七誌◆7SHIicilOU氏の作品です。
僕はあまり男らしくは無い
実際背も高くないし、筋肉だってついてない
声も比べれば高いほうだとも思う
でも、でもだよ
「こんな呼ばれ方されたのは初めてだよ…」
「どうしたの国木田ちゃん?」
女子の中でも一際身長の小さな同じクラスの女子で友達のキョンの友達
僕の中での泉こなたという少女のパーソナルはそれだけだった
本当に僕にとって大したことの無い場所に居るただのクラスメート
話したことも、授業での必要最低限以外ないというのに
だというのにどうして彼女は僕のことをそうも馴れ馴れしく
しかもこうも的確に僕を抉る様な呼び方で呼ぶのだろうか
「あぁ、やっぱりか…」
「キョン、これはどういうことだい?」
キョンは僕が助けを求める寸前に現れてくれた
こういうタイミングのよさを素でやるからキョンはいい
「俺とお前がよく話してるのをみて、こなたがお前はどんな奴かって聞いてきてさ」
…なるほど、それでキョンの言葉を聞いて興味を持ったのだろう
キョンのことだからまたずいぶんと褒めてくれたのだろうとは思う
それはべつに自分の事を過大評価してるのではなく、キョンの性格を考えた上のことだ
しかもそれをキョンはまた本音としていうからね
「いや悪い、気を悪くしたか?」
「ううん、そんなことはないよ」
キョンは別に悪気があったわけじゃない
無邪気とは邪気が無いと書く、無いものに大して僕は怒ったりしないさ
「あの泉さん、できればちゃんづけはやめて欲しいんだけど…」
「なんで? 可愛いのに?」
悪気は無いのだろう、ないのだろう
くそぅ、男に言っていい台詞じゃないよ
「ちょっとこなたこっち来い」
「あぅー、国木田ちゃんごめんねー」
キョンが見るに見かねて泉さんをずるずると引っ張っていった
ありがとうキョン
「おぉ国木田、泉に絡まれて災難だったな」
一息ついてショックから立ち直りかけたと同時に谷口が現れた
「まぁね、でも悪気はないだろうしさ」
結局最後までちゃん付けだったけど、謝ってはくれたしね
それにキョンの友達なら悪い奴の筈が無いしね
『君の友達を連れてきたまえ、君の人格を当てて見せよう』
逆もまた然り、あんな気のいいキョンの友達なら悪人はいないだろう
「まっ、確かにお前は男女みたいだしな~」
谷口のような男に親友と呼ばれるのをキョンがなぜ拒否しないのかで
どれほどキョンが人格者なのがわかる
「人が気にしてる身体的特徴を挙げ諂うのはよくないと思うよ、振られの達人」
ちょっと言い返してみる、と谷口はさっきまでのノリはどこへやら
一気に脱力して床に膝を着いてしまった
「そうなんだよ、また振られちまったんだよ…」
あぁ丁度振られたばかりだったのか、ご愁傷様
「…そうだ、国木田お前女装したら結構いけるんじゃないか?」
とりあえず、殴っておいた
「ただいま」
誰も居ないから返事も無い、むしろあったら警察に即通報物だ
靴を脱いで仕舞い、自分の部屋に向かう
「今日はどうしようかな~」
制服を脱ぎながら、鼻歌交じりに考える
「そういえば、深緑のワンピ着てないな~」
脱いだ制服をハンガーにかけて、クローゼットを開ける
なかにはフリフリのドレスやら女物の洋服がいっぱい入ってる
ちゃっちゃと着替えて姿見の前で自分を眺める
「今日も可愛い国木田ちゃんでした」
泉さんの言葉を借りて鏡の自分に話しかけて
カメラをセットしてその状態の自分を写真に撮る
角度を変えて、服を変えて、色々な自分の写真を撮る
あとは沢山のその写真をパソコンに取り込み
自分のHPにアップロードする
僕はいわゆるネットアイドルをやっているのだ、女装して
「完了と」
呟いて親が帰ってくる前に全部片付ける、服も着替える
明日になれば反応も返ってくるだろう
「なぁ国木田」
学校、授業間の休み時間に谷口が声をかけてくる
「…谷口、授業と授業の間の時間は次の授業のための準備時間だよ?」
一応言ってみるけど、効果があるとは思ってない
「国木田よ、昨日俺は新しく好きな人ができたんだ!」
「へぇそれはよかったじゃん、どんな人?」
「――ちゃんて言うんだけどさ」
谷口、昨日僕が女装したらについて言ってたからって
そんな次の日に好きになられても困るよ
最終更新:2008年02月23日 08:50