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輝くあなた

七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。

 

 

俺の目の前にはいるのは巫女
だが今の俺にそれは決して神に仕える神聖なものには見えない
巫女は銀に煌く鋭い何かを持って俺に笑みを見せる
「大丈夫すぐ済むから」
逃げようと思っても動きが取れない
俺よりも一回り以上小さい女が姿に似合わぬ力で羽交い絞めしているからだ
少女は振り向いて説得しようとする俺にニコッと笑顔を向ける
無理だ、そう悟ったときには時既に遅し
巫女は俺の眼前にそれを差し向けてきた

滴るそれは赤、黒さを含んだ赤
ときには朱色ともいうような色をしたそれは
ぽつぽつと雫を垂らし、手のひらに水溜りをつくりを上げる
それは血液、人間の体内を駆け回る物が、身体の中から飛び出ている
刺されるような痛みという表現があるがこれはまさしくそれだ
むしろそれ以外の表現が見つからない
なぜなら俺が血液を刻一刻と流している部分には無機質なものが
紛れも無く刺さっていた、いや貫通していた
鈍く光る金属は、その身を血で濡らしながら無言で佇んでいた
だがしばらくすると、痛みとともに血も止まっていく――






「はいできたわよ」
かがみは針を持ってニコニコしている
俺は渡されたティッシュで手を拭いて
耳たぶに出来た穴を触ろうとするが、いまだに羽交い絞めがとかれないため届かなかった
もう事が終わったんだから、もう放してくれてもいいと思うんだがな
「え~、だって放したらキョンキョン殴るでしょ?」
俺はハルヒのおかげで諦めるという事をよく理解してるため
そんな気は毛頭無かったんだがな、選択肢に入れとくことにしよう
ばっと腕を振り払ってこなたに一撃を食らわしてから、再度耳を確認してみる
いまだ滲む血が親指の腹について、針が貫通したのを如実にあらわしている
かがみとこなたに押し切られるように、というかまさにそのままなのだが
ピアスの穴をあけることになったのだが…
「話が違うぞ、結構痛い」
穴を開けた張本人に抗議の目を向ける
だがかがみはすでに変な本を読んで、あれでもないこれでもないと思案をしていた
「あんたも穴あけたんだからピアスつけるでしょ?似合いそうなの見繕ってあげるわよ」
そうかい、好意はありがたく受け取っておくがね
今思ったんだが、ピアスもついてるピアッサーが今時安価で売ってるだろうに
なぜ木綿張りなのかと聞きたいね、文明の利器は使うためにあるんだぞ
「うっさいわね、あんなのについてるピアスなんてダメよ、その分ちゃんとしたのを買いなさい」
一蹴された、こういうときのかがみはハルヒさながらである
気付けばハルヒを呼び出して俺を指差しながら相談している
こういうのって早くしないと、空いたばっかの穴って傷とみなされて塞がるんじゃなかったっけ?
買った後に塞がっててもう一回針を突き刺されるのはごめんなんだがな


雄弁、神聖、成功
それが俺の耳にぶら下がっているブラックオニキスという名前の宝石の意味だった
どうにも俺には重たい言葉だったが、かがみ達が宝石を色々調べたときの
これだ!という反応と、今俺達が後にした店でこれを見つけたときの喜びよう近くで見ていると
横槍を入れることなど俺には不可能だった
それにしても傍迷惑な連中だ、店中の客が注目をしていただろうに
まぁ、俺のために選んでくれたことを考えると説教する気は無いがな
俺もこの黒い宝石がそれなりに気に入ったしな
手のひらには太陽の下で黒く輝く黒い石、俺の耳についてるものの相方
「反対側を空けたらつけたらいいじゃない」
二つ一組でしか売ってなかったためこれを理由に金欠の俺が逃げようとした時にハルヒが言った台詞だ
あんまりにも即答されたために何もいえなかった俺を尻目に
レジにさっさと移動する女性群に多少の憤りと多大の諦めを覚えたものだった

そういえば先ほどの俺の懸念通り、買ったころにはもう穴は塞がりかけていて
強引にハルヒにこじ開けられることになった、これが穴を開けたときよりもよっぽど痛かった
「いい?キョン、しばらくはつけっ放しにして塞がらないようにすること」
「あとは、時々消毒しないといけないらしいよ~膿んじゃうから」
「最初のうちは違和感あるかもしれないけど、すぐ慣れるわよ」
上から順にハルヒ、こなた、かがみである
この中にピアス装着者はいないのだが、年頃の所為かそれなりに詳しいようであった
しかし親がこれを見たらなんというだろうか、成績の低下と相乗効果で非行と思われるかも知れん
ふぅ、とため息をついて耳に手を伸ばす、硬質的な感触を感じるとともに鈍い痛みが走る
まぁ何はともあれ、俺はとっとと歩き出す三人の女子の後ろを置いてかれないようについていく
とりあえずは親よりも黒井担任に対する弁解でも考えておくかね
いま三人が入った喫茶店でコーヒーでも飲みながらさ

俺のおごりじゃないといいんだが





キョンに教えなかったもう一つの意味
雑誌で見かけたときこなたとハルヒと一緒にこれにしようって決めた
私達の共通の好きな相手、それを暗に示すもの
こなたが似合わないことを言ったときにはびっくりしたけど
ハルヒもすぐ同意したし、私もいい案だと思った
ブラックオニキス、真っ黒なその石は彼の目のようで
だから私達はレジにいくときにキョンにばれない様に追い出してから
自分達の分もその宝石がついたアクセサリーを買った
こなたはブレスレット、ハルヒはネックレス、私は指輪といった具合に
きっとそれをつけていてもキョンは何も気がつかないのだろうけど、きっとそれでいい
彼がもっと鋭かったら、私達三人の共同戦線も早々に崩れてしまい
友達関係もなくなってしまうだろうから、きっとこれが一番ちょうどいいんだろう
ちょっとしたことで喜んで、たまに彼の鈍さにヤキモキして
お祭りは始めるちょっと前が一番心地よく楽しい時間なんでしょ?
きっとこなたもハルヒも同じ事をいうに決まってるわ
わざと早く歩いて慌てた様についてくるキョンを見て私達は笑う
少し先のいつもの喫茶店を見て、ハルヒが私達に顔を寄せてきて
そのまま肩を組んで喫茶店に入ってしまう
キョンはむしろさっきよりゆっくりとした足取りこっちに向かってきてる
「まったくキョンの奢りね」
楽しそうにしながらキョンに罰を与えるハルヒと、首から腕を絡ませて抱きしめられているこなた
何名ですか?と聞いてくる店員さんに四人と答えるのは私
ごめんねキョン、いまはあなたのフォローはできないな
だって今をすごく楽しんでるから






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最終更新:2008年01月25日 14:16
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