「順調ですね」
書き手ロワの真の黒幕である
wiki管理人はモニターに映し出される映像を見ながら現状に概ね満足していた。
死力を尽くした戦闘、受け継がれる想い、心をえぐる鬱展開、何もかもを吹き飛ばすような超展開。
なにもかもが素晴らしかった。
皆が全力で前に進むたびに貴重な経験を積んでいく。
それがこちらの目的だと知りながらも、そうしなければ彼らは進めないのだ。
彼らは言わば自分の手の中でもがく駒のようなものだ。
その様子を見ながら管理人はふと先程から抱いていた疑問を頭に浮かべた。
(さて、これはどういう事でしょうか。可能性として最も高いのはやはりアレでしょうね……!?)
そんな事を考えていた管理人は突如部屋の中に現れた人物に気付いた。
しかしその事に対してあまり驚きはない。
なぜならもうそろそろ来る頃だと思っていたからだ。
「ご苦労様です。手間をかけさせてすいませんね」
「いいんですよ。私は言わば傍観者でもあり、共犯者みたいな立場ですから」
管理人の後ろの現れた人物。
何もないところにある不自然な裂け目。
一見すると日本刀のように見える核鉄『シークレットトレイル』の能力によって現れた黒髪の少女。
管理人との密約を執行していた
読み手K.K.であった。
「いきなり連絡があった時は少し驚きました。まあ私も尋ねたい事がありましたからちょうど良かったです」
「じゃあ、まずはあなたの質問に答えます。一仕事してもらった事へのせめてもの労いね」
「どうも。聞きたいのは、あれです」
そう言ってK.K.は部屋に備え付けられている時計を指差した。
そこには赤茶けたアンティーク風味の時計が今も休まず時を刻んでいた。
チクタク、チクタク、規則正しいリズムが部屋に響く。
「やはり、それの事でしたか」
「ええ、一応説明してくれると助かるんですけど」
その時計自体になんら不思議な所など見られなかった。
デザインも奇抜でもなく、針はいつもと同じ調子で動いている。
時計単体だけで見るにおかしい所など無い。
おかしいのは時計が示す状況だ。
長針は「0」の真上、短針は「3」の真上――3時00分。
それが今の時刻だ。
「現在の時間は3時00分。本当なら期限は過ぎているはずです」
「ええ、そうね。でも――」
「大蟹球の中はまだ2時にすらなっていない」
wiki管理人が宣告したタイムリミットは第4放送があった0時ジャストから30分後に行われた宣告から2時間後の2時30分である。
本来なら30分も前にその期限は切れているはずだ。
つまり対主催は目的を果たせず、めでたくwiki管理人の望み通りダイダルゲートからのフェードバックが始まるべきだ。
しかしここで思わぬ問題が発生した。
――『時間がずれているのだ』
ラピュタ内はもう既に3時になっているのだが、大蟹球内ではまだ2時にはなっていない。
完全な時間のずれが生じているのである。
「さすがに常識破りの書き手ロワでも、これはどういう事か説明して下さい」
「――と言いつつも、読み手……いや、分かり易くK.K.さん。あなたはもう既に分かっているんじゃないの。
ここに来たのも私の頼まれ事のついでに確認しに来た、そういうところかしら」
「よく分かっていますね。ええ、そうです。とりあえず管理人の意見はどんなものですか?
……やはり、参加者の時間干渉ですか」
「おそらくそれで間違いないですね」
スーパーキョンタイム、時止め、タイムベント、懐中時計型航時機『カシオペア』、いままでこのロワでは時間干渉に触れる力が幾度となく振るわれてきた。
だが時間とは本来不可逆のもの。
いくら突き抜けているからと言ってこれだけの事が繰り返されれば何らかの影響が出るのは必至だ。
スーパーキョンタイムや時止め――これはまだギリギリ大丈夫な領域だ。時間を止めるだけだから。
タイムベント――使用されたのは1回のみ。影響はそれほど大きくはない。
カシオペア――これが問題だ。完全な形でのタイムスリップ。同じ時間軸に同一人物が存在するというありえない現象。
加えて少しとはいえ歴史の改変。さすがにここまでくれば影響は大きかった。
そしてトドメのタイムのカードによるブッチギルンジャー召喚。
これで世界の時間は完全に狂った。
よって時間がずれるというありえない事象が成立してしまったのである。
「で、時間はこれからどうなるか。K.K.さんはどう読んでいるんですか?」
「十中八九時間はずれたままこの世界は徐々に崩壊へと進んでいきます。
これに関してはもう催し物が終わりかけの会場ですから、懸念は皆無でしょう」
「ええ、そうね。既に会場を覆っていた結界は解除してその分はデビルラピュタガンダムの方へ回しているから。
聞きたいのはそのずれた時間が今後どんな影響を与えるかよ」
「私の読みからすると、おそらく遠くない内にここの時間も狂うでしょう。
急進、停止、逆行。どれかは知りませんけどね。
ただしあくまで影響があるのは時間そのもの。
時間を気にしないなら私達に問題はないですけど、どうするつもりですか」
管理人はその問いにしばらく黙りこくった。
その間、僅か数秒だったが……なぜかいつもより長く感じられた。
天を仰いで背筋を伸ばし、管理人はスクッと立ち上がった。
その視線は時計に向けられていた。
「言った事は守りたかったんですけどね、それももう無理そうですね」
時計の針は規則正しく時を刻む――ただし反時計回りに。
とうとう時の狂いはラピュタにまで及んできたのだ。
こうなっては時計が示す時間は意味が為さない。
「仕方ないですね。方針を一部変更します」
「へえ、どういう風にするんですか」
その瞬間、部屋に空気が急に下がったような気がした。
その原因はK.K.から発せられる殺気。
彼女はこれまで目的のために仲間さえ捨てるという選択をしてきた。
もしそれが無駄になるようであれば即管理人を葬り去り、すぐさまフィードバックを実行する気であった。
「いえ、フィードバックは実行しますよ。変更するのはその過程です」
「過程ですか…………ああ、なるほど」
「読めたみたいですね。そこで頼んでいた物がいるんです」
「随分とやるみたいですね、はい」
そう言ってK.K.は懐から翼の意匠のついた宝玉のようなアクセサリーを取り出した。
それは少し前に管理人に持ってくるように言われていた代物だ。
K.K.の手にあったそれは約定どおり管理人へと渡された。
「ありがとう、私では取りに行けなかったからね。では、セット・アップ!」
起動の呪文と共にアクセサリーの真の姿が露わになる。
フィンガーレスグローブの形状をしたギリシア神話の伝令神ヘルメスの持つ杖の名を冠すブーストデバイス『ケリュケイオン』である。
蟹座氏が装着したまま放置されていたのを回収してきたのだ。
「さて始めますか。速攻魔法発動・フォースブースト!」
「(ここは乗るべきでしょうか?)……フォースブースト?」
「詠唱トリガーによって、効果発動!
これは4種のブースト魔法によってデビルラピュタガンダムの能力によって生み出されたデスラピュタロボを強化する儀式だ。
そして生み出されるデスラピュタロボの数はDG細胞の力により無限となる」
――猛きその身に、力を与える祈りの光を……ブーストアップ・ストライクパワー!!
――我が乞うは、城砦の守り。古の兵士に、清銀の盾を……エンチャント・ディフェンスゲイン!!
――我が乞うは、疾風の翼。古の兵士に、駆け抜ける力を……ブーストアップ・アクセラレイション!!
――最後にブーストアップ・バレットパワー!!
一部省略があったので補足。
まずデビルラピュタガンダムの能力によって生み出されたデスラピュタロボが出現。
次に打撃力・防御力・機動力・射撃の威力を強化する補助魔法をかけてステータスアップ。
その数はDG細胞の効果によって無限に生成され、軍団と為した。
……ちなみになぜいきなり遊戯王風になったかというと……元キャラが若干電波だかららしい。
「さらにその効果はデビルラピュタガンダム本体にも適応され、数時間後のはずの融合が今すぐにでも行えるようになる。
さあ、もう後戻りは一切なし。これで最終局面に突入します」
「ダイダルゲートの守りはデスラピュタロボ以下軍団に任せて、貴女自身は融合を果たしてラスボスとなる……大掛かりですね」
「確かに感電はあちらの時間なら規定の時間までにラピュタに来た事になる。
しかし、当の本人には話し合う意思はなし。つまり崩壊は必至という事になります」
長きに渡って続けられてきた祭りも終局に向かう。
666とドSを倒して果たしてここに辿りつける者がいるのか。
それは今度の帰趨次第であろう。
だが管理人は願う。
願わくば最後の決戦を演じて最高の経験を集めたいと。
それ故に自身が最後の黒幕として生き残りと対峙しようと決めたのだ。
「ところでよくあの中から取って来られましたね。確か大蟹杯の間は今では大変な事になっているはず」
「そう言ってもわざわざ死体に気をかける余裕はどちらにもありませんでしたから楽でしたよ。
では私はこれで。ご武運を祈っていますね」
「あ、これを」
そう言って管理人がK.K.に投げてよこしたのは何の変哲もないボタン。
見たところ特別なギミックもなさそうだ。
「もし私が倒されれば、その瞬間にフィードバックが実行されるように設定はしてあります。
しかし、万が一の事を考えてこれを託しておきます」
「これは?」
「もし私が倒されてもフィードバックが始まらないようなら、そのボタンを押してください。
所謂予備のボタン、保険です」
「あまり気が進みませんね。最終回の最後のパートを読み手が決めるなんて」
「気に病む事はないでしょう。私が倒されればフィードバックが実行されるのは決まった事です。
ようは、投下を滞りなく行うための支援とでも思ってください。
でも……私が戦いを制すれば、何の問題もないんですけどね」
「まあ考えておきます。ではお別れですね。さようならwiki管理人さん」
「さようならK.K.さん……いや読み手さんと呼ばせてもらいましょう」
別れを告げると、K.K.は再び亜空間に消えて行った。
部屋に残ったのはwiki管理人唯一人のみ。
「最後に一つ大きな花火を打ち上げようじゃないか!!」
最後に叶う願いは誰のものになるだろう。
【2日目 深夜】【デビルラピュタガンダム 放送室】
【書き手ロワ2ndwiki管理人@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康
【装備】:ミニサスペリア、ケリュケイオン@なのはStS、???
【道具】:???
【思考】:
基本:???
1:???
※容姿は執事服を着た稲田瑞穂@バトルロワイヤルです
※ミニサスペリアはGR2ndのtu4氏なあの人の思念から生まれた存在でした。
GR2ndの属性であるカニバリズムを司っています。ある程度の空気力と煩悩寺の吸収によりエロスも使えます。
姿はクリーチャーとアニロワ2ndをかけてデビルガンダムです。ラピュタとほぼ同化しています。
※今すぐにでもミニサスペリアと融合してゼスト@スパロワになれます。外見がどう変化するかは不明。
※倒されるとフィードバックが始まるように設定したようです。
【2日目 深夜】【亜空間内】
【読み手(K.K.)@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康
【装備】:核鉄『シークレットトレイル』@武装錬金、IMIデザートイーグル(8/10+1)@ギャルゲロワ1st
【道具】:IMIデザートイーグルの予備マガジン×5、ボタン、???
【思考】:
基本:wiki管理人に協力する。
1:最後までロワの表の主催者としてロワの結末を見届ける。
2:自分の考察を信じて、wiki管理人との取引を履行する。
3:ボタンを使うか使わざるか。
※あらゆる事象を読む事ができます(でも空気を読んでその時に応じて読んだり読まなかったりします)
※ボタンを押すとフィードバックが始まります(あまり気乗りしない)
【備考】
※ダイダルゲート守備軍:デスラピュタロボ×∞
最終更新:2008年10月14日 17:36