『あー、テステス、マイクテスト』

ひび割れた音声が、会場内に響き渡る。
拡声器によって届けられた声は、それを聞く者達の脳裏をよぎっていた予感を確信へと変えていく。

『全員目覚めたようだな』

既に周囲を探索していた者も、今しがた目覚めたばかりの者も、皆一様にその声に耳を傾ける。
なぜなら、その声は聞いておくべきものだと本能で理解しているから。

『もう既に状況を察している者も多いだろうが、こういう催しは始めが肝心だ。一言一句、逃さず聞くように』

無論、誰ひとり聞き逃すつもりはない。
野球のプレイボール。サッカーのキックオフ。
この放送はそれらと同質のものだ。
試合が始まる前のドキドキ、始まった瞬間のワクワク。
それらも含めて楽しまないのは、楽しみ尽くさないのは、なんと勿体無いことだろうか。

『諸君らには、今から殺し合いをしてもらう』

開催宣言。いや、開"祭"宣言というべきか。
笑みを浮かべる者。ガッツポーズする者。ため息をつく者。
初めてのことに困惑する者。行動方針を決め始める者。目立ち方を考える者。
それを聞いた反応は様々だったが、その目がどこか輝いているのは全員に共通していた。

『大まかなルールは説明するまでもないだろう』

当然だと言わんばかりに頷く者がいる。

『禁止エリアなどの細かいルールは支給品のルールブックに記載してある。各自確認するように』

早速支給品の検分を始める者もいる。

『以上だ。それでは参加者の諸君、せいぜい楽しんで、そして死んでいくといい』

反応は様々。行動も様々。けれども、参加する催しは皆同じ。

『書き手ロワイアル4th……スタートだ』

放送が終わり、そして――お祭りが始まる。


【主催者:不明】

※開始時点で既に会場の各地に参加者が散らばっています。そのため通常の参加者は誰も主催者の姿を見ていません

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最終更新:2013年04月07日 18:23