408:
小泉の人 ◆R7FBcOZp9Q sage :2008/01/17(日) 23:59:05
ID:CSrF6FWhO
「……ふぅ」
なかなかに面白い本だった。
程よいカオスとギャグに包まれた大作小説。
長門の勧める本にはやはり外れが無いものだな。
ギシッと体重を後ろにかけ、椅子を軋ませる。
読み終えた本を机の上に置いて自分で煎れた茶をすする。
「………」ズズッ
しかしあれだな、誰もいない部室というのも不気味だ。
部室の一部かと見紛う長門ですら今は居ない。
ハルヒはどこへか授業が終えると消えてしまった。
朝比奈さん以下略はクラスから違うので足取りをおうことすらままならん。
「………」ズズッ
よし、帰るか。
丁度手の中の湯のみが空になり、切り上げるにも頃合いだろう。
俺は長門に勧められた小説を棚に戻し、部室のドアを開けた。
1.ドアの向こうにはどのように俺の居場所を察知したのか、こなたが満面の笑みを浮かべながら立っていた。
2.ゴッ…謎の物体が邪魔をしてドアが開くのを邪魔していた。成程、コレが誰も部室に居なかった原因…………じゃなくて閉じこめられてないかコレ?
3.誰も居るはずもない。少し傾いた夕日がヤケにまぶしかった……
416:
◆4pvEs7ZFxY :2008/01/18(日) 00:20:52 ID:R9Qir53H0
>>408
ゴッ…謎の物体が邪魔をしてドアが開くのを邪魔していた。成程、コレが誰も部室に居なかった原因…………じゃなくて閉じこめられてないかコレ?
とりあえず、何が邪魔しているのかを確かめてみることにする。
よく見ると、鍵が閉まっているだけだった。だから、あけようとサムターンを回したら、不吉な音がした。
サムターンが何かわからない人はサムターン回しと言う言葉で思い出してくれ。
突然手が軽くなったと思ったら、俺はサムターンを持っていた。それも、ブッ壊れた物を。
「…どうしようか」
あれこれ考えているうちにまず何をするかを考えてみる。
とりあえず、誰かに連絡しなければ―――
そう思って鞄からケータイを取り出し、画面を開く。しかし、運悪くケータイは電池切れだった。
「俺は追手内洋一か!」
などとつっこんでる場合じゃない。つまりこれは誰にも連絡を取れないと言うこと。
つまり、助けを呼べない、と言うことだ。
さて、俺の脳ミソをフル活用した結果、4つの方法が挙がった。
どれにしようか
1.部室においてあるバットでドアを叩き壊す
2.「アイ キャン フライ!」と窓から怪我覚悟で飛び降りる
3.誰かが来るまで待つ。
4.知ったこっちゃねーや。寝よう。
421:
泉どなた
◆Hc5WLMHH4E sage :2008/01/18(日) 00:58:29 ID:94rjZCIL0
>>416
4.知ったこっちゃねーや。寝よう。
こういうときに部室の隅に置かれたバットを手に取りドアに怒りをぶつけたり
空も飛べるはずと窓からダイブしようなどというエネルギーを使うことは
とても俺の性に合わないので、果報は寝て待て…ここは一つ寝ることにしよう
「……眠れん」
なんということだ、この俺が眠れないということが許されるわけが無い
寝ることに関して、俺はかのメガネ君に負けないほどの才能を持っていたのに
しかしこれではどうしようもない。 仕方なく俺はまたお茶を汲みなおし
先ほど壊してしまったサムターンを手に取り、
何気なく仕組みを見るために、カチャカチャと扱いまわしていた
やがてそれにも飽きてしまった俺は、ぼんやりと壊れたドアを……
「どうなってんだ?」
事態が悪いほうに向かっている気がしてならなかった
たった今俺が壊したサムターンは確かに机の上にある
では何故部室ドアにはそれが何の異常もなく付いているんだ?
この壊れたサムターンが無くなっており、ドアに付いているのならまだ分かる。
まぁそれも可笑しな話だが、可笑しいながらも筋は通っている。
しかしそれが増えたのだから驚きはひとしおだ
俺はドアの前に立ち、これからどうするかを考えていた
見るとまた鍵がかかっている
1.もう一度鍵を開けてみよう
2.いや、これは悪い夢だ。 ここで無理やり眠れば目が覚めるはず
3.壊れたサムターンをよく調べてみよう
4.急に部室のパソコンがブゥンと音を立てて動き出した
5.ん? 窓の外に火の玉が……
424:
七誌
◆7SHIicilOU sage :2008/01/18(日) 01:25:50 ID:1PwLD+nF0
>>421
1.もう一度鍵を開けてみよう
たとえどんなに筋が通ってなかろうと
たとえどんなに理解できない事象だろうと
目の前にあるものが最低限の現実だ、俺はここ数年でそれを学んでいる
だから俺は鍵に手を伸ばす、閉まってるから開ける
ここだけで考えればなんの変哲も無い日常の一こまだ
カチャ、無音の部室の中に響く無機質な音
「空いた…か?」
そっと扉を押す、開かない、当然だ内開きの扉だからな馬鹿をやってる場合じゃない
今度こそ扉を開く、もちろん引いて開けたさ押しまくるはずも無いだろう?
扉は俺の意思に従い内側にゆっくりと開く、と共にひんやりとした湿った空気が中になだれ込んできた
身震い一つ、廊下に一歩踏み出すと俺は感じた
それは本能的と言い換えてもいい、身の毛のよだつ感覚、普段との相違その違和感
刹那の瞬間に俺は悟った"違う"
振り向いて視界に入る部室、その窓からはオレンジ色の光が煌々と入っている
そして俺の正面、廊下の窓から顔を覗かせるのは怖気を呼ぶほどに煌く月
まるで黒い画用紙に鋏をひょいと入れたかのような歪んだ月、狂った月
「マジかよ…」
フッと音がして、後ろに回している左手のドアノブの感覚が消える
前後ろにあるのは廊下の窓とひび割れたコンクリート、そこにドアなんてものは存在しなかった
左右を見れば普段ならすぐそこにある、歩けば軋む階段も姿を隠し、延々と続く廊下を演出している
俺はどちらに進むべきなのだろうか?もしくは……前進か?
一瞬の余所見のうちに今度は目の前にも道が出来る、道の左右からは何事も無く空が見え
道は窓からは見当たらなかった、まるで異世界に繋がってる様だとも思うが
俺にとっちゃ現状だって対した差は無いことに気がつき自嘲めいた笑みを浮かべる
そもそも一体これはなんだってんだ、なんの前振りも脈絡もなく巻き込まれても俺は一般人だ
対処の仕様が無いんだよ馬鹿野郎
1.左
2.右
3.前進
430:
◆TnzOi/YA0I sage :2008/01/18(日) 05:55:05
ID:uvKuAQOg0
3.前進
とりあえず俺は正面の、後から現れた道を進むことにした。
突然現れた事から恐らくはハルヒの力か、はたまた宇宙人的パワーが働いた事は容易に想像がつく
もしかしたら長門からの助け舟、という公算もある。
同時に何らかの罠である可能性も捨てきれないが虎穴に入らずんばなんとやら、という言葉もある
俺としてはこんな賭けみたいな事はしたくはないが、悩んでいてもしょうがない
……俺は既に巻き込まれちまってるんだからな
ふと後ろを、今来た道を振り返る。
……なんてこった
俺が思わずこんな言葉を口にしてしまうのも無理からぬ事だろう
後方にあるのはただの行き止まりだった。
俺が出てきたはずの部室の扉がないことは先ほど確認済みだったが、
それに加えついさっきまであったはずの分かれ道が、まるで学校創立時からそうであったと
主張するかのように消滅し、俺に無機質な校舎の壁をまざまざと見せ付けてくる
やれやれ、つまり一度選んだら後戻りはできないってことか?
まあいいさ。今更戻ろうなんてことはそもそも思っちゃいない
ここまでくれば前進あるのみだ
俺はそう一人ごち、前を向き直り歩を進めることにしたのだが、
向き直ったその前方には……
1.小さな人影が突っ立っているのが見える。長門だろうか……
2.何もなかった。ついさっきまで存在していたはずの、延々と続くかのような廊下すらも
3.特に気になるものはない。先を急ぐか
437:
小泉の人
◆R7FBcOZp9Q sage :2008/01/18(日) 16:57:14 ID:0xa6I/mDO
>>430
3.特に気になるものはない。先を急ぐか
何が起ころうと不思議では無い空間だ。
一応のアテをつけるなら閉鎖空間かね?
…不思議と言えば、何故かこんな状況に於いても怖くも何ともないのはどういう事だろうね。
足を止めず、何もない道を歩く。
麻痺したような感情はどうにも現実的でないこの環境で、俺はある種楽観的な見方をしていた。
但し、それが今、今後、プラスになるかマイナスになるかは分からないが。
「……………………………」
歩き始めて一時間だったか。
腹も減らず用も足したがらない自身に少し奇妙な感覚を持ち始めた頃。
再び目を疑う光景に出くわした。
チャンチャラチャーチャーチャンチャラチャラチャンチャーチャラーチャンチャーチャー、チャッチャッチャッ、チャラチャッ
「……………………………」
足を止め、目の前の光景を必死に理解使用とする努力をする。
待て、………よし。落ち着け俺。
この色とりどりの電飾に二足歩行の鼠達。
水兵服の家鴨、下半身露出の熊。
どいつもこいつも車に乗ってぬいぐるみのような顔をこちらに向ける。
つまり観客が俺一人のエレクトリックなパレード。
俺一人にあの無機質な肖像権にうるさそうな目が向けられているのはある種のホラーだ。
足元のザラザラした感触を感じ、周りを見渡すとなんという事か!千葉の東京なネズミ王国に!
……いや、驚いてないが。
「…………」
しかしなんだ?これがハルヒの例の能力だとしたらネズミ王国に行きたかったって事なのか?
延々と続くファンタジーでメルヘンな集団を眺めながらその場に座ってみた。
とりあえず今動くのは得策ではない気がしたのだ。古泉なり長門なりの干渉を待つべきだろうか?
1.しばらくそのままで居ると背中に何かがあたる感触がした。
「…キョン?なんでこんなところにいるの?誰かとデート?」
ハルヒだった。
2.ザザッ…と俺の隣が歪んだかと思うとそこには
「お久しぶりね」
あ、朝倉ぁ!?
3.「……………ワオ」
思わずアメリカナイズドされた嘆息。
なんで神人が出てきてるかな…。
439:
◆4pvEs7ZFxY :2008/01/18(日) 17:22:56 ID:R9Qir53H0
>>437
2.ザザッ…と俺の隣が歪んだかと思うとそこには
「お久しぶりね」
あ、朝倉ぁ!?
何でこんなところに朝倉が! 逃げなければ!
そう思って反対方向にダッシュした。
「どうして逃げるの?」
俺の疲労もむなしく目の前に朝倉が現れた。
しかし、朝倉は何ももってないと言うのを証明するかのように手のひらを出してきた。
「大丈夫よ。今はあなたを襲ったりはしないわ」
大丈夫…って、信用できるわけがないだろう。本当に何も持ってないか。両手を挙げて一回転しろ
「しつこいわね。そんなにしつこいと女の子に嫌われるよ」
お前が信用できないだけだ。
「まぁいいわ。とりあえず、私はあくまで長門さんの代わりとしてここに来たの。あなたを助けにね」
長門の代わり…? つまり、朝倉はここから脱出する方法を知っているってことか。
「ここから出る方法は簡単よ。死ぬこと」
……おい、今何つった?
「わかりにくかったかな? ここから出るには生命活動を停止させなければいけないってこと」
どっちも同じだ! って、お前はやはり俺を殺しに来たんじゃねえか!
「大丈夫よ。仮死状態にするだけだから。そのうち目が覚めるわよ」
「んな!?」
俺は逃げようとするが、また前みたいに動かなくなった。
「じゃあね」
俺の体に電流のようなものが走った。
そこで、俺の意識は途切れた。
目を覚ますと
1.そこは長門の部屋だった。長門、これはどういうことだ?
2.俺は部室の中にいた。ニヤニヤ笑っているこなたと、ゆたかがいた。
3.白い天井が見えた。どうやら病院らしい。隣で古泉がりんごの皮を剥いている。
441:
七誌
◆7SHIicilOU sage :2008/01/18(日) 18:46:06 ID:1PwLD+nF0
1.そこは長門の部屋だった。長門、これはどういうことだ?
天井が見えた、ついで気付くのはここが長門の部屋だということ
朦朧とする頭で考える、俺は一体なんだったのか?
胸に残る疼痛に顔をしかめて起き上がると視界に小柄な人影が入った
朝倉に何らかの処置を行われてから、一体どれほどの時が経ったのかわからんが
体感的にはほんの一瞬しか経ってない俺は反射的にその人影に向かって身構えた
「……長門か」
俺は身体の強張りを解いて話しかける、長門なら俺の疑問に答えてくれるはずだ
だから俺は当然のように長門に聞く、これはなんだ?どういうことだ?
だが返答はない、人形のようにそこに佇んでいた
まるで俺が全てを知る前、初めて会ったあの日のように
長門は立って俺を見下ろしている
長門は座って本を読んでいる
長門は背を向けてお茶を飲んでいる
なんだこれは、長門じゃない
俺の中の長門のイメージ?ここはどこだ、俺はさっきまで長門の部屋ににいたはずだろう
ちょっとまて混乱している、混乱するほど視界がめまぐるしく動き
まるでビデオテープの早送りのように人物が立ち回り、夢のように場面が変わる
落ち着け俺は、長門の部屋で、長門と居たはずだ
一時停止、場面は長門の部屋に戻る、だが長門はいない
代わりに胸の疼痛が激痛に変わる、Yシャツ越しにわかるほど左胸の色が変わっている
俺が目線を下ろして見ると、紅くなった左胸には丸っこい文字でこう書いてあった
『ごめんね♪ 涼子』
お前は何をした?
疑問を持つと共にまた浮遊感と共に場面が変わる
1.だだっ広い暗闇に放り出され、蝋燭ほどの光が遠くに見える
2.ここは…、草原か?
3.おいおい、これって確か日本最南端だかのちっちゃい島か?
445:
泉どなた
◆Hc5WLMHH4E sage :2008/01/18(日) 22:09:25 ID:S+cSBJdm0
>>441
1.だだっ広い暗闇に放り出され、蝋燭ほどの光が遠くに見える
光を目指し歩こうと足を動かしてみたが、ただ空を蹴るだけだった
まるで深い水の中に潜っているかのような、命綱一つでシャトルから宇宙に飛び出したような感覚
どうにかしようと、もがけばもがくほど、グルグルと回転してしまう
ハッとして胸元を見ると、紅く染まっていたシャツは驚きの白さに
そしてあの可愛らしくも恐ろしい丸文字は消えていた
どれが夢でどれが現実で、どれが真実なのか分からない。 いつから俺はこの無限地獄に堕とされたのだ?
あの長門に借りた本を読み終えた時点で、既に俺は落とし穴が仕掛けられた薄い板の上に足を乗せていたのだろうか
それともいつのまにか眠ってしまい、読んでいた小説……詳しい内容は忘れてしまったが、
程よいカオスとギャグに包まれた大作小説。 その世界観に影響された夢を見ているだけなのか?
もしそうであるなら、早々に目が覚めてくれることを祈るだけだ
とにかく俺を現実世界へ戻してくれ。 元の世界に戻れるのなら朝倉に滅多刺しにされてもいい
ただし、必ず帰れるという保障があるのならな
それにしてもあの光は何なのだろう? か細く消えそうで、揺らめき瞬いている光は…
今のままではどうやってもそこに到達する事は出来ないので、ただそれをじっと見つめる
それ以外の光源は無く、依然暗黒が身体の周りを支配している
風の音一つせず、自分の耳鳴りだけが頭に響いていた
ラジカセでテープを聴いていて、停止ボタンを押した時のような「ブツリ」という音がした後
もう耳鳴りさえ聞こえなくなった。 その瞬間に、小さな光が徐々に膨れ上がっていき
俺はあまりの眩しさに本能的に目を強く瞑ってしまった
気が付いて目を開けると、、部室の机に突っ伏していた
手の横にはさっきまで読んでいた小説が開いたままで
風でページがめくられ、パタパタと音を立てていた
確信はまったく無いが、今存在しているこの世界が現実だという気がする
今まであった緊張感というか、独特の不穏な空気というか
そういったものが一切感じられなかったからだ
この俺の研ぎ澄まされた第6感が言うんだから間違いない
ゆっくりと身体を起こすと、すっかり冷めてしまったお茶の湯呑みを重石にして
白い横開きの封筒があった。 表には何も書いていない……裏を見て見ると
1.先程とはまた違う丸文字で「寝顔の可愛いキョンキョンへ」と書いてある
2.真ん中には「私よりネボスケさんなキョン君へ」、隅のほうに小さく「つかさ」と名前があった
3.ただ一言「キョン君以外開封禁止!byかがみ」と書かれている
4.右下のほうに達筆な字で「お疲れ様でした-高良」と書いてある
5.綺麗な明朝体で「真実」と書いてある
450:
◆4pvEs7ZFxY :2008/01/19(日) 00:01:51 ID:R9Qir53H0
>>445
1.先程とはまた違う丸文字で「寝顔の可愛いキョンキョンへ」と書いてある
俺の名前をこんな風に書く奴は一人しかいないな。こなただ。
…というより、何で俺を起こしてくれなかったんだコノヤロウ。
さて、俺の先刻の謎はもう記憶の片隅に置いといて、今は手紙を読むことにしよう。
中から取り出した手紙には、何かの漫画のキャラクターが書かれた便箋が入っており、
その便箋にはヘタクソな字でこう書かれている。
『部室のドアをノックして返事がなかったときは何かと思ったよ。
それで文芸部室の鍵を取りに行ったら中にキョンキョンが寝てるって。
キョンキョンの寝顔が可愛かったから写真に撮っといたからね。
この封筒の中にその寝顔の写真も入れておいたよ。
P.S 顔に落書きなんて言う幼稚な真似はしてないから安心してくれたまへ~。』
これを見て俺はすぐに封筒の中を調べた。案の定、出てきやがった。俺の寝顔の写真がな。
一枚だけでなく、四枚も入っていた。しかし、いつ現像したんだこの写真。
時計は五時十五分。さっきは三時だったから二時間近く寝ちまったわけか。
俺は帰ろうと思い席を立つと、窓から勢いよく風が吹いてきた。
こんな時期にこの風だ。寒いにもほどがある。
俺はすぐに部室の窓を閉め、鞄を持つと、さっきの便箋がないのに気づく。
どこにあるか見回すと、ドアのすぐ下に落ちていた。
誰かに見られると厄介だから、もって帰って処分しよう。
そう思い手紙に近づくと、裏返った便箋に表より少し丁寧な字で何か書いてある。
『キョンキョンへ
校門で待ってます こなた』
「あいつ…」
俺はすぐにドアを開けて下駄箱へ向かい、靴を履き替えた。
正門へ向かったが、誰もいなかった。
やっぱりな。こんな時間まであいつが待ってるはずが――
「キョンキョン遅いよ」
そう声がしたので後ろを向くとこなたがいた。
「乙女を二時間も待たせるなんて、なんて人だい。もうアニメも終わっちゃうよ」
「すまん。許してくれ。……やっぱり罰金を払わなきゃいけないのか? SOS団的に考えて」
「ううん、罰金はいらないよ。そのかわり、今週の土曜に一緒に遊びにいくって約束するなら許してあげる」
断ったら何言われるかわからんからな……ここは素直に従っておこう。
「わかった。今週の土曜だな」
「それでこそキョンキョンだよ。じゃあ、駅前に八時集合だよ」
「はいはい」
俺は適当に相槌をうった。こなたは眠そうな顔をしている。
「キョンキョーン、おんぶしてー。つかれちった」
「自分で歩け」
「ひどいよキョンキョン。キョンキョンの寝顔みんなに送っていい?」
ゲッ!こいつ写メまで撮ってやがったのか!
「わかったよ。おぶってやる。それと送るなよ」
「……くー」
もう寝てやがる。
……しかし、コイツの寝顔も意外と可愛い…って何言ってんだ俺。
仕返しに、この寝顔も撮っておこう。なんか言ってきたらこれを見せ付けてやる。
それにしてもさっきのは何だったのだろう。非現実的な夢だが、俺からすれば非現実のうちに入らない。
そんなことは後から解決すればいい。今はこなたを家に送ることと、土曜日のことを考えるのが俺の最優先事項だからな。
勝手にFin
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最終更新:2008年01月20日 20:16