七誌◆7SHIicilOU氏の作品です。
コンタクトレンズ
それは眼鏡の変わりに瞳に直接つける視力補正用のレンズだ
眼鏡をつけてると顔の形がかわるなんて言われることもあって
目の悪い年頃の高校生にとって結構憧れのものだ
「コンタクト…いいですねぇ」
みゆきさんがぼやくように言う
彼女は前々から眼鏡を外したいと思ってたらしいのだが
目に物が入るのが怖いらしく、ずっと眼鏡のままなのだが
「コンタクトにし―」
「だめだよみゆきさん! 歩く萌え要素が一つ欠ける!」
―たいのか?、と言葉を続けようとした俺に
こなたがかぶせるように、というかたたっ切るように喚く
「いやだが本人の好きなようにすればいいだろうさ
まぁ眼鏡のままでも似合ってるから、俺とすればいいんですけどね」
…なぜ俺を見つめるんだ長門
あれはもう時効だろ、勘弁してくれ、俺が悪かった
眼鏡属性がないのは本当だ
「…そう」
俺はなにも口にしてないのに、心中での必死の弁解は空中を飛んで長門に伝わったらしく
長門は小さく呟いた
「ん? ながもんなんか言った?」
こなたはみゆきさんと話していたが
長門の声に反応して声をかける
が、しかし長門はこなたの声には無反応だった
「んん~聞き間違いかな? ってそういえばながもんって一年の最初だけ眼鏡かけてたよね
ってことはいまはコンタクトなのかな?かな?」
…だから俺を意味ありげな視線で見ないでくれ
俺は視線に込められたプレッシャーに気付かないほど鈍感じゃないんだよ
頼むから長門に眼鏡関係のネタを振らないでくれこなた
と、今度はこなたに俺の心のSOSが届いたのか
「ま、いっか」
こなたは呟いてみゆきさんに向き直る
同時に長門は本に向き直る
…助かった
「で、急にコンタクトにしたいってどういう心境の変化?」
「あぁ確かにな、前に俺達が進めたときは怖いって言ってたのにな」
そういうとみゆきさんは少しだけ照れたようにして
頬を掻きながら
「えっと、眼鏡だとやはり視力が悪くなる一方なので…」
「本当にそれだけ? 好きな人が出来たとかじゃなくて?」
「えっと、はい、そうですよ」
怪しいな…
だが下手に踏み込むつもりもない
みゆきさんに嫌われるのは嫌だからな
「…」
だから長門、なぜ俺を見る
こんどばかりは意味がわからないのだけれど?
俺は視線を横顔に感じつつ
しかし気付かないふりをして会話を続ける
「でもまぁ、結局はみゆきさん次第ですから…」
バーン
「コンタクトと聞いてやってきました!」
「だからみさちゃんもう少し静かに…」
みさお、お前は俺の台詞をそんなに潰したいか?
「で、なんの話してるんだ?」
「いや、コンタクトの話って自分で言ってたじゃないか」
「え、適当言ってたんだけどあってた? 奇跡ジャン!」
ずいぶんとくだらないちっぽけな奇跡だな
「あやのも大変だな、言うこと聞かない子供の面倒見るのはさ、俺も妹がいるからよくわかる」
「キョンってたまにひっでーよな?」
「あはは」
しかし、今回はタイミングよく現れてくれたところで
そもそも議論をしてないので意味はないんだよな
これに関しては当人の意思次第だからな
落ちをどうしたものかと早々に切り上げるための思考をしていると
続けて来訪者が来た
それはSOS団員ではなく、一人の後輩だった
「ういっす、キョン先輩! 先輩に言われてコンタクトにしてみたんですけどどすか?」
「ん? おぉいいじゃないか、そのほうが可愛いよ」
「まじッスか? うわっ嬉しいです、今度からコンタクトを中心にしますよ!」
豪快にVサインを俺に決めて田村後輩はきびすを返して去ってしまった
残ったのは静寂…
長門、本気で勘弁してくれ
ってかみゆきさん、なぜあなたもそんな目で俺を見るのですか?
「…ふぅ、決めました私コンタクトにします」
俺の精神のライフゲージを限りなくゼロに近づけてから
みゆきさんはため息をついてそういった
…なぜだろうか、俺のライフを削ったことが決心をつけた理由か?
そこにどれだけの因果関係があるのか俺には理解ができません、どうしても
俺はこの中で一番常識人であるあやのにそっと声をかける
「…なぁ、俺にはこの一連の流れが理解できないんだが」
「ん~と、私の口からは言えないかも…」
結局答えはでなかったが
次の日みゆきさんはしっかりコンタクトに変えてきた
なにが原因だろう? わからない
最終更新:2008年02月23日 10:28