小泉の人◆R7FBcOZp9Q氏の作品です。
柊かがみは悩む。
何故悩むかと聞かれれば恋の悩みと答えよう。
「うーん…………」
その脳内は一つの問いによって限り無く悩まされていた。
しかし、それは答えの出ない問いである。
曰く、 「男の好きになる女性とは?」
自室で、自分のベッドで制服のままでゴロゴロと寝っ転がりながら悶々とする。
「うぅ~…」
思えば、親友であるこなたと冗談で付き合うならどんなヒトがいいか?などと話をしたことはあっても真剣に"男"というモノについて悩んだことは無い。
経験が無いのだから手探りで探していくしか方法は無いのだが、そんな悠長な暇は無いのである。
ダスンッ!!!!!
と凄まじい音を立てて頭からベッドto床に落ちた。
「んぶっ!!??」
などと女とは到底思えないような悲鳴つきで。
痛む頭を撫でながら考えた。
明日、キョン君の家で勉強会がある。
これは言うまでもなく距離を縮める大チャンスだ。
しかし、その距離の縮め方が問題だ。
下手な事をして縮める所か離れる可能性もあるし、第一こなたやみゆき…場合によってはつかさ。その私の親友が立ちはだかるかもしれないのだから。
「………」
枕に顔を埋める。
今はそれを考える場合じゃない。
それはそれで正々堂々とキョン君が私を選べば問題ないのだ。
そこで 最初の問いが出てくる。
「…でも」
普通は武器になるもので押すのだろう。しかし、その武器さえ見つからない。
健康美…はどちらかと言えばこなた。可愛さ…は妹ながらつかさ。胸…は言うまでもなくみゆき。
髪型………はつかさ以外できる。勉強…はみゆきにかなわない。料理…はつかさ。
いや、ここは逆にキョン君に近づいてはどうだろうか!?
我ながらいい考えではないか?なら…………ダメだ。
ゲームなんて私はそこまで詳しくない。キョン君の趣味は知らない。そもそも授業中は別のクラス、放課後はSOS団。いつも前にはこなた。
これでどうして皆よりリードできると言うのだろう…。
絶望的な答えが頭をもたげるが、それを必死で振り払おうとする。
「…そうだ。制服脱いでなかったや」
ついでにこの情けない顔を洗い流してしまえ、と思い洗面台へと向かった。
その途中。
つかさの見ていたテレビの音が私の耳に届いた。
そして電撃のように私の脳細胞がはじけた!!
「そうよ、そう………フフ」
どうせ散るなら華々しく。
勝つか負けるかのAll or nothing.
どうせ分の悪い勝負なのだから大きく張って悔いないように!
洗面台の蛇口をいっぱいに開け、針の刺すような冷水で顔を洗った。
鏡に映った私はどこにも陰は無かった。
翌日。
キョン君の家で勉強会を始める前にジュースを持ってくると言うので手伝いを買って出た。
今が恐らく今日最初で最後の二人きりのチャンス。
ジュースを冷蔵庫から取り出し、人数分のコップに注ぐのを見ていた私の心臓は破裂しそうな脈動をしていた。
「……スゥ」
深呼吸をして、行動を、………行動を、……………行動に、出る!!!!
「あのぉ、かがみんは宇宙人だって言ったら信じるかなぁ?」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「…………………ぐすっ」
沈黙に耐えきれず私は涙目になった。
どうみても痛い子な私の最後の賭けは"強烈なキャラ付け"だった。
そんな私にキョン君は
「そ、そうなのか?」
と暖かい言葉をかけた。
しかしその手元には動揺の表れとしてジュースの溢れたコップがあった。
「…………ぅん」
引くに引けず、その設定を押し通すしか無い私は今になって(帰り際にやればこの後も気まずくなかったんじゃない?)などと気づいたが後の祭り。
その日、勉強会の間中私は顔をうつむかせて死んだ魚のような目をしていた。
それだけならまだしも最後に
「かがみの属する宇宙人の名前って何なんだ?」
「…………コリン星、かな?」
もはや気をかけられるその優しささえも私の傷を抉るだけだと気づいて欲しかった。
その日、私は出家を割と本気で考えた。
蛇足
キョン「…という事なんだが」
長門「柊かがみが宇宙人である可能性は10^-10も無い。ただしそれは天蓋領域が関与しない場合の数値」
キョン「油断は出来ないってことか…」
長門「大丈夫。あなたは私が守る」
キョン「…ありがとよ」
長門「……////」
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最終更新:2008年02月12日 12:07