「ああ、今回もななこ先生か……」
市街地に一人たたずむ書き手がいた。
その名は◆OQfaQnysJI。オールロワで投下数上位に入っている書き手の一人だ。
彼女の外見は本人が言っているとおり、前回の書き手ロワに引き続き黒井ななこになっていた。
違いと言えば前回は標準語だったのに、今回は関西弁になっていることくらいだ。
「まあ、それはええねん。ななこ先生書いた回数多いしな。せやけど……なんで下着姿やねん!」
顔を真っ赤にして、OQは叫ぶ。そう、今の彼女は下着しか身につけていなかったのである。
「いや、たしかにうちの最新投下でななこ先生に着替えさせたけどな? ちゃんと服着させたやん!
下着で放置なんてしてへんやん! 無理やりサービス要員にすんなや!」
聞く者のない愚痴を叫び続けるOQ。彼女の胸に宿るのは、こんな格好でロワ会場に放り込んだ主催への殺意であった。
絶対に生き残って、主催のところに乗り込んでやる。そしてぶん殴ってやる。
「ちゅうてもうちの場合、能力的には一般人やしなあ。生き残るにはそれなりに頭使わんとあかんか」
ちゃんと確かめたわけではないが、OQは自分がこれといった能力を持たない一般人であろうことを確信していた。
彼女はバトルや死亡話をまったく書かないわけではないが、比重としてはつなぎの話が多い。
決して派手な方ではないのだ。
そして何より、OQが何度も書いている黒井ななことランキング作成人は、共に純粋な一般人のコンビであるからこそオールロワの中でも人気のチームとなっているのだ。
「おそらく今回の書き手ロワも、オールロワ以上の人外魔境やろうな……。
せやけど、それでも……いや、だからこそ! 一般人の意地を見せたる!」
おのれの無力を嘆きつつも決してロワの破壊を諦めないななこのように、一般人のままでこのロワを生き抜く。
それが、OQの抱いた決意であった。
「とりあえず、支給品を確認した方がええな。一般人にとって、支給品の善し悪しは死活問題や」
まずは第一歩として、支給品の確認を行うOQ。最初に彼女のデイパックから出てきたのは……。
カ ラ オ ケ セ ッ ト。
「これ支給したの、うちちゃうわぁぁぁぁぁ!」
ちなみにOQの現在位置は、地図で言うとB-5。
彼女の代表作「B-5周辺顛末記」のように、その大声に反応した参加者が集まってくるかどうかは……。
神のみぞ知る。
【一日目・深夜/B-5 市街地】
【◆OQfaQnysJI@オールジャンルバトルロワイアル】
【状態】下着姿
【装備】なし
【道具】支給品一式、カラオケセット@オールロワ、不明支給品0~2
【思考】
1:一般人としてこのロワを生き抜く
2:服をください……
最終更新:2013年04月17日 04:53