退屈な日々が過ぎていく。
ぬるく、怠惰に。
充実していると言えるが記憶に残らない青春の日々がまた一日終わる。
「キョンキョンばいばーい」
「…おう」
泉に適当に挨拶を返す。
この退屈な毎日においてわりかし重要な位置を占める友達以上、な関係だ。
この退屈を脱却するために付き合ってみるか、なんて考えた事もあるがしがらみのほうが多そうだ。
…そんな考えがあるところ俺はどうやら枯れているらしい。
それにそんな動機で付き合っても相手に不誠実だろう。
今日はSOS団も休み(なにやらハルヒが最近マンネリ化した集いを打破するべく考える充電期間だそうだ)なので帰るしかない。
「……」
全く、退屈なもんだ。
一人で鬱屈そうな顔をしている自分をみたら少しは笑えるかもしれない。
そんな馬鹿馬鹿しい思考が頭をよぎる程暇だったのだ。
一人で昇降口から出て、校門に向かうまでに何かが目についた。
(………?)
財布…か?いや、それにしては少し小さい。
それは校庭の隅にポツリと置いてあった。
特に気にも留められないゴミにも見えたが、何分暇だった。
せめてもの退屈しのぎとそれに近づき、拾い上げた。
「…携帯?」
全てが黒く染め上げられている携帯。
折りたたみ式であり、畳んである状態では黒いプラスチックの塊にも見えた。
横には何のボタンも無く、後ろをみてもカメラすらない。
──しかし、一点だけ異常なところがあった。
ボタンも、カメラも、液晶も無い代わりに白抜きの文字で『T-note』と書かれていたのだ。
「携帯なのにノート…?」
パカッと携帯を開くとボタンも全て黒く塗りつぶされ、液晶の壁紙も黒だった。
丁寧なこった。
この持ち主の手がかりはないかとリダイアルや着信履歴を見るが0。
電話帳を見ても0件。
一体何のための携帯電話かとツッコミたかったがそこは抑えて、携帯をポケットに突っ込んだ。
学校に落とし物として届ければいいだろう。
今から職員室に行って適当な先生に渡してもいいが……面倒くさい。
知らない先生にわざわざ会いに行くなら、せめて少しは気心のしれた担任の黒井先生のほうがマシだ。
だったら明日でも構わない。
そう自分の中で結論着けると、俺は帰宅する事にした。
夕飯を食い終わり、ただダラダラと布団で寝ているとあの真っ黒な携帯を思い出した。
確かアンテナも立ってたし解約されてない携帯だ。
なのに何故あんな所に?
制服から携帯を取り出して色々弄ってみる。
画像……は無い。音楽も無い。画面メモも皆無。ブックマークさえも。
pdf…も無い。受信メール、送信メール共に0。アプリに至っては消去までされている。
「………イタズラか?」
なら何故わざわざ携帯を契約して………いや、あと一つ調べる所があったか。
メールフォルダを開き、未送信メールを開いた。
「…ビンゴ!」
そこにあったのは数百にも登る未送信メールだった。
丁寧にすべてに題名が書いてあり、
「………………なんだ、これ?」
全ての退屈を砕くには十分な"力"がそこには置いてあった。
最終更新:2008年02月26日 21:51