◆4pvEs7ZFxY氏の作品です
生徒会会長選挙。俺には全く関係のない事だと思いたかったのだが、ハルヒの計らいでこなたが生徒会選挙に出る事になったらしい。
何が目的でそんな事をするのか、今の俺には理解できない。
しかし、もう少しマシな奴にしたらどうだ。みゆきや古泉あたりが妥当なんじゃないか。と聞くと、
「何よ。イチャモンつける気?」
ああ、文句ならいくらでも言ってやる。こなたじゃ会長になるのは不可能だってな。
「団長! 私に、いい提案があります!」
「なにかしら?」
こなたがハルヒに何か話し始めた。わざとらしく団長と言う必要があるのか。
「なるほど、それはいい案ね」
ハルヒが俺に不気味な笑顔を向けている。また何かたくらんでいるんじゃないかと思うくらいの不気味さだ。
「キョン! 勝負よ! もしこなたが会長になったら、一ヶ月間あんたのおごりよ!」
どうやら、正解のようだ。こういうときだけ勘がいいんだよな、俺。
「ほうほう、つまりお前が負けたら、一ヶ月間はお前のおごりであると」
「そうね…… じゃあこうしてあげるわ。勝った方は負けた方を一日だけ自由にできるっていうのはどう?」
望むところだ。何でも聞いてやる。そのかわり、お前が負けたときはちゃんとこっちの言う事を聞くんだ。
「もちろんよ。約束は破らないわ。こなた、あんたもなんか言ってやりなさい」
「そだな……じゃあキョンキョン、もし私が当選したら、その時は土下座してもらおうか。失礼な事言ってすみませんでした。ってね。
ただの土下座じゃなくて、もちろんジャンピング土下座をしてもらうよ」
「いいだろう。だがお前が負けたときは俺に土下座してもらおうか。調子乗ってすみませんでした。ってな
ただの土下座じゃ気が済まんからな。バック宙して着地しながら土下座してもらおうか。お前ならできるだろ?」
「もちろんだとも。約束を破ったらだ・ん・ち・ょ・うと共にフルボッコにするから」
「団長」の部分を強調しすぎだ。
「そのときの覚悟はいいわね!?」「覚悟しろよ! この蟲野郎!」
こなたとハルヒが同時に喋る。不気味な勝負の開戦である。
一週間後、ついに選挙の時がやってきた。
SOS団総勢でこなたを会長にするようにさまざまな事をしてきた。
卒業した朝比奈さんを無理矢理つれてきて、バニーやメイド服にして宣伝させていた。
それ以外にもかなり力が入っていたから、下手すれば本当に当選しかねない。
そして待ちに待った生徒会会長選挙。皆テンプレートみたいなしゃべり方しかしないのがつまらなくさせてる原因だろう。
「あなたの清き一票をよろしくお願いします!」
などの共通しているところなど、そろそろ俺も飽きてきたので寝ようと思っていたところ、泉の番がやってきた。
どんな事を喋るのだろうかと思ったので、見る事にする。
「では、今から演説を始めます。一度しか言いませんので注意して聞いてください。
繰り返します。一度しか言いませんので注意して聞いてください」
そういうとこなたは、眼鏡を掛けて奇妙な笑いを浮かべて演説をし始めた。
「諸君、私は漫画が好きだ。
諸君、私は漫画が好きだ。
諸君、私は漫画が大好きだ」
……いきなりぶっ飛んでやがる。いきなりすぎて何が言いたいのかさっぱりわからん。
「バトル漫画が好きだ。ギャンブル漫画が好きだ。学園モノの漫画が好きだ。
読みきり漫画が好きだ。昔の漫画が好きだ。四コマ漫画が好きだ。
単行本の最後についてる漫画が好きだ。推理漫画が好きだ。同人誌が好きだ。
ジャンプで。マガジンで。サンデーで。チャンピオンで。コンプティークで。
電撃大王で。ビッグコミックで。ガンガンで。キングで。コロコロで。
この日本で発行される、ありとあらゆる漫画本が大好きだ。
店頭にならべられたコンプティークを三冊以上購入するのが好きだ。
三冊のコンプティークを見て店員に全て同じ物になりますが~と聞かれた時など心がおどる。
好きな漫画のグッズを集めるのが好きだ 。
ガチャガチャと音を上げて、カプセルの中から出たストラップをコンプリートした時など胸がすくような気持ちだった。
コンプをそろえた店のコンプの羅列を鑑賞するのが好きだ。
同じ人が既に買い終えたコンプを何度も何度も購入している様など感動すら覚える。
アニメイト限定の付録を自分の部屋に飾っていく様などはもうたまらない。
私の大量のフィギュアやポスターが私のほうを向いてるのも最高だ。
哀れな荒らし達が雑多な意見で無謀にも荒らしてきたのを。
華麗にスルーした時など絶頂すら覚える 。
好きな漫画がアニメ化されるのが好きだ。
そのアニメが酷い原作無視をする様はとてもとても悲しいものだ。
PTAの圧力によって規制されるのが好きだ。
大人の事情に振りまわされ無理矢理連載終了させられるのは屈辱の極みだ。
諸君。私は漫画を神の様な漫画を望んでいる。
諸君。私に付き従うオタ友諸君。
君達は一体何を望んでいる?
更なる漫画を望むか?
ご都合主義しかない糞の様な漫画を望むか?
伏線を巡らせ尽くし二次世界の鴉を殺す嵐の様な漫画を望むか?」
ここまでどれくらいの時間が流れただろうか。俺はこなたの演説を聞き入っていた。
こなたがそのセリフを言った後、多くの生徒がガタンガタンと席を立ち上がり
「コミック!! コミック!! コミック!! 」
と叫びだした。
こなたは生徒達の反応を見るように少し間を置いて再び喋りだした。
「よろしい ならば漫画(コミック)だ。
我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ。
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間 堪え続けてきた我々に ただの漫画では もはや足りない!!
神漫画を!! 空前絶後の神漫画を!!
我らはわずかな集団 千人に満たぬヲタにすぎない。
だが、諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。
ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人のオタ集団となる。
我々を忘却の彼方へと追いやり、眠りこけているPTAを叩き起こそう。
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼(まなこ)を開けさせ思い出させよう。
PTAに恐怖の味を思い出させてやる。PTAに我々の軍靴の音を思い出させてやる。
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない漫画があることを思い出させてやる。
一千人のオタクの戦闘団で、世界を萌やし尽くしてやる。
第二次萌えの国作戦を開始せよ。
征くぞ 諸君」
そういうと生徒が何人か拍手をし始め、次第に全員が拍手し始めていた。
俺はまだ呆然としていた。
数日後、こなたが当選したと聞き、俺は無理矢理ハルヒにあの約束を実行されたのは言うまでもないだろう。
かゆ…うま…
これは後日談だが、何人かの生徒がこなたが生徒会長になるのを反対していたらしく、
10クラス分の署名を集め、結局は二番目に票が多かった奴が繰り上がりで生徒会長になったとか。
そいつの名前だと? 俺が知るわけなかろうなのだ。
で、それを知って勝負はなかった事にしろとか言われたのだが納得いかない。
だが、怒る気が失せたので勝負はなかった事でいいやとした。ただ、こなたには土下座してもらったがな。