104 :風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 23:36:17 ID:FXLJtllC0
未来技術×民俗・神話学
暇だったから何をしているのかな、と研究室を覗いた。
紙に向かってああでもないこうでもない、と消しては書き消しては書いていた。
あんな未来技術は見たことない。
パリッとした白衣に身を包んで「また新しい開発ができそうだ」と言っているのが普通だと思っていた。
あれは鬼のようだ。般若に似ているが、般若はそもそも女の表情が元だから、この表現は正しくない。
どちらかと言うとインド神話の……いや、アラスカのもう絶滅したあの部族に伝わる……
行き詰まって仕方なく、脳が沸騰しかけているのが分かった。
こうなったら落ち着くしかない。コーヒーでも飲むかと立ち上がった時、ドアの向こうでうずくまっている民俗を見つけた。
「どうしたんです?」
「……えっ、あっ、いや、暇だったからちょっと見てた」
「どうせまた何か考えていたんでしょう」
「うん。…しかし、未来技術もそんな格好するんだねぇ」
全身を上下に見られる。言われて気が付いたが、寝間着として使っている一番汚い白衣を着ていたのだ。
第一風呂にだってそんなに入っていない。恐ろしい。民俗の前でこんな姿を見せるとは。
「すみません、すぐ着替えてきます」
「え、いいよ別に。未来技術も忙しそうだし」
「いいんです。居てくれませんか。あなたが居ると落ち着くんです」
言ってから、ハッとした。民俗のことだから、そんな私の表情の変化も読み取ったのだろう。
「うん、いいよ別に」
そう言って民俗はへらっと笑う。私は、民俗の『いいよ別に』の判断に困ってしまった。
なんとなく民俗は優しいおっちゃん、未来技術は真面目な若造のイメージ。
学問系板は萌のすくつ。
最終更新:2011年11月16日 23:52