七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。
三月に入り、俺達も後一週間でこの高校から卒業することと相成った
周囲はざわめきたち、授業も短縮の上進路が決まった奴が大半のため
クラスには弛緩したような緊迫したような、どこか不思議な空気が漂っている
俺も近くの大学に一応進学が決まっている
同じ大学にいくのは、レベル的に谷口とこなただけだった
つまり、後数日でSOS団のメンバーで集まることはないのだった
先ほどハルヒが関係者一人一人に今日の放課後部室に集まるように言っていた
察するに今後の俺達に関して団長からの連絡があるのだろう
放課後、全員があつまったのを確認してから
ハルヒは俺達に一言
「本日で我々SOS団は解散」
そういって、ハルヒは団長いすに座っていつものようにパソコンをいじり始めた
周りを見渡すと、三年前と比べて物がずいぶん増えた
ハルヒのパソコン、ノートパソコン四台
長門の本が少しずつ増えていった結果小さめの本棚も増えたし
その本棚にはひよりが書いた本やらパティの持ち込んだ漫画もなぜか一緒に混ざっている
ついでにいつかやった文芸部としての唯一の活動の賜物の会誌も三年分保存されている
他にもいつかやった鍋にコンロが人数が増えたため二つずつあったり、古泉が持ってきたボードゲーム
朝比奈さんのハンガーラックはいつの間にか、大き目の箪笥になっている
もう使う人間は居ないのだが綺麗な状態を保っている
冷蔵庫も一回り大きくなって、中には岩崎とゆたかちゃんの二人の仕業で
常に一リットルの牛乳が入っている、これはこなたもたまに飲んでいるな
窓には高良さんが持ってきたファンシーなカーテンがかかっている
壁際には、柊家からもらったテレビデオが置いてあり
その上にはこなたが持ち込んだゲームのハードが置いてあり
近くにはソフトが色々置いてある
食器棚には俺達の湯飲みや峰岸の使ってるお菓子の道具が収まっているし
引き出しには日下部や鶴屋さんが持ってきた、携帯ゲームやガチャポンのおもちゃなどが
色々入ってごちゃごちゃしている
周りを見渡すとそこかしこにみんなの持ち込んだ思い出があった
俺達は一年の四人を残して来週ここを去る
多分ここに顔を出すことはほとんど無いだろう
朝比奈さん、鶴屋さんは良く顔を出していたが、俺達がみんないなくなったら
きっとそれもなくなってしまうのだろう
卒業はもう目の前だった
俺は朝比奈さんが居なくなってからローテンション制度になったお茶(今日は高良だ)を
口に含みつつ窓の外の景色を眺めていた
温暖化どうのこうので、入学式には咲かなくなった桜は
今年は、俺達の卒業式に咲いてくれる予定だそうだが
厚い雲がかかっている空を見るとどこと無く不安になるな
卒業式当日
厚い雲はそのままに
桜は俺達を祝福するかのように咲いていた
たまに吹く風にひらりと舞い落ちる桜を眺めつつ俺は最後の学校に足を進めた
式典そのものはつつがなく終了した
唯一特出すべき点があるとするならば、成績優秀な団長様が答辞を述べたことくらいか
式が終了しなんとなく見納めに名実共に文芸部室になった部屋に向かった
部屋の前にはSOS団のみんなが集まっていた
みんな考えることは同じということか、しかし何で入らないのかね
俺が近づくとみんながドアから離れた
俺はため息で返事をしつつドアに向かい、ノブに手を掛けた
破裂音、飛び交う紙吹雪
一瞬の後にそれがクラッカーであることに気が付いた
『卒業おめでとうございます!』
そうやって出迎えてくれたのは一年の四人組
どうやら他の連中はこのことを知っていたらしく
だからドアを俺に開けさせたのだろう
苦笑いしつつ俺、いや俺達は笑顔で答えた
その後、なぜか全員で鍋パーティに発展した
冷蔵庫には一週間前には無かった食材がぎっしりつめられており
この人数でも完食できるかどうか怪しかったほどだ
更にワインやらなにやらもそれに混ざっていたが
今日ばかりは俺も何も言わなかった
ついでに、食べ物に関することだからか鍋奉行は日下部が元気によく行っていた
時期的にまだ冷えるときもあるが鍋のおかげと
多少のアルコールが含まれているのもそれに含まれてずいぶんと暖かくなっていた
しかし、この手の物を飲むのは前に多丸さんの別荘に行ったとき以来だろうか
あの時はもう絶対飲むものかと思ったが、いやたまにはいいかなと思い直した
結局その日は夜まで学校でどんちゃん騒ぎをやっていたが
遅くなっていくと、一人また一人と減っていった
最後に残ったのは俺とハルヒと、片づけをしてる峰岸と柊姉妹と岩崎だったが
全部片付け終えてその四人も帰った
俺とハルヒはしばらくその場に黙って残っていたが
どちらとも無く立ち上がり部屋を出た
ハルヒは鍵を閉めて俺と向かいあっていた
「今のが、ここの団長としての最後の仕事ね」
もう、ここに来ることも無いんだろうな
俺達は靴を履き替えて外に出ると街灯に照らされて
桜が仄かに光って見えた、夜桜って奴か
空が曇ってなければもっといいんだが
ハルヒは何も言わずに俺の横をあるいていた
こいつと帰るのもこれが最後と思うとどこか感慨ぶかいものがあった
しばらく歩いていると、ハルヒがふと立ち止まっていた
「雪が、ふってるわ」
そういわれて空を見上げるとふわふわと雪がふっていた
季節外れとはいえないが、桜とあわさるとどうしても変に見えるな
「でも、綺麗じゃない」
ハルヒがそういうと、少し強めの風が吹いた
すると桜が舞い、まさしく桜吹雪のようだった
さらに空から降る雪がきらきらとしながら桜と共に舞う
それは目を奪われるほど綺麗だった
ハルヒは何も言わずに駆け出して
その桜と雪の中へ混ざっていった、雲が流れて穴が開き
月がハルヒの立つ舞台へスポットライトを浴びせる
俺は何も言わずに、頭の中にその姿を忘れぬように焼き付けた
いつまでも忘れないようにして俺は歩き出した
多少足がふらつく
明日は、二日酔い間違いなしだな