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「土砂降り」

七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。

 

 

学校帰り、天気予報通りの快晴だった朝が嘘のような
土砂降りが俺を襲った、1,2m先も見えないような土砂降りで
折り畳み傘なんて便利なもんを持ってない俺はかばんを盾に
走っての帰宅を試みていた
少しでも早く帰宅するために普段は通らない道を通って帰ろうとしていたら
峰岸がいた、大量の雨で見難いことこの上ないが
寂れた商店街の閉まったシャッターに背を預け
所在なさげに雨を見ている峰岸が確認できた
この辺りに居た時に振り出したのだろうか
そう大してぬれてるようには見えなかった
ちょうどいい今更感もあるが俺も雨宿りがてら話しかけてみるかと思い
近づいていくと、こちらに気付いたのかよっかかっていた体制を立て直して
こちらを向いてきた、声をかけてきた
「キョン君も、雨宿り?でもこっちの方だっけ?」
「近道に使ったんだよ、普段はこっちは通らないな」
俺がそういうと、納得したように微笑んだ
しかし、本当にすごい雨だしばらくは帰れそうにないな
「そうね、台風が近づいてるなんて情報なかったのにね」
峰岸の言葉に相槌を打ちながら
朝、今日は一日快晴と言っていた天気予報士を頭の中で罵倒していた
しかし寒い、咄嗟にポケットに手を入れると
なにやら暖かい物が入っていた、取り出すとそれは缶コーヒーで
学校から帰る途中にこなたが、コンポタを押したら出てきたということで
俺に押し付けてきた品物だ、しっかり100円取られたが今ではありがたい
両手の指先をあたためてから、それを峰岸に渡す
ぽかんとしている峰岸に、飲めとジェスチャーで示す
どうやら一人で飲むのに抵抗があるらしいのか
峰岸はしばらくそれを手で弄んでいた、しかし、コーヒーは一本しかないし
俺が飲むわけにはいかんだろ、男として
すると峰岸は、何かを決心したようにプルトックをあけて
飲んでいた、両手でコーヒーを持ち、んくんくと飲んでるその姿は
正直ぐっときた、飲み終わったのか峰岸は俺にコーヒーの缶を渡してきた
俺はそれを受け取ると、異変に気付いた
中身がまだ入ってる、ってかほとんど残ってる峰岸の方を向くと
峰岸は悪戯っぽく微笑みながら
「半分こ、ね?」
俺はその笑顔にすっかり毒気を抜かれて一口コーヒーを飲んだ
そのコーヒーは、いつも飲んでるときより

ずっと甘く感じた


雨がやむまで談笑しながら
2人で仲良く一つの缶コーヒーを飲んでいて
飲み終わるころにはすっかり冷たくなっていた
そのころになると、服も多少乾いてきたが
雨は一向にやむ気配を見せない
いまはまだいいが、このままだと気温が下がって
明日の学業に差し支える体調になりかねない
しかも、俺が風邪を引くと部屋に入り浸っている妹に確実に感染するからな
俺は峰岸の様子を横目で確認してみた
峰岸は濡れが軽かったお陰でほぼ乾いているのが救いだった
俺の衣服で峰岸に貸せる状態のものは何一つとしてないんでな
時計を見るとそろそろ、短針が真下に来る頃だった
空は相変わらずの曇天だ

まぁいい、俺はその場に座り込んだ
峰岸が濡れて寒がってるなら一刻も早く帰るべきだし
俺が一人ならやはり孤独なのはごめんなので
濡れてでも帰るだろうけど
今の状態ならまぁあと少しくらいは止むのを待っててもいいんじゃないかと思う
気がつくと峰岸も俺の隣に座ってこっちをみてはにかむように笑っていた
それにもう少しこいつと2人でここで話して居たいってのもあるしな

俺はこの時雨に止んで欲しいのか、振り続けて欲しいのかわからなかった


あれ、今更気付いたんだがさっきのコーヒーって間接キスか?
気になって峰岸に聞いて見ると、紅くなってそっぽ向いてしまった
その紅くなってる理由は風邪でないのは、流石の俺でも理解できたので
その事については俺は何も言わなかった

 

 

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最終更新:2008年01月25日 14:05
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