七誌◆7SHIicilOU氏の作品です。
クスクスとおとなしく微笑む彼女、大人っぽい雰囲気と外見
実際彼女は俺より幾らか年上なのだが
それ相応の強かさを感じても、それ以上に少女というか可愛らしい感じもする
柊いのり、何度か拝見したことのある彼女達のお母さんに四姉妹の仲で一番似てる彼女
俺とクラスメートのかがみの姉、単純に考えると対した接点も無いいのりさんは
いま俺の目の前に、ニコニコと存在している
「……あの、そう見つめられると食べにくいんですけど」
控えめに自分の意見を述べてみる
確かにいのりさんが作ってくれた食事は美味いのだが、こうも見つめられると箸も止まる
俺の顔面はすでに蜂の巣もびっくりの風通しのよさだ
「あっ、ごめんねキョン君、私の作ったものを家族以外の人に食べてもらうの初めてだから」
そういってニコニコとまた笑顔を見せるいのりさん
どうやら中断するつもりはあまりないらしい
…もぐもぐもぐ
さて、いつもの様に状況説明のための回想をいくらか行おうかと思う
といっても対したことじゃなく
休みの日に暇つぶしのつもりでぶらぶらしてたら
たまたまスーパーからでてきたいのりさんと遭遇して
荷物が大量だったので持ち運ぶのを手伝ったら
お礼にいま誰もいないからなにか食べていくか、と言われてこうなった訳で
本当に説明するにしても四行で終了してしまうような単純なことだ
暇つぶしのためだけに外にでてたわけだし
無為に時間を消費するより、その時間を美人の女性を救うのに使うほうが使い方としては有用であるのは
ふむ、考えるまでもなく明々白々としていることだ
しかし、いのりさんの髪は本当に艶やかで長い綺麗な黒だな
…ポニーテールが似合うことであろうな
どうしようか、恥を忍んで頼んでみるか? だがしかしそれは俺の趣向を暴露してるようなもので
「あのいのりさん」
「ん、なにかしらキョン君」
「ポニーテールにしてもらえませんか?」
我慢、忍耐、日常にそんな言葉が蔓延してる俺の生活
…たまにはいいよな?
「別にいいけど、ポニー好きなの?」
「いや、まぁ、いのりさんの長い綺麗な髪だったら似合いそうだなと思って」
嘘をついたわけでも、真実を隠したわけでもないぞ
などと、自己弁解を行っている間にいのりさんは手首のゴムで自分の髪を手早くまとめた
いくらか嬉しそうなのはなぜだろう…、あぁあれか女性は髪を褒められるのが嬉しいのか
なるほど髪は女の命なわけだからな、大事なものを褒められれば嬉しいよな
納得納得
「これでいい?」
首を傾げ気味に結ばれた髪を俺に見せるいのりさん
と同時にふぁさと後ろの髪の束が揺れる
「最高に似合ってますよ」
「うふ、ありがとうキョン君」
あまり自分でやることが無いのだろう、後頭部に手をやって触っている
ゴムで縛りなれてない人は引っ張られて痛いと聞くのだが、いのりさんは大丈夫そうだった
いやしかし似合うとは思っていたが、ここまで心惹かれるとは…
はっ、と俺はまだ食事中だったことを思い出す
いのりさんはもう俺のことを注視していないし今のうちに食べてしまおう
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした」
手を合わせて礼を言って、いのりさんがそれを片付ける
「手伝いましょうか?」
「ううん、キョン君はくつろいでて~」
ふむ、ご馳走になったのだし多少の手伝いはと思うのだが
そもそもいのりさんにしてみれば俺が手伝ったからの御礼なのだから
あまり俺が押しすぎるのも悪いかと椅子に体重をかける
しかし、これではなんというか、まるで―
「うふふ、まるで新婚さんみたいねぇ」
俺の心を読んで先読みしたかのようにいのりさんが食器を洗いながら言う
うん、気恥ずかしいな、まったく、まったく
「いのりさんにも彼氏の位いるでしょう?」
あぁでもさっき俺に家族以外の人に初めて食事を作ってあげるといってたな
「残念、ずっと私に彼氏なんかいません」
ちょっと言葉にとげが感じられるのは多分気のせいじゃない
「それともキョン君がなってくれる?」
キュッ
水をとめる音、そして足音をさせていのりさんがニコニコとやってくる
さて、なんと反応するべきか
年上の女性がこの手の質問をする場合は大抵こちらが慌てふためくのを見て楽しむパターンだろうから
「いいですよ、俺いのりさんのこと好きですし」
冷静に切り返すのがもっともいいやり方だろう
ふん、その程度には俺も人生経験をつんだものさ
「本当になってくれるの?」
あれ、なにかおかしいぞ
「いまの台詞に嘘は無い?」
「え、はい」
頷いてしまった、語調は穏やかだが有無を言わせない迫力がある…………気がする
でもまぁさっきの言葉に嘘は無いのはほんとだ
俺はいのりさんみたいな女性はかなり好みなのであるからな
でその彼女は両手を上気した頬を押さえてわたわたしている
「えっと、大丈夫ですか?」
つい心配になってしまった
俺の何気ない一言でこんなことになってしまったのだから、俺の責任だろう
「え?うん、そうねせっかく恋人になったのだしデートぐらい普通よね」
本格的に心配するべきかもしれない
いのりさんの状況に関しても、俺自身の身の安全にしてもな
「じゃあキョン君、明日暇でしょ? どっか行きましょ」
「あ、わかりました」
一体なにがわかりましたなのだろうかね、俺は本当に臨機応変さにかける
混乱しまくりだ、ニューディール政策直前のアメリカ並みに俺の頭は恐慌が起きてるぜ
「あっ、そうだキョン君」
「今度はなんで―」
いのりさんはスッと隣に並んできて
キスされた
「これからよろしくね?」
「こちらこそよろしくおねがいします」
やっとこさ、笑顔のいのりさんの返事をする俺
えぇと、流されてるな俺
「ただいま~」
「ただいま」
一区切りついたところでかがみとつかさが帰ってきたようだ
こなたかなんかと遊びに行ってたのだろうな
「あれ? キョンがなんでいるの?」
「キョン君いらっしゃーい」
どっちがどっちの台詞、なんてのは説明する必要ないだろう
まぁ結構あたりまえの質問だな、俺だって今までの流れがよく理解できてない
かなりの急流だったからな、途中の石に取り残されてしまって追いつくのにはちょいとかかるぜ
「かがみ、つかさお帰りなさい」
いのりさんは変わらない調子で言った後
「突然だけど私、キョン君と付き合うことになりました~」
俺の腕を絡めて宣言するように(まぁ実際対した差異は無いだろう)かがみとつかさに高らかに言った
『え?』
…そういう結果にあいなりましたとさ
まぁ俺の周りにいる大勢の美少女の中でも特に俺の好みだし、性格も穏やかで常識人
それに姉さん女房は金の草鞋をはいてでも探せっていうしな
あれ? 俺ってこんな適当なキャラだったか?
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最終更新:2008年02月13日 20:28