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ちよこれいと

七誌◆7SHIicilOU氏による作品です。

 

朝、冬もピークをようやく過ぎこれから暖かくなっていく時期
俺はあくびを堪えつつ、毎朝恒例のハイキングコースを登っていると
「キョンキョン!2月だよ!」
騒がしい奴に朝から声をかけられた
しかし、いつも思うが女子は見ているだけで寒くなる格好だな
スカートなんか風通しのいいものを四六時中着用しなくてはならないのは大変だな
で、なんだったか2月がいったいどうしたよ
恵方巻きなら今年も部室で食っただろう、それともなにかまだ俺に豆をぶつけ足りないとでもいうのか
「そうじゃないよキョンキョン、男の子にとって大事な日が2月にあるでしょう?」
一体なんだそれは、先日建国記念日があったがそれは関係なさそうだしな
「あのねキョン、こなたは明日がバレンタインだっていいたいのよ」
「あぁそんなもんあったな、谷口に愚痴を聞かせられる日だからな
 必然的に俺にとっては忘れたいものに分類されてる」
俺がそういうと二人は顔を見合わせてため息をついた
そこはかとなく馬鹿にされてる気がするものの、肯定されるのも嫌なのでそこには触れなかった
「あのねキョンキョンの周りにこんだけ可愛い女の子がいるのになんでキョンキョンは…」
こなたはそういってまたため息をつく、しかしこなたよ期待するだけ後の絶望感はでかいぞ
男だからこそそういった心理的予防線をはるのは当然だろう
「キョンだったらそんな心配要らないと思うけどね、涼宮さんとかがくれるでしょう?」
あいつの気まぐれに期待するようになったら最後だと俺は思うがどうかね
まぁかがみがそういうなら多少は明日に希望をもってみることにするよ
ぽんぽんとかがみの頭に手をやって軽くたたきながら答え
いい加減遅刻を気にしなくてはいけないため、俺はそのまま学校に向かった


さて、俺の予感ただしく谷口は相当にダウナーな空気を周囲に撒き散らしていた
前日だというのに自分の情けない未来を想像して欝になってるのだろうが
まったく忙しい奴だと思うが、同情する気が毛頭起きないのは何故だろうか
明日になれば嫌でも奴のマイナスオーラを纏った話を聞かされるのが決定してるからだろうか
まぁ俺もその仲間になる可能性も多分にあるからそんなに馬鹿にしてられんがな
鞄を置いて誰かに話しかけられる前に早々に俺は机に突っ伏した


次の日、珍しく早く目が覚めたのは意識し始めたことによる若干の緊張のためだろうか
自然に目が覚めた朝は非常に目覚めがよく、普段なら部屋の冷気に布団から出るのをためらうのだが
今日はそれすらも心地よく感じた、目覚め一つでここまで変わるものかと単純さに多少呆れるもんだ
とっとと着替え、さて一階におりるかと思ったときにようやく妹が俺を起こしに来た
妹はすでに着替えの終わっている俺を見て驚いていたが、あぁそうかあ、と納得したように頷き
「がんばってね!キョン君!」
激励をよこして一階に戻っていった
俺が今日という日に変に気張ってるように勘違いを受けたようだが
あながち間違いでない気もするので訂正はしないでおいた、まぁ面倒ってのが一番の理由だがな


さて、遅刻スレスレである
せっかく早く起きたのだからたまには早く行けといわれたのだが
妹ならまだしも、学校の連中にまで変な勘違いをされるのはごめんだったため
普段どおりに行ったらこの時間になってしまった、これはこれで目立つな
出欠の確認をしている黒井先生に頭を下げて席に着く
かばんを横にかけて座る際に咄嗟に机の中が気になってしまったのは仕方あるまい
ついでに、下駄箱には何のイベントも無かったことをここに記しておく


あっというまに休み時間
平静を装いつつお互い探り合ってる微妙な空気に多少げんなりしつつ
ふと谷口に目をやると、…踊っていた
それは見事な踊りっぷりだ、きっとどこかの女の子の気まぐれで一つくらいもらえたのだろう
それとも、あまりに耐え切れなくなって脳に異常をきたしたのか
俺としては後者に賭けたいところだが、いかんせん前者にかける人間がいないため賭けとして成立しない
仕方なしに一人ぼけっとしていると、国木田が俺に笑顔で近づいてきた
なんだ、仮にお前が俺にチョコをくれるといっても俺は受け取らないぞ
「いや、キョンにお客さんだよ」
国木田がそっと扉を指差すと後輩達が気がついてこっちに手を振ってきた
俺は国木田に適当に礼を言って、その指差されたほうに向かった
「ちわっすキョン先輩!チョコのお届けもんです!」
「あの…みんなで作ったんです…」
「手作りだから心して食べてネ、キョン」
「えへへ、お兄ちゃんのためにがんばったよ」
個々人々で俺に元気に話しかけてくる後輩達
非常にありがたいし、嬉しいのだが、さてさて目の前の四人組から得られる和やかな空気に対して
俺の後方からは殺意にも似た何かが押し迫ってきている気がするのはなぜだろうか
彼女達がいなくなってから俺は一体どんな目にあうか危惧しつつ、表面的には普通に対応する俺
「悪いなみんな、ありがとう」
一人一人に礼を言ってその後しばらく話していたが、予鈴がなると手を振って帰ってしまった
教室に戻るのはなかなかに恐ろしいのだが、とりあえずやむ気配の無い視線に振り向くと

真後ろにハルヒがいた
視線で人が殺せるなら俺は何度死んだだろうか
しばらくそのまま目を逸らせずにいると
「たくさんもらってよかったじゃないの」
そういってハルヒは席に戻っていった
俺はなにかを言おうとしたのだが、結局先生が来たためそのままそそくさと席に戻った


さらに放課後である、時間の流れが速いのはどうか多めに見てもらいたい
昼休みにもこなたとかがみ達からも俺はチョコをありがたく頂戴した訳だが
それに関しては多少長いのでダイジェストで勘弁していただきたい

『やふーキョンキョン、愛の天使がチョコのお届けだよー』
『一応手作りだからね、その辺考慮しなさいよキョン』
『お姉ちゃんと一緒に作って楽しかったよ、私のちょっとへたっぴだけどね』
『キョンさんはもてもてですよね』
以上こなた組四名
『お前は裏切りもんなんてレベルじゃない!死んでしまえ!』
『お前見たいのがいるからこっちにまわってこないんだ!』
『キョン、お前は親友だと思ってたのに!』
等々、クラスの男子組

結果、現在クラスの人間の鋭い視線を一手に引き受けている
谷口なんかは先ほどの陽気なダンスはどこへやら、手元に凶器があればそのまま襲い掛かってきそうである
だがそれももう少しの辛抱、そっと教室をでて帰宅してしまえば開放されるのだが
そううまくはいかないのが世の常なのだった
「ちょっと待ちなさいよ」
そういって俺の思惑を全て打ち壊したのは、今日一日俺の背中に数え切れないほどの穴を開けたハルヒだった
ハルヒは俺の手首をそのりんごをつぶせそうな握力で握りしめて、そのまま俺を引っ張っていった
入学当初を思い出すそのハルヒの行動に嫌な予感を隠せない俺だったが
つれてこられたのが体育館裏という場所だったため、さらに俺は動揺した
ハルヒは俺の手を離して、しばらく黙っていたが
「ちょっとここで待ってなさい!」
そういいのこしてすぐにまたどこかへ言ってしまった
リンチするための手勢を集めに言ったのだろうかと余計な心配をしていた俺だが
5分もしないうちにハルヒはその手に紙袋を持って戻ってきた
その後ろにSOS団の万能宇宙人と卒業したはずの癒し系未来人を引き連れてな
「これ、あんたにあげる」
ハルヒはそうぶっきらぼうに俺に紙袋を突き出してすぐに去ってしまった
俺としては久方ぶりに朝比奈さんとお茶でもしたかったのだが
二人ともハルヒについていってしまったのでそれは叶わなかった

 

 


帰るや否や妹がダッシュでやってきて俺の持っている三つの紙袋に目を輝かしていたが
流石にもらったものを妹の腹に収めさせる訳にはいかないので
しばらくの交渉の後300円であきらめてもらうことになる

さらに俺は母の追及からも逃げて部屋に戻り
ようやく一息つくことになった
ごそごそと机に並べて一つ一つあけてみる、どれも手作りでうまそうだったが
冷蔵庫に入れとくと妹にやられるし、かといって一気に食える量でもない
部屋に置いといて大丈夫だろうかと心配していると
そんなことよりも心配すべき事態が起きた
それは最後にもらったチョコで、最後にあけたチョコ
それにはでかでかと『馬鹿』の二文字が書かれており
付属のメッセージカードに「ホワイトデーには10倍返し」と丁寧ながらも乱暴な字で書かれていた
お年玉も大して残ってない上に、バイトも現在していない俺にこの数のお返しをする
経済的余裕は当然の事ながら無く
俺はチョコを食べるよりも先に求人広告で日雇いはないかとそれから毎日にらめっこするはめになった

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最終更新:2008年01月25日 14:09
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