90 :1/2:2007/05/02(水) 23:20:05 ID:uyagCE/H0
クラシック×失恋
「…はあ…」
「どうしました」
「ん、ちょっとねー」
「……」
「なぁ、なんかピアノ弾いてよ」
「…何がいいですか?」
「んー…なんか、気分晴れるような曲」
「……」
~♪
「その曲、知ってる…」
「ベートーベン ピアノソナタ第八番『悲愴』第二楽章」
「…なんか、泣きたくなる曲だな…」
「……」
「もっと明るいバカみたいな曲ないわけ?」
「…今は、無理して笑わなくてもいいと思いますよ」
「……」
「泣きたい時には、泣けば良いんじゃないですか」
「……」
91 :2/2:2007/05/02(水) 23:20:51 ID:uyagCE/H0
「気に入りませんか」
「いや…ごめん、ちょっと背中貸して」
「貴方が望むのなら」
「……っ…くっ…」
「…背中よりも、胸の方がいいでしょう」
「うわっ……」
「……」
「ふっ、お前の心臓の音、落ち着く…」
「…結構、心拍数上がってるんですけどね」
「え…?」
「好きな人を抱き締めているのに、落ち着いてなんていられませんよ」
「それって…、」
「ずっと見守ってきたんですから、このくらいはいいですよね」
アイツのキスは、アイツのピアノみたいに優しくて、暖かくて、
なんだか、泣きたくなった。
最終更新:2011年11月16日 23:50