今よりずっとずっと遠い未来のこと……!

政治の破綻……経済の崩壊……犯罪の激化……モラルの腐敗……!

人の心には闇が巣食い、もはや人に良心を求めることが愚行となった退廃の時代!


しかし、パロディ・バトルロワイアルは死滅していなかった!


【Welcom to this crazy world】

「栄光あるレジェンド書き手の諸君……本日はご足労感謝する。
 と言っても、私がそちらの意思を無視して集めたわけだがね」

真っ白な空間の中で突如響いた声に導かれるようにしてパロロワ書き手は目覚めた。
不可思議な空間、曖昧な思考、緩慢な動きしか出来ない肉体。
全てが曖昧な空間の中で、その声だけが確かなものだった。

「諸君らに集まってもらったのは他でもない、殺し合いをしてもらいたいからだ」

声の主は覆面を被った中肉中背の人間だった。
声で性別や年格好を判断することが出来ない。
人生の酸いも甘いも噛み締めた老人のようにも聞こえれば、理不尽なものに対する怒りに溢れた青年のようにも聞こえる。
世の男を魅了する魔女のようにも思えるが、ありとあらゆる女性の心を奪う怪傑のようにも思えた。
そんな正体不明の人間は書き手たちを見比べながら言葉を続けた。

「私は諸君らと同じ書き手だ。
 と言っても、諸君らをレジェンド書き手とするなら私はニュージェネレーション書き手とでも言うべき存在だ。
 そう、私は『未来人』ならぬ『未来書き手』……名前は、Xとでも名乗っておこうか」

未来書き手Xはそう言うと、その拳を握りしめた。
そして、その男とも女とも子供とも老人とも判断のつかない声を張り上げる。

「現在の、いや、諸君らにとって未来のパロロワ完結期間の平均は十年!
 月報は総数で30にも満たない!
 第一放送前に頓挫するパロロワの数は増えていくばかり!
 やがて新規ロワの数すら減っていっている状況だ!」

そこで一度声のトーンを落とす。
妙に芝居がかった様子ではあるが、その演説の内容はこの場に居る書き手の殆どを引き付けていた。
それは未来書き手Xの弁舌が優れているからだろうか?

「緩やかな衰退……いや、衰退というと少々語弊があるな。
 まだ続けているのだから……殺し合いに魅了されるものが居る限り終わりはしない……
 だが、だが足りないのだ。
 我々には情熱が足りない……『なあなあ』で済ましてしまっているのだ。
 そう、モチベーションの問題だ……ならば、そのモチベーションの低下を打破するには何が必要だ?」

いや、この言葉は未来書き手Xが心の底から振り絞った全力の言葉だからだ。

「パワーだ! 筋肉でしか身体が動かせないように、我々の執筆意欲を動かすパワーが必要なんだ!
 我々未来書き手はパワーが衰えているのだ!」

そのパワーが、書き手たちを引き付けているのだ。

「だが、なぜパワーがない……?
 こう言うと自惚れに思えるかもしれないが、私だって十分に情熱はあるはずだ……
 生まれた時代の違いか? それとも別の要因か?」

心の底から、未来書き手Xは疑問を口にする。

「いずれにせよ、諸君らはその道に特化した者たちだ。
 何よりもパロロワというものに多少なりとも『愛着』があるだろう。
 それは本業作家を上回るものであると、私は信じている。
 だからこそ、我々の想像を超えたパワーを持っているはずだ……そのパワーの秘密を知りたい……」

詩を歌うように、ゆっくりと言葉を紡いでいく。
未来書き手Xは間違いなく本気だった。
己にないものを求める、本気の言葉だったのだ。

「書き手バトルロワイアル3rd以降、書き手ロワは出現しなかった……! だからこそ開催する!」

身につけた覆面の下から、未来書き手Xが大きく口を開いたことを感じ取る。
続く言葉を想像できない書き手は、この場には居なかった。


「書き手バトルロワイアル4thの、開始だあああああああああああああ!!」


イカれた時代の書き手が、人の言葉で狂った叫びを吼えていた。


【主催:未来書き手X】

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最終更新:2013年04月07日 18:20