みむめも

七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。

 

 

 さて、俺はいま一年生のクラスにいる。
こなたが一人で一年のところに行くのは何だからといって
俺を強制連行よろしく、ここまで引っ張ってきたわけだ。
これについては過去に何度か行われてるため、
別にいまさら驚くような事じゃないのだが。
クラスに着いてから俺はこのクラスの連中との大半とプレッシャーチキンゲームを行うことになってしまった。
その原因は目の前のこなたやパティ、そしてひよりのなにやらバッドなトライアングルである。

 普段はあの三人が盛り上がってる時はゆたかとみなみが俺の相手をしてくれるのだが、
今回その二人が如何様な理由かは知らないがクラスに居ないため、
一人で呆けている上級生の俺は単独で周囲の目を集めていることになる。
俺のような一般人に先輩と言うだけでこんなに注目するのか下級生よ、
人生にはもっと他に注目すべき物が山ほどあると思うのだがどうだろう?

 立ったままなのもあれなので、ひよりの席を借り
あいつらの話が終わるのを待っていると後ろから声をかけられた。
今のこのクラスに俺のことを知ってる輩がまだいる筈は無いのだが、
俺が何奴と振り向き誰何を問おうと思うと、そこにはみなみがいた。
何かしらの用事が終わったという事だろうか?
しかしいつも一緒にいるゆたかが居ないな、
そりゃコンビを組んでる訳じゃないからいつでも一緒じゃないだろうけど。

「ゆたかはいま保健室」
「大丈夫なのか?」
「はい、念のため連れてっただけですから」

 なるほどな、だから保険委員のみなみもいなかったのか。
納得したし、同時に安心もした。
これで俺は一人プレッシャー我慢大会をせずに
穏やかにみなみとの会話を楽しめると言うものだ。

「…」
「ん? …そういや、みなみは大丈夫なのか?
 顔が若干赤いみたいだが、お前も風邪かなんかじゃなかろうな?」

 俺はみなみの額に手を持っていく。
手と額の体温で熱を測る昔からある方法だ、
確実性というかあまり信頼性は高くないがしかし簡易性はある。

「あ、あの先輩…」
「ん~」

 ふむ、よくわからんな。
そもそもこれは平熱が同じくらいの人間でやるべきで、
身体の末端が若干体温の高い俺には利かんのではないだろうか?

 そう思った俺は今度はみなみの前髪を少し上げて顔を近づけた。
多少岩崎が身構えた気がする、多分気のせいじゃないだろう。
まぁ我慢していただきたい、いきなりただの先輩にされる行動としては馴れ馴れしいが
これもお前を思ってのことだ、下心は少ししかない。

「少し…、熱いかな?」
「あぅ…」

 額を当てると、なるほど少し熱いかもしれない。
顔を離してみると先ほどより顔は赤くなってる気もするし
もしかしたら本当に風邪かも知れないぞ、とみなみに進言すると
彼女は走って教室から出て行ってしまった。
きっと保健室に行ったのだろう。
俺はそう自分の中で結論付けてこなたたちの方に向きなおった。

 するとあいつらは全員こっちを見てニヤニヤしていた。
ちくしょう、なにやら恥ずかしい気分だ、
しかも俺の交友関係の中で愉快犯的行動にでる可能性が高いTOP2、3、4の三人だ。
…一位が誰かってのは言わずもがなだよな?

 次の日、昨日と同じよくこなたに強制連行されると
昨日より視線が多く鋭いものになってる気がした。
気持ちがわかるが後輩諸君、君たちにはまだ少しわからないかも知れないは
ありがたいことに一般人ながら俺は周囲の視線には相当鍛えられてるんだよ。
俺は続く周囲の圧迫感と視線に耐えながら、俺を見て昨日より紅くなるみなみを手招いた。

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最終更新:2009年05月25日 02:52
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