沈黙を続けたまま、
お姉さまと
パンタローネは歩き続けていた。
あの放送からかれこれ数時間、ずっとこうだ。
と言っても、別に喧嘩していると言うわけではない。
多すぎたのだ。死者の数が……あまりにも。
正統派を地で行くこの二人の想像をはるかに超える数。
放送を聴いたパンタローネは、一度だけお姉さまを見た。
悲しそうで、けれども諦めてはいない。そんな目だった。
その直後、お姉さまもパンタローネに視線を向けた。
辛そうで、けれども挫けてなどいない。そんな目をしていた。
二人は無言で荷物を整理すると、森を抜けるため歩み始める。
主催者に伝わるように、力一杯足を踏みしめて。
「……お姉さま」
「ああ。気付いてる、この匂いは」
日本人なら9割以上の人間が嗅いだ事のある匂い。
その匂いが、近くの民家から強烈に匂ってきている。
二人は頷きあうと、その民家のチャイムを鳴らした。
「あの、誰か居ますかー?」
パンタローネの呼びかけの数秒後、ドアが勢いよく開放される。
そして、扉を開けた人物は二人を見ると、胡散臭そうに顔を顰めた。
「悪いけど、新聞は要らないよ」
「「……」」
「おや、新聞じゃないのかい?なら、牛乳とかかい?悪いけど、それも要らないよ」
「「……」」
二人は言葉を失って喋る事が出来ない。
それもそのはず、出てきたのは、全裸でBIN☆BINな熟女こと
底上中の残月だったからだ。
その後ろから、慌てた様子で◆yHjSlOJmmsことルーキーが飛び出してくる。
「ちょ、残月さん!初見の人にはブラクラですから!」
「何言ってるんだい!?アタシのどこがブラクラだってんだい」
「あだッ、いだだだだだだだッ!」
突き出していたルーキーの頭を脇で抑えると、強烈なヘッドロックを極める。
香ばしい脇の匂いと肉肌に、ルーキーの顔が真っ青になっていく。
「残月さんよぉ、そいつ死んじまうぜ」
「おっと。こりゃいけないね。ほら、目を覚ましな」
「う、うぅん……」
首を絞めていた残月の後ろから、気だるそうな顔をした
King of 脳内補完が姿を現す。
そこに来て、ようやくお姉さまは気を取り直した。
ちなみに、パンタローネは未だに硬直している。
「あ、あの……もしかしてアンタら対主催グループか?」
「おうともさ!アタシら三人真っ当な対主催だよ」
既にその格好が真っ当でない気がするが、後ろの脳内補完が首を振っていたためスルーすることにした。
と、安堵してしまったのか、お姉さまのお腹から可愛らしい音が全員の耳に届く。
これを聞いた残月は、540度ターンするとプリケツを振りながら民家の中へと戻っていった。
「とにかくあがりな。今から食事を用意するよ」
ふらつくルーキーを抱えた脳内補完も、顎で二人を促し奥へと戻っていく。
残された二人は、あまりの急展開についていけず呆然としていたが、
やがてどちらからと言う事も無く、三人の後へと続いていった。
――――
「そっか、アンタらも大変だったねぇ」
「ああ。けど、俺は絶対殺し合いをやめさせるぜ」
カレーを貪りながら、お姉さまは残月と情報を交す。
パンタローネもちゃっかり食べてるが、あれはいいんだろうか。
ちなみにテーブルを挟んで乳全開な残月だが、流石のお姉さまも諦めたようだ。
なんとも適応能力の早い人だ。さすが性別不明を自称するだけある。
一方のパンタローネは、未だ慣れないのか目を会わせようとしない。
それと、さっきから脳内補完の視線が微妙に気になるのだ。
話しかけたものの、気だるそうに自己紹介をされたっきり言葉を交していない。
それなのに、なぜか彼から微妙な気配を感じてしまう。
「お姉さまよ。我にもカレーをく「出てくるな変態神」……うぐぅ」
それはお前の口癖じゃねぇ。と言う突っ込みは、誰もしてくれなかった。
と言うか、お姉さまがディーを呼び出した時も誰一人反応してくれなかった。
ギャルゲ1stの最後に立ち塞がったその勇姿も形無しである。
お姉さまは改めて、椅子の下で「
蟹座氏萌え~」と呟く変態を見下す。
この男は下手に調子に乗らせると、「クイズそれは私だ」以上の事をやりかねん。
そう思ったお姉さまは、足に絡みつくディーの股間を踏みつけながら無視を続ける。
が、股間を踏まれるディーは「か・い・か・ん」といった表情を隠し、脳に直接語りかけてきた。
(ここからはオフレコだが……我の半身を有する参加者が死んだ)
「え?」
「ん、どうかしたかい?」
「あ、いや、なんでもない」
声を掛けられた残月に作り笑いを見せ、お姉さまは心の中でそっと呟く。
(どういう事だ?)
(うむ。どのロワかは不明だが、おそらくハクオロの姿をした参加者がいたのだろう)
(だろうって事は、その人は)
(死んだ……たった今な)
(くそっ)
(落ち着け。今動いてもその男は帰ってこぬ)
ディーを踏んでいた足に力が入ってしまったのか、下から悶絶するような音が聞こえる。
だが、それが聞けたお陰で、お姉さまは心に冷静さを取り戻した。
(で、だ。本題はここからなのだが、その死体を探してはくれんだろうか?)
(なんだって!?)
(もしかしたら、その男を取り込めば多少だが力を取り戻せるかもしれんのだ)
(けど、取り戻したらお前は!)
(安心しろ。我とてこうなった以上最後まで協力する。決着はそれからで構わんだろう?)
ディーからの思わぬ提案に、お姉さまは思考を巡らせる。
この場合、最大のデメリットはディーに力を取り戻させる事だ。
が、言葉を鵜呑みにすれば、力を全部取り戻せると言う訳でもないらしい。
(考えておく。けど、もし変な事を考えたら)
(分かっておる。言ったであろう。「我もこの主催には腹を立てている」と)
それだけ脳に残すと、ディーは真面目な顔をアヘ顔へと一瞬で戻した。
一方、新たな情報をもたらされたお姉さまは、空になった皿を見つめ沈黙を続けていた。
「お、元気になったかい」
「ええ」
残月の声に、お姉さまとパンタローネは背中の方へと顔を動かす。
そこには、壁にもたれかかり、顔に手を当てるルーキーの姿があった。
「ご心配おかけしました」
「なに、アタシのしちまった事だからね。それより、二人に挨拶しな」
「ええ」
静かに呟くと、ルーキーは座っていたパンタローネとお姉さまの前で跪く。
目の前で突然跪いたルーキーに、二人は思わず姿勢を正す。
「お初にお目にかかります。私は◆yHjSlOJmms。気軽にルーキーとお呼び下さい」
二人は思わず顔を見合わせる。初めて会った時、この男はこんな口調だっただろうか。
だが、お姉さま達より前から一緒に居た残月と脳内補完が何も言わない所を見ると、これが普通なのだろう。
そんな事を思われているとは知らず、ルーキーは恭しく頭を垂れ、お姉さまの手をとった。
「綺麗なお人だ」
「!」
避ける前に、ルーキーはお姉さまの手の甲にそっと唇を乗せる。
またも唐突な出来事に、今度はお姉さまの身体が凍る。
それを良い事に、ルーキーの唇や舌は未だお姉さまの甲を這い続ける。
この行為から数秒後、ようやくルーキーの唇が離れ、その瞬間お姉さまの硬直も解けた。
「ちょ、いきなり何を――」
文句を言おうとして、言葉が詰まる。
ルーキーのお姉さまを見る目が、一瞬だけ強烈な寒気を思わせるように見えたからだ。
「おや、一目惚れかい?」
「ええ。そのようなものです」
残月の茶化す言葉を、ルーキーは少し陰のある笑みで返す。
ただ一人異変に気付いたパンタローネは、お姉さまにそっと近付く。
見れば、その顔は真っ青に染まっている。
「大丈夫?」
「あ、ああ」
パンタローネを盾にルーキーをそっと覗くが、先程のような目はしていない。
それどころか、今の彼の目は純真な子供のような目をしている。
(見間違い……だったのか?)
体の隅から隅まで覗かれているような嫌な気配を振り切り、お姉さまは自分に渇を入れる。
そんなお姉さまに安心したパンタローネだったが、ふと微妙な視線を後方から感じ振り返った。
視線の先にいたのは、爪を切って指を綺麗にする脳内補完しかいない。
(疲れてるのか……けど、今の視線は……)
さて、爪を切っていた脳内補完は、パンタローネの睨みを無視して爪を磨き続けていた。
怪しんではいるだろうが、決定打の無い今は何を言っても意味が無い。
下手に混乱を招けば、パンタローネ自身がステルスの烙印を押されかねないから。
それを確信した脳内補完は、心の中でそっと嘲笑う。
(さて、暫くはお手並み拝見って奴だ。パンタローネちゃんよぉ)
そしてもう一人、どこか様子の変わったルーキーは、愛しい人を見るようにお姉さまに視線を向けていた。
彼にも、脳内補完と同じように変化が起きていた。
と言っても、彼の場合別の書き手の記憶が移った訳ではない。
ルーキーの引き起こした変化は、一言で言うならば『覚醒』である。
今まで内に秘めていた書き手としての『欲望』の部分が、あのカレーで目覚めてしまったのだ。
そしてそれは、彼の外見から口調。さらには性癖までも塗り替えていく。
今ここにいるのは、ルーキーと言う名のレザード・ヴァレスだ。
知る人ぞ知る変態ストーカー魔術師レザード・ヴァレス。
その一途な想いだけなら、神ですら手の付けられない天才魔術師。
これでもう、AAAのキャラが地味だなんて言わせない。
(ふふふ。これからじっくり染めて差し上げましょう……私だけの愛しいお姉さま色にね)
和気藹々とした雰囲気が、一瞬にして微妙なものに変わってしまう。
だが、こんな微妙な空気になっているとは気付かず、残月はパンと景気良く手を叩く。
そして自分に注目が集まった事を確認すると、自信満々に胸を突き上げた。
「よし、腹も膨れて仲間も増えたんだ。そろそろ次の仲間を見つけに動き出すよ!」
【昼】【E-1 民家】
【チーム『ニトログリセリン』】
【基本方針】移動して新たな仲間を探す
【お姉さま@ギャルゲロワ】
【装備:青龍偃月刀、ディー、チャイナ服】
【所持品:支給品一式、支給品一式(他ランダムアイテム1)】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本行動方針:殺し合いに乗ってる人間を止め全員での脱出
1:仲間が出来てよかったぁ
2:戦う覚悟。
3:あのルーキーって男、大丈夫だよな?
4:ハクオロの姿をした参加者……候補のロワは三つ(ギャルゲ・葉鍵・アニロワ1st)か
※容姿はくれないの長髪でスレンダーな美少女。というかまんま東方の中国w
※性別は未だ不明。
※ディーにより東方キャラに変わる力を得ました。何に変わるかはディーの気分次第。確率的には咲夜が高い。
やばすぎる能力には制限がかかってます。
※ディーは制限により弱まってます。そしてそれが原因でちょっと逝ってます。
※ギャルゲ版最速の人の死体を見つけると、もしかしたらディーの力が少し復活するかもしれません。
また、その後ディーがどれだけ協力してくれるかは、次の書き手さんにお任せします。
※カレーは完食しました
【パンタローネ@漫画ロワ】
【装備:無し】
【所持品:支給品一式、支給品一式(ランダムアイテム不明)】
【状態:健康、自動人形】
【思考・行動】
基本行動方針:殺し合いには乗らない、乗った人間には容赦しない
1:あの脳内補完って男とルーキーって男、何か変だ……
2:助けられる人はなるべく助ける。
※パンタローネの服を着ていますが顔は若いです。
※深緑の手の空気供給率が低下しています。
※深緑の手:手の平の穴から空気を吸収し、指から圧縮された空気で攻撃する技。
原作では片手撃ち尽す→もう片手で撃ちながら、撃ちつくした手は空気供給で弾切れの心配が無かったりする。
※脳内補完とルーキーに僅かに警戒
※カレーは完食しました
【King of 脳内補完@漫画ロワ】
【装備】スカウター
【所持品】支給品一式、
ウルトラミキサー(故障?)
【状態】健康
【思考・行動】
基本:ステルスマーダーとして参加者は皆殺し
1:こいつらは利用させてもらうぜ。ま、使い道が無くなったらそれまでだがな
2:あのパンタローネって女。確か同じ漫画ロワだったな……お手並み拝見だぜ
3:あのクソガキ(Chain-情&クソビッチ(うっかり侍)、次あったら殺してやるぜ……マジでな
4:つか、マジでエニグマの紙どこ行きやがった?
※中の人がB・D・Nであったために、人肉カレーとがきっかけで異世界の自分、
およびもう一人の自分と記憶がシンクロしました
※本人は気付いてませんが、スタンド『ホワイトアルバム』が使えます。詳しくはググレ。
【底上中の残月@アニロワ2nd】
【状態】全裸
【装備】なし
【道具】支給品一式、放火セット(燃料、松明、マッチ)、未定支給品×2(本人確認済み)
【思考】
基本:対主催を集めて主催者を打倒する
1:これもアタシのカリスマってやつかねぇ
2:積極的に動くけど、おっかないのは御免だねぇ……
※容姿はドーラ@天空の城ラピュタです。
※全裸主義者なので服を着ることをいやがります。
※もちろんBIN☆BINです
【◆yHjSlOJmms(ルーキー)@AAAロワ】
【状態】覚醒
【装備】ピストル(15/15)
【所持品】なし
【思考・行動】
基本・対主催……のフリした優勝狙い
1:好青年を装ってお姉さまの全てを美味しく頂く(色んな意味で)
2:
シルベストリ◆O4VWua9pzsに接触する。どうするかは不明
3:AAAロワ書き手を探す……が、生かす保証はなし
※人肉カレーが原因で、外見も口調もレザード・ヴァレス(CV:子安)に進化しました。
そのため、ありとあらゆるロワの『魔術』を使えるようになりました。
何が使えるかは、今後の書き手さんとAAA本編によります。
さあ、今すぐAAAを読んでくるんだ!
最終更新:2008年04月06日 07:49