「親機は、どれだ?」
とスーが言った。
一体だけ、偉そうに座っているやつがいる。
「……あれか?」
と、一行が向かおうとした所を、何かが阻んだ。
一匹の犬のようなアームヘッドである。
「ヘル、頼んだ。」
と、スーが言うと、ヘルは犬のような物と、にらみ合った。
一行がその偉そうな奴に近づいた瞬間、周りをファントムが囲んだ。
「……」
凄い数だ。
「わたしが、残る。その隙に行くんだ。」
スーが、きっぱりと言った。
「さあ、行け。」
レーザーのライフルを背中になおし、トンファーを取り出した。
「いけ!」
ただならぬものを感じて、宝生はそこから離脱した。
ずっと進んだところに、一体の巨大なアームヘッドがあり、その後に一体の黒いアームヘッドがあった。
「……菊田?」
そんな気がした。何故だ?
巨大なアームヘッドはオーディンを睨んだ。
「ここは通らせる物か、赤き賢者よ」
その瞬間、何かが光り、赤い光が飛んできたところで、オーディンはそれを避ける。
「……行くしかない。母体を……」
「母体?母体はここにはおらん。残念だったな」
宝生がまた探しに行こうとすると、
「しかし、折角来た客は、もてなさねばならん。そうだろう?」
巨大な手が動いた。
またぎりぎりのところで避けると、目の前に赤いアームヘッドがあった。
「……リアルメシア……」
宝生はそれを睨んだ。
「……旬香、後の黒いアームヘッドは、あなたがとめなさい。」
「……なんだって?」
「わたしがこのデカ物をくい止めるから、早く、あなたはユミルの元に。」
宝生は、言われたまま、奥にいる黒いアームヘッドを見つめた。
「やあ、宝生」
その黒いアームヘッドは言った。
「……」
「久しぶりだな、菊田だよ」
「……」
さっき感じた感覚は、間違いではなかった。これは、間違いなく菊田だったのだ。
「お前は、だれだ!」
宝生は、そう、叫んだ。
「俺は、きくだ・ごんざえもんだよ、忘れたのか?全く、薄情な奴だよ……」
「お前は、誰だ、と言っているんだ」
また、自分の名前を答えるアームヘッドは、本当に菊田のように見えた。
「お前は、薄汚れたただのアームヘッドだ。」
オーディンは、グングニルを構えた。
「……そうか、いいだろう。裏切るのなら、しょうがない。そういえば、俺はお前のせいで死んだんだもんな……復讐だ……」
「くそ!犬やろう!」
木戸は叫ぶが、攻撃はびくともしない。
「ちくしょぉおおお!」
叫んでも叫んでも、虚しさだけが響いていくようだった。
その瞬間、一つの黒い粒が、フェンリルに当たっていった。
「やっぱり、普通のレーヴァテインじゃ、装甲がとけるだけか。」
その声の主は、青年のようだった。
「だいじょうぶかね、我が旗の下に集まった、同志Cよ。わたしは菊田。一旦、ここはわたしに任せろ」
菊田は、手に灼熱の赤い剣を持ち、さらにもう一本、赤い剣を取りだした。これもまた、赤い灼熱の剣だ。
その2本の剣で攻撃するが、ダメージは与えられそうもない。
「ち、これでダメなら……」
菊田は2本の剣をフェンリルに投げつけた。これは流石に効いたらしく、フェンリルがギロリと菊田を見つめた。
「こいよ、犬ちゃん」
菊田のアームヘッドの腰にある鞘が割れ、白い気体を噴出させた。それは、巨大な刀だった。
フェンリルが飛び込み、菊田が刀を振るうと、フェンリルの頭に斬激が走った
最終更新:2008年11月15日 16:16