第18話 夜明けの結末・前編
★ラック組★
ゲッシュ「グヘッ!」
狂戦士の剣を振り上げられ、吹き飛ばされたゲッシュはこのような声を上げた。ゲッシュは突き飛ばされはしたが、肩に軽い擦り傷が付いただけだった。そしてゲッシュは立ち上がろうとしている。
一方、ラックはゲッシュが吹き飛ばされた隙に狂戦士の後ろに詰め寄り、剣で攻撃を仕掛けようとした。ラックが狂戦士の右肩を剣で切り裂こうとした時、狂戦士はラックの異変に気づいて刀を構え、ラックの攻撃を防いだ。
しかし、ラックは刀で攻撃を防がれても顔色一つ変えずにベルトに着用していた拳銃を抜き、狂戦士の頭めがけて拳銃を突きつけた。
だが、狂戦士はそのことを予測したようだった。
拳銃を狂戦士の眼に映った瞬間、狂戦士はすばやい剣さばきでラックの剣を払いのけ、そのまま狂戦士の剣はラックが持っていた拳銃を真っ二つにした。
ラック「・・・お前・・本当に生き物か?」
狂戦士の直観力、反射神経、神経が行動に移すまでのスピード。このあまりにもずば抜けた能力にラックはついこんな言葉を出してしまった。
ラックがそう思っていた一瞬に狂戦士は攻撃を仕掛けていた。しかし今度はラック本人めがけてではなく、ラックが持っていた剣に矛先を向けていた。
狂戦士の剣さばきはラックが持っていた剣を上手くラックの手から落とした。ラックは丸腰の状態になった。
ラック「・・・やばいな、さすがに・・」
ラックがそう言葉をつぶやき、笑みを浮かべているとき、狂戦士は勝利を確信した満面の笑みを浮かべ、狂戦士の刀はラック目掛けて振り下ろされた。
夜のフランスの外に何かが斬られた音ではなく、刀が交じり合った音が響き渡った。
ラックは斬られたと思い、目をつむっていたが、ふと目を開けると、右手にラックの剣を持ち、狂戦士の剣の斬撃を防ぎ、左手で短剣を持って狂戦士の左手に突き刺していたゲッシュがいた。
狂戦士はゲッシュの突然の乱入に驚きを隠せなかった。そうしている間に狂戦士の左手から短剣が突き刺さった傷から血がドクドクと出てくる。
ゲッシュはこの攻撃に笑みを浮かべた。FBIとしての誇りある攻撃だと思ったんだろう。
ふとゲッシュが狂戦士の顔色をうかがおうとして顔を上げると、狂戦士の顔には怪しい笑みを浮かべていた。それはさっきラックの剣を吹き飛ばし、勝利を確信した笑みと同じだった。
ラック「!! ゲッシュ、避けろ!!」
ラックの気づいたときには遅かった。
狂戦士はラックの剣を振り落としたときと同じようにゲッシュが持っていた剣を振り落とし、左手でゲッシュの左手の手首を持ったまま、無防備となったゲッシュに剣を突き刺した。
ゲッシュの心臓付近に剣が貫いた。
ラック「ゲッッシュゥゥウウウウ!!!」
ラックが叫んだ瞬間、ラックに怒りがこみ上げ、狂戦士がゲッシュの体から剣を抜き、ゲッシュの死体を倒しているその間にラックは落ちていた自分の剣を持ち、狂戦士に攻撃を仕掛けた。
☆バクス組☆
デーモンの唯一の攻撃方法である。爪の攻撃を無くさせたバクスは、デーモンの体に端に炎の矛を身にまとった鉄の棒を突き刺した。デーモンは爪が破壊されたのと体に炎が突き刺さったのが重なり、苦しんだ鳴き声をあげながら体をジタバタさせた。
デーモンが苦しんでいる最中にバクスは一旦距離をおき、ポケットからチョークを取り出した。そして部屋の床にペンタグル(丸い円の中に星を描いたもの)を描き、ペンタグルの下に呪文を書き込んでいく。
だが、バクスがそうしている間にデーモンは苦しみから立ち直っていた。
デーモンは尻尾をバクスに向けて振り払った。
バクスが気づいた瞬間、デーモンの尻尾によって吹き飛ばされた。バクスの体が壁に激突する。
デーモンの攻撃にバクスは気絶寸前に追いやられたが、何とか意識を保ち目を開けている。
だが、デーモンはすばやく移動し、バクスの目の前にいた。そして、バクスの心臓を目掛けて尻尾の先端を向けていた。このままだと間違いなくバクスの心臓にデーモンの尻尾が突き刺さるだろう。
デーモンが攻撃をしようと行動したその瞬間、デーモンの尻尾に4発の銃弾が当たり、デーモンの尻尾が破壊された。
デーモンが銃弾が放たれた方向を見ると、そこに倒れて頭から血を流しながらも攻撃を仕掛けた正彦がいた。
正彦「悪いな。お前の相手は2人いるんだなぁ。これが」
正彦はデーモン目掛けて笑みを浮かべ、デーモンはその笑みを見て怒りをあらわにしている。
正彦「それと、俺だけに気を配るな。お前の相手は2人だ」
デーモンは正彦の言葉にハッとし、バクスがいた場所を見る。そこにバクスの姿はなかった。
デーモンがバクスを見つけようと必死になっていろんな方向に目をやると、デーモンの後ろでチョークによる作業の続きをしているバクスがいた。
デーモンがそれに気づき、バクスを手始めに殺そうとバクスに近づいていく。
バクス「3秒遅かったな。もう、準備は終わった」
バクスがそう言うと、ペンタグルの中からすべてが赤い炎で作られた竜が現れた。その大きさはバクスの4倍はあろう大きさだった。
そして、炎の竜はバクスの手の動きに合わせ、デーモン目掛けて突撃した。デーモンが炎の竜に気づき、すぐさま竜の突撃をかわそうとしたが、炎の竜の行動が早く、デーモンの体は炎の竜によって焼き尽くされた。
デーモンが焼き尽くされたのを見て、バクスはその場に倒れこんでしまった。だが、バクスは首から無理やり『デット・クロス』を取り、上空に投げた。
一方、正彦はバクスが魔術を使っている間にレイピアの近くに行き、レイピアを掴み、鞘からレイピアを抜いた。
そして、上空に放り投げられている『デット・クロス』に向かってレイピアを突き刺した。
『デット・クロス』はバラバラに砕け散った。
★ラック組★
ラックと狂戦士の戦いは海岸沿いまで移動していた。
だが、海岸沿いといっても海からは絶壁になっており、もし崖から落ちたら、一生陸には上がれなくなるだろう。
だが、ラックと狂戦士は海岸沿いであることは気にせず、戦っていた。
今度の戦いは肉弾戦となっていた。
何故ならバクスは魔術を使っている最中に、ラックの剣さばきで狂戦士の刀を手から落とし、それから間もなく狂戦士はラックが剣を持っている手を殴り、ラックから剣を落としたからだ。
2人は再び剣を持つことをやめ、肉弾戦に突入させたからだ。
ラックは狂戦士の両腕を掴み、頭突きを繰り出した。だが、狂戦士はもろともせず、逆にラックの頭目掛けて頭突きをした。
ラックはこの攻撃に倒れこんだ。その間に狂戦士はラックの腹目掛けて蹴りを2発食らわした。ラックは苦しんだ声を出す。
ラックの腹目掛けてもう1発蹴りを食らわそうとしたそのとき、狂戦士は急に苦しみだした。
ラックは狂戦士を見ると、狂戦士の右肩、顔半分、左足が砂となり、消え出していた。狂戦士は消えながらも雄たけびを上げていた。
ラック「・・・・バクスと正彦・・・成功したか・・」
ラックがそう確信し、立ち上がったその瞬間、ラックの両肩は狂戦士に掴まれた。狂戦士はニヤリを笑う。
ラック「・・道ずれかよ・・。でも・・そう簡単には行かない!」
ラックは狂戦士の両肩を掴み、反撃に出た。
2人が掴み合いながらグルグルと回りながら取っ組み合いをしだした。
ラックと狂戦士は互いを鋭い眼光で睨み合いながら両肩を掴んでいる手に全身全霊の力をこめる。
そのとき、狂戦士の左足が完全に砂となって消えた。そして、狂戦士の体がバランスを崩した。そして、狂戦士は海へ向かって身を投げた。
だが、狂戦士は海へと落下している最中でも、ラックの肩を離さなかった。
そして、狂戦士とラックは海へと落ちていった。
次回、完結する・・・
最終更新:2007年12月31日 17:38