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仮想 > 仮装

七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。

 

仮装パーティと聞けばどんな想像を働かせるだろうか?
それは仮面舞踏会のように貴族的でミステリアスな物かもしれない
もしくはテレビでやっている仮装大賞のようにバラエティーチックな物かもしれない
だがハルヒは違った、当然と言えばそうかも知れないな
ハルヒは既存のものと同じ事をするのが大嫌いなのだから
だからハルヒは言った、それは結構寒かった覚えのある2年の冬休みの前頃だっただろうかね
「明日部室で毎年恒例の鍋パーティやるから!またレクリエーションを兼ねてということで
 全員に明日、なんらかの仮装することを決定したのでそのつもりで」
二回目で恒例という言葉を使うのはどうだろうか、などと愚考していると
「キョンキョン、鍋パーティって?」
今年入ったこなた群からすると1年の時の話を持ち合いに出しても当然通じず
俺に疑問を持った四人組みが質問にやってきた
本来は団長が追うべき責務のはずが、なぜ俺に回ってくるのか?なんてことは考えるまでも無い
「去年もあってさ、部室でガスコンロ使って鍋をやるんだよ、材料持ち寄ってな」
俺がわかりやすく噛み砕いて大雑把な説明をする、別に去年俺がやったくだらない芸なんてのは説明しない
あれは俺にとって忘れ去りたい過去だ、…そういえば去年も若干仮装的要素が入っていたが、どうだろう
「ようするに闇鍋?」
自分の職務をまっとうしたと思い込んでいた俺はここでこなたの予想外の発言に面食らった
こいつはハルヒと同じ部屋に居る状態でなんて事を言うのだろうか
「ナイスアイデアこなた!いいわねついでにみんな色々持ってきなさいよ!」
ほうらみろ、お前の発言の所為で楽しいよせ鍋が恐怖の毒物鍋に早変わりだ
多少の苦労があっても、ハルヒのお手製鍋の上手さに帳消しになる予定だったのに
これでは帳尻が合わないぞ、仮装して変なもん食って腹壊したらどうしようもないじゃないか
「あ~、ゴメンナサイ」
こなたはやっと自分の犯した罪に気がついて素直に謝った、多少棒読みであったもののな
「では、本日は解散!また明日!私をびっくりさせる仮装してきなさいよ!」
俺にそんな能力もやる気も無いことぐらいわかるだろうにな
やれやれ、どうしたものか



次の日である、こっちの思惑とは裏腹になんの滞りも無く太陽は昇ってきやがった
まったく世の中ってのはままならんね
俺は適当に朝食を済ませ、適当に着替えて適当に学校に向かった、…別に文句無いだろ?
ということで、時は一気に放課後に飛ばす平々凡々な毎日の授業に特出すべき点なんてないからな
んで、部室だハルヒは全員が集まるや否や即効で全員に着替えを命じた
当然俺と古泉は部室を追い出されることになり、泣く泣く冷たい廊下でとっとと着替えることになった
まぁ律儀に仮装衣装を持ってきていないけどな、俺は
ついでに食材は肉しか持ってこなかった、変なもんは入れるつもりないし
この人数だと確実に肉を自分の分確保するためにはこれが一番だからな
古泉はバックからマントやらなんやらを引っ張り出して、気付けば爽やかヴァンパイアの出来上がりだ
笑ったときに見える牙がやけに癪に障るので首筋に脈絡無く手刀を叩き込んだが構わんだろう


「やぁ、キョンキョン」
そうやってしばらく外で凍えていた俺達を迎えたのはメイド服姿のこなた
「バイト先の衣装なんだよね~」
そうその場で回るとヒラヒラの服がふわふわとして、なにやら心打たれるものがあったが見てみぬふり
なにやら変な属性に目覚める前に視点を切り替えると、…巫女が居た
しかも凄い裾が短い太ももが見える程に短い、これはこれで来るものがあると思うがしかし
「かがみ、どうしたんだそれ?」
俺が問うとかがみは
「わ、私これぐらいしか、持ってないし…でも普通じゃ面白みが無いからってこなたが……」
なるほどこなたの陰謀って奴か、…なぜかこなたは誇らしげに胸を張っている
そして、つかさだがピンクを基調としたデザインの制服を着ている
「私が誕生日にプレゼントした制服だよ」
こなたはさらに無い胸を張り、息巻いている
「こなちゃんにせっかく貰ったんだけど、着る機会が滅多に無いから」
そりゃそうだろうよ、それを着てそとを出歩けば一瞬でよろしくない友達が出来ること請け合いだ
こんなもんをプレゼントにするこなたと貰うつかさ、いやいや全くだ
さて、次はみゆきさんだろう
彼女は意外と乗り気だったのか、いつものピンク色の髪の毛はどこへやら銀色の長いかつらをかぶり
深緑の着物を着ている、これは一体なんの格好なのか無学な俺には全く想像がつかんのだが可愛いので丸
残りは長門、朝比奈さん、ハルヒになるな
長門は制服の上に魔法使い衣装、これも元は占い用衣装の筈なのに勝手に持ってきやがって
朝比奈さんはいつもの言っていいのかどうか、新調したメイド服で
ハルヒの馬鹿はクソ短い裾の風俗店かと言うようなサンタクロースだった
しかしこうしてみると仮装と言うよりこなたのバイト先の店の同系列店舗の様だ
古泉が浮かないのが不思議だ、こいつは本当に顔で得してやがる

「ちょっとキョン、あんたなんで制服なのよ」
朝比奈さんの髪型を嬉々として弄繰り回していたハルヒがふと気がついて俺に文句を言う
「知るか、俺は珍妙な衣装なんてこれっぽっちもないんだよ」
事実と本音と、混ぜつつハルヒに言うとなぜかニヤッといやな笑いを見せた
「じゃああんたこれを着なさい!」
そういってドサッと机に出されたのは、去年俺が来たトナカイの衣装だった
野郎めこれはなんだ、取っといてあったのかよ、これなら適当に着替えたほうが良かった
だが時既に遅し、俺はもう着替えるしかないのだ
嫌々、渋々、それを全身でかもし出しつつ廊下に出て着替える、頭に乗せる顔までキチンとな
そして俺が部室に戻ると、机に鍋が並べられて仕度が始まっていた
…まて、まぁまて、こなたよお前が持っているそれはなんだ?
「カルピス」
「なんに使うんだ?」
もしかして、それを鍋に入れるなんて阿呆なことは言わないよな
「飲むに決まってるジャン」
よし、助かった
見ると、昨日のハルヒの台詞はどこへ行ったのか、みな普通に野菜やら肉やらを持ち寄っている
…肉が多いのは俺と同じこと考えているのが多いからであろう
「ちわー!呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!お鍋やるんだろう?」
SOS団名誉会長こと鶴屋さんのお出ましである、登場早々から元気なお方だ
鶴屋さんは一瞬俺達の装いに目を走らせて、そのあとケラケラ笑い始めた
「はっはぁ~ん、さては仮装なのかなっ?」
まったくその通りです、感が鋭いのも相変わらずの鶴屋さんはちょっち待ってて!と言い残して
数分後、去年の文化祭でのウェイトレス姿で再登場いたした
「諸君!今日はいっぱい楽しんだらいいっさ!」
そういって空いてる椅子をもぎ取って、生煮えの鍋をつつき始めた
ハルヒも一緒になってケラケラ笑いだし、非常に騒がしくなってきたもんだ
俺達は一瞬の逡巡の後、このままでは全て食われるといっせいに手を出し始める
そしてみんながいっせいに手を出すもんだから、朝比奈さんはてんてこ舞い状態だ

窓の外は既に月と星の世界で、温度差のためか若干曇って見える
最初の頃の勢いも衰え初め、朝比奈さんやみゆきさんなど最初取り残された人たちが食べ始める
こういうとき、俺は時間が非常にゆっくり流れてるような錯覚を感じる
といって、嫌なことや、何かを待つドロドロした滞りのゆっくりではなく
静かに穏やかに流れるゆっくりだった
こんな時間が続くのは後数年、短ければ後一年程度で終わるかもしれないのだ
だからもっとゆっくり時が流れればいいのにとも思う、その反面早く流れて色々な事をしたいとも思う
二律背反というのか、矛盾してるとも思うでも究極的に言えばただ俺はこいつらと一緒に居たいんだ
お茶を飲んで一息、和みムード全開で椅子に凭れる俺
こんな時間が続くならさハルヒ、お前がいくら暴れても付き合ってやるよ

「ねぇ、キョン君!去年のアレをやってくれないかなっ?」


…こんなときはもっと時間の流れを早くしてくれてもいいんだぜ?






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最終更新:2008年01月25日 14:15
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