、キョン先輩、みなさん。また行けたら、ううん、また行きましょう
またこのメンバーで……




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最終更新:2008年01月03日 08:48
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