◆yukichanHA氏の作品です。
風景を眺めてると、やかんが白い蒸気を出して呼んで来る。
私は急須を片手にガスコンロに小走りする。
火を消して、やかんに触れないように気をつけながら急須にお湯を注ぐ。
急須に入れた葉が一斉にお湯の中を舞い、透き通った緑色に変えていく。
蓋をして、しばらく置く。
その間に湯飲みを準備しておく。
それからゆっくり手にした急須を湯飲みに注いでいく。
渋い緑のお茶が出来た。
「どーぞっ」
私はいつものように既に部室に来てる人にいれたてのお茶の入った湯飲みを渡す。
「あ、ありがとうございます。朝比奈さん」
机に頬杖をついていたかがみさんがお礼を言う。
「どうぞっ」
定位置で読書中の長門さんの前の机に湯飲みを置く。
「…………」
いつものように無言でページをめくる。
けど、最近少し頷いてるのが分かって来た。本当に少しだけど。
私はお盆を机に置いて、かがみさんの前に座り、自分の湯飲みに口を付ける。
「はぁ」
かがみさんがまた溜め息を吐く。
実は私の後に来てから十数回はやっている。
「どうしました?」
かがみさんは私の顔を見る。
「実は………」
「キョンくん、ですよね?」
かがみさんは私の発言に突如背筋を伸ばす。図星だというのがよく解る。
「…………はい」
また深く溜め息を吐く。
「好きなんですよね?」
「すっ、好き………はい」
慌てて訂正しようとしていたが、正直に話してくれる。
かがみさんはお茶を一口飲む。
「でも……キョンくんはハルヒと…」
そこで俯く。
涼宮さんとキョンくんがデキてる話は広まってるからなぁ。
かがみさんが引っ込むのも仕方ないとは思うけど…。
キョンくんが気付いてあげればいいんだけどね。
「キョンくんは涼宮さんとは付き合ってませんよ?」
「でも、ハルヒと一緒にいると楽しそうで……」
声が震える。
「私、ダメ…なんで、しょう…か……?」
はっきりと私は言う。
「―――ええ、ダメですよ」
かがみさんの肩が震え始める。
「やっぱり……」
「前向きにいかなければ、ね」
かがみさんの言葉を遮って続ける。
「振り向いて欲しかったら、前に行くべきなんですよ。
障害ってのは前にありますから、障害に当たる時は前に進んでるってことになりますし」
合間にお茶を飲む。
「まずは涼宮さんとぶつかるくらいキョンくんに接してみてはいかがですか?
涼宮さんは独占欲は強いですが、根は優しいしすぐに縁切られることはないと思いますよ?」
笑って言ってあげる。私の思ったことを。
「…ありがとうございます」
かがみさんはそう言って笑ってくれた。
目はほんのり赤くなっている。
「頑張って下さい」
「あ…はい。とりあえず頑張ってもっと接しようと思います」
私は黙って微笑む。
「ほらぁっキョン!ちゃっちゃと運ぶ!」
廊下に涼宮さんの声がこだまする。
「う、うるせっ!プリント多過ぎだrうおっ!」
「だーっ!何やってんのよアンタっ!早く広いなさい!」
変わらないなぁ。
「朝比奈さん、」
「はい?」
「私お手洗いに行ってきますねっ」
「わかりました」
かがみさんはお茶を飲み干してから扉の向こうに駆ける。
「………お茶」
「あ、はいっ」
長門さんが珍しくお茶を要求する。
私は鼻歌交じりにお茶を注ぐ。
………お湯沸かさないと。
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最終更新:2008年02月26日 21:41